越境ECの課題とは?動向や将来性、4つの解決策を徹底解説
こんにちは。Wakka Inc.のメディア編集部です。
近年注目されている越境EC。
商圏の拡大やブランディング力の向上などの魅力がありますが、実現には多くの課題も存在します。
- 越境ECをしたいけれど、どんな課題があるか知ってから検討したい
- 越境ECのおすすめの進出先がどこなのか知りたい
- 越境ECの課題を解決して、どうやって成功させるのか知りたい
上記のようなお悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
本記事では越境ECが直面している課題から解決策、おすすめの進出先、サイトなどを徹底解説します。
海外のECについてお悩みの企業担当の方は、ぜひご参考ください。
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押さえておきたい越境ECの基礎知識
まず、越境ECについて知っておきたい基礎知識から説明します。
日本企業のECは遅れているといわれていますが、実際にはどのような実態なのでしょうか。
大きなポテンシャルを秘めた「日本発の越境EC」とは?
日本貿易振興機構(JETRO)が2021年に行った「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」によれば、回答企業の57.7%がまだ海外に進出していないと回答していました。つまり、約半数以上の企業で海外拠点が無いことになります。
近年流行しているとはいえ、日本発の越境ECはまだ伸びしろがあると言ってもよいでしょう。上記の数値の中でも、ECの利用企業は4割強であることも理由のひとつです。中小企業の拡大意欲が大きく、飲食業やアパレル業では比較的進んでいることが目立ちます。
【国別】越境ECの市場規模
世界の越境ECの市場規模は、2026年には4兆8,200億USドルにまで成長するといわれています。
これは2022年8月に経済産業省から発表された「令和3年度 デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」から参照できる数値です。
2019年には約7,800億USドルの市場規模だったことから、急激に世界規模で成長していくことが予想できるでしょう。以下からは国別でECの市場規模を見ていきます。
中国の越境EC市場規模は4兆2,617円
中国の越境ECの占有率は凄まじいものです。市場規模は4兆2,617円になっており、米国を抜いて圧倒的に市場規模が大きいです。
中国のEC市場規模で注目するべきなのは、その伸び率にあります。圧倒的に占有率があるにもかかわらず、前年比16.3%と成長速度が高いのです。中国ではAlibabaがシェアをほぼ独占しており、次にJD.comとPinduoduoが続きます。
米国の越境EC市場規模は1兆7,108億円
米国の越境ECの市場規模は1兆7,108億円という結果になっています。中国の次に規模が大きく、今後もEC化が素早く進んでいくことが予想されます。
EC商材別では衣類と雑貨、家具や建材、電子機器の商材が強く、異常なコロナ禍の影響を受けて生活空間の改善に取り組んだユーザーが多かったことが考えられるでしょう。市場シェアはAmazonが国内的にも国外的にも1位、ウォルマート、eBayと続きます。市場のシェア率はしばらく変わらないかもしれません。
越境ECに将来性はあるのか?
本章で見てきたように、越境ECはECに適した分野の商材を扱っている企業であれば充分に将来性があるといえます。市場規模は拡大していく上に、日本でも徐々にですがキャッシュレス決済の浸透や海外ショッピングモールの利用などが増えているためです。
【立ちはだかる壁】越境ECにおける4つの課題
越境ECの市場はこれから急速に拡大していきますが、日本が海外に進出して越境ECを行うとなると解決するべき課題もあります。一つひとつ解説します。
1.言語・法律の課題
島国であり独自の言語を持つ日本がまず直面するのは、他言語への対応や他国の文化圏の法律に馴染めるかといった「言語・法律の課題」です。最低限でも英語に対応できるスタッフが自社に居ないことは越境ECへの進出を阻む大きな原因となってしまいます。
現地でトレンドを調査するために英語の記事を読んだり、ヒアリングをするために外国人に英語で話しかけたりといった人材が自社に居ないと、そもそも進出自体が難しいです。法律面でも、現地での法律に無知であるばかりに予想外のトラブルや事件に巻き込まれる可能性もあります。
2.越境ECでの決済における課題
越境をするにあたっては多数の決済方法に対応する必要も出てきます。日本でもクレジットカード、PayPayをはじめとしてキャッシュレス決済が普及してきたとはいえ、中国や米国などに比べれば決済方法の多さに関してはまだまだの状態のため、解決しなければなりません。
例えば、中国ではAlipayの利用が非常に多いですが、日本では一般的ではないでしょう。進出する国のユーザーがどのような決済方法をメインに使っているかを調査し、対応する必要があります。
3.現地でのマーケティングにおける課題
広大な市場の中から自社に適した市場を見つけ出すにためには「現地でのマーケティングにおける課題」が出てきます。ひとくちに越境EC市場といっても、自社の商材がどの国のどんなユーザーの心に刺さるのかという問題は非常に難しいところだからです。
現地でのマーケティングにおいて難しい点で言えば、現地調査が必要であることが挙げられます。これは現地の言語が話せることはもちろん、しっかりとした調査票を作ったり調査対象者を整理したりといった工数がかかるため、実施するには古い体質の日本企業であれば難しいことが考えられます。
4.ECを取り扱うIT人材不足における課題
経済産業省が発表している「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査」によれば、2030年には最大で79万人ものデジタル人材が不足するといわれています。IT業界はAIやIoTなど変化が激しい業界であり、この変化についていくための人材がだんだん足りなくなると危惧されているのです。
日本でもIT人材をアウトソーシングする企業もあるため、自社にITに強い人材がそろっていなければECショップの整備も難しいでしょう。
5.海外への配送における課題
海外への配送をどうするか、についても大きな課題です。日本国内での配送は丁寧な梱包がなされますが、海外では荷物が丁寧に扱われない場合もあり、丁寧に商品を送るにはどうしたらいいかなどを考える必要があります。
また、輸出をするにあたっての配送日数についても注意が必要です。国内の倉庫から発送して検問、船や飛行機への搭載といった経路を通し、通常1〜2週間以上の長い期間がかかることへの備えをしておかなければなりません。
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越境ECが直面する課題を解決するための4つの対応策
日本企業が越境ECを行うには言語からマーケティング、配送までさまざまな課題があることを説明しました。以下ではこれらの課題を解決するための4つの対応策について解説します。
1.言語・法律面:自動翻訳ツールやアウトソーシングを活用する
言語に関する課題については、DeepLなどの賢い自動翻訳ツールや、クラウドソーシングサービスで他言語に強い専門家に業務を依頼するといった解決策が考えられます。また法律面については、現地の法律に詳しく日本語も喋れる外国人の弁護士を雇うといった対応ができるでしょう。
こういった人材を探すのは難しいため、まず言語面での課題を解決した上で法律面の課題に着手するとよいです。
2. 決済面:複数の決済方法を用意する
現地での決済面における課題は、複数の決済方法を用意することで解決しましょう。クレジットカードは既に多くの日本企業で導入されていますが、現地でのニーズに合わせ、その国でしか使われていない決済方法なども場合によっては導入することが必要です。
3.マーケティング面:インバウンド需要からニーズを精査する
現地での直接での調査が難しい場合は、自社に保存されている外国人観光客などの国籍・世代・購入履歴・購入商品・購入個数などといった顧客データから判断することをおすすめします。インバウンド需要が分かれば、どこで自社の商材が売れるのかがある程度把握できるようになるはずです。
4. IT人材不足面:クラウドソーシングなどを利用して採用面を強化する
越境ECに限らずIT人材の不足は深刻である日本。しかし、正社員として採用をかけるのではなく、業務委託という形でフリーランスに依頼してみるのも1つの手段です。
クラウドソーシングサービスであればITエンジニアやITコンサルタントをはじめ、さまざまなフリーランスが働き口を探して活動しています。予算が許す限り、採用面にもコストをかけるのがおすすめです。
5. 海外への配送面:業者選びを徹底する
配送業者を複数選定してその中から選び取ることが、配送面での課題解決に直結します。丁寧に扱われない場合やトラブルを起こす場合が多い配送業者を選んでしまっては、良い商材があっても元も子もありません。
ある程度物量があり安定している、かつ日本企業からの信頼も厚い業者を選定できるとよいでしょう。
日本企業の越境が加速するおすすめの進出先4選
世界の越境ECの市場規模は中国と米国がトップを占めていますが、徐々に市場規模を拡大している国々もあります。
以下では今後も大きな成長が期待できるおすすめの進出先を紹介します。
ベトナム
ベトナムのEC市場規模は、2021年に6,111百万USD(約0.8兆円)。今後も更なる成長が期待されている国です。
GDP成長率は前年度比3.32%を記録するほど。
今後も更なる経済成長が期待されているため、有力な越境先の候補といえます。
参照:第1四半期のGDP成長率、前年同期比3.32%、鉱工業が低調|JETRO
中国
越境ECでは言わずと知れた中国でも、まだまだ新規で参入することはできます。
中国では特に女性のインフルエンサー・マーケティングが活発であることもあり、化粧品や美容関連製品、トイレタリーや健康商品といった、ヘルスケアにまつわる商品がよく売れます。
また、中国ではそのぶん偽物も多いため、中国のユーザーは正規品を強く求めています。正規品保証をウリに出した商品戦略が出せると強みになるでしょう。
参照:令和3年度 デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)報告書|経済産業省
台湾
台湾のEC化率は、業種によっては日本の2倍以上にも及びます。
日本と親交の深い国であることがあり日本の商品への信頼も厚いため、これから新しく参入していくには一度進出を考えてみるのが得策です。
注意すべきなのは後払い決済をするユーザーも多いということです。後払い決済は日本ではあまり主流ではないため、決済方法の事前準備が必要です。
参照:平成 30 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備|経済産業省
タイ
タイのEC化率は無視できません。コロナ禍を迎えてからというもの、2019年から2020年の1年間のみで、タイにおけるEC市場規模は81%も成長しているからです。
コロナ禍以前は10~20%であったため、非常に急速な速度でEC市場が広がっており、このため参入していきやすいといえます。
越境ECの出店におすすめな4つのサイト
最後に、おすすめした国別で利用すべきECサイトについて紹介します。それぞれ強みや特徴があるため、どこが自社の商材に適しているかを検討してみましょう。
Lazada:ベトナム
Lazada(ラザダ)は東南アジア6カ国で展開している、東南アジアで最大級の規模を持つECプラットフォームです。 「東南アジアのAmazon」とも呼ばれており、日用品から家電まで日常生活に寄り添う形でのマーケットが展開されています。
2030年には3億人のユーザーにサービスを提供することを目指しています。支払方法が豊富、かつ商品数が豊富で見やすいのが圧倒的な強みです。
天猫国際:中国
天猫(テンマオ)国際は2013年にアリババグループが開設した「天猫」の国際版ECサイトです。日本企業からはマツモトキヨシや花王といった大手企業が出店しています。
天猫国際では現地法人を作らなくても出店ができ、出店側は海外拠点を持たなくても商品を売買できることが強みです。
PChome:台湾
PChomeは台湾の中では老舗のECサイトにして最大のECモールです。自社倉庫を持っており、24時間以内の配送が可能です。
24時間以内にできなかった場合は日本円にして約380円のポイントが補償されるなど、サービスが整っているのが特徴といえます。日本企業は代理店や商社を通じて販売する必要があるため、関係各社との連携も必要になるでしょう。
Shopee Thailand:タイ
Shopeeはもともと2015年にシンガポールで設立され、東南アジアをはじめとして現在は14カ国でモールが運営されています。国ごとに専任であることが特徴で、もちろん日本語対応もできます。
このため、運営に関して困ったことがあれば日本語のまま質問することが可能なのです。初期費用が無料であり、個人も始めやすいことから、タイでの自社商材のニーズを発掘したら一度利用を検討してみるとよいでしょう。
課題をひとつひとつ解決し、越境ECを成功させよう!
越境ECには課題がつきものです。言語の壁もある上に、異国の文化などをそれぞれ理解していく必要があります。動かす人材やコストも多くなるため、商材を届ける地域は慎重に選んでいかなければならないでしょう。 もし自社での越境ECのプロジェクトが難しい、と悩んだ場合は、ぜひWakka Inc.にお気軽にご相談ください。
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