エンジニア不足の現状とは?今後の対策として押さえておきたいこと

2024.05.08
ラボ型・オフショア開発
Wakka Inc. メディア編集部
エンジニア不足の現状とは?今後の対策として押さえておきたいこと
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こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。

ビジネスの世界ではデジタル技術の活用が不可欠です。具体的には、クラスタリングやリンク分析といった顧客行動を分析するデータ活用、使いやすいプラットフォームによる顧客への利便性向上などです。デジタルを活用し、ビジネスの市場競争を勝ち抜くための基盤として高度人材が求められています。

しかし、昨今多くの企業がデジタル環境の強化を活発化していることなどからIT人材の需要が増加し、ITエンジニア不足が問題になっています。
実際に、ITエンジニアの確保に悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。

本記事では、エンジニア不足の現状や、企業が今後とっていきたい対策についてお伝えします。

目次

エンジニア不足の現状

経済産業省が発表した「IT人材の供給動向の予測と平均年齢の推移」によると、2015年時点ですでに17万人のIT人材が不足していました。
また、今後のITニーズの拡大を高位シナリオ・中位シナリオ・低位シナリオの3段階に分けて予測しています。

高位シナリオは市場の伸び率を2~4%と設定していますが、この場合では、2030年に最大で約79万人のIT人材が不足すると予測されます。

引用:IT人材育成の状況等について|経済産業省

市場の伸び率を1.5~2.5%で設定した中位シナリオの場合では、2030年に約59万人が不足、市場伸び率1%程度の低位シナリオの場合でも約41万人の人材が不足するという予測です。

参照:IT分野について|経済産業省 商務情報政策局
参照:デジタルで支える暮らしと経済|総務省 

エンジニアが不足している職種・分野

エンジニアが不足している職種には、主に以下の3つがあります。

  • ビジネスデザイナー
  • プロダクトマネージャー
  • データアナリスト

ビジネスデザイナー

顧客の趣向などに対応したサービスや商品づくりを行います。
市場に激しい競争が起こりやすいメーカー、小売り業界などが市場の変化に対応するために重要な職種です。

プロダクトマネージャー

自社プロダクトの責任者であり、顧客のニーズに沿った製品の企画、役割を考え他部署と協力して市場のニーズを探ったり、リリースの戦略を考案したりする役割を担います。
製品の成長を考えることで、顧客の満足度を高め、利益を最大化するようにマネジメントしていきます。

データサイエンティスト

経営データを解析するエンジニアです。
解析したデータは経営戦略の立案や企業が抱える課題に対するデータに基づく解決策の提案、さまざまな意思決定の場面でのサポートに活用します。

ビジネスが複雑化していく昨今では大量のデータの解析が必要となるため、常に求められている職種といえます。

エンジニア不足の今後

今後もIT技術の活用の広がりとともに、エンジニアの需要も上昇すると予測されます。
特にビッグデータやAIを活用し、ビジネスに付加的な価値を生み出すシステム、プラット

フォームの創出といった戦略的なプロセスに関わる人材の確保が重要になるでしょう。

また、人材の高齢化も一つの課題です。

IT関連産業における年代別人材構成比において、2010年には30~34歳が19.4%、35~39歳が18.4%を占めていました。また、若年層に入る25~29歳でも16.2%の割合でした。

2030年の予測では30~34歳が14.3%、35~39歳が13.8%に減少する見込みです。
一方、2010年に3.3%であった50~54歳は12.0%、55~59歳は6.1%から9.8%へと上昇します。

引用:IT人材育成の状況等について|経済産業省

エンジニア不足の原因

エンジニア不足を引き起こしている原因には以下の3つが考えられます。

  • DX推進によるエンジニアニーズの増加
  • テレワークによるIT業務の増加
  • ITエンジニアの高齢化

それぞれの原因について解説します。

DX推進によるエンジニアニーズの増加

一つ目の原因としてあげられるのが、DX化への取り組みです。DXへの取り組みは経済産業省が発表した「DXリポート」上で述べられているように、経済的な影響が大きいと予測されるため急務となっています。

デジタルをビジネスに活用することでDX実現を目指すため、経済産業省の「デジタルスキル標準」からも、そのためのエンジニアの確保が鍵となることが見てとれます。

DXとは、デジタルトランスフォーメーションの頭文字を取って作った言葉になります。
企業のビジネスモデルや風土をデジタルを利用して良いものに変え、顧客へ新しい価値を提供して市場での優位性を築いていこう、という取り組みのことです。

DXは企業にとってはもとより国にとっても国際社会での競争を勝ち抜き、自国の経済発展を実現するために大切なものになります。
企業が今後市場で生き残れるかは、DXを推進できるかどうかにかかっている、といわれるほどです。

DXは単なる効率化にとどまらず、その先のビジネスモデルの変革まで推し進めることが目標です。
DXの実現にあたっては、顧客への価値を生み出すことが求められ、そのためには企画立案、リーダー、実践など一連の流れで高いスキルのIT人材が必要となるのです。

しかし、総務省発表の「デジタル・トランスフォーメーションにおける課題」によると、50%以上の企業が、DXを推進するにあたり人材不足であると回答しています。

DXを進めれば2030年には130兆円もGDPが押しあがるという試算もあるため、人材不足への取り組みが急務と言えます。

参照:デジタルスキル標準|経済産業省 
参照:DXレポート(サマリー)|経済産業省
参照:デジタル・トランスフォーメーションにおける課題|総務省

テレワークによるIT需要の増加

コロナ禍以降、テレワークが進んだことにより、リモートで働くための環境整備、セキュリティ対策といったIT関係のサポート業務が増加しました。

自宅からでもセキュアな環境での業務ができるような認証方法を取り入れる、システムのクラウド化、業務データの保護を行うなどです。
これらのシステムは常にアップデートが必要なため、相応の人員が必要です。

2025年10月14日にサポート終了となるWindows 10 のアップグレードに伴い、現在稼働しているシステムと新しいOSとの互換性の検証といった業務も加わってきます。

 新しいOSにアップグレートした後は、リモート勤務に対応したセキュリティ対策のアップデートも必要になるため、さらなる業務の増加が予測されます。

ITエンジニアの高齢化

現在活躍しているエンジニアが高齢化しつつあることも、IT人材不足につながると予測される要因です。
エンジニアとして働くにあたっては、かつてのような年齢制限は消え、スキルがあれば年齢を問わず幅広く活躍できるようになりました。

IT 人材需給に関する調査によると、今後2025年から2023年にかけては、35歳から49歳のミドルのエンジニアの数が減り、50歳以上が増加すると見込まれています。

この調査からは、高齢のエンジニアの退職後、その後に続く人員が少なくなる問題が懸念されています。

エンジニア不足がもたらす影響

エンジニア不足による影響としては、「システムの老朽化」「社員一人あたりの業務負担の増加」「競合他社への遅れ」などが挙がります。

システムの老朽化

古いシステムの入れ替えまで手が回らず、既存のシステムを使い続けることにより老朽化が進みます。
老朽化したシステムは故障が増えるため、改修費用、維持費用がかさむといったことが起こりえます。

また、人手不足で保守マニュアルの整備ができない、新しい人材の育成に時間を割けないことにより、担当の社員が退職したあと保守できる人がいないといった問題も発生します。

社員一人あたりの業務負担の増加

エンジニア不足が起きると、少ない人数でシステムのトラブル対応といった日々のタスクに加えて、システムのアップデートやセキュリティ対策などの重要なタスクをこなさなければいけなくなります。

システムやセキュリティのアップデートを怠るとサイバー攻撃のリスクを高めるため、必ず行わなくてはならず、そのため一人ひとりの業務負担の増加が避けられません。

競合他社への遅れ

ユーザビリティの悪いシステムを利用することで機会損失が発生する、データ基盤の際日ができないことでデータに基づく予測で出遅れる、といったことが起こりえます。

このことにより、ビジネスのチャンスを逃す、または競合他社に遅れを取る可能性が出てきます。

ITエンジニア不足対策として取れること

自社の競争力を弱めないために安定してITエンジニアを確保したいと考えている企業も多いはずです。ITエンジニア不足対策として有効な対策を紹介していきます。

アウトソーシングの活用

一つ目は外部へのアウトソーシングです。
アウトソーシングでは、プロジェクトごと、工程ごとなどで契約ができます。

多くの時間と人員が必要な開発作業、テストの負担を減らすために企画、設計以外を委託するといった方法も可能です。 
このようなアウトソーシングにより、社内のIT人材を企画、設計、戦略などコアな部分に集中させられるようになります。

この方法なら、社内人材のITスキルの向上につながるほか、社内へ技術ノウハウが蓄積されない、システムがブラックボックスになってしまう、といった問題を回避できます。

アウトソーシングを請負う各社の専門性、実績の確認はWebサイトなどからは分かりづらく、自社の業務と相性がいいかについては、なかなか判断が難しいものです。
そのため、担当者との対面での打ち合わせ、実際のデモシステムの動作を見る、などを行う必要性も出てきます。

ブリッジSEの採用

ブリッジSEとは、海外の拠点で開発をする際に連絡、調整を行う担当者のことです。
システムの開発、アプリ、Webページの制作などでブリッジSEを採用すれば、海外拠点での展開がしやすくなります。
ブリッジSEは仕様書、要件書の作成、また現地の言葉への翻訳、納期調整など一連の調整を担います。

海外拠点での開発というと、自社には難しいと思われるかと思いますが、実際にはそこまでハードルは高くありません。企業によっては通訳の方がアサインされてブリッジSEの業務をサポートしたりするケースなどもあります。

海外では文化の違いから仕事に対する姿勢が異なる場合が多くあります。
例えば、プライベートを大切にして仕事と切り分ける人が多いことや、人前での注意を良く思わないことがあげられます。

現地のエンジニアと信頼関係を構築する第一歩は、相手の文化への理解と言っても過言ではありません。
そういった点に注意してブリッジSEを採用することが大切です。

海外のITエンジニア市場に目を向げる

ベトナム、マレーシア、インド、などIT人材が豊富なマーケット目を向けることも、IT人材不足の打開策として有効です。

マレーシアでは、政府が首都クアランプールの近くサイバージャヤ・プトラジャヤ地域にマレーシアのシリコンバレーを作ろう、とスローガンを掲げてIT企業の誘致、人材の育成に力を入れています。 

またベトナムでは、すでに国内に数十万のITエンジニアが存在するほか、毎年多くのIT選考の新卒が加わる、という豊富なIT人材市場があります。
こちらも政府がさまざまな支援を行い、IT人材の割合をさらに増やすべく、取り組んでいます。
若いエンジニアの多いベトナムには、欧米からも注目が集まっており、多数のIT関連の受注を得て、市場は年々成長しています。

多くの国からの受注があることから、最先端の技術を取り入れた開発のノウハウが積み重ねられ、さらに品質のいい開発が可能となる、という好循環が発生しています。

アウトソーシングでラボ型開発を取り入れるメリット

アウトソーシング開発には以下の2種類があります。

  • 請負型
  • ラボ型

請負型は、プロジェクトそのものを請負、完成した成果物を納品するものです。
一方、ラボ型開発は、チームを編成して期間を決めて開発プロジェクトに取り組むものです。

請負型は従来からよく行われている方法です。
ラボ型開発については独自の特徴を持つほか、さまざまなメリットがあるため詳しく取り上げていきます。

一定期間同じメンバーを確保する

ラボ型開発では一定期間同じメンバーでチームを編成することが大きな特徴です。
期間を決めてチームを編成して開発を行っていくのです。

同じメンバーでプロジェクトに取り組むため、要求や仕様への理解が深まり、時間を経るごとに経験曲線が高まることも期待できます。 

メンバーが固定されているため、別のメンバーが担当した箇所をチーム内のほかのメンバーがカバーするなど臨機応変な対応ができるといった点もメリットです。

コミュニケーションがとりやすい環境づくり

ラボ型開発はプロジェクトごとにチームを編成して一定の期間開発にあたるため、コミュニケーションの取りやすい環境づくりを目指します。
チームが円滑にコミュニケーションを取れるように、ブリッジSEが参加して開発の工程に携わっていきます。

メンバーと時間をかけて進め方について話し合う、情報の共有を怠らない、といったことを徹底して時間をかけてチームワークを確立します。


ブリッジSEからメンバーへのフォローアップ、個々のワークロードの均等化などのケアを行いチームのコミュニケーションを円滑にしていきます。

修正費用を抑えられる

ラボ型開発で自社のシステムを熟知している、一定スキルがあるメンバーが対応してもらうことができれば、通常より短期間で修正でき、費用を抑えられます。

また契約期間内であれば、追加の発注も可能です。
頻繁な機能の改善・改修が必要なWebサイトやアプリの開発などはラボ型開発の活用がおすすめです。

IT人材不足への対策としてアウトソーシングをうまく活用しよう

IT人材不足は、今後も続くことが予測されています。
競争力を高めるために各社がこぞってデジタル化を進めていくためです。
 

企業が今後、IT人材不足への対策として取れる方法としては、国籍や働く場所を問わないダイバーシティ採用、また業務のアウトソーシングなどがあります。

アウトソーシングを行う場合は、コア業務以外のタスクのみ、請負型、もしくはラボ型開発、など様々な方法があるため、自社に合った形態で活用してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人
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