IT投資なぜ必要?メリットや課題から費用対効果の高い具体例までご紹介
こんにちは。Wakka Inc.のベトナムラボマネージャーの中垣です。
突然ですが、IT投資と聞いて、どのような投資を思い浮かべますか?近年はDXやIoTなどの先端技術が話題ですが、高度で複雑な技術だけがIT投資ではありません。
「IT投資が具体的にイメージできない」
「IT投資をする理由や目的がわからない」
と悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。この記事では、企業のIT投資の現状からメリット・デメリットまで詳しくご紹介します。IT投資についての理解を深め、自社に合った投資を行うためにご活用いただければ幸いです。
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IT投資の現状と動向
IT投資は設備投資の一種です。
IT投資と非IT投資に分けると、非IT投資の方がはるかに多く行われているのが日本の現状です。
出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング『企業のIT投資の現状と今後の見通し〜DXによって期待される企業の変革〜』
上記の図から、IT投資された額は2000年より少し前から横ばいで推移しているのがわかります。IT投資の内訳を見ると、ソフトウェアなどの無形のものの方が投資額が多く、増加傾向にあります。
一方で、ハードウェアや機材などの投資額は減少気味です。
近年、クラウドサービスやその他のITサービスが充実していることが、有形のものへの投資額が減少している理由と考えられるでしょう。
IT投資に活発化の兆し
先ほどIT投資額は横ばいで推移していると説明しましたが、IT予算額で見ると、感染症の流行で下降しているものの緩やかに回復傾向にあります。
出典:ITR『IT投資動向調査2022』
つまり、IT投資に活発化の兆しがあると考えられるでしょう。
また、2021年では予算額を実績値が上回っています。実績値が上回った要因としては、
- 感染症の流行による在宅勤務システムの導入
- テレワークを円滑にするためのITツールの導入
など、テレワーク環境の整備が急務だったことが挙げられます。
国もIT投資を推している
内閣府は、サイバー空間と現実を高度に融合したシステムで社会の課題解決を目指すSociety5.0を提唱しています。
しかし、日本はデジタル活用において、環境の整備がまだ十分ではありません。政府はデジタル社会の実現のため、2021年9月1日にデジタル庁を設立しました。デジタル庁は下記を方針としています。
- 国民生活の利便性を向上する
- 官民の業務を効率化する
- データを最大限活用する
理想的なデジタル社会は一朝一夕では実現できないため、政府は今後も長期的にDXやIT投資を推し進めていくでしょう。また、2022年9月現在ではIT投資を支援する取り組みとして、下記の補助金が交付されています。
- IT導入補助金
- ものづくり補助金
補助金の活用も検討されている場合は、スケジュールや期間をよくご確認ください。
IT投資をした方が良い理由
なんとなくIT投資の必要性は感じていても、今ひとつ導入に踏み切れない方も多いのではないでしょうか?
IT投資は、経営者がその必要性をしっかりと理解し、「自社がなぜIT投資をするべきなのか?」その理由や目的を明確にすることが大切です。企業がIT投資をした方が良い理由は以下の2つです。
- 事業の成果を最大化するため
- 競争の激しい市場で生き残るため
事業の成果を最大化するため
1つ目の理由は、事業の成果を最大化するためです。
新しいソフトウェアを導入し、業務の効率が向上すれば、従来の作業にかかる時間を短くできます。また、作業の時間を短くできれば、より少ない人数で成果が出せるようになるでしょう。
さらに、IT投資によって技術レベルやサービスの質も上がり、売上の増加も見込めます。
つまり、IT投資によって、少ない労力で多くの価値を生み出せるようになるため成果を最大化できるのです。
競争の激しい市場で生き残るため
2つ目の理由は、競争の激しい市場で生き残るためです。
時代の変化に対応し、価値を提供し続ける企業は投資をし続けています。IT技術の進化に合わせて、使用しているツールもアップデートすることになるため、持続的にIT投資をすることは必須です。
もし投資をやめると、技術や情報セキュリティの観点で不具合が生じ、価値の提供が難しくなるため、衰退してしまうと考えられます。しかしながら、先行きが見通せないから投資に慎重になっている企業も少なくありません。
後述しますが、IT投資はスモールスタートが可能なため、小さく始めてリスクを軽減しつつ、少しずつアップデートしていくと良いでしょう。
IT投資の具体例
ここまで、IT投資の現状と投資をするべき理由について解説しました。さらに理解を深めるために、IT投資の具体例を見ていきましょう。IT投資は、目的別に見ると大きく2種類に分けられます。
- 業務の効率やセキュリティを整え、事業を安定的に稼働するための投資
- 先端技術などを活用し、新サービスを展開するための投資
そして、IT投資の分類は下記の4種類です。
- ハードウェアへの投資
- ソフトウェア・IT投資サービスへの投資
- 情報セキュリティへの投資
- その他の投資
ハードウェアへの投資
ハードウェアへの投資は
- パソコンやサーバーの購入
- ルーターの購入
- タブレット・スマートフォンの購入
- 端末の修理や買い替え
- リースにかかる費用
などが挙げられます。ハードウェアに投資すると、パソコンなどの性能がよくなるため、作業の効率やセキュリティの強化などが期待できます。
ソフトウェア・ITサービスへの投資
ソフトウェアやITサービスへの投資には次のものが含まれます。
- 業務支援ツールなどの導入費用
- 自社専用システムの開発費用
- 情報の管理・共有ツール
- クラウドサービス
上記に投資をすると業務の改善や既存のサービスに新たな価値をつけられ、サービス品質の向上につながるでしょう。
情報セキュリティへの投資
情報セキュリティへの投資には次の2つが含まれます。
- ウイルス対策ソフトの購入
- セキュリティリテラシー※向上のための研修
セキュリティへの投資は優先度が低くなりがちですが、非常に重要な投資ポイントです。
※セキュリティリテラシー……セキュリティーに関する正しい知識。適切に活用できる技術
その他の投資
その他の投資は下記のものが挙げられます。
- 通信回線の費用
- 自社システムの管理・運用費用
上記に対する投資は導入したシステムやハードウェアの動作に影響するため、忘れてはならない要素です。
DX進め方ガイドブック
>DXプロジェクトを検討している担当者の方に向けて、失敗しない社内体制の構築から開発リソース確保までを網羅して解説しています。
IT投資をするメリット
ここからは、IT投資をした場合のメリットとその先に得られる価値について解説します。使用するツールやシステムによっても得られる効果は変わりますが、業務の効率化やコスト削減においては次のようなメリットがあります。
- 業務を効率化できる
- スモールスタートできる
- コストを最適化できる
- 販促力を拡大できる
詳しく見ていきましょう。
業務を効率化できる
1つ目のメリットは業務の効率化です。
- スペックの高いパソコンを導入する
- 業務を支援するツールを導入する
- 自社の業務に合わせたアプリケーションを開発する
などによって業務の効率化が期待できます。効率よく働けるようになれば、1つのタスクにかかる時間を減らせます。
またITツールの使用により、業務の一部を自動化できるのもあり、人が行う業務の総量が減るため、社員の負担を軽減できるでしょう。
社員の負担が減れば、業務にかかる心理的なストレスも緩和し、社員の満足度も向上する可能性があります。
スモールスタートができる
2つ目のメリットはスモールスタートができることです。ITツールやアプリケーションは豊富にあるため、費用を予算に合わせて選べます。また、十分に実用的な無料ツールも少なくありません。
システム投資のコストを小さくできれば、もしツールが業務に合わなかったときに、他のツールへの切り替えが容易です。
また、投入した費用を抑えられれば回収期間も早いでしょう。そして、小さく始められるシステム投資は、費用対効果が高いです。
コストを最適化できる
3つ目のメリットはコストの最適化ができる点です。
ITツールの活用で様々なデータを収集できます。収集したデータを分析すれば「部署や業務ごとにどれくらいのコストが発生しているか?「かけているコストが適正かどうか?などがわかります。
コストの最適化により、利益を生みやすくなり健全な経営を目指せるでしょう。
販促力を拡大できる
4つ目のメリットは販促力の拡大が期待できることです。
マーケティングツールや営業を支援するツール、SNSなどを利用すれば、認知や集客を強化できるため販促力の拡大が期待できます。
また、複数のツールを組み合わせることで販促力はさらに強化されるでしょう。販促力の拡大は売上や利益の向上につながり、経営の選択肢を広げられます。
IT投資のデメリット
IT投資には業務の効率やコストが最適化するといったメリットがある一方で、デメリットもあります。
デメリットによってIT投資の良し悪しの判断が難しくなり、IT投資に対して消極的になるケースも少なくありません。IT投資のデメリットは以下の3点です。
- 投資の効果を検証しにくい
- かかるコストの種類が多い
- すべての課題を解決できるわけではない
投資効果を検証しにくい
労働時間や人件費、生産性などの数値で表せるものは評価がしやすいです。
しかし、効果の定義が定まっていないものや要因が1つに絞りにくいもの、定性的なものは検証しにくいです。
単純にお金の費用だけでなく、管理や社内ヘルプデスクなどの表面化しないコストが把握しにくいため、効果を検証しにくいと考えられます。
また、複数のツールを組み合わせている場合、全体では評価しやすいですが、個別のツールがどの程度影響しているかが検証しにくい問題もあります。
効果が検証しにくいものも存在するため、IT投資をする前に効果の定義や効果を検証するための指標を定めておきましょう。
かかるコストの種類が多い
ITツールを導入するためには初期費用や管理・運営のコストがかかります。
IT投資を積極的に行うのは良いことですが、使用するツールが増えるとコストの種類も多くなり、一つひとつを正確に把握するのが難しくなります。
数多くのツールを使用していて費用を把握しきれず、予想以上に費用がかかってしまっている事例も少なくありません。
IT投資を行うタイミングで、初期費用とランニングコストを記録・整理して見直す仕組みを整えると良いでしょう。
すべての課題を解決できるわけではない
ITツールで解決できるものには限りがあります。
例えば人の感情や思考を理解したり、人間関係の悩みを解決したりすることは難しいです。しかし、課題を細分化し、一部の課題をITツールを駆使して解決することは可能でしょう。
解決したいことや実現したいことが明確になっていない場合、自社に適さないツールを導入したり非効率な運用をしたりして、IT投資の恩恵を十分に受けられないケースもあります。
「何を解決したいのか?」「何のためにIT投資をするのか?」といった目的を明確にすることが大切です。
まとめ|IT投資なくして事業の成長なし
もはやITとビジネスは切り離せない時代になりました。ITの力を活用せずに事業を成長させるのは非常に困難でしょう。IT投資をし続ける会社は時代の変化に対応でき、成長を続けて市場で勝ち残る可能性も上がります。
先端技術や大がかりなシステムを導入するだけがIT投資ではありません。これまでよりスペックの高いパソコンを導入するだけでも、立派なIT投資といえます。
長期的な視点を持ち、適切なIT投資によって自社のビジネスを発展させましょう。
DX進め方ガイドブック
>DXプロジェクトを検討している担当者の方に向けて、失敗しない社内体制の構築から開発リソース確保までを網羅して解説しています。
WebメディアでPGから管理職まで幅広く経験し、Wakka Inc.に参画。Wakka Inc.のオフショア開発拠点でラボマネジャーを担当し、2013年よりベトナムホーチミンシティに駐在中。最近では自粛生活のなかでベトナム語の勉強にハマっています。