事例から学ぶ、ECオムニチャネル成功の秘訣とは?メリットや注意点を解説

2024.02.18
EC開発
Wakka Inc. メディア編集部
事例から学ぶ、ECオムニチャネル成功の秘訣とは?メリットや注意点を解説
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こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。

近年、オムニチャネルを導入した様々な事例を見聞きするようになりました。
オムニチャネルを本格的に導入する前に、成功事例から戦略のヒントを見つけたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、国内のオムニチャネル成功事例をもとに、運用のポイントを解説します。
これからオムニチャネルに取り組もうとお考えの方はぜひ参考にしてみてください。

目次

ECのオムニチャネル戦略とは

ECや店舗で買い物をする顧客がより利便性をより求めるようになり、そのニーズに応え顧客の満足度も高められるとしてオムニチャネル戦略が注目されています。
オムニチャネルのオムニには「すべて」「あらゆるもの」、チャネルは「経路」や「ルート」を意味します。

オムニチャネル戦略とは、ECや実店舗、SNSなどあらゆるチャネルを高いレベルで連携する手法のこと。
目指すのは、顧客がどのチャネルを経由してもチャネル間の差を感じることなく商品・サービスを購入できる状態です。

例えば、アプリで取得したクーポンを店頭で使用できる仕組みが挙げられます。
複数のチャネルを連携することで、顧客はチャネル間を自由に行き来でき、より一貫した顧客体験を得られます。

また、複数のチャネルでデータも連携されるため、顧客はどこでも同じ情報を手に入れ、同じ商品を購入できるため、利便性と満足度が向上する特徴があります。

国内のオムニチャネル成功事例

オムニチャネルの戦略を考える際に、事例を参考にしたいと思う方も多いのではないでしょうか。
実際に行っている事業者の事例は貴重です。

まずは国内のオムニチャネル成功事例として下記の3つを紹介します。

  • 株式会社マツモトキヨシ
  • スターバックスコーヒージャパン株式会社
  • 株式会社ユニクロ

株式会社マツモトキヨシ

株式会社マツモトキヨシは、大手ドラッグストア「マツモトキヨシ」を運営する会社です。
同社では重点戦略のひとつとして、業界に先駆けてデジタル基盤の強化やオムニチャネル化に取り組んでいます。

マツモトキヨシのオムニチャネル成功のポイントはデジタル化とグローバル化です。

まずオムニチャネル化に向けて、店舗と公式サイト、ECサイトでそれぞれ独立していたサービス展開を廃止しました。
その後リニューアルされた公式サイトではマイページ機能を実装し、購入履歴を閲覧できるようにしました。

本格的にデジタル化を進める際に、店舗で管理していた会員カードの情報とオンラインの顧客情報を統合し、データベースでの管理を開始しています。
チャネルを横断したデータを統計学やAIを使ったデータマイニングを行い、顧客の理解を深め1人ひとりに最適なアプローチが可能になったのです。
また店舗の取扱商品をサイトに公開し、在庫状況や価格がリアルタイムでわかるようにして、購買の利便性を高めています。

そして中国やタイなどのECに出店、海外のSNSアカウントを開設して海外顧客との接点も増やしています

国内では店舗とオンラインをITを活用して連携し、海外にも進出して国内外でオムニチャネル戦略を成功させた事例です。

参考:株式会社マツモトキヨシ

スターバックスコーヒージャパン株式会社

スターバックスコーヒージャパン株式会社は全国でカフェを展開している企業です。

会員サービスの「Starbucks Rewards」を軸としたオムニチャネルに取り組んでいます。
会員になりWeb登録済みのスターバックスカードで支払うと、ポイントが貯まります。
貯まったポイントは、好きな商品へ交換できる仕組みです。

また、スターバックスでは入店前に注文と決済を完了でき、店頭で並ばずに商品を受け取れます。

公式サイト以外にもSNSや多くの日本人が利用しているメッセージアプリにアカウントを開設し、情報発信や顧客とのコミュニケーションをしファンを獲得しています。
店舗とオンラインサイトの連携だけでなく、SNSなどを活用して来店を促し、オムニチャネル戦略で成果を出している事例です。

参考:スターバックスコーヒージャパン株式会社

株式会社ユニクロ

株式会社ユニクロは言わずと知れた大手のアパレル企業です。
店舗とECサイトが連携・連動しオムニチャネル戦略を進めています。

商品購入時にオリジナルアプリの会員コードを読み取ると、購入履歴を確認できたり、商品が割引されたりします。

またオリジナルアプリには、AIチャットボットによる買い物アシスタントを導入しており、店舗に問い合わせることなく、コーディネートや商品の配送・返品に関する相談が可能です。

そしてECサイトで注文した商品を全国どこの店舗でも受け取れるため、購買の利便性が高いです。
どのチャネルを経由しても一貫して、顧客が満足する仕組みを構築できているため、オムニチャネルで成功したと考えられます。

さらに店舗からEC、ECから店舗、またはSNSから店舗やECへとチャネル同士で送客し合っているのも、オムニチャネルで成果が出ている要因でしょう。

参考:株式会社ユニクロ

オムニチャネルの事例に共通する成功のポイント

オムニチャネルの事例を見てきましたが、戦略のヒントはつかめましたか。
よりオムニチャネルでの成功を具体化するために、事例に共通する成功のポイントを6つ解説します。

オムニチャネルの成功のポイントは次があげられます。

  • データ・システムの連携を確実に行う
  • 何をユーザーに提供するのかを明確にする
  • 社内の認識を統一する
  • 事業に合ったシステム・ツールを導入する
  • 中長期的な戦略を立てる
  • 検証と改善を継続する

データ・システムの連携を確実に行う

1つ目はデータ・システムの連携を確実に行うことです。

オムニチャネルでは各チャネルのデータ・システムの連携が成功の鍵です。
チャネルごとのデータを統合し分析すれば、顧客のニーズに合わせてマーケティングを実施できます

顧客管理システムや情報管理システムなどの実装やECサイトの改修を行い、チャネルを横断したデータ活用に対応しましょう。

何をユーザーに提供するのかを明確にする

2つ目はユーザーに何を提供するのかを明確にすることです。

オムニチャネルを通して顧客に何を提供するのか、どのように顧客の購買体験を向上させるのかが明確になっていないと、チャネルごとに顧客体験の差が生まれ成果が出にくくなってしまいます。

オムニチャネルを通して何を提供するのかを明確にするには、オムニチャネルを実施する目的を設定しましょう。
例えば「複数のチャネルを介してECのファンを増やす」「店舗とECのデータを連携し利便性を向上させて、顧客満足度を高める」などです。

目的が明確になれば、何を提供するかも決められるでしょう。

社内の認識を統一する

3つ目は社内の認識を統一することです。

社内の認識を統一できないと、各チャネルの方向性がバラバラになり、チャネルごとの購買体験に差が生じてしまいます。
結果、期待している成果が得られない恐れがあります。
前項のようにオムニチャネル戦略の目的を定めて、チャネルごとに役割や目標を設定しましょう。

社内の認識を合わせたら、顧客が商品やサービスを認知して購入に至るまでのカスタマージャーニーを設計して、チャネルごとに取り組む内容を決めましょう。

事業に合ったシステム・ツールを導入する

オムニチャネルで成功するためのポイント4つ目は、事業に合ったシステム・ツールを導入することです。

店舗やEC、アプリなど複数チャネルのデータを一元化するには、チャネルを横断的に管理できるシステムが不可欠です。
システムやツールによってできることや導入・運用のコストが変わるため、自社の課題や目的に合わせてシステムを選びましょう。

中長期的な戦略を立てる

5つ目は中長期的な戦略を立てることです。

オムニチャネルは複数のチャネルのシステムを連携させるために、新たなシステムを導入したり、戦略を考えたりと準備に時間がかかります。

オムニチャネルは導入してすぐに効果が出るとは限りません
仮に短期間で効果が出たとしても、ビジネス環境や顧客の購買行動が変化していくため、それに合わせて施策を変更する必要があります。

そのためには長期的に戦略を立て、顧客のデータ売上データを継続的に分析していきましょう。

検証と改善を継続する

6つ目は検証と改善を継続することです。

前項で述べましたがオムニチャネルを成功させるには、長期的に戦略を立て運用する必要があります。

オムニチャネル戦略の評価をするにはデータを分析し、実施前後の効果の検証が必要です。
もし想定している効果が出ていない場合は、原因を分析し改善しましょう。

ECのオムニチャネルに役立つITシステム

ECでオムニチャネルを実施するうえで、システムの統合や新しいシステムの導入は不可欠です。
オムニチャネルの運営に役立つITシステムを紹介します。
オムニチャネル導入を機に以下のITシステムを検討されてみてはいかがでしょうか。

CRM

CRMはCastomer Relationship Managementの略で、顧客関係管理と訳されます。
具体的には、顧客情報を一元的に管理し、企業と顧客の関係を維持・向上させるためのツールです。

顧客の名前や性別などの基本情報や属性情報、購入履歴などを商品ごとに分析することも可能です。

またメールやフォームからの問い合わせをCRMに集約し、自動登録もできます。
メール配信機能・外部サービス連携に対応しているCRMを導入すれば、マーケティングに活用したり、顧客対応のミスを防いだりできます。

オムニチャネルは顧客との接点がチャネルの数ほど存在し、対応すべきものも多いです。
膨大な顧客対応などをCRMで一元管理できるとオムニチャネルの運営効率を向上できます。

CRMのほかに業務系システムについて以下の記事で詳しく解説しています。
気になる方はご覧ください。

情報管理システム

情報管理システムもオムニチャネル運営に役立つITシステムです。
情報管理ステムとは情報を共有し効率よく扱うために、文書やファイルなどのデータを一元管理するシステムです。

種類がいくつかあり、用途によって選択しましょう。
例えば、人事や労務に関する社員の情報を管理したい場合は社員情報管理システムを、製品の設計・CADデータなどを一元管理するなら製品情報管理システムなどがあります。

生産管理システムや在庫管理システムなど他のシステムと組み合わせて使用されることが多いです。

ERP

ERPはEnterprise Resource Planningの略で日本語に直訳すると企業資源計画です。
経営に必要な以下の基幹業務を一元的に管理するためのシステムです。

  • 人事
  • 受注管理
  • 販売管理
  • 生産管理
  • 購買管理
  • 会計管理

1つのデータベースで社内情報を統合管理しているため、部門間の連携がスムーズで、商品の受注から配送までを効率よく行えます。

しかし導入費用とランニングコストが高くなる傾向があるため、ERP製品は慎重に選びましょう

またECとITシステムを連携するメリットとスムーズに連携させるためのポイントを次の記事で解説しています。

オムニチャネルを取り入れるメリット

オムニチャネルの成功事例から、どのように運営すれば成果が出やすいかご理解いただけましたか。
具体例がわかったら、オムニチャネルを取り入れた際のメリットについて理解しましょう。

オムニチャネルを取り入れると次のメリットがあります。

  • ユーザーに関するデータを有効活用できる
  • サービスの質を高められる
  • 満足度が高まりファンを増やせる

ユーザーに関するデータを有効活用できる

オムニチャネルは複数のチャネルを連携し、データを集めるためより多くのデータを収集できます。
今までチャネルごとに分析していたデータをチャネルを横断して分析すると、顧客の購買行動について新たな洞察を得られます

その新たな洞察を販売プロモーションに活かしたり、ECと店舗の利便性を高めるために活用したりとデータの用途はさまざまです。

オムニチャネルを実施するならデータの収集と分析を行いましょう。

サービスの質を高められる

オムニチャネルによってサービスの質を高められるのもメリットのひとつです。
前述したように複数チャネルのデータを集めて分析できるため、顧客に合わせたサービスを提供できます。

そして複数チャネル連携により、顧客からの問い合わせの対応スピードが速まるうえ、チャネル運営者同士の連絡もスムーズに行えます。

その結果、サービスの質を向上できるのです。

満足度が高まりファンを増やせる

オムニチャネルでは複数の販売経路を統合させることで、顧客は選択肢を増やせます。
またどのチャネルでもスムーズに商品やサービスを購入でき、利便性が高いです。

例えばどこにいても店舗の在庫をリアルタイムに確認でき、購入後は好きな店舗で商品を受け取れるなどです。
そして上記のような体験をチャネルに関係なくできるため、利便性が向上し満足度も上がります。
満足度が向上すれば、ブランドはより信頼され、ファンが増えるため長期的な売上につながるのです。

オムニチャネル戦略を実施する際の注意点

オムニチャネル戦略を実施する際の注意点は次の通りです。

  • 効果が出るまで時間がかかる
  • コストの捻出が必要
  • 成果が偏る可能性がある

効果が出るまで時間がかかる

オムニチャネルは導入して簡単に効果が出る施策ではありません。

チャネルを連携してスムーズな購買体験を提供できますが、チャネルごとに認知獲得から販売までを確立するには時間を要します
成果が出るまでに時間がかかるため、短期的に成果をあげようと焦らず、長期的な戦略と検証を繰り返しながらの運営を心がけましょう。

コストの捻出が必要

オムニチャネルは既存のシステムを連携したり、新しいシステムを導入したりするため、初期費用が発生します。
システムの規模や要件・仕様によって変わりますが、新システム構築を外注すると数百万円かかります

またオムニチャネルは長期的な運営が必要で、各システムの保守・運用のためのランニングコストも必要です。

継続的に運営し成果を出すために、オムニチャネルに必要な予算を把握し、準備して臨みましょう。

成果が偏る可能性がある

オムニチャネル戦略ではチャネルごとの成果が偏る可能性があります。
例えば店舗でよく購入していた顧客がECサイトに流れてしまい、店舗の売上が減少してしまうなどがあります。

企業にはそれぞれ強みや特色があるため、すべてのチャネルの成果を均一にするのは難しいです。

しかしチャネルごとに意識・認識を統一できれば、チャネルごとの差が少なくなるため成果の偏りを防げるでしょう。

オムニチャネルを少しずつ導入し自社の成功事例を作ろう

オムニチャネルはあらゆるチャネルを連携させ、スムーズに購入できるようにして利便性を高められます
運用方法もさまざまあるため、顧客のデータを分析しながら、成果が出るものを見極めるのがポイントです。

オムニチャネルを導入する際に、チャネルを新設する企業もあると思いますが、一度にチャネルを増やしすぎるとリソースが分散したり、各チャネルの連携がうまくできず苦労するリスクもあります。

オムニチャネルは長期的に運用する前提のため、チャネルや施策の仮説検証は小さく少しずつ実践し、成功事例やノウハウを積み重ねていきましょう。

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