製造業でベトナムに進出する際の注意点とポイントを解説

最終更新日:2024.11.19
ベトナム情報
Wakka Inc. メディア編集部
製造業でベトナムに進出する際の注意点とポイントを解説
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近年、ベトナムに製造拠点を移す企業が増加しています。
ベトナムは、日本よりも人件費が安く、若手の労働者が多いため、日本企業の進出先として注目されています。

今後のビジネス拡大のために、ベトナムに進出を考えている」とお考えの方もいるのではないでしょうか。
本記事ではベトナムの製造業の現状と進出時の注意点を解説します。

後半ではベトナムに進出した製造業の事例も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

ベトナムにグローバル開発拠点設立を予定している方へ。
日本のIT企業さまにご利用いただけるベトナムでの現地法人設立マニュアルです。

ベトナム法人設立における基本STEPや人材採用の基本手法について解説しています。ベトナムでの法人設立手法、スケジュール感を知りたい方はぜひダウンロードしてみてください。

ベトナム製造業の現状

ベトナムは、人口約9,946万人(参考:外務省「ベトナム社会主義共和国基礎データ」)の社会主義国です。

日本とは文化やビジネスの考え方が大きく異なるため、事前の情報分析が重要です。
海外に進出する前にその国の現状を把握すると、仮説立てや戦略の立案に役立ちます。

ここではベトナムの製造業の現状と日本企業の進出状況を解説します。

ベトナムにおける製造業の現状

ベトナムの2022年のGDPは約4,138億ドルです。
2023年第2四半期の時点では、GDP成長率が前年同期比4.14%と大きく成長しています。

ベトナムの製造業はGDP全体の24%を占めており、比較的大きな産業と言えます。

参考:JETRO『第2四半期のGDP成長率、前年同期比4.14%、製造業が低迷

日本企業の進出状況

ベトナムに進出している製造業・非製造業を含む日本企業は約1,800社あります。
そのうち製造業の企業は、およそ900社です。(2022年度JETROのアンケート調査結果より推測)

また、進出している企業のうち59.5%の企業が、営業利益が黒字化する見込みと回答しています。
一方、原材料・部品調達費・物流費用などのコスト上昇によって、業績が悪化したと回答している企業も一部あります。

ベトナムに進出する日本企業にとって、各コストの上昇が今後も負担になるでしょう。
ただし、今後の事業拡大の方向性についての設問では、約60%が「拡大」の意向があると回答しているため、多くの企業がベトナム進出に価値を見い出していると考えられます。

参考:JETRO『2022年度海外進出日系企業実態調査|アジア・オセアニア編

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製造業の進出先としてベトナムが注目される理由

前項のアンケート調査の結果から分かる通り、ベトナムは国内製造業の進出先として注目されています。
ここでは、なぜそれほどまでにベトナムが注目されているのか、その理由について解説します。

若くて優秀な人材が豊富

引用:JETRO「ベトナム 教育(EdTech)産業 調査

ベトナムは平均年齢が31歳と若く、働き手として期待される20代から40代が特に多い状態です。
また、ベトナムは教育に力を入れており、科学や数学的な思考を持っている人が多い傾向があります。

例えば政府の方針で小学校3年生から英語教育やIT教育を実施しています。

ホーチミン市では、統合的な英語プログラムを導入しており、教師が英語で科学・数学・英語を教えています。
このように若いときから英語や科学・ITなどを学ぶ機会があるため、優秀な人材が豊富です。
なお、新しい知識や専門的なスキルを自主的に学び続けるような、勤勉な国民性もあります。

参考:JETRO「ベトナム 教育(EdTech)産業 調査

市場の成長性がある

国民1人あたりの所得や支出が年々増加し、市場規模も拡大しています。
ベトナムの人口は年々増加しており、平均年齢も若いため今後も経済や市場の発展が見込まれます。

また、外国からの直接投資・輸出が増えていることも市場が成長している要因の1つです。
2023年上半期における出資・株式投資を除いた対内直接投資(2023年6月時点)は、1,925件で認可額が94億1,811万ドルでした。

貿易面では、2022年の後半以降は貿易収支が黒字で推移しています。

参考:JETRO『上半期の外国企業の直接投資、件数は55%増も金額は20%減

優遇税制がある

ベトナムにおける法人税の標準税率は20%ですが、優遇税制が適用されれば法人税が安くなります。
優遇税制は優遇税率と減免税に分けられ、いずれも事業内容や設立地域の性質に応じて、税率が適用されます。

優遇税率事業内容・設立地域によって10%もしくは20%の優遇税率が、10年か15年もしくは活動期間中に優遇税率が適応される
減免税事業内容・設立地域に応じて、4年間免税、その後9年間50%減税、6年間免税その後13年間50%減税

減免税の期間は単年度で課税所得が発生した課税対象期間から起算されます。
ベトナムの税制について、以下の記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。

ベトナム進出における注意点

ベトナム進出には、若くて優秀な人材の確保や利益の拡大ができるなどさまざまなメリットや価値がありますが、注意点もあります。
製造業でベトナムに進出する際の注意点を把握して、準備を進めましょう。

具体的には下記が挙げられます。

  • 労働コストが上昇している
  • 法律の深い理解が必要
  • 渋滞等の交通インフラへの対応

労働コストが上昇している

ベトナムの賃金はタイやインドネシアと比較すると低いとされていますが、人件費は増加傾向にあります。

実際にベトナムは、2017年は7.3%、2018年6.5%、2019年は5.3%、2020年に5.2%、2022年7月から6%と最低賃金の引き上げを続けています
賃金が増加していく中、人材を長期にわたって確保していけるかは進出後の大きなポイントになるでしょう。

参考:株式会社国際協力銀行『ベトナムの投資環境

法律の深い理解が必要

これはベトナムに限らない話ではありますが、海外は法律や制度が日本とは異なるため、高い感度でキャッチアップする必要があります。
法制度が変われば、当然それに対応しなければならないため、ビジネスの負担になる恐れがあります。

ベトナムの法制度変更に対応できるよう、常に最新の情報をキャッチアップし、変更があった際は迅速に対応できるように体制を整えておきましょう。

渋滞等の交通インフラへの対応

ベトナムは、経済発展とともにインフラ整備が進んでいますが、大都市圏では渋滞が発生しやすい傾向にあります。

製造業の場合、部品の仕入れや製品の納品に影響が出る可能性も考えられるため注意が必要です。

現地で起こりやすいリスクを把握しておくと対策を考えられるでしょう。
ベトナムで法人を設立する際によくあるトラブルを次の記事で解説しています。

ベトナムに進出した製造業の事例

ここからはベトナムに進出した製造業の事例を紹介します。

遠州工業株式会社

遠州工業株式会社はベトナムにENSHU SANKO VIETNAM., LTD.を設立しています。
亜鉛めっきや電気ニッケル・めっきなどの表面処理、機械加工を行っている製造企業です。

設立当時、日本の最新ノウハウや技術を生かして、ベトナムで信頼を獲得してきました。
また、ベトナムでトップレベルの品質保証施設・機械・システムと最先端の実験室分析機器を備えており、品質管理を徹底しています。
品質の高い製品を納品し続けることで、顧客の満足度を高め事業を拡大した事例です。

参考:ベトナム北中部日系製造業・関連商社サプライヤーダイレクトリー|JETRO

パナソニック ホールディングス株式会社

パナソニック ホールディングス株式会社は、ベトナムで電設資材事業や配線器具・照明器具・IAQ(室内空気室)機器などの製造販売するパナソニックエレクトリックワークスベトナムを運営しています。

同社は次の3つの戦略を軸に事業を拡大する目標を掲げています。

  • 現地商品開発体制の構築
  • 配線器具及びIAQ機器の現地生産体制強化
  • 現地企業との共創による商品カテゴリー横断のソリューション提案

具体的には日本国内の基準に則した品質管理部門を設け、現地サプライヤーへ品質管理基準やノウハウ共有です。
また、ベトナムのデベロッパーと共創関係を構築し、現地のニーズを把握しソリューションを提供しています。
そして、ホーチミン市内で建築関連の企業を対象とした展示会を実施し、認知の拡大に成功しています。

参考:『ベトナムにおける電設資材事業の拡大を加速』|パナソニック ホールディングス株式会社

製造業でベトナム進出する際のポイント

ベトナムに進出する前に入念な準備が必要です。
製造業でベトナムに進出する際のポイントを解説します。
準備にお役立てください。

ベトナムをよく理解する

1つ目はベトナムをよく理解することです。
ベトナムを理解しないと事業の発展は難しいでしょう。
ベトナム人の特徴や国の考え方や・文化などを理解できていれば対策が考えられます。

規制や法律・税制・ベトナムの製造業界についての情報を集めて整理しましょう。
また、調査のみならず実際に現地での確認も有効です。

変化に柔軟に対応する

2つ目は変化に柔軟に対応することです。
製造業で事業を効果的に進めるには、時代や国の変化に対応し続ける必要があります。

成長国では法律が改定されたり、勢いのあるスタートアップがビジネスモデルを転換したり、ビジネス環境が大きく変化したりする場合があります
こうした変化に柔軟に対応できなければ、事業の継続が難しいでしょう。

変化に適応し続けるためには、絶えず周囲の状況を観察し、最新情報の取得が重要です。

事前準備と柔軟性を持ってベトナム進出を成功させよう

製造業においてベトナムへの進出は、さまざまなメリットが得られますが、事業の拡大は簡単ではありません
ベトナムで何を達成したいのかを明確にして、事前準備をしてベトナム進出を進める必要があります。

ベトナムのビジネス環境や事業に必要な情報を、現地に詳しい専門家に聞けばより効果的に情報を集められますので、進出を検討されている方は専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

ベトナムにグローバル開発拠点設立を予定している方へ。
日本のIT企業さまにご利用いただけるベトナムでの現地法人設立マニュアルです。

ベトナム法人設立における基本STEPや人材採用の基本手法について解説しています。ベトナムでの法人設立手法、スケジュール感を知りたい方はぜひダウンロードしてみてください。

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