【技術解説】PHP業務系システムをモバイル対応させるREST APIとは?
みなさんこんにちは。Wakka Inc.ベトナム拠点のテクニカルマネージャー鍋山です。
現在、多くの企業の基幹系業務システムはPHPで実装されているのではないでしょうか。基幹系システムは業界に関わらず、企業活動の根幹を担うシステムとして多くの企業が導入しており、生産管理や在庫管理、給与システムなど、全社のリソースを効率よく管理するために必要不可欠な存在になっています。
便利なPHP業務系システムですが、社内ネットワークに接続されたPCのみで運用している企業も少なくありません。PCに対応しているだけでも十分と考える方もいますが、社外からアクセスできないなどデメリットも多くなります。そのため、モバイル対応を検討している企業もいるのではないでしょうか。
そこで、今回はPHP業務系システムのモバイル化に対する需要やモバイル化を実現できるREST APIの概要とフレームワークとしてLaravelをおすすめする理由を説明します。
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PHP業務系システムのモバイル対応に需要が高まる理由
PHP業務系システムのモバイル化に需要が集まる理由は、昨今の社会情勢の変化です。
従来においては、社員が会社に出社するのは当たり前の光景でした。また、長時間労働や休日出勤もよく見られた働き方です。
しかし、近年においては下記の2つの理由によってテレワークが推進されています。
- 働き方改革
- 感染症対策
そのため、家から社内にアクセスして働ける環境や効率的に仕事をこなす体制が求められるようになったのです。つまり、企業も社外から仕事ができる仕組みを整備しなければならなくなりました。このような背景から既存のPHP業務系システムをモバイル化する動きが高まっています。
モバイル対応が可能なREST APIとは?
『REST API』とは、Representation State Transfer APIの略称で分散型システム実現のため、複数のシステムに連携させるためのAPIのことです。APIは、アプリケーション同士をつなぐパイプのようなもので、APIを使用することで、特定のアプリケーションの機能を使うことができます。つまり、REST APIはシステムを分散させてそのシステム同士を連携するために使われるといえるでしょう。
REST APIはHTTP通信を利用して連携し、特定のレスポンス形式でデータを受け取ります。ちなみに、HTTPでデータの呼び出しを行うことをRESTful APIというのです。
従来のPHP業務システムは、クライアントサイドからサーバーに接続して、HTML形式でブラウザがデータを受け取り表示するのが一般的でした。しかし、REST APIを利用すれば、それに加えてモバイルからサーバーに問い合わせをしてJSON形式などでデータを取得することができるようになります。つまり、簡単にマルチデバイスに対応させられるというわけです。
また、単にHTMLデータを取得するのではないため、モバイル版専用のユーザーインターフェースを開発し、見やすいように画面表示することもできます。Webページに接続しているだけではないため、さまざまなアレンジを加えられるのも魅力のひとつになるでしょう。
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REST APIを使用するメリット
REST APIには、下記のような3つのメリットがあります。PHP業務系システムのモバイル化を検討している人は、ぜひその魅力を体感してください。
メリット①モバイル対応が簡単
1つ目のメリットは、モバイルに対応させることができるという点です。
HTML形式で情報を取得する場合、データ量が多くなるので、クライアントサイドに負荷がかかります。例えば、Wi-Fiで動画を視聴する場合、比較的スムーズです。しかし、3G回線のモバイルを使用するときは、映像が粗くなったり、途中で止まったりすることもあるでしょう。動画はデータ容量が多く、回線や端末の影響を受けやすいためです。
一方、REST APIはJSON形式など、軽いテキストデータをクライアントサイドへ送信します。そのため、HTMLデータを取得するときよりも容量が少ないので、データのやり取りが非常にスムーズです。端末や回線の影響を受けづらいため、外出先で使用するモバイル対応に適しているといえます。
メリット②サーバーへの負荷が少ない
2つ目のメリットは、クライアントとサーバー間でデータの共有が発生しないためサーバーへの負荷が少なくなることです。
REST APIはデータをサーバーとやり取りするため、一見共有しているように思えます。しかし、実際にはリクエストに対して情報を送信しているだけです。また、セッションなどの状態管理も行いません。これにより、サーバーへの負荷が少なく、高性能ではないサーバーでも多くのリクエストに応えられるという点がメリットです。
メリット③マルチデバイスでの互換性
3つ目のメリットは、インターフェースが統一されることによる互換性です。データの取得はGET、作成はPOSTなど、使われるHTTPメソッドが決まっています。これにより、互換性に問題が起きることがありません。そのため、モバイルなどマルチデバイスへの対応がしやすいです。
PHP業務系システムのモバイル対応ならLaravelがおすすめ!
PHPの業務系システムのモバイル化には、Laravelというフレームワークがおすすめです。
Laravelとは?
Laravelは、REST APIの実装が可能です。artisanコマンドが標準で準備されており、それを利用してREST APIの作成ができます。もちろん、Laravelを使用するために、インストールが必須です。
Laravelの特徴
Laravelの特徴は、コードが読みやすいことです。読みやすいコードは保守性に優れています。また、ほかのエンジニアが書いたコードを引き継いで拡張することも容易なので、大きなメリットです。
MVCモデルであることも特徴になります。MVCとは、ModelとView、Controllerをわけて実装する開発方法のことです。それぞれのパーツにわけて実装できるので、分担しやすくなっています。また、問題箇所の特定がしやすいため、メンテナンス性にも優れているといえるでしょう。
LaravelのREST APIを使ってPHP業務系システムのモバイル化を実現しよう
今回は、PHP業務系システムのモバイル化が実現できるLaravelのREST APIについてご紹介しました。モバイル化は、テレワークを推進する大きな一歩となりますので、まだ導入していない企業はすぐに着手すると良いでしょう。
また、PHPには業務に欠かせないPDF出力を簡単に実装できるTCPDFという技術があります。
詳しくは、『【技術解説】PHPでPDF出力機能を実装するにはTCPDFがおすすめ!概要や使用方法、注意点を知る』をご覧ください。
しかし、今回紹介したREST APIや上記のTCPDFは経験がない状態からすぐに実装できるものではないため、モバイル化をしたいけど諦めるしかない、という方も多いのではないでしょうか。
Wakka Inc.では開発コンサルティングに加えて、オフショア・ラボ型開発や海外子会社設立を通じて、業務系システムのモバイル化支援や運用保守のサポートをしています。興味のある方は下記のURLからお気軽にお問い合わせください。
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日系オンラインリサーチ会社のCTOとしてベトナムチームを立ち上げ、Wakka Inc.のテクニカルマネージャーとして参画。現在はベトナム拠点で開発チームの標準化や社内のインフラ管理・ITプロジェクト統括をやっています。モットーは『みんなで頑張りましょう』