オフショア開発を実施する目的とは?成功させるポイントなども解説

2024.05.09
ラボ型・オフショア開発
Wakka Inc. メディア編集部
オフショア開発を実施する目的とは?成功させるポイントなども解説
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こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。

昨今、システムを開発するために、オフショア開発を導入する企業が増加しています。

オフショア開発は海外の企業に開発を委託することにより、低コストかつスピーディーに開発を進められる手法です。

人材不足が問題となっている日本において、オフショア開発は企業にとって大きなメリットがある有効な手法として注目されています。
しかし、オフショア開発を実施する目的を正しく理解していなければ、適切なプロセスで実践できません。

本記事ではオフショア開発を実施する目的について解説します。
実施するメリットや成功させるポイントなどについても解説するので、ぜひ参考にしてください。

目次

【基礎知識】オフショア開発とは?

最初に、オフショア開発の定義や実施される背景を把握しましょう。
また、本章ではオフショア開発の委託先となる国の傾向についても解説します。

オフショア開発の概要

オフショア開発とは、海外の企業にシステムの開発・設計・保守運用などを委託する開発手法です。
なお、オフショアはOff(離れる)・Shore(岸)、つまり「海外で」を意味します。

海外への開発委託は大企業が行っていた印象がありますが、昨今では中小企業もオフショア開発を積極的に実践するようになりました。

特にWebサービスやアプリを開発している企業にとって、オフショア開発は有用な開発手法として注目されています。

元々、日本では製造業が人件費や材料費が安い海外に工場を構えて製品を製造し、日本で販売する手法が取られていました。
オフショア開発はその流れを汲んだ開発手法と捉えられます。

オフショア開発が注目される理由

オフショア開発が注目される背景には、日本の情勢や、IT業界の状況が大きく影響しています。

日本国内のエンジニアで開発チームを構成しようとすると、人材不足に伴い採用ができなかったりのプロジェクトコストが高くなる傾向にあります。
また、日本のIT業界は、慢性的な人材不足に陥っており、優れたエンジニアの採用が難しい傾向があります。

そのような状況において、オフショア開発は有効な開発手法です。

オフショア開発は、日本より人件費が安くエンジニアリソースが豊富な海外の企業に開発を委託することにより、開発コストを抑制できます。

優れたエンジニア人材のリソースを持つオフショア開発企業にコストパフォーマンス良く発注できるため、システムの品質向上にもつなげられます。

加えて、昨今はインターネットの発展により、以前より海外の企業とのコミュニケーションが取りやすくなりました。

海外の企業と連携するハードルが下がったため、オフショア開発はより実践しやすい開発手法となりました。

オフショア開発の現状

オフショア開発で委託先となる国は多種多様ですが、なかでもアジア圏の国々は豊富なエンジニアリソースと人件費の安さから、多くの企業が委託先として活用しています。
オフショア開発において、委託先の選択は重要なポイントです。

2023年度に発刊された『オフショア開発白書』では、委託先として人気が高い国として以下の国々が記載されています。

  • ベトナム
  • フィリピン
  • インド
  • バングラデシュ
  • 中国
  • ミャンマー
  • ウクライナ

参照:オフショア開発白書

かつては中国やインドが委託先として人気を集めましたが、内需によるリソース不足や人件費の高騰により、昨今はベトナムやフィリピンが委託先として注目されています。

特にベトナムは親日的であり、STEM教育によりエンジニア人材が豊富であることから多くの企業から委託先に選ばれています。
日系企業も多く拠点を構えており、日本語に長けたスタッフも多いため、コミュニケーションがスムーズになりやすい点も、ベトナムが委託先に選ばれやすい理由です。

政治情勢や国内の状況によって委託先は変遷しますが、経済発展の著しいベトナムのような国は、今後も注目されると予測されています。

オフショア開発を実施する目的とメリット

オフショア開発は、以下のような目的で実施されるケースが一般的です。

  • コスト削減
  • 優れた人材の確保
  • リソース拡充
  • 優れた開発チームの構築
  • 納品のスピード向上

オフショア開発を実施する目的を理解すれば、導入すべきプロジェクトを判断しやすくなります。 

コスト削減

多くの企業がオフショア開発を実践するうえで重視しているのがコスト削減です。

オフショア開発の拠点とされる国は、日本に比べて人件費を抑えやすいためです。

開発には、一定以上の人材を確保しなければなりませんが、その際にかかる人件費は決して安くありません。
給与だけでなく、福利厚生や採用に係る費用などが積み重ねれば、開発コストは増大していきます。

加えて開発期間が長期化すると、人件費が増大し、予算が圧迫されます。

オフショア開発では新規に人材を採用することなしに開発できるため、採用にかかるコストがまず削減可能です。
そのうえ、日本に比べて人件費を抑えやすいため、全体的な開発コストが抑えやすくなります。

人件費が高騰している中国やインドよりも、ベトナムなどの国の方が人件費を抑えやすい傾向にあります。

優れた人材の確保

オフショア開発は優れた人材を確保するうえでも役立つ手法です。

昨今のIT業界において、人材の確保は開発を進めるうえで解決しなければならない課題です。
以下の表を見てみましょう。

参照:参考資料(IT人材育成の状況等について)|経済産業省

IT業界の人材不足は年々深刻化しており、2030年には約79万人もの人材が不足すると予測されています。
開発を円滑に進めるためにも、企業は人材の確保に努めなければなりません。

オフショア開発は海外の企業に委託することにより、優れた人材を確保できる手法です。
特にベトナムやインドなどのような、IT分野に注力している国なら、優れたノウハウを有した人材を確保できます。

リソース拡充

オフショア開発の請負機企業には、優れた人材や先端技術のノウハウなどのリソースを有する企業も豊富です。
そのため、リソース拡充のために多くの企業がオフショア開発を実践しています。

オフショア開発はプロジェクトに合わせて、必要なリソースの柔軟な確保が可能です。
自社のみだとリソースが不足する開発プロジェクトでも、オフショア開発を活用すれば安定的に供給できる体制を組めます。

そのため、オフショア開発を活用すれば、リソースを確保しやすくなり、新規開発のハードルも下げられます。

優れた開発チームの構築

オフショア開発なら、委託元の企業に特化した優れた開発チームの構築が可能です。

オフショア開発は、優れたエンジニアがいるチームを一定期間を確保できるだけでなく、自社の従業員のように指示を出せるため、企業の戦力として運用できます。

開発チームは、委託先との合意があれば、開発チームを自社に移籍させられるなど、海外進出のきっかけも作れます。

また、開発チームを通じて、契約期間内にノウハウやスキルを蓄積できる点もオフショア開発のメリットです。
中長期的な目線で見れば、オフショア開発の実施は自社のノウハウやスキルを高める足がかりになります。

納品のスピード向上

オフショア開発は納品のスピードを向上させるうえでも有用な手法です。

オフショア開発なら人的リソースを拡充できるため、工数が多い開発プロセスでも、必要なエンジニアの人数で対応できます。
時間がかかる作業でも複数のエンジニアで対応しやすくなり、それだけ開発をスピーディーに進められます。

もちろん、オフショア開発で優秀な人材を活用できる点も、納品のスピード向上につながる要素です。
優れたノウハウを持つエンジニアや、信頼できる委託先を見つけ何度も依頼すると、効率的に開発を進められます。

このように、オフショア開発を上手く活用すれば、コスト削減やリソース拡充だけでなく、生産性の向上や開発の効率化が可能です。

オフショア開発を成功させる5つのポイント

オフショア開発の実施に際しては以下のようなポイントに留意する必要があります。

  • 委託先と目的をすり合わせる
  • コミュニケーションの効率化を意識する
  • 文化や商習慣などの違いに注意する
  • 進捗や納期はこまめに管理する
  • 委託先は慎重に選ぶ

いずれのポイントもオフショア開発を成功させるうえで不可欠なものです。

それぞれのポイントを把握しましょう。

委託先と目的をすり合わせる

オフショア開発を実践する際は、委託先と目的をすり合わせましょう。

オフショア開発は、実践する目的によって最適なプロセスが異なります。
「開発コストを削減したい」「自社にないノウハウを取り入れたい」など、オフショア開発を実践する目的は、委託先の国や企業の選定に影響します。

委託先を決定してからも、目的のすり合わせは重要です。

自社の目的を委託先と共有できれば、開発工程や必要な人材の目途が立ちやすくなり、スムーズな開発体制を構築できます。

コミュニケーションの効率化を意識する

コミュニケーションの効率化は、スムーズにオフショア開発を進めるうえで欠かせない取り組みです。

IT技術が発展しているとはいえ、時差や言語など、コミュニケーションの障害となる要素は少なくありません。

特に言語の差異は、円滑なコミュニケーションを取るうえで無視できません。

昨今は日本語に対応できる委託先も増えていますが、英語に対応できる従業員が対応できるようにすれば、意思疎通がしやすくなります。
もし英語への対応が難しければ、ブリッジSEに仲介を頼みましょう。

また、定期的なミーティングの開催やコミュニケーションツールの導入など、情報共有のプロセスも検討しましょう。
密なコミュニケーションを効率的に実施できれば、よりスムーズに開発を進められます。

文化や商習慣などの違いに注意する

海外の企業と連携する以上、文化や商習慣などの違いには注意しなければなりません。

海外は文化や商習慣だけでなく、法規制も異なるため、日本と同じ感覚で開発を進めると思わぬトラブルが発生したり、委託先と認識がすれ違ったりするリスクがあります。

日本では当たり前のビジネスマナーや業務が、海外で通用しない場面も珍しくありません。
そのため、オフショア開発を行う際は、委託先となる国の文化や商習慣などをあらかじめ調査しましょう。

現地への理解を深めれば、委託先と認識のすり合わせがしやすくなるだけでなく、より密な連携を取りやすくなります。

進捗や納期はこまめに管理する

オフショア開発を実施する際は、進捗や納期のこまめな管理が不可欠です。

時差がある以上、オフショア開発は開発の過程でアクシデントが発生すると、進捗や納期に影響を及ぼすリスクがあります。
わずか数時間のズレでも進捗や納期が大きく遅滞する恐れもあるため、管理は徹底して行いましょう。

また、システムの詳細設計を日本で完了させたり、要件定義を共有したりするなど、本格的な開発を行う前に準備を進めておくと、開発で失敗するリスクを回避できます。

委託先は慎重に選ぶ

委託先の選択は、オフショア開発の結果を左右する重要なプロセスです。
委託先の企業が有する人材・ノウハウ・コミュニケーション体制などの要素は、オフショア開発の成否に大きな影響を与えます。

委託先の企業を選ぶ際は実績や担当するエンジニアのスキル、コミュニケーション能力などを入念にチェックしましょう。

もし、自社の外国語への対応力が低いなら、日本語に対応できるかも確認できるポイントです。

なお、委託先の企業に優れたエンジニアがいる場合は、開発メンバーを固定できるかもチェックしましょう。

信頼できるエンジニアに開発を託せば、プロジェクトをこなすごとにスキルやノウハウを蓄積しやすくなり、開発スピードの向上も期待できます。

オフショア開発は明確な目的を持つほど成功しやすい

オフショア開発は海外に開発や保守管理などを委託する開発手法であり、コスト削減や優れた人材の確保などを目的に実施されます。
優れた開発チームの構築や納品のスピード向上なども実現できるなど、オフショア開発にはさまざまなメリットがあります。

オフショア開発のプロセスは開発するシステムの要件や、委託先の企業だけでなく、どのような目的で実施するかによっても変わります。
オフショア開発を実施する際は、実施する目的を明確にしたうえで、委託先と入念なすり合わせを実践しましょう

また、コミュニケーションの効率化や進捗・納期のこまめな管理も、オフショア開発を成功させるうえで重要なポイントです。

オフショア開発で成果をあげるためにも、本記事で解説したポイントを意識してください。

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