システム開発に必要なプロジェクト体制図とは?具体例から作成のコツを解説!

最終更新日:2024.10.25
ラボ型・オフショア開発
中垣圭嗣
システム開発 体制図
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システム開発をスムーズに進めるためには、メンバーの役割分担や立場の明確化が必要です。

これらを明確にしないと、業務範囲が重複したり無駄な管理項目が増えてプロジェクトが効率的に回らなくなってしまうからです。

このようなことをなくすため、プロジェクトの開始前に作成されるのが「プロジェクト体制図」です。今回はプロジェクト体制図の良い例や悪い例、作り方のポイントなどについて解説していきます。

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目次

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プロジェクト体制図とは

プロジェクト体制図とは、ソフトウェアやWebサイトなどの開発プロジェクトにおいて、プロジェクト構成員各自の役割や指揮命令系統を明確にし、どこで、誰が、何を目的に活動し、責任の所在はどこにあるのかなどを図によって具体化させたものです。

開発プロジェクトの目的と自分の役割をメンバー間で共有することにより、トラブルや報告、連絡、相談をする場合の対応を迅速に行えるようにします。

通常、開発のプロジェクトが立ち上がると、はじめに作成されるのがプロジェクト計画書です。

プロジェクト計画書にはプロジェクトの目的やゴール、スケジュールやコスト計画などが記載されますが、プロジェクト体制図もここに記載されます。

プロジェクト体制図の作成は、一般的にはPL(プロジェクトリーダー)やPM(プロジェクトマネージャー)が行います。

フォーマットに特にきまりはありませんが、体制図にはプロジェクトオーナーやPL、PM、SE(システムエンジニア)などの人数や氏名をボックスに記入し、指揮命令系統を示すラインでそれぞれのボックスをつなぎます。

プロジェクト体制図は、プロジェクト計画書に記載すると同時にメンバー間で共有することがもっとも大切です。

システム開発でプロジェクト体制図が必要な理由

では、なぜシステム開発においてプロジェクト体制図が必要なのかをもう少し整理しておきましょう。

プロジェクトの全体を具体化できる

プロジェクト体制図によって、プロジェクト全体の規模を明確にし、コストの必要性(必然性)を訴求できます。

体制図を正確に、また詳細に書くことで、プロジェクトを完遂させるためにはどのような役割のセクションがどれだけ必要で、何人の人間が動かなければいけないかが明らかになります。

プロジェクト計画書に書かれた文章だけではわかりにくいプロジェクトの全体像を、あらためて体制図に書き起こすことでプロジェクト全体のコストも明確にできるのです。

業務範囲の重複を避け、無駄な管理項目を排除できる

プロジェクト完遂に必要なセクションの数と役割、開発人員を整理することで、プロジェクト全体を俯瞰して見ることができます。

これにより業務範囲の重複を避けることができ、管理項目の割り振りも適正に行えます。

プロジェクトメンバーの立場を明確にできる

メンバーそれぞれの名前をプロジェクト体制図に書き込むことで、各自の役割を自覚させ、プロジェクト内の立場を全員で共有します。

これにより報連相のルートも、各自で認識することができます。

指揮命令系統を明確にできる

プロジェクト体制図は、セクションやブロックの位置関係で責任の所在や指揮命令の流れが明らかになります。

指揮命令系統を明確にすることで、トラブル発生時のエスカレーションをスムーズに行うことができ責任範囲も明確になります。

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プロジェクト体制図の悪い例/良い例

では、具体的にプロジェクト体制図の悪い例と良い例を比較してみましょう。

プロジェクト体制図の悪い例

組織図_悪い例
  • 指揮命令系統が複数ある

右のセクション(開発プロジェクト)では、各チームリーダーからPGへ命令系統を表すラインが伸びています。

にもかかわらず、左のセクションからはSA(システムアナリスト)がPG(プログラマー)に指示できるようになっており、指揮命令系統が複数になっています。

これでは、PGが誰の指示に従えばよいのかわからなくなってしまいます。

一般的にプロジェクトチームを飛び越えて指示するのは越権行為で、指示をした後の責任の所在が不明確になります。

  • セクションの役割がはっきりしない

左のセクションはPLが指揮をするようになっているものの、プロジェクトにおける役割がはっきりと記載されていません。

SAとSEが構成メンバーになっていますが、PGがおらずどのような成果を出すのかもわかりません。

  • 権限と責任が不明確

左側のPLと右側のPMが同列に並び、権限と責任が不明確になっています。

通常このような縦型の体制図では、ボックスの高さで権限と責任を表します。

プロジェクト体制図の良い例

組織図_良い例
  • 権限と責任が明確化されている

プロジェクトリーダーやチームリーダーの位置関係が明確で、ひと目で権限と責任の関係性を確認できます。

縦型の体制図では、同じ権限を持つブロックは同じ高さにする必要があります。

  • 指揮命令系統がシンプルで明確

指示の流れがシンプルに表現されていると、誰の目にも指揮命令系統がはっきりとわかります。

問題が起きた場合や相談をするときなどは、シンプルに線をさかのぼればよいのです。

  • セクションの役割が明確化され、それぞれが独立している

セクションとブロックの役割がはっきりと記入され、それぞれがわかりやすく独立しています。

プロジェクト体制図は、誰が見ても理解しやすい形式で作成することが求められるのです。

体制図を作成する際のポイント

最後に、悪い例と良い例からわかる体制図を作成する際のポイントをまとめておきましょう。

ポイント1:各責任者の権限をボックスの位置で明確にする

上記のような縦型の体制図では、ボックスの位置(上下)で、権限と責任を表します。

同じ権限を持つ責任者であれば同レベルにボックスを配置し、誰が見ても責任の所在と権限をわかりやすくすることが大切です。

ポイント2:指揮命令系統をひとつにする

指揮命令系統が複数あると、同じ業務に対して違う指示が出されるなど開発の効率に悪い影響を与える場合があります。

またトラブル発生時には、プロジェクトに混乱をもたらす原因にもなり得ます。指揮命令のルートは、極力シンプルにします。

ポイント3:並列の位置にあるボックスは、役割とリーダー名を記載する

ボックスの中には、それぞれの役割がはっきりとわかるように担当する業務内容を記載します。

先述の体制図では略しましたが、同列にあるボックスには役割と名前を明記し責任範囲を明確にすることが重要です。

ポイント4:兼任がある際には主従関係を明確にし、必要に応じて代理を記載する

開発人数に制限があり兼任が発生する場合には、どちらが「主」でどちらが「従」なのか、関係をはっきりさせます。

通常、「従」の役割には代理を用意し、不在時には代理が指示を出せるようにしておきます。

ポイント5:開発が長期にわたる際には変更に応じて迅速にアップデートする

プロジェクト体制図は、作ることだけが目的ではありません。

リーダーやメンバーに変更があった場合には遅滞なく書き換え、実効性のある体制図に保つことが大切です。

まとめ:明確なプロジェクト体制図はコストも削減する

指揮命令系統が複雑だったり責任範囲が不明確だったりすると、プロジェクトに問題が発生した場合に混乱を招く原因となります。

オフショア開発においても、課題(人員の管理、品質や進捗の管理、文化・コミュニケーションのギャップなど)を解消するために、しっかりとしたプロジェクト体制を組み、体制図を作成しておくことが重要です。

明確なプロジェクト体制図を作っておくことは、プロジェクトの混乱や効率の低下を防止しコストの削減にもつながるのです。

オフショア開発、ラボ型開発について少しでも気になることがあれば、以下リンクからお気軽にお問い合わせください。

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PMBOKを意識した内容になっており、プロジェクトの概要からスコープ、マネジメント、リスク管理といった項目が盛り込まれる計画書テンプレートです。

この記事を書いた人
中垣圭嗣

WebメディアでPGから管理職まで幅広く経験し、Wakka Inc.に参画。Wakka Inc.のオフショア開発拠点でラボマネジャーを担当し、2013年よりベトナムホーチミンシティに駐在中。最近では自粛生活のなかでベトナム語の勉強にハマっています。

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