システム移行を成功に導くには|全手順と5つの重要ポイント・トラブル対策を解説

最終更新日:2025.03.24
DX・システム開発
安藤 大海
システム移行は侮れない|5つの注意点と手順をくわしく解説
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こんにちは。Wakka Inc.のWebディレクターの安藤です。

システム移行を成功させるには注意点を理解し、しっかりと準備を行う必要があります。
実は、システム移行は多くのリスクをはらむ、難易度の高いプロジェクトです。

慣れないシステム移行で「失敗したくない」「成功させるにはどうすれば良いか」と考えている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、システム移行の注意点と正しい移行手順を解説します。自社システムの移行に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

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システム移行とは

システム移行とは、既存のシステムやソフトウェアを別の環境に移転し、新しいシステムに置き換えることを意味します。
システム移行には既存システムの一部のみを移行するケースと、すべてを移行するケースがあります。

単に「システムを移行する作業」と認識されがちですが、実際は簡単なものではありません。
移行作業においてトラブルが発生すると、大切なデータの損失や業務停止に陥るリスクもあるため、注意が必要です。

システム移行の目的

システム移行はさまざまな目的で実践されます。
主な目的には以下のようなものがあります。

  • 保守やサポートの終了に伴う新システムへの移行
  • リソースの不足や保守の期限切れなどを理由にしたアップグレード
  • 複数のシステムの統合
  • セキュリティ強化のための移行
  • システムの拡張や処理速度の向上のための移行
  • オンプレミスからクラウドに切り替えるような別のシステム形態への移行

システム移行は新しい機能・リソースの導入やアップグレードだけでなく、サポートの終了に伴う移転など、さまざまな目的で実施されます。

システム移行の重要性

システム移行は、ただ既存のシステムを新しい環境に移すだけの作業ではありません。
既存のシステムを最適化するうえで重要な取り組みです。

昨今は経営環境や市場が目まぐるしく変化しており、企業には状況に応じて適切に対応することが求められます。
そのような状況下だと、基幹システムや事業で利用するシステムが経営環境や市場に適応できなくなります。

特にシステムが老朽化していると、業務の遂行に支障をきたしやすくなるだけでなく、顧客のニーズにも応えられない状況に陥りかねません。

経営環境や市場の変化に対応していくためにも、企業にとって最適化を実現するためのシステム移行は不可欠です。

スムーズに移行を完了させるなら、企業はシステム移行の重要性を理解し、適切なプロセスを構築する必要があります。

システムを移行するタイミング

システムの移行は、どのような場合に必要となるのでしょうか。
必要になるのは、主に次のようなタイミングです。

  • ハードウェアのサポートが切れたとき
  • OSのサポートが切れたとき

順番に解説します。

ハードウェアのサポートが切れたとき

パソコンやサーバーなどのハードウェアは、物理的に経年劣化するため、各メーカーはサポート期限を設けています。

サポート期限が終了しても使用し続けられますが、そのままにすると故障やOSが稼働できないなどのトラブルが発生する可能性もあります。
場合によっては、トラブルの影響で事業継続が危うくなるケースもあるため、早めのシステム移行が重要です。

もし、サポート期間が切れた後にトラブルが発生すると、ベンダーへの相談ができず、自社で対処しなければなりません。
サポートの期限は事前に各メーカーがアナウンスするため、システム移行などの対処法を検討しましょう。

OSのサポートが切れたとき

OSもハードウェアと同様で、サポートの期限が切れたときにシステムの移行が必要になります。
メーカーサポートが切れた後も使用できますが、システム障害やセキュリティの欠陥からサーバーへの不正侵入につながる恐れがあります。

OSのサポート期限もベンダーの公式サイトなどに掲示されているため、お使いのOSのサポートが終了していないか確認しましょう。
例えば、マイクロソフト社が提供しているWindowsは通常10年間のサポート期間があります。

当然、サポート期間が切れれば、OSに不具合があってもメーカーから対応してもらえないため、業務に支障をきたすリスクが高まります。
OSのサポートが切れた場合はシステム移行をしましょう。

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システム移行の方式

システム移行プロジェクトを進めるうえで、移行方式の種類を把握することは重要です。
それぞれにメリット・注意点があるため、要件に応じて選択します。

移行方式を把握し、自社の事業にはどの方式が合っているか検討しましょう。

システム移行の方式には次の4つが挙げられます。

  • 一斉移行方式
  • 順次移行方式
  • パイロット移行方式
  • 並行運用移行方式

一斉移行方式

一斉移行方式は、一括移行方式とも呼ばれます。

特定の時点で現行のシステムの機能をすべて休止し、新たなシステムや別の環境へ一斉に移行する方式です。
基本的には週末や連休など、ある程度まとまった期間を利用してシステムやソフトウェアの入れ替え、データ移行のなどを行います。

一斉移行方式は既存のシステムと新システムの連携が必要なく、システム移行にかかる費用や時間などを抑えられます。

またシステム移行後は、旧システムを予備的に稼働しなくても、すぐに新しいシステムの稼働が可能です。
ただし、データ容量やシステム仕様の複雑さによって、移行期間が長期化する点には注意が必要です。

一斉移行は、システム移行の費用や時間・手間を抑えたい企業に適しています。

順次移行方式

順次移行方式は、業務や機能ごとにシステムを分割し、段階的に新しいシステムへ切り替える方式です。

システムを部分的に休止するため、業務が停止する際の影響を小さく抑えられます。
またシステム移行に伴うエラーのリスクも軽減できる点も順次移行方式のメリットです。

しかしシステム移行が完了するまでは、既存のシステムも稼働するため、新旧のシステム間で連携が必要です。

新旧システムを連携させるためのソフトウェアの用意や連携作業などがあるので、一斉移行方式と比べると多くのコストや時間がかかります

順次移行方式は移行するデータ量や種類が多く、一括の移行を避けたい場合に適しています。

パイロット移行方式

パイロット移行方式は特定のシステム・機能・部門などをパイロットとして検証を行った後に、他のシステムも徐々に移行する方式です。
システムや機能の一部を徐々に移行する点で、段階移行方式と似ています。

パイロット移行方式は事前に入念な検証を行うので、移行中のシステムに起こる問題やリスクを把握でき、対策も講じられます。
しかし部分的にシステムを移行するため、完了までに多くの時間がかかる欠点があります。

初めてのシステム移行で慎重に移行を行いたい場合は、パイロット移行方式を検討してみましょう。

並行運用移行方式

並行運用移行方式では、システム移行が完了した後に現行のシステムと新システムを並行で稼働しながら実践する点が特徴です。
同時稼働中に両者を比較し、新システムに問題がないか検証します。

検証の結果、新しいシステムに問題がないと判断できたら旧システムを停止し、新システムに入れ替えます。
並行運用移行方式なら、新システムに万が一問題が起こった場合、新システムを停止すれば、旧システムでの業務継続が可能です。

しかし2つのシステムを同時に稼働するため、データを2回入力したり、システム同士を同期させたりといった手間が発生する点がデメリットです。

オンプレミスからのクラウド移行とは

システム移行は異なる形態のシステムに変更する際にも実施されます。
オンプレミスからのクラウド移行がその典型です。

オンプレミスとは、自社にサーバーやネットワーク機器を設置することで導入するシステム形態です。
一方のクラウドは、ベンダーのサーバーにアクセスしてソフトウェアやシステムを利用する形態を指します。

オンプレミスは独自性が高いシステムを導入しやすい点がメリットですが、保守管理に手間がかかり、コストも高騰しやすい点がデメリットです。
企業によっては、コストが低く運用しやすいクラウドに移行することがあります。

オンプレミスをクラウドに移行するうえで、課題になりやすいのが既存のシステムとの連携とデータベースの移行です。
クラウド型のシステムの性能はベンダーに依存しており、カスタマイズ性も低い傾向があります。

そのため、移行先のクラウドによっては既存のシステムとの連携ができなくなる恐れがあります。

また、データベースの移行はクラウド移行において難易度が高い作業です。
そもそものシステム形態が異なることもあり、クラウド移行はSQLの不整合などが起きるリスクが高い点に注意する必要があります。

移行に失敗すればデータが消失することもあり得るので、クラウド移行を実施する際は入念な準備が不可欠です。

システム移行におけるPMOの役割

PMOとは「プロジェクトマネジメントオフィス」の略称であり、システム移行において重要な役割を担う部門です。
本章では、システム移行におけるPMOの役割について解説します。

プロジェクト全体の管理と推進

プロジェクト全体の管理と推進を実践することは、PMOの重要な役割の一つです。

PMOは、重要事項の意思決定や組織全体を見通したプロジェクトマネジメントを行います。
その際、PMだけではチェックできないプロセスにも目を通すことにより、プロジェクト進行をサポートします。

PMOによるプロジェクト全体の管理が適切であれば、顧客や業務に影響を与えることのない、スムーズなシステム移行が可能です。

関係者との調整とコミュニケーション

プロジェクトの関係者との調整とコミュニケーションにおいても、PMOは力を発揮します。

PMOは、プロジェクトを実現するために、複数の部署の横断的な調整・連携の実現を目指す部門です。
各部署を連携させつつ、個々の問題の発見・解決に貢献する役割を担っています。

システム移行は複数の部署に影響するプロジェクトであるため、各関係者との連携が不可欠です。

PMOが間に入ることにより、関係者同士のコミュニケーションが円滑になれば、プロセスの進行はもちろん、トラブルが発生した際の対処もスムーズに実行できます。

システム移行におけるリスク管理の重要性

システム移行において、リスク管理は非常に重要です。
なぜなら、システム移行には以下のようなリスクが伴うからです。

  • システム内のデータの消失
  • サービスや機能の停止
  • 業務の停止
  • 顧客への悪影響
  • セキュリティの弱体化

システム移行は業務を停止させたり、顧客に損失を与えたりするなど、企業にとって致命的なリスクをはらんでいます。
もし失敗すれば、企業への信頼を低下させる事態になりかねません。

リスクを回避するためにも、システム移行は徹底的にリスク管理を行う必要があります。
前もってリスクを洗い出し、綿密にプロジェクトを計画することにより、顧客・サービス・業務への影響を最小限に抑えられます。

システム移行の手順

システムの移行作業は入念な準備と計画のもと、実行することが重要です。
システム移行の手順は、以下の通りです。

  1. 要件定義
  2. 移行元システムとデータの調査
  3. システム移行計画書の作成
  4. チェックポイントや評価項目の設定
  5. 移行手順の確認・リハーサル
  6. システム移行実施・テスト
  7. 移行結果の評価
  8. 切り戻し計画の策定
  9. システム移行後の運用

それぞれのプロセスについて順番に解説します。

1. 要件定義

システム移行を実施するうえで要件定義は重要なプロセスです。

システム移行は複雑なプロセスやスケジューリングが必要なうえに、移行する範囲によって作業量やコストが大きく変わります。
そのため、事前に要件定義を行い、システム移行のプロジェクトを具体化する必要があります。

要件定義を行う際は、以下のポイントを意識しましょう。

  • 移行目的と目標の明確化
  • 現行システムの課題分析
  • 新システムの要件定義

システム移行の目的・目標の明確化と現行システムの課題分析を行えば、自然と新しいシステムの要件が定まります。
システムの要件を具体化できれば、プロセスを構築しやすくなり、スムーズに移行を進められます。

2.移行元システムとデータの調査

システム移行でまず行うのは、移行元システムとデータの調査です。

仕様はどのようなものか、データの量や種類はどの程度あるか把握します。
データ量や種類から、移行完了までにかかる時間やコストを見積もります。

また、システム内のデータに優先順位を設定すると、移行作業をスムーズに進められます。

3.システム移行計画書の作成

システムの仕様とデータを把握したら、移行プロジェクトの計画書を作成します。
システム移行の対象を明確にし、具体的なスケジュールを考え計画に落とし込みます。

計画書はシステム移行プロジェクトの進め方に問題がないかを再確認するための資料です。
抜け漏れが起きないよう、下記のような5W1Hに従って記載します。

  • 移行方針・目的(why)
  • 移行対象(what)
  • 移行方式(how)
  • 移行による業務への影響・対処法(where)
  • システム移行スケジュール(when)
  • プロジェクトの体制(who)

いつ・誰が・何をするかなどを明確にして、関係者の認識を合わせられるかがシステム移行プロジェクトのポイントです。
計画を設定した段階で、従業員や顧客などの関係者にシステム移行の実施日と、影響の範囲を伝えておくことをおすすめします。

なお、初めて計画書を作成する際は、IPAの資料を参考にしましょう。
IPAはIT技術を通じてより良い社会を構築するために、産学官をつなぐさまざまな活動を行っている独立行政法人です。

IPAではシステムの再構築に関する資料を無料で公開しており、システム移行に関する基本的な知識を学べます。
初めてシステム移行計画書を作成するうえでも役立つので、ぜひチェックしてください。

参照:システム再構築を成功に導くユーザガイド|IPA

4.チェックポイントや評価項目の設定

チェックポイントや評価項目の設定も欠かせないプロセスです。

システム移行を成功させるには、各プロセスの結果を適切に評価し、進捗を把握することが不可欠です。
各プロセスの進捗状況を把握できていないと、スケジュールが遅延しやすくなり、顧客や業務に悪影響をおよぼすリスクが高まります。

システム移行において、チェックポイントは移行の目的や目標を達成するうえで重要なポイントを抽出したものです。
一方の評価項目は、各プロセスの結果や進捗状況を評価するために設ける項目です。

チェックポイント・評価項目を適切に設定すれば、移行作業の進捗管理や品質確保が可能です。
また、各段階における確認事項・判断基準が明確になり、移行作業でトラブルが起こるリスクを回避しやすくなります。

5.移行手順の確認・リハーサル

計画書の次に行うのは、移行手順の確認とリハーサルです。
システム移行は既存システムが止まり、業務に影響が出るため、リハーサルで計画の問題点やリスクを洗い出します。
リハーサルは本番と同じ手順で作業を行います。

リハーサルを行って発見された問題点を収集し、改善策と合わせて計画書に盛り込みます。

システム移行のリハーサルは、少なくとも2回以上実施したいところです。

6.システム移行実施・テスト

リハーサルが完了したのち、いよいよシステムの移行作業を進めます。
リハーサルを実施して問題がなければ、計画書の通りに実施します。

システム移行中は業務が停止するため、関係各所にも再度連絡しましょう。

またシステム移行が終わった直後は、新システムに問題がないか確認するためテストを実施します。

7.移行結果の評価

システム移行が成功したら、移行結果の評価を行いましょう。

システム移行は一連の作業が完了したら終わるものではありません。
移行後のシステムの稼働状況や安定性などを確認し、システムが問題なく機能しているかを確認する必要があります。

移行自体は問題なく完了しても、システムが適切に機能しなかったり、新たな課題が見つかったりするケースは少なくありません。
スムーズにシステムを運用するためにも、移行結果を適切に評価し、必要があればさらなる改善を行いましょう。

8.切り戻し計画の策定

万が一システム移行が失敗した際に備えて、切り戻し計画もあらかじめ策定しましょう。

切り戻し計画とは、システム移行の失敗やプロセスの遅延などのリスクを把握し、適切に対応するための計画を意味します。
移行に失敗した際の対策と手順を決めておけば、トラブルが発生した際でも対応しやすくなります。

例えば既存システムの特定の機能に不具合が発生した際の対応を記載しておくことで、不具合が生じても冷静な対処が可能です。

切り戻し計画を策定する際は、判断基準と責任体制も明記しましょう。

特に判断基準の設定は回帰不能点を明確にするうえでも重要です。
切り戻しができなくなるタイミングを明示しておかないと、回帰不能点を見落としやすくなり、システム移行に失敗するリスクが高まります。

9.システム移行後の運用

システム移行後の運用では、問題なくシステムが稼働しているかをチェックするうえでも保守・管理が欠かせません。
特に新しいシステムを導入した際は、想定外の問題が生じていないか、入念に確認する必要があります。

もし新たな問題が発生していたら、ただちに改善しましょう。
システムの稼働に支障をきたすトラブルが起こった際は、スピーディーなトラブルシューティングも重要です。

また、ユーザーの教育やサポートも円滑な運用においては不可欠です。
システム移行によってユーザーの使用感が変わるケースは珍しくありません。

教育やサポートを行い、ユーザーのフォローを徹底すれば、新しいシステムの定着率を向上させやすくなります。

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システム移行で起こりがちな3つのトラブルと対応策

あらかじめどのようなトラブルが起こるか把握し、対応策を講じることでリスク回避に役立ちます。
システム移行で起こりがちなトラブルは次の3つです。

  • 新しいプロセスが定着しない
  • システムが止まって業務に影響が出る
  • レガシーシステムによって移行がしにくい

上記3つのトラブルについて、対応策と合わせて解説します。

新しいプロセスが定着しない

1つ目のトラブルは、新しい業務プロセスが定着しないことです。
システム移行が完了すると、機能や操作性など多くの変更箇所が出てきます。

これに伴い、システムの運用体制や業務フローを変更する必要があります。
従来の業務フローに慣れている従業員は、業務フローや新しいシステムの操作に苦労し、モチベーションが低下する恐れがあります。

新しいプロセスが定着しない要因は、主に次の2つが挙げられます。

  • 移行前・移行中の教育が不十分
  • 移行後のシステム利用のフォロー不足

移行前や移行中に、新システムの操作方法やトラブル対応を教育する際は、講習だけでなくデモシステムを用意して実際の業務フローをトレーニングしましょう。
また、トレーニングを行っても操作に慣れない従業員もいるため、システム移行後も従業員をフォローできる体制を整えましょう。

システムが止まって業務に影響が出る

2つ目のトラブルはシステムが止まって業務に影響が出ることです。

並行移行を除いた方式はシステム移行に伴ってシステムが止まるため、業務に影響がでます。
システムが止まると自社の業務だけでなく、取引先にも影響を及ぼす恐れがあります。

そのためシステム移行の計画書を作成する段階で、システム停止によって影響が及ぶ範囲を特定することが大切です。
関係者には丁寧に説明し、理解を得られるように努めましょう。

レガシーシステムによって移行がしにくい

3つ目のトラブルは、レガシーシステムによって移行がしにくいことです。

レガシーシステムとは、古い技術で開発されたシステムを指します。

システムの古さや複雑さから、特定の人しか扱えなかったり、互換性の問題で移行しにくかったりします。
老朽化したシステムを新しいシステムへと移行したいのに、その古さから移行がしにくいといったジレンマに陥ってしまいがちです。

レガシーシステムを新システムへ移行する場合の対応策は、大きく分けて以下の2つがあげられます。

  • モダナイゼーション
  • マイグレーション

モダナイゼーションとは近代化を意味し、過去のデータやソフトウェアなどの資産を活用しつつ、最新の製品や設計に置き換えることです。
システム全体の刷新や、既存システムのプログラム言語を新しい言語での書き直しなどがあります。

一方マイグレーションとは、既存システムを新しいソフトウェアや新システムに移行することです。
一般的なシステム移行が、マイグレーションに当たります。

2つの方法をまとめると、使用している言語やプラットフォームなどの変更、システムを1から再構築したり、別の環境に移したりできます。
どの方法が適しているかは相談しながら進めましょう。

レガシーシステムの問題点や対応方法は、以下の記事で詳しく解説しています。

システム移行の注意点

システム移行が失敗すると、業務に支障をきたして大きな損失が出てしまう恐れがあります。
こうしたリスクを回避するには、システム移行を正式なプロジェクトと位置づけ、潜在的なリスクを未然に排除しなければなりません。

システム移行の注意点を理解すると、失敗のリスクに備えやすくなります。
意識すべき注意点は、次の5つです。

  • 計画を立てる
  • システムの仕様を確認しておく
  • システムを止めないようにする
  • システム移行も1つのプロジェクトと認識する
  • システム移行の範囲を定める

計画を立てる

システム移行で失敗をしないためにも、入念な計画策定が欠かせません。
計画・段取りの段階で、システム移行プロジェクトの質が決まると言っても過言ではありません。

計画では移行の方針やスケジュールなどを定めます。
スケジュールを考える際は、移行に伴ってシステムが止まることを考慮し、各部署と調整を行います。

またシステム移行中のトラブルを想定し、問題が生じた際の対応策をシミュレーションしておきましょう。

システムの仕様を確認しておく

システムの仕様の確認は、移行をスムーズに進めるために重要です。

仕様を把握できていると、トラブルを未然に回避できたり、手戻りを削減できたりするためです。

現在使われているデータやファイル形式・OSの種類などを、あらかじめ確認しておきましょう。
また、現在のシステム運用のマニュアルにも、再度目を通しておくのをおすすめします。

マニュアルにはシステムの仕様やメンテナンスについて書かれているため、準備に必要な情報を効率よく収集できます。

なお、オンプレミス型のシステムからクラウド型システムへの移行では、仕様の違いから機能・データを引き継げないことがあります。
そのためオンプレミス型システムをお使いの場合は、新システムに移行ができるのか確認が必須です。

システムをなるべく止めないようにする

移行方式によってシステムが止まる範囲や期間は異なりますが、システムをまったく止めずに移行するのは難しいでしょう。
そのためシステム移行の際は、少なからず業務が止まってしまう時間があります。

自社の事業にとってどの移行方式が、システム停止による影響を抑えられるかやシステム停止中の対応策を十分に検討しましょう。

システム移行も1つのプロジェクトと認識する

システム移行をプロジェクトの1つとして位置づけるのは、メンバーにシステム移行の重要性を理解してもらうためです。

システム移行を軽視してしまうと、思わぬトラブルにつながる恐れがあります。
例えば、事前の調査が不十分だったがために移行作業が長期化したり、一部のデータを移行できなかったりします。

システム移行担当者も経営層もシステム移行を重要なプロジェクトとして認識することが重要です。

システム移行の範囲を定める

システム移行では、データやシステムをどこまで移行するか範囲を定める必要があります。

移行の範囲によって作業の日数が変わるため、範囲の決定は計画書を作成する前に行うのが一般的です。
システムやデータに優先順位を決めてから、システム移行の範囲を決めましょう。

綿密な計画を立てシステム移行を実施しましょう

システム移行には、開発プロジェクトと同等の重要度があります。
システム移行を単なるシステムの変更やデータの移動と軽視してしまうと、トラブルが起こり、事業の損失につながりかねません。

システム移行プロジェクトを成功させるには、移行範囲や対象の明確化が不可欠です。
また従業員や顧客・外注先の協力なしにはスムーズに行えないため、3者との連携体制を整えるのも大切です。

綿密な計画を立て、システム移行を実施しましょう。

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この記事を書いた人
安藤 大海

学生時代にWebサイトを自作したことがきっかけでWebの世界に。制作会社でデザイン、WordPressテーマ開発の実務を経て、テクニカル・ディレクターとして大規模サイト構築のディレクションを経験。2021年からWakka Inc.の日本拠点でWebディレクターとして参画。最近はブロックエディタになったWordPressをもう一度、勉強しています。

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