研究開発の事業化とは?課題やスタートアップとの違いなどを解説

2024.02.15
DX・システム開発
Wakka Inc. メディア編集部
研究開発の事業化とは?課題やスタートアップとの違いなどを解説
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こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。

昨今、多くの企業で新技術や新しいビジネスモデルの研究開発が行われています。
さらに自社の研究開発を積極的にビジネスに繋げるべく、事業化を目指す企業も増加しました。

しかし、研究開発の事業化はさまざまな課題が山積しており、成功するためのポイントを把握しなければ成功できません。
そのため「課題をクリアするにはどうすればいいか」「成功するポイントを知りたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。

本記事では研究開発の事業化について、以下の事柄を解説します。

  • 研究開発の種類やスタートアップとの違い
  • 研究開発の事業化における課題
  • 研究開発の事業化を成功させるポイント

あらかじめ課題や成功するポイントを把握すれば、研究開発の事業化をスムーズに進められるでしょう。
実際に研究開発の事業化に取り組む際の参考にしてみてください。

目次

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研究開発の事業化とは

研究開発はR&Dとも呼ばれており、さまざまな媒体で重要性が語られています。
他方で、研究開発の事業化はスタートアップと同一視されますが、実は違いがあります。

事業化のプロセスを明確にするためにも、それぞれの定義について正確に把握しましょう。

R&Dの重要性

研究開発とは、新たな技術や知見を得て、これまでにないサービスや商品を生み出す取り組みです。
企業によっては「Research and Development」の略称であるR&Dとも呼ばれます。

近年はニーズの多様化や製品のライフサイクルの短期化により、企業間の競争やマーケットの変動が加速しています。
その結果、従来のキャッチアップ型のビジネスモデルでは、企業の持続的な成長が困難になりました。

昨今の情勢を受け、多くの企業では持続的な成長や競争力を維持するため、研究開発に注力しています。
研究開発が成功すれば、中長期的に利益を生み出す新事業の創立を実現できるでしょう。

スタートアップとの違い

研究開発とスタートアップは混同されやすいですが、両者の意味は微妙に異なります。

研究開発は新たな知見や技術を開発し、企業の持続的な成長を実現する取り組みそのものを指す言葉です。
一方のスタートアップは、革新的な技術やビジネスモデルを通じて、短期間で急激な成長を実現する企業を意味します。

研究開発は企業が取り得る経営戦略を意味するのに対し、スタートアップは企業の形態を指す点で大きく異なります。
そのため、研究開発とスタートアップは厳密には同一視できません。

ただし、研究開発とスタートアップは密接な関係にあります。
多くのスタートアップは新規事業のみを手がけており、すべてのリソースを集約してビジネスを展開する戦略を取っています。

スタートアップが手がける新規事業はいずれも研究開発の産物です。
つまり、研究開発が成功した結果として、スタートアップの設立が実現したと捉えられます。

研究開発の種類

研究開発は1種類ではなく、内容によって以下の3つに分けられます。

  • 基礎研究
  • 応用研究
  • 開発研究

いずれの研究も異なるプロセスで実施されるため、差異を把握しなければなりません。
それぞれ順番に解説します。

基礎研究

基礎研究は企業が持つ仮説や理論を形成するために実践し、新しい知見や事実の発見を目指す研究です。

基礎研究はあくまで仮説や理論の立証を目的とした研究であり、ただちに事業化するものではありません。
利益の獲得ではなく、次の研究につなげるための事象の観測を目的としています。

応用研究

応用研究は基礎研究で得た知見を基に、特定の目的を定めたうえで行う研究です。

応用研究は基礎研究で得た知見が実用に耐えうるかを測るために実施されます。
また、既存の実用化とは違う、新しい実用化を目指すために実施される場合もあります。

開発研究

開発研究は基礎研究・応用研究で得た知見を基に、実際のリリースを想定して行う研究です。

市場のニーズや、リリースのために必要な材料・工程・設備などを踏まえながら、商品やサービスの開発を目指します。
開発研究が成功すれば、新たなサービス・商品のリリースが実現します。

研究開発の事業化の課題

研究開発の事業化は必ずしもスムーズに進むものではありません。
事業化に取り組むと、以下のような課題が発生する可能性があります。

  • 魔の川
  • 死の谷
  • ダーウィンの海

いずれの課題も研究開発の特定の段階で発生するものです。
本章ではそれぞれの課題が発生する原因と解決方法を解説します。

魔の川

魔の川とは、基礎研究から開発に至るまでの段階で発生する課題です。
研究で知見や結果を得ても、具体的な製品化が困難だったり、市場のニーズと合致していなかったりする状況を指します。

魔の川は市場のニーズを的確に把握できていない状況で発生する課題です。
そもそも近年の市場はトレンドの移り変わりが激しく、ニーズも多様化しています。

そのため、企業には研究で得た知見や結果を適切に市場のニーズに繋ぐだけでなく、市場が変動する前にスピーディーに開発するノウハウが求められます。

また、スピーディーな開発だけでなく、従来の開発工程の見直しも魔の川を乗り越えるポイントです。
ただ技術ベースで開発を進めるのではなく、開発研究の段階から顧客や市場のニーズへアプローチし、研究開発に積極的に取り組めば、市場のニーズとの乖離を防げます。

死の谷

死の谷は研究開発を事業化するうえで発生する課題であり、資金や経営判断上の問題で事業化が困難になる状況を指します。

研究開発の事業化は簡単な道のりではありません。

研究で得た知見を基にサービスや商品をリリースしようとしても、生産ライン・流通ラインの整備や、リソースの確保には多大なコストがかかります。
仮に事業化に成功したとしても、継続して運営する準備ができていなければ、事業はただちに頓挫するでしょう。

もし事業化を頓挫させれば、利益を獲得できないうえに、多大な損失を被る恐れがあります。

そもそも死の谷は、事業化に対する経営陣の見込みが甘かったり、成功基準が曖昧な状態だと発生するリスクが高まる課題です。
また、十分な予算を確保できていない状態で事業化すると、売上が低迷した際に運営資金がショートし、死の谷に陥ります。

死の谷を回避するには、適切な資金調達が欠かせません。
リリースに必要なコストや運営資金を確保するために、無駄な経費をカットしたり、必要なタイミングで融資を得たりすれば、資金面で頓挫するリスクを減らせます。

加えて、スモールスタートで事業化を進める方法も有効です。
テストマーケティングを通じて市場のニーズを着実に取り入れれば、事業を軌道に乗せやすくなり、事業を安定させられます。

ダーウィンの海

ダーウィンの海は、リリースした商品・サービスを市場に定着させ、事業として成功するまでの困難さを示す課題です。

そもそも事業は商品やサービスのリリースがゴールではありません。
リリース後も市場の変化は発生するため、定着できるように競合他社との差別化や付加価値の向上など、商品やサービスのブラッシュアップを繰り返す必要があります。

加えて、市場にリリースした以上、競合他社との競争は避けられません。
売上・利益率・顧客からのフィードバックなど、さまざまな指標で一定以上の評価を得られなければ、競争では勝ち抜けないでしょう。

また、ダーウィンの海を抜けるうえで、市場へ投入するタイミングも重要です。
市場や顧客のニーズを的確に読み取り、競合他社少ないタイミングで市場に参入すれば、早期参入利益を獲得できる可能性が高まります。

加えて、適切な投資や市場の変動への対応の速さも競争の勝敗を左右するでしょう。

あらゆる商品・サービスにとって、競争での勝ち抜きと、市場への定着こそが最終的なゴールです。
必要があれば他社と連携したり、迅速な軌道修正を行ったりするなど、研究開発は常に柔軟な判断ができるように取り組みましょう。

事業化を成功させるポイント4つ

研究開発の事業化はさまざまな課題を乗り越える必要があり、道のりは困難です。
ただし、以下のポイントを押さえれば成功する可能性を高められるでしょう。

  • 顧客目線を意識
  • リソースや技術を活かす
  • 他社との差別化を意識する
  • 外部リソースを活用する

いずれのポイントもさまざまな課題を乗り越え、事業化を成功させるために不可欠なものです。
ぜひ、研究開発を実践するうえでの参考にしてください。

顧客目線を意識

研究開発を事業化する際は、顧客目線を徹底的に意識しましょう。

研究開発は商品やサービスの内容はもちろん、目標値の設定においても顧客目線が重要です。
適切に顧客のニーズや市場のトレンドを読み取り、研究開発に取り入れれば、リリースした際に市場の動向との乖離をなくせます。

ただし、顧客目線の徹底には長期的なビジョンがあってこそ成立するものです。
短絡的にあらゆるニーズを取り入れると研究開発のビジョンが曖昧になり、当初のコンセプトが失われる恐れがあります。

加えて、あらゆるニーズに応えるために闇雲に機能やコンテンツを追加すると、開発スピードが鈍化し、市場へ参入するタイミングを失うでしょう。

そのため、顧客や市場からフィードバックを得るなら、必要なものを取捨選択して実践する必要があります。
また、信頼できる顧客を確保し、より効果的なテストマーケティングを実践する方法も確立しましょう。

リソースや技術を活かす

研究開発において、自社が持つリソースや技術の活用は重要です。
自社が持つリソースや技術を積極的に投与してこそ、商品やサービスに独自性が生まれます。

そもそも、競合他社と差別化するうえで、独自性は欠かせない要素です。
研究開発を事業化するなら、自社の強みをあらためて分析し、所有するリソースや技術がどれだけ競争優位性を担保できるかを分析しなければなりません。

また、自社の人材が持つアイデアも独自性につなげられるものです。
そのため、研究開発に参加する従業員が互いにアイデアを出し合う環境を構築すれば、商品やサービスのさらなるブラッシュアップを実現できるでしょう。

他社との差別化を意識する

競争優位性を確保するうえで、他社との差別化は必ず意識しなければなりません。

他社と差別化する際は、最初に自社の商品やサービスが競合他社と比較し、優れているポイントを把握しましょう。
優れているポイントを把握すれば、広告戦略でアピールしたり、販売方法に差異を作ったりするなど、さまざまな販売戦略を実践できます。

他方で、商品やサービスをリリースすると、どれだけ独自性があったとしても、他社に模倣される恐れがあります。
他社の模倣が進めば市場全体で同質化が進むため、優位性の確保が難しくなるでしょう。

そのため、他社と差別化する際は、機能やシステムのような「もの」に囚われず、独自の価値のような「こと」もアピールすると、同質化戦略を回避しやすくなります。

外部リソースを活用する

以前より、日本の企業は研究開発をすべて自社のリソースで実施する傾向がありました。

しかし、市場の変動が激しい昨今において、自社のリソースに頼った研究開発はマーケットへの参入を遅らせる恐れがあります。
また、自社に不足しているリソースがある場合、研究開発が鈍化するリスクを解決しなければなりません。

そのため、近年は自社に不足しているリソースを外部から調達する企業が増加しています。
外部から資金調達をするだけでなく、オープンイノベーションを実施して外部と積極的に提携してノウハウや人材を取り入れれば、不足分のリソースを補えるでしょう。

また、異なるアイデアや価値観を持つ企業同士がコラボレーションすれば、シナジー効果によって単独では得られない利益を獲得できる可能性が高まります。

研究開発を事業化してビジネスのさらなる成長を実現

研究開発の事業化はスタートアップで実施されるイメージですが、実際はさまざまな企業で積極的に実践されています。
事業化に成功すれば、継続的な成長を実現できるでしょう。

他方で、研究開発は魔の川・死の谷・ダーウィンの海と、乗り越えなければならない課題がある点には注意しなければなりません。
いずれの課題も失敗すれば研究開発が頓挫するうえに、経済的な損失を被る恐れがあります。

そのため、研究開発の事業化に取り組むなら、顧客目線を徹底し、自社のノウハウやリソースを適切に活用する戦略を立てましょう。
また、不足したリソースやノウハウを外部から上手く調達できれば、より成功する可能性が高まります。

研究開発の事業化は自社の強みを再確認し、よりブラッシュアップさせる機会にもなるものです。
実践する際は、顧客や市場を意識し、自社の独自性を打ち出せるように取り組みましょう。

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