新規事業の開発手順とITを活用したビジネスモデル8つを徹底解説
こんにちは。Wakka Inc.のWebディレクターの安藤です。
ITを活用して新規事業を立ち上げるためには、どのようなアイデアがあるでしょうか?この記事では、「新規事業を開発するアイデアがなかなか思いつかない」とお悩みの方にアイデアの出し方をお伝えします。
ITを活用したビジネスモデルの事例や、新規事業の立ち上げに役立つフレークワークもまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。
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ITを活用して新規事業を立ち上げるメリット
新規事業を展開すると、既存の事業と相乗効果を得られ技術が向上したり、利益の拡大に繋がったりといった効果が期待できます。
また、新規事業の立ち上げにITを活用すれば、効率よく事業を運営できるでしょう。ITを活用した新規事業のメリットは下記の2つです。
- 売上の増加が見込める
- リスクの分散になる
売上の増加が見込める
ITを活用して新規事業を立ち上げ、軌道に乗った後は、会社全体の売上成長につながります。
新規事業によって、既存事業とは異なる新しい顧客を獲得することで、アップセル・クロスセルなども可能になるからです。
売上が増加すれば営業キャッシュフローも増えるため、多くの選択肢を持てるようになります。既存事業や新規事業の売上を設備や人材などに継続して投資していくことが企業経営の安定や拡大にも繋がるでしょう。
リスクの分散になる
新規事業の立ち上げによって事業リスクの分散になることもメリットの一つです。
一般的に事業を永遠に繁栄させることは難しく、成長事業であっても衰退するときが訪れます。ある事業が衰退してしまったとしても、別の事業から売上があれば会社の衰退リスクを回避できます。
また、ITを活用すると省人化や時間短縮ができ、事業を小さく始められるため、失敗したときの損失も抑えられるのです。
ITを活用した新規事業立ち上げの手順
新規事業を立ち上げるときは、どのような順番で準備を行えば良いのでしょうか。事業の立ち上げの手順を理解することで準備をスムーズに進められます。新規事業の開発の手順は下記の通りです。
- 市場・顧客の課題を見つける
- 競合を分析する
- 何を提供するのかを決める
- 事業目標を立てる
- 戦略を立てる
市場・顧客の課題を見つける
まずは、市場や顧客の課題を分析・発見するところからスタートします。なぜなら、市場や顧客の課題を解決する事業はニーズにマッチしているため、市場に浸透しやすいからです。
顧客の課題を見つける以外に、自社の得意なことや強みを社会に提供する方法もありますが、市場に受け入れられないと失敗してしまう恐れがあります。
顧客の課題を見つけてから、自社の強みを発揮できるようにする方が効果を得やすいでしょう。
競合を分析する
市場や顧客の課題を見つけたら、競合を分析しましょう。競合の情報を分析しないと、差別化ができず市場で優位にビジネスを進められないからです。
また、競合の分析をすると新規事業のアイデアを考える際に役立ちます。競合の分析は、後述するフレームワークを活用すると効率的に進められるでしょう。
何を提供するのかを決める
市場や競合の調査を終えたら、次に提供する商品やサービスを決めます。「社会のニーズや課題に対して何を提供したら事業の価値を高められ、自社の売上を最大化できるのか?」を考えます。
この時、市場の課題に対して自社の強みで解決できるかを考えると、事業に独自性が出るでしょう。
また、参入する市場に既存事業との親和性があれば、既存事業の資源を活かしたサービスを開発できます。
事業目標を立てる
提供するサービスや事業の概要が決まったら、事業の目標を立てます。
- 新規事業を軌道に乗せるにはどのくらいの売上が必要か
- 年間どのくらいの売上が見込めるか
- その事業によって達成したい目的は何か
などを考えていきます。事業目標は積算ではなく逆算して、マイルストーン*を設定していくと良いでしょう。達成したいゴールから逆算して事業目標を立てることで、やるべきことが明確になり、戦略も考えやすくなります。
※マイルストーン……プロジェクトを達成するための中間目標
戦略を立てる
事業目標を考えたら、その目標を達成するための戦略を立てます。戦略を立てずに闇雲にアクションをしても、思うような成果はなかなか出せません。
- 新規事業の認知をどのように獲得するか
- どのように成約率を高めるか
などを決め、戦略に沿ったアクションプランを考えます。アクションプランまで考えたら、ひとつずつ実行していくのみです。新規事業立ち上げのプロセスやフレークワークについてさらに詳しく知りたい場合は、下記の記事も合わせてご覧ください。
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ITを活用した新規事業のアイデアを考える方法
新規事業を考えようと思っても、すぐに新事業や新サービスのアイデアは思いつかないものです。
ここからは、ITを活用した新規事業を考える際にアイデアを出しやすくする手法を、3つの項目に分けてご紹介します。
- フレームワークを使ったアイデア出しの手法
- 会議で使えるアイデア出しの手法
- アイデア出しに使えるその他の手法
それでは順番に見ていきましょう。
フレームワークを使ったアイデア出しの手法
フレームワークはアイデアや戦略を考えるときに、決まったパターンに当てはめて可視化し、誰でも実践できるようにしたものです。
フレームワークとは思考の枠組みを意味しており、思考の整理や状況の分析に適しています。目的によって活用するフレームワークの種類は変わるため、適したものを選びましょう。
今回は新規事業のアイデアを考えるときに使えるフレームワークをご紹介します。
マンダラート(マンダラチャート)
1つ目はマンダラート(マンダラチャート)です。
マンダラートとは3×3の9マスにアイデアを書き込み、思考の整理や発想の拡大を図る思考法です。具体的には3×3の9マスを用意し、中心にテーマを書き、周りのマスに関連したアイデアを記入します。
さらに、その周りのマスを中心にした9マスを描き、また周りにアイデアや思考を記入することで、思考を深掘りし、具体化できるのです。
SWOT分析
SWOT分析(スウォット分析)は、自社の事業やサービスまたは競合のビジネスを分析するためのフレームワークです。
具体的な方法は、下記4つのマトリクスを用意し、自社のサービスについて当てはまるものを記入します。
- 強み(Strength)
- 弱み(Weakness)
- 機会(Opportunity)
- 脅威(Threat)
このマトリクスの組み合わせごとに自社の事業の強みや弱みは何か、事業を展開する機会はあるか、事業をする際の脅威やリスクはあるかなどを考えます。
PEST分析
PEST分析は、下記4つの要素から自社の事業を分析する手法です。
- 政治(Politics)
- 経済(Economy)
- 社会(Society)
- 技術(Technology)
自社事業に影響する外部環境の情報を収集し、マーケティングや経営の戦略を考えるのに適しています。PEST分析によって市場調査もでき、新規事業のアイデアも浮かびやすくなるでしょう。
なおPEST分析をする際は、国が発表している統計データや業界団体が出しているものなど正確な情報を収集するのが望ましいです。新規事業の立ち上げに役立つフレームについては、下記の記事でより詳しく解説しています。
会議で使えるアイデア出しの手法
新規事業のアイデアは黙々と1人で考えるときもあれば、会議など複数人でアイデアを出し合うときもあります。
複数人でアイデア出しをするメリットは、1人のときよりも多くの視点で考えられる点です。複数視点のメリットを十分に活かすために、会議で使えるアイデア出しの例を見ていきましょう。
今回ご紹介する2つの手法は、どちらもアレックス・F・オズボーン氏が考案したものです。
ブレインストーミング
ブレインストーミングは参加者が自由に意見を出し合い、新たな視点やアイデアを整理する発想法です。ブレインストーミングには以下の4つの原則があり、参加者は4原則を守って発言するとより効果を高められます。
- 考えを否定しない、判断をしない
- 自由な発想を歓迎する
- 質より量を重視する
- アイデアを整理して組み合わせる
具体的なやり方は、まず目的やゴールを設定し、次に時間を決めます。目的と時間が決まったら、アイデアを出してまとめていきましょう。参加人数が多すぎても効果が薄れてしまうため、5、6人ほどで実施するのが効果的です。
オズボーンのチェックリスト
次にご紹介するのは、ブレインストーミングの考案者であるアレックス・F・オズボーン氏が提唱したオズボーンのチェックリストです。
オズボーンのチェックリストは9個のチェックリストに従って考えることで、視野を広げられる思考法です。ブレインストーミングでアイデア出しに詰まったらチェックリストを使うと良いでしょう。
最初から使用しても問題ありませんが、ある程度アイデアがあった方がより高い効果を得られます。具体的な内容や考え方の例は下記の通りです。
- 転用や他の使い道はないか?
- 応用できないか?
- 変えてみたらどうか
- 拡大したらどうか
- 小さくしたらどうか
- 代用したらどうか
- 順番や要素を置き換えたらどうか
- 逆にしたらどうか
- 組み合わせたらどうか
アイデア出しに使えるその他の手法
フレームワークやブレインストーミングなどを利用する以外にも、アイデアを出す方法はあります。
- 海外の事例から考える
- ルールを設定する
ここからは、新規事業のアイデア出しに役立つその他の手法を2つご紹介します。
海外の事例から考える
ひとつ目は、海外の事例から考えることです。海外の事例を参照すれば、日本にはない視点やアイデアに触れられます。「海外で成功しているビジネスを日本でも応用できないか?」を考えるだけでも新規事業のヒントになります。
また、海外では当たり前だが日本ではあまり知られていない事柄を取り入れると、新規性や独自性の高い事業ができるでしょう。オズボーンのチェックリストなどの他のフレークワークと組み合わせると、よりアイデアの粒度を高められます。
ルールを設定する
2つ目は、あえてルールを設定することです。
「ルールを決めずに自由に発想して良い」と言われても、意外と思いつかなかった経験はありませんか?
ルールを設定し、思考の範囲を狭めることで、答えが出しやすくなるのです。ルール設定の例は、次のようなものが挙げられます。
- 5人程度で運営できる小規模ビジネス
- 高齢者の方でも簡単に操作できるソフトウェア
- 食品ロスの軽減に貢献できる事業
ITを活用したECビジネスモデルの事例
世の中にはさまざまなビジネスがあるため、情報を整理するには労力がかかるでしょう。ここからは、ジャンルを絞ってビジネスモデルの事例をご紹介します。
- ZOZOTOWN
- ヨドバシカメラ
- 株式会社クラダシ
まずはITを活用した3つのECビジネスモデルの事例を見ていきましょう。
ZOZOTOWN
ZOZOTOWNは日本でトップクラスのファッション通販サイトです。
ECサイトとして有名ですが、ZOZOTOWNが成功した要因はユーザー目線で徹底的に考えられたユーザーインターフェースにあります。ユーザーにとってストレスのないインターフェースが顧客の購買意欲を損なわせないため、高い売上を得られるのです。
また、システムの仕様を自由に変更できるのは、ゼロからシステムを作るフルスクラッチ開発を採用しているからです。
参考:EC太郎のECシステム比較ブログ『ZOZOTOWNに教わるECサイトの売上を劇的にアップする方法』
ヨドバシカメラ
大手の家電量販店であるヨドバシカメラは、ECビジネスモデルでも成功を収めています。細やかなサービスが行き届いた店舗接客によって、ヨドバシカメラのファンになった人も多いでしょう。
ECサイトでも、顧客を大事にしたサービスが行われています。
サイトが使いやすいのはもちろんですが、商品の取り扱い数が多く即日発送に対応している点も、ユーザーの満足度が高い要因です。
参考:テクノロジーでコマースビジネスを支援するWebマガジン『ECサイトが強いヨドバシカメラ!企業の歴史や事業内容・最近の動向を紹介』
株式会社クラダシ
株式会社クラダシはフードロス削減を目的としたソーシャルマーケットで、ユーザーはお得に商品を購入できます。また売上の一部は、環境保護・災害支援などに取り組む団体に寄付される仕組みになっています。
商品を購入した金額に応じて自分の社会貢献度がわかるなど、ユーザーの購入意欲を高める設計も、ECで成功している要因でしょう。
参考:株式会社クラダシ
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ITを活用した継続課金モデルの事例
次に、ITを活用した継続課金モデルの2つの事例をご紹介します。
- Adobe
- Zoom
継続課金モデル(サブスクリプション)は、独自のシステムやソフトウェアを開発してユーザーに提供し、月額や年間払いなどでサービス利用料を請求します。
継続課金モデルはITを活用した事業と相性が良く、売上も安定するのがメリットでしょう。
Adobe
Adobe(アドビ)は、クリエイター用のソフトウェアや電子サインサービス、デジタルマーケティングツールなどのクラウドサービスを提供している企業です。
継続課金モデルでは、テクノロジーの進化に対応しながら、ユーザーに高い価値を届け続けることが求められます。高品質な商品やサービスを提供し続けるからこそ、Adobeは継続課金モデルで成功しているのです。
さらにAdobeでは、継続課金システムによって顧客の行動のデータを分析し、顧客満足度をより高めるために活用しています。
参考:DIGITAL SHIFT TIMES 『売上高は過去最高を記録!アドビに聞く、サブスク成功の鍵。データドリブン経営で顧客満足度をさらに高める』
Zoom
Zoomはオンライン会議ツールを提供している会社です。
昨今リモートワークが増えたため、Zoomの利用者数も爆発的に増加しています。2019年12月時点では全世界で1,000万人だった1日あたりのミーティング参加者数は、2020年4月には3億人に達しました。
基本機能は無料で提供して、オプションに継続課金モデルを採用しているのがZoomの特徴です。通常のビデオ通話は誰でも無料で利用できますが、一回の会議時間など、一部の機能に制限があります。
有料プランを購入すると、プランによって段階的にオプション機能も利用できる仕組みです。
参考:Zoom
ITを新規事業の開発に活かした企業の事例
最後に、ITを新規事業の開発に活かした企業の例を3つご紹介します。
- 株式会社ビースポーク
- 株式会社バカン
- WILLER株式会社
株式会社ビースポーク
株式会社ビースポークは、Bebot(ビーボット)という多言語に対応したAIチャットボットを提供している会社です。元々は、震災などの災害が発生した際の緊急用チャットボットとして提供していましたが、今ではさまざまな業界や行政機関で使用されるツールになりました。
世界的な疫病の大流行や災害時に、リアルタイムで正確な情報を提供するために、世界中からAIの技術者を雇用し独自のソフトウェアを開発しています。
参考:株式会社ビースポーク
株式会社バカン
株式会社バカンは、レストランなどの空席情報をリアルタイムで発信するサービスを展開している会社です。AIやIoTなどを使いさまざまな空席情報を収集し、その情報をユーザーに提供しています。
例えば、大型のショッピングモールではトイレの利用状況を一目で分かるようにし、空いているトイレを探す時間を短縮できるといったサービスを提供しています。
参考:ジェトロ活用事例『株式会社バカン(VACAN,Inc)』
WILLER株式会社
WILLER株式会社は、特定のエリアで目的地までの移動を定額で利用できる自動車の乗り放題サービスmobi(モビ)を展開しています。
AIを駆使して利用者の乗車地から目的地までの最短ルートを割り出す独自アプリを開発して、顧客満足度の高いサービスを実現しました。定額乗り放題プランを利用すれば、契約者の家族もmobiを利用できる利便性も特徴です。
参考:WILLER株式会社
ITを活用した新規事業の成功確率を上げるポイント
独自のITツールやソフトウェアを開発して新規事業をやるからには、成功確率は少しでも上げたいところです。
- 小さくスタートする
- 参入時期を見極める
- ターゲットを明確にする
ここからは、ITを活用した新規事業の成功確率を上げるポイントを3つご紹介します。
小さくスタートする
新規事業は小さくスタートすると良いでしょう。小さくスタートすると、市場やユーザーの反応をテストしながら、サービスを改善できるからです。
例えば本リリースの前に、顧客の課題を解決する最小限の機能を実装したツールでテストをすれば、テスト結果に応じて機能を追加したり、不要な機能を除いたりできます。また小さくスタートすれば、万が一のときのリスクや損失を軽減できるでしょう。
参入時期を見極める
参入時期を見極めるのは簡単なことではありませんが、新規事業の成功確率を高める上で重要な要素です。本格的に参入するかどうかを見極めるポイントは、以下の2点です。
- 小さくスタートし、検証を重ねて確信を強めていく
- 競合他社のサービスの展開状況を分析する
また、SWOT分析やPEST分析を使うのも参入時期を判断するのに役立つでしょう。
ターゲットを明確にする
ターゲット(ペルソナ)が明確になるほど、新規事業の成功確率は高まります。「どのような人にサービスを利用してもらうのか?」が明確になっていないと、システムの仕様やサービスのメリットが、誰にも響かないものになってしまうからです。
市場や競合を分析したら、市場をさらに細分化し、自社のサービスを適切な人に届けられるようにターゲットを明確にしましょう。
新規事業の開発にITを活用しビジネスの価値を高めよう
ITを活用して新規事業を展開すれば、事業の価値を大きく高められ、売上を最大化できる可能性が高まります。独自のソフトウェアやツールを開発し、継続課金モデルで顧客に提供すれ安定的な売上を確保できるでしょう。
自社のECショップを開設して、新たな収益源を確保することも可能です。「自社に合ったITの活用方法がわからない」という場合には、まずは開発や事業展開に精通した専門家に相談するのが良いのではないでしょうか。
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大手企業での新規事業のプロが作った、新規事業企画書・ピッチのテンプレートを配布しています。 社内の新規事業検討の際に、ぜひご活用ください。
▼参考記事
学生時代にWebサイトを自作したことがきっかけでWebの世界に。制作会社でデザイン、WordPressテーマ開発の実務を経て、テクニカル・ディレクターとして大規模サイト構築のディレクションを経験。2021年からWakka Inc.の日本拠点でWebディレクターとして参画。最近はブロックエディタになったWordPressをもう一度、勉強しています。