開発コストを削減するには?方法や工数を下げるアイデアなどを紹介
こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
企業にとって、新しい商品やサービスの開発は重要な取り組みです。
新たな技術や価値を市場に提供できれば、さらなる成長を実現できるでしょう。
しかし、新規開発を実行するなら、発生するコストに注意しなければなりません。
どれだけ優れた製品でも、想定以上にコストが膨らめば、開発を続けられなくなります。
他方で、開発コストを削減しようにも「コストを算出する方法がわからない」「何か手をつけていいかわからない」と悩む方は多いのではないでしょうか。
本記事では、製品やシステムの開発コストの算出方法や、開発コストの削減のアイデアなどについて解説します。
開発コストの削減方法で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
システム開発を検討されている方に向けてすぐに使える『RFP(提案依頼書)テンプレート』をご用意!
編集しやすいパワーポイント形式のテンプレートなので、項目を埋めるだけで簡単にRFPが作成できます。
開発コストの削減が重視される背景
昨今は、開発コストの削減を課題とする企業が増加しています。
近年は新技術の登場やニーズの多様化などに影響され、市場の動向が目まぐるしくなっています。
そのため、新たな製品やシステムを開発しても、トレンドの変動によって、見込んだ売上が上がらないケースも少なくありません。
もし売上が低迷すれば、開発コストの回収ができず、企業は多大な損失を被るでしょう。
売上の低迷に備えるためにも、開発コストの抑制は重要な取り組みです。
また、経営を安定させ、利益を増やす上でもコスト削減は欠かせません。
開発コストの抑制に成功すれば、製品の増産やシステムのアップデートはもちろん、新たな開発にも着手しやすくなります。
開発コストの種類
開発コストは単一ではなく、複数のコストが積み重なっているものです。
本章では一般的な開発で生じるコストの種類について解説します。
開発費
開発コストにおいて、開発費は重要な地位を占めるコストです。
開発費の大半は、開発に関わる従業員の人件費や、材料費などが占めています。
とりわけ人件費は開発費の総額を左右する重要な要素です。
開発費は開発に関わる従業員の人数はもちろん、開発に費やす時間によっても増減します。
もし開発が難航し、残業や休日出勤などが増加すれば、それだけ開発費は膨れ上がるでしょう。
ただし、人件費も材料費も、無闇に削減すべきものではありません。
人件費の抑制のために開発に関わる従業員を減らすと、作業が遅滞し、思うような開発ができなくなる恐れがあります。
材料費は人件費と比較すると削減しやすいものですが、コストを下げるために原料の質を下げれば、製品のクオリティに影響するでしょう。
そのため、開発費の削減は開発の目標を参照しながら、工夫して行わなければなりません。
設備費
製品やシステムの開発で使用する設備の運用にも、コストは発生します。
開発に必要な設備は、使用するだけでも保守管理費や維持費などが発生します。
リースやレンタルで設備をまかなう場合でも、使用料やリース費などが生じるでしょう。
もし開発に際して新たな設備を投入するなら、投資コストも増大します。
そのため、設備費も開発に際して注意しなければならないコストです。
プロジェクト管理費
プロジェクト管理費とは、開発のマネージメントや、開発した製品やサービスの品質維持などに必要なコストを指します。
開発の進捗管理や製品やサービスの品質向上のために、プロジェクト管理費は不可欠なコストです。
また、開発コストの管理を適切に行う体制を整えるうえでも、プロジェクト管理費は活用されます。
企業にもよりますが、開発コストの1割程度がプロジェクト管理費の相場です。
その他間接費
その他間接費は、開発に際して生じるさまざまな費用の総称です。
従業員の交通費やオフィス・機器のレンタル料など、さまざまな経費が該当します。
その他間接費の内訳は開発プロジェクトの内容にもよりますが、多くの企業ではアクシデントが生じた際に使う予備費用を「リスク費」として含めています。
開発コストの算出方法
開発コストを確認するなら、適切な算出方法を把握しましょう。
算出方法は複数あり、それぞれ着眼点や算出に必要なデータなどが異なります。
開発コストを適切に算出するうえでも、それぞれの算出方法について正確に把握しましょう。
経験則による想定
経験則による想定は、過去に同一の開発に関わった従業員や、専門家がいる際に実践できる算出方法です。
当人の経験則や知識を活用して、開発コストを算出します。
経験則による想定は、スピーディーに開発コストを算出できる点がメリットです。
ただし、個々の知識や経験に依存する算出方法であるため、結果の精度は高くありません。
そのため、コストの概算を算出する際に用いられます。
トップダウン法
トップダウン法は「類推見積り法」とも呼ばれる算出方法であり、過去にあった同一の開発プロジェクトを参照して開発コストを算出する方法です。
前例を参照する点は経験則による想定と似ていますが、トップダウン法は過去の資料や実際に発生したコストを参照するため、より高い精度での算出が可能です。
また、類似のプロジェクトであれば開発工程や工数なども近似するため、スピーディーに開発コストを算出できます。
ただし、トップダウン法は開発プロジェクトの前例がなければ実践できない算出方法です。
また、過去のプロジェクトに関わっているメンバーがいないと、データを正確に把握できず、結果に誤差が生じる恐れがあります。
ボトムアップ法
ボトムアップ法は、プロジェクト全体の工数と工数単価を計算し、各作業項目ごとに見積を出す算出方法です。
工数に注目する算出方法であるため、「工数積み上げ法」とも呼ばれます。
ボトムアップ法はそれぞれの作業をチェックして算出するため、工数の漏れが防止できるうえに、高精度の算出結果を出せる点がメリットです。
さらに過去にあった同様のプロジェクトを参照すれば、より正確に開発コストを把握できるでしょう。
他方で、ボトムアップ法は全体の工数を把握できる規模のプロジェクトでないと使用できません。
工数を変動しやすい大規模なプロジェクトだと、算出結果の精度が低下します。
また、参照できる資料がない場合だと、工数ごとの見積に狂いが生じる恐れがあるため、担当者の技量が問われる算出方法でもあります。
パラメトリック法
パラメトリック法とは、過去の実績に関連する変数や特定の数式を活用する算出方法です。
「係数モデル」とも呼ばれる算出方法であり、前例を参照する点はトップダウン法と似ていますが、数式を利用する点が大きく異なります。
パラメトリック法の原理は簡単です。
例えば、100個開発すると100万円かかる製品は、1個当たりの開発コストが1万円だと見積もれます。
この場合、1000個開発すると、総額で1000万円の開発コストがかかると算出できるでしょう。
上記のように、過去の開発実績をベースに、数式を用いて機械的に開発コストを算出する点が、パラメトリック法の特徴です。
パラメトリック法なら、個人の経験や主観に左右されず、正確な結果を算出できます。
ただし、パラメトリック法は参照するデータの精度に結果が左右される算出方法です。
使用できるデータが不足していたり、データの精度が低かったりすると、正確に算出できません。
プライスツーウィン法
クライアントの予算に合わせて開発コストを算出したいなら、プライスツーウィン法が役立ちます。
プライスツーウィン法は、顧客が提示した予算に合わせて開発できる製品やシステムを見積もる算出方法です。
つまり、「開発に際してどれだけのコストがかかるか」を算出するのではなく、「このコストでどれだけのものが開発できるか」を調べられます。
プライスツーウィン法なら、顧客の予算に過不足なく開発コストを合わせられます。
しかし、提示されている予算が低いと、それだけ製品やシステムのクオリティが低下するでしょう。
そのため、提示した算出結果が顧客のニーズと食い違う可能性があります。
システム開発を検討されている方に向けてすぐに使える『RFP(提案依頼書)テンプレート』をご用意!
編集しやすいパワーポイント形式のテンプレートなので、項目を埋めるだけで簡単にRFPが作成できます。
開発コストの削減方法
開発コストは増大すると企業の利益を圧迫する反面、適切な方法で削減しなければ製品やシステムのクオリティを下げる結果を招きます。
そのため、開発コストの削減は無闇に行わず、工夫して実践されなければなりません。
本章では、製品やシステムの開発への影響を抑えた開発コストの削減方法について解説します。
固定費を削減する
開発コストを削減するなら、固定費の見直しを実践しましょう。
固定費とは企業が毎月支払う固定の出費を指しており、人件費・水道光熱費・賃料・広告宣伝費・通信費・その他各種経費を指します。
固定費は企業が経営を続けるうえで必ず出費しなければならないものですが、なかには無駄な出費が混じっている場合があります。
例えば誰も使わない福利厚生・不要な時間外労働・使用頻度が少ない設備の使用料などは、削減対象になるでしょう。
他にも、電気・ガスやインターネットの回線のプランを変更したり、宣伝に使う媒体をより安いものに切り替えたりする方法もコスト削減に有効です。
また、テレワークの推進も固定費の削減に役立ちます。
テレワークを推進すればオフィスの賃料や、個々の従業員にかかる交通費の削減が可能です。
できる限り自社内で開発を完結させる
近年は外部の業者に業務をアウトソーシングする企業が増えていますが、開発に関してはできる限り自社内で完結させましょう。
開発プロセスのアウトソーシングは従業員の負担を軽減できる一方で、業者との意思疎通や意思決定のプロセスが工数に追加されます。
その結果、コミュニケーションコストが高まり、結果的に開発コストが増大するリスクが発生するでしょう。
もちろん、自社内で開発を完結させるための体制作りにもコストはかかりますし、工数が増加する場合があります。
しかし、アウトソーシングと比較すると工数ごとに発生するコストは抑えられるため、結果的に開発コストの削減が可能です。
また、自社内で開発が完結する体制を実現すれば、コミュニケーションが社内で完結するため、スピーディーな開発が実現します。
開発スピードが上がれば、その分コストを抑制できるでしょう。
システムを見直す
開発に用いるシステムの見直しも、開発コストの削減に有効な取り組みです。
オンプレミス型のように自社に合わせてカスタマイズしたシステムは、性能が高い一方で維持費や保守管理費のコストが高くなります。
また、開発に際して新しいシステムの作成を行っていると、さらに開発コストが増大するでしょう。
そのため、開発に支障が出ないのであれば、クラウド型のような安く利用できるシステムに切り替える方法が有効です。
開発手法を変更する
プロジェクトごとの開発コストを削減するなら、開発手法の変更を実践しましょう。
昨今は変動が激しい市場に合わせて、MVP開発やアジャイル開発などの、短期間での開発を重視した手法を実践する企業が増えています。
短期間での開発を目指す手法は、無駄な工数を削減し、スピーディーな製品・システムのリリースを実現するため、開発コストの削減が期待できます。
また、開発工程でユーザーのフィードバックを取り入れるなど、顧客のニーズを製品に反映させやすく、リリースが成功する可能性が高い点もメリットです。
ただし、開発手法によっては、複雑な機能を搭載した製品やシステムの開発には不向きなものがあります。
開発手法を変更する際は、プロジェクトとの相性を必ず確認しましょう。
開発コストを削減する5つのポイント
開発コストを削減するなら、意識すべきポイントがいくつかあります。
それぞれのポイントを理解すれば、適切な削減方法を実践しやすくなるでしょう。
本章では開発コストの削減における5つのポイントを解説します。
それぞれ参考にしてください。
開発の目的を明確にする
開発を行うなら、目的を明確にしなければなりません。
製品・システムを開発目的が不明確だと、開発プロセスがブレやすくなるうえに、不要な機能の開発に無駄な時間やコストを費やすリスクが生じます。
加えて、追加作業や大規模な軌道修正が発生すればコストが増大するだけでなく、市場にリリースするタイミングを逃すでしょう。
そのため、開発の目的の明確化は、開発コストの削減だけでなく、プロジェクトを成功するうえで欠かせない取り組みです。
目的を明確にすれば、各工数の目標も具体的になるため、開発コストの算出がスムーズにできます。
また、不要な工数の削減もでき、開発に要する期間の短縮化にもつながります。
開発計画に固執しない
開発の目的は明確にしなければならないものですが、開発計画への過剰な固執は避けなければなりません。
当初の開発計画に固執するあまり、多少の軌道修正も行わない方針を取ると、新しいアイデアの創出やユーザーのフィードバックに対応できなくなります。
また、既存のプランにこだわるあまり、かえって開発に時間を要する事態になれば、開発コストが増大するでしょう。
開発計画を立てる際は、当初のコンセプトは守りつつ、不測の事態にも柔軟に対応するため余地を作りましょう。
フレキシブルな開発計画を立てれば、アクシデントが発生してもスムーズに軌道修正できるため、無駄なコストの発生を防止できます。
コストを可視化する
開発に要するコストは、算出を通じて徹底的に可視化するように心がけましょう。
「開発に必要なコストは何か」「なぜコストが発生するのか」を把握すれば、正確に開発コストを算出できるだけでなく、削減の施策を立てやすくなります。
さらにコストの可視化の徹底は、開発プロセス全体の見直しにもなるため、プロジェクトのブラッシュアップも可能です。
組織の連携を強化する
スムーズな開発の成否は組織の連携によっても左右されます。
連携が取れていない組織体制は、業務の非効率化や、無駄な人件費の発生を招きかねないものです。
また、経営層と開発チームの連携が上手く取れていないと、コミュニケーションに齟齬が生じやすくなり、開発を遅滞させる恐れがあります。
さらに連携不足による開発の遅滞や非効率的な業務の発生は、コストの増加だけでなく、従業員に過度な負担を与えるでしょう。
そのため、定期的なミーティングや円滑なコミュニケーションができる体制作りなど、連携を強化する取り組みは不可欠です。
連携が取れている開発チームなら、互いの進捗を常に把握しながら開発に取り組めるため、無駄なコストを発生させずに製品やシステムの完成を目指せます。
ノンコア業務を外注する
開発に不可欠なコア業務は自社内で完結すべきものですが、ノンコア業務に関しては、負担になるなら外注がおすすめです。
そもそもノンコア業務は開発に影響しない業務であり、「誰がやっても問題ない」レベルのものであれば、無理に抱え込む必要はありません。
ノンコア業務が従業員の負担を増やし、人件費の増加につながっているなら、積極的に外注しましょう。
開発コストを適切に削減して利益を向上させよう
新規開発に取り組むうえで、開発コストは無視できない要素です。
開発コストを削減しすぎると、開発が停滞する恐れがあるため、適切に削減しなければなりません。
開発コストの削減に取り組むなら、正確なコストを把握するうえでも有用な算出方法を利用しましょう。
また、開発コストの内訳を知り、把握しておけば、削減の優先順位を把握しやすくなります。
開発コストを削減するアイデアはさまざまなものがありますが、必ずコストの可視化や開発の目的の明確化などを行ってから実践しましょう。
開発プロジェクトや、開発コストの予測が具体化するほど、コスト削減は成功しやすくなるからです。
もし、適切な開発コストの削減が達成されれば、新規開発による企業の利益が最大化される可能性が高まります。
ぜひ本記事を参考に、開発コストの削減に取り組んでください。