PoC疲れとは?発生する原因やPoCを成功させるポイントを解説
こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
多くの企業では、新規開発や新しい技術の導入などが実現する可能性を調べるために、PoC(概念実証)を実践しています。
適切にPoCを実行すれば、開発・導入のリスクを抑えるだけでなく、実際にリリースしてから軌道に乗るまでのビジョンを明確にできるでしょう。
他方で、PoCを実践している企業のなかには、適切なPoCがなされていない、PoCが目的化してしまうなどの「PoC疲れ」を起こすケースが少なくありません。
PoCをいくら実施しても、PoC疲れを起こしてしまうと、それまでのプロセスが無駄になる恐れがあります。
本記事では、PoC疲れの基本的な知識に加え、発生する原因やPoCを成功させるポイントについて解説します。
より良いプロダクトを開発するためにも、ぜひ参考にしてください。
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【基礎知識】そもそもPoC疲れとは?
新事業の立案や開発、導入までのプロセスにPoCは欠かせないプロセスです。
しかし、PoCを繰り返すことによるPoC疲れを起こすと、開発が前に進まなくなってしまいます。
まずは、PoCを実施する目的を改めて理解し、PoC疲れの原理や意味を知りましょう。
PoCへの基本的な知識を持つことで、PoC疲れへの対策を講じやすくなります。
PoCとは
PoCとは、「Proof of Concept」の略称であり、日本語では「概念実証」を意味する用語です。
その名の通り、新規開発や新規導入が実現する可能性を実証することが、PoCの最大の目的です。
革新的な技術やアイデアは、リリースに成功すれば多大な利益をもたらす可能性を秘めています。
しかし、新しい技術やアイデアは机上の空論に過ぎないものが多くあり、実現できるかどうかは別問題です。
もし、実現可能性を確認しないまま開発や導入に着手すると、想定以上のコストがかかり、思うような成果が得られなくなる恐れがあります。
加えて、プロダクトが実現する目途が立たず、結局プロジェクトが頓挫する事態になりかねません。
そのため、PoCは新規で開発や導入を実施するうえで、重要なプロセスです。
十分に実現可能性を吟味し、実現する確証を得られれば、プロジェクトが成功する可能性を高められます。
PoC疲れ・PoC貧乏とは
PoC疲れとは、PoCに失敗した場合に発生する事象です。
新規開発を行ううえでPoCは、重要なプロセスですが、必ずしも成功するとは限りません。
何度も繰り返し検証を続けるうちに、進むべき道が見えなくなり、実証が停滞する場合もあります。
そのような状態で、無理矢理PoCを続けると、結果的に開発や導入するフェーズにたどり着けないまま、延々とPoCを繰り返すことになるでしょう。
その結果、ゴールが見えないまま時間とコストを浪費し続ける状態に陥る状況を、PoC疲れと呼びます。
なお、PoC貧乏はPoC疲れと同じような意味合いを持つ用語です。
PoC貧乏は、延々とPoCを繰り返した結果、コストが増大し、資金が枯渇していく状況を意味します。
PoC疲れが発生する原因
PoC疲れは、適切にPoCを実施していないと、発生するリスクが高まる現象です。
本章では、PoC疲れが発生する原因について解説します。
ゴールが曖昧な状態で実施している
曖昧なゴールのままでPoCを実施すると、PoC疲れが発生しやすくなります。
ゴールが曖昧なままでは、検討すべき事柄の優先順位を決定できないため、適切な実証プロセスを定められません。
もしゴールが不明確な状態でPoCを始めてしまうと、不必要なプロセスを実施したり、終わらせるタイミングを見つけたりできなくなります。
その結果、PoC疲れが発生するリスクが高まるでしょう。
時間やリソースの浪費が激しい
PoCは、実現可能性を調べるうえで有効なプロセスですが、長引くほど時間やリソースを浪費する点が最大のデメリットです。
いくら結果に納得できないとはいえ、やみくもに実証を続ければ、ますます時間やリソースの消費量が増え、結果的にPoC疲れやPoC貧乏を招く結果になります。
そもそも、PoCはあくまで実証を目的としたプロセスであり、多大な時間やリソースをかけるべきフェーズではありません。
あらかじめ、投入する時間やリソースを決めたうえで取り組まなければ、適切なPoCは実施できないでしょう。
意見を集約できていない
PoCに参加するスタッフの意見を集約できていないと、PoC疲れが発生しやすくなります。
本来、PoCにおいて、スタッフのフィードバックはプロジェクトをブラッシュアップし、新たなアイデアを生み出すきっかけになるものです。
しかし、すべてのフィードバックを反映しようとすると、PoCが長引くだけでなく、本来のコンセプトがブレる恐れがあります。
そのため、PoCを実施する際は、寄せられた意見をいかに取捨選択するかが問われます。
適切な評価ができていない
PoCを実施して得た結果に対し、適切な評価ができていないと、PoC疲れが発生する原因になりかねません。
現場の意向を聞かず、開発・導入チームが独断でPoCの評価基準を設定すると、ニーズとプロダクトの実態が乖離しやすくなります。
どれだけ斬新なアイデアでも、ニーズにそぐわないものになれば、本来の効果を発揮しないでしょう。
もし、ニーズと乖離していることに気づかずにPoCを続けると、すり合わせのために何度も実証を繰り返す状況に陥ります。
その結果、PoC疲れを引き起こし、プロジェクト自体が頓挫するでしょう。
PoC自体が目的化している
PoCは、あくまで開発や導入を実現し、リリースを達成するためのプロセスに過ぎません。
しかし、それを忘れてPoCを目的化すると、目指すべきゴールを見出せなくなります。
そもそも、PoCは実現可能性を探るための実証を目的としています。
そのため、たとえネガティブな結果が出たとしても、「プロジェクトを続けるべきではない」と判明した時点で、PoCは成功したと捉えられます。
しかし、満足な結果が出ないために、PoCに注力し過ぎると、過剰に時間やコストをかけてしまい、PoC疲れやPoC貧乏を引き起こしやすくなります。
また、導入・開発の成功にこだわり過ぎることも禁物です。
ネガティブな結果を認められず、何度も実証を繰り返せば、手を引くべきタイミングを見失います。
PoC疲れやPoC貧乏を避けるためにも、ゴールだけでなく、引き際を明確に設定することも重要です。
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PoCを成功させるポイント
PoC疲れを回避し、有益なPoCを実践するなら、いくつかのポイントを押さえる必要があります。
本章では、PoCを成功させるポイントについて解説します。
明確なゴールを目指す
PoCを実施する前に、まずは明確なゴールを設定しましょう。
ゴールが明確でなければ、PoCのプロセスや判断基準を設定できません。
「どのようなデータを取得するか」「なんのために実施するか」を明確にするだけでも、ブレずにPoCを検証方法を設定できます。
また、PoCを通じて収集した情報を適切に運用しやすくなり、PoC疲れによってコストや時間を無駄に浪費するリスクも避けられます。
スモールスタートで実践する
PoCはスモールスタートで実践すると、成功する確率が引き上がります。
小規模な検証を複数繰り返し、スピーディーに実行していくことがポイントです。
初めから大規模な検証を実践し、さまざまな要素を盛り込もうとすると、環境設定をするだけでも、コストや時間を過剰に費やします。
加えて、リスク管理が難しくなり、プロセスが停滞する事態を招きやすくなるでしょう。
検証項目を整理する
PoCを実施する際は、適切な基準に則った検証項目の整理も欠かせません。
PoCを実施する目的と同様に、検証項目も曖昧だと、実証を通じて得たデータを正しく運用できなくなります。
検証項目を設定する際は、PoCの目的を参照しながら、必要なものだけに絞りましょう。
必要な検証項目に絞ることで、テンポを損なわずにPoCを進められます。
検証項目は、実現可能性だけでなく、有用性・投資対効果・具体性などさまざまな観点から設定します。
実際にリリースした状況をイメージしながら、具体的に検証項目を設定すれば、有益な実証を実現できるでしょう。
運用する現場と同じ条件にする
PoCは、実際に運用する現場と同じ条件で実施する必要があります。
実際に運用する現場と異なる条件でPoCを実践しても、正確なデータを得られず、実現可能性を確かめられません。
不正確なデータばかり収集している状態だと、繰り返しPoCを実践する結果になり、PoC疲れを招きかねません。
また、正確な情報が得られないまま開発・導入に着手しても、失敗するリスクが高まります。
本格的な開発・導入を成功させるうえでも、条件の設定は重要です。
結果に基づいてPCDAサイクルを回す
検証で得た結果を分析する際は、適切にPCDAサイクルを回しましょう。
結果の分析を丁寧に実行すれば、次に行うべき検証や、課題の洗い出しが上手くいきます。
PCDAサイクルを回す際は、スタッフやユーザーのフィードバックを得ると、より多角的な観点での分析が可能です。
フィードバックを積極的に取り入れれば、課題の発見やアイデアの創出にもつながるでしょう。
なお、PCDAサイクルを回す際は、ネガティブな結果が出ても受け止める姿勢が不可欠です。
PoCにおいて、ネガティブな結果も、実現可能性を探る判断材料として有益なものです。
むしろ、ネガティブな結果を積極的に認め、分析できれば、重要な課題の発見につながることもあります。
ポイントを押さえてPoC疲れを回避しよう
PoCは、プロジェクトを成功させるうえで重要なプロセスです。
しかし、ゴールが曖昧な状態でPoCを実施しても、無駄に時間やコストを浪費し、PoC疲れを引き起こしかねません。
また、PoCを通じて得た情報の評価が不適切だったり、PoC自体が目的化していたりすることも、PoC疲れの原因です。
PoC疲れを回避するには、ゴールを明確にし、スモールスタートで検証したうえで、適切なPCDAサイクルを回しましょう。
ゴールを明確にするだけでも、時間やコストを浪費するリスクを避けられます。
確実にプロジェクトを成功するためにも、ブレずにPoCを実践する体制を整えましょう。