システム開発におけるドキュメント管理の重要性とは?メリットやツール選びも解説


こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
システム開発の現場では、要件定義から設計・テスト・運用まで、多くの書類が発生します。
こうした資料を適切に管理しなければ、情報の行き違いや作業効率の低下につながり、プロジェクト遅延や品質低下を招くリスクがあります。
そのようなときに重要になるのがドキュメント管理です。
本記事では、システム開発におけるドキュメント管理の重要性から、具体的な管理手法を詳しく解説します。
さらに、ドキュメント管理を効率化するためのおすすめツールまで紹介するので、ぜひ参考にしてください。
※記事内で紹介しているツールの情報は、2025年9月時点での内容です。利用料やプランなどは変更となる可能性もあるため、最新情報は公式ページでご確認ください。
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なぜ今、システム開発でドキュメント管理が重要なのか

システム開発におけるドキュメント管理は、単に記録を残す作業ではありません。
プロジェクトの達成を左右する、極めて重要な戦略的活動と位置づけられています。
適切なドキュメント管理は、チーム内の円滑な情報共有を促し、仕様の認識齟齬や手戻りを防ぎます。
また、要件定義からテストに至る各工程で作成される書類は、品質保証を支えるシステム開発の根幹です。
さらに、プロジェクトで得た知識やノウハウを知識資産として蓄積することで、担当者の異動や退職による属人化が防止できます。
結果として、組織全体の開発力を底上げすることにもつながるのです。
システム開発で必要な主なドキュメントの種類

システム開発のプロジェクトでは、ライフサイクルの各段階に応じてさまざまなドキュメントが作成されます。
こういったドキュメントは、プロジェクトの関係者間で情報を正確に伝え、認識を合わせるために不可欠です。
まずは、開発の各工程で作成される代表的なドキュメントと各役割について解説します。
※表は、横にスクロールできます
フェーズ | ドキュメント名 | 主な目的と内容 |
---|---|---|
企画・提案 | RFP(提案依頼書) | クライアントが開発企業にシステム開発の提案を依頼するための書類。背景・目的・要件・予算・スケジュールなどを記載する。 |
要件定義 | 要件定義書 | クライアントの要求を整理し、システムが実現すべき機能や性能などを明確に定義する。開発のゴールを定めるもっとも重要な書類の一つ。 |
設計 | 基本設計書 | 要件定義書を基に、システムの全体像や主要な機能・画面構成・データベース構造など、外部から見た仕様を設計する。 |
設計 | 詳細設計書 | 基本設計書を基に、プログラマーが実装できるようモジュール内部の処理やロジックなど、より詳細な内部仕様を設計する。 |
テスト | テスト仕様書・報告書 | システムが要件通りに動作するかを確認するためのテスト計画、手順、期待される結果などをまとめた書類です。実施後の結果も報告書としてまとめる。 |
リリース・運用 | 運用マニュアル | システムの日常的な運用手順や監視方法、トラブル発生時の対応手順などをまとめたもの。運用担当者が参照する。 |
RFP(提案依頼書)
RFP(Request for Proposal)は、システム開発を発注する企業が、開発を依頼したいベンダーに対して具体的な提案を求めるために作成する文書です。
プロジェクトの背景や目的、解決したい課題・予算感・開発スケジュールなどを詳細に記載します。
質の高いRFPを作成することは、自社要求に合ったベンダーからの的確な提案を引き出せるため、最適なパートナー選定につながります。
要件定義書
要件定義書は、開発するシステムが「何を」「どこまで」実現するのかを定義する、プロジェクトの憲法とも言える書類です。
クライアントの要求をヒアリングし、業務要件や機能要件、非機能要件(性能・セキュリティなど)を明確に文書化します。
以上の書類が、開発チームとクライアント双方の合意を支える基盤となり、後工程に発生する認識ズレや仕様変更に伴う手戻りを防ぐ上で非常に重要な役割を持ちます。
基本設計書
基本設計書は、要件定義書で定められた内容を基に、システムの全体的な構造や仕様を決定する書類です。
ユーザーが直接触れる画面レイアウトや操作フロー(UI/UX設計)、システム間の連携方式、使用するデータベースの構造などを定義します。
主にユーザーやクライアントがシステムの振る舞いを理解するために作成されるため、「外部設計書」とも呼ばれます。
詳細設計書
詳細設計書は、基本設計書の内容をさらに掘り下げた内容の文書です。
プログラマーが迷いなくコーディング作業に入れるように、システム内部の構造が記述されています。
主にプログラムの各モジュールが持つ機能や処理順序、データ構造、クラス間の関係などを詳細に記載する書類です。
開発者向けの技術的な内容が中心となるため、(内部設計書)とも呼ばれます。
テスト仕様書・報告書
テスト仕様書は、開発したシステムが要件定義を満たしているか、不具合がないかを確認するためのテスト計画や手順をまとめた書類です。
テストケースや使用するデータ、実施手順、正常判定の基準などを具体的に記述します。
テスト実施後は、判断結果をテスト報告書としてまとめ、システムの品質を客観的に評価してリリース判断の材料とします。
運用マニュアル
運用マニュアルは、完成したシステムを日々安定して稼働させるために、運用担当者が必要とする情報をまとめた書類です。
システムの起動・停止手順や定期的なバックアップ方法、データの監視項目、トラブル発生時における一次対応手順などが含まれます。
運用マニュアルがあることで、担当者が変わってもスムーズな引き継ぎが可能となり、システムの安定運用を実現します。
DMS(ドキュメント管理システム)とは

DMSは、Document Management Systemの略で、ドキュメント管理システムや文書管理システムとも呼ばれます。
プロジェクトで使用する設計書や報告書、マニュアルなどの文書を一元管理するための仕組みです。
ファイル保存・検索・閲覧・更新履歴の管理を効率化できるため、開発チームや関係者間での情報共有がスムーズになることがメリットです。
また、バージョン管理やアクセス権限の設定により、誤った情報の参照や情報漏えいも防げます。
結果として、手戻りや認識のズレを減らし、プロジェクトの品質とスピード向上に貢献します。
社内Wikiの活用で開発効率を高める
DMSの中でも、特に開発チームで広く活用されているのが「社内Wiki」です。
社内Wikiは、チームの知識を共有し、組織全体の生産性を向上させられる強力なツールです。
設計方針や開発手順、過去のトラブル事例などをリアルタイムで更新・参照できるため、個々の開発者が迷わず作業を進められます。
さらに、DMS(ドキュメント管理システム)と併用することで、公式文書と日々の知見を効率的に管理できるため、開発効率の大幅な向上につながります。
また、社内Wikiには検索機能やタグ付け機能が備わっており、必要な情報を素早く見つけられるため問題解決のスピードも上がるでしょう。
代表的なドキュメント管理・社内Wikiツール

ドキュメント管理を効率化するためには、ツールの活用が不可欠です。
ここでは、システム開発の現場で広く利用されている代表的なツールをご紹介します。
各ツールのメリット・デメリットを比較し、自社のプロジェクト規模や文化に合ったものを選びましょう。
※表は、横にスクロールできます
ツール名 | 特徴 | このようなチームにおすすめ |
---|---|---|
Notion | 高いカスタマイズ性と多機能性。DB機能でタスク管理からドキュメント管理まで一元化可能。 | 自由度の高い環境で、情報を柔軟に整理・活用したいチーム。 |
Confluence | Atlassian製品(Jiraなど)との強力な連携が魅力。体系的なナレッジベース構築に強い。 | アジャイル開発を採用し、Jiraをメインで利用している開発チーム。 |
NotePM | シンプルな操作性と強力な検索機能。テンプレート機能も豊富で、ドキュメントの標準化を推進。 | ITツールに不慣れなメンバーでも使いやすいツールを求めるチーム。 |
ONES Wiki | AIを搭載し、ドキュメントの自動生成や要約が可能。開発ドキュメント管理に特化。 | ドキュメント作成の工数を削減し、最新技術を活用したいチーム。 |
Google Workspace / Dropbox | 汎用的なクラウドストレージ。Office系ドキュメントとの親和性が高い。 | 主にOfficeファイルでドキュメントを管理しており、シンプルなファイル共有を求めるチーム。 |
システム開発を検討されている方に向けてすぐに使える『RFP(提案依頼書)テンプレート』をご用意!
編集しやすいパワーポイント形式のテンプレートなので、項目を埋めるだけで簡単にRFPが作成できます。

Notion
Notionは、ドキュメント作成・データベース・タスク管理など、さまざまな機能をブロックのように組み合わせて使える非常に自由度の高いツールです。
議事録から複雑なプロジェクト管理ボードまで、あらゆる情報を一つの場所で管理できるのが大きな強みです。
一方で、自由度の高さから、チーム内でルールを決めないと、かえって情報が混乱する恐れもあります。
参考:Notion公式
Confluence
Confluenceは、アジャイル開発ツール(Jira)との連携に優れており、開発プロジェクトのドキュメントを一元管理するのに最適なツールです。
豊富なテンプレートや強力な編集機能により、要件定義書や議事録などを体系的に整理できます。
JiraのチケットとConfluenceのページを紐づけることで、開発背景や仕様をスムーズに追跡できる点が大きなメリットです。
(※Jiraのチケットとはプロジェクト管理ツール上で管理されるタスクや作業単位のこと)
参考:Confluence公式
NotePM
NotePMは「社内の知りたいことがすぐに見つかる」をコンセプトにした、シンプルで使いやすい社内Wikiツールです。
Markdownに対応した高機能エディタや、柔軟なアクセス制限、強力な検索機能が特徴です。
特に、WordやExcelファイルの中身まで全文検索できるため、既存のドキュメント資産を有効活用したい企業に適しています。
参考:NotePM公式
ONES Wiki
ONES Wikiは、システム開発のドキュメント管理に特化したWikiツールです。
AIアシスタント機能を搭載しており、ドキュメントの自動生成や要約、翻訳などをサポートしてくれます。
開発プロセスに沿ったテンプレートが用意されており、品質の高いドキュメントを効率的に作成できる点が魅力です。
参考:ONES Wiki
Google Workspace/SharePoint/Dropbox
Google Workspace(Googleドライブ)やMicrosoft SharePoint・Dropboxは、主にファイルストレージとして利用されることが多いですが、ドキュメント管理の基盤としても機能します。
特に、GoogleドキュメントやMicrosoft Office製品を使用している場合、シームレスに連携できます。
ただし、こちらのツールは汎用的なので、バージョン管理や情報同士の関連付けといった専門ツールが持つ高度な機能は限定的です。
参考:Google Workspace/SharePoint/Dropbox
ドキュメント管理システムを活用するメリット

ドキュメント管理システム(DMS)を導入することは、単にファイルを整理する以上の多くのメリットをプロジェクトにもたらします。
煩雑な手作業から解放され、チーム全体の生産性を向上させられます。
DMSがもたらす具体的なメリットを5つの側面から見ていきましょう。
業務効率が向上する
ドキュメント管理システムのメリットは、業務効率の大幅な向上です。
強力な検索機能により、必要なドキュメントを瞬時に見つけ出せます。
従来、資料を探すのに費やしていた時間を、企画立案や分析などのより創造的な作業に充てられるようになります。
また、ワークフロー機能を活用すればドキュメントのレビューや承認プロセスを自動化できるので、担当者の負担を軽減し待ち時間の削減も可能です。
進捗状況の可視化にも貢献してくれるため、チーム全体の生産性向上につながります。
ペーパーレス化でコスト削減できる
ドキュメントを電子データとして一元管理することで、ペーパーレス化が促進され、直接的なコスト削減とオフィスコスト削減に大きく貢献します。
また、紙代・インク代・印刷機の維持費といった経費が削減されるだけでなく、書類を保管するための物理的なスペースが不要になる点もメリットです。
例えばキャビネットや倉庫などが不要になるため、賃料や管理費といった間接的なコストも削減できます。
さらに、電子化されたデータは検索性が向上し必要な情報に迅速にアクセスできるので、業務効率化にもつながります。
環境負荷の低減にも貢献できるため、業務効率を向上させるには非常に有効な手段です。
高度なセキュリティで情報漏えいリスクを低減できる
多くのドキュメント管理システムは、高度なセキュリティ機能を実装しており、情報資産を保護する上で非常に有効です。
ユーザーやグループ単位で詳細なアクセス権を付与できるため、特定のドキュメントに対する操作権限を厳密にコントロールできます。
そのため、「誰がどのドキュメントを閲覧・編集・削除したか」といった操作情報も詳細に管理できるようになります。
さらに、システムは操作ログを自動的に記録するため、万が一の情報漏えいが発生した場合でも迅速な原因究明と対策が可能です。
こうしたセキュリティ機能は、内部不正や外部からの攻撃に対する抑止力として機能し、組織全体の情報セキュリティレベルを向上できることがメリットです。
ナレッジマネジメントの促進につながる
ドキュメント管理システムは、組織の知識を集約し、活用するための強力な基盤です。
各担当者が持つノウハウや過去プロジェクトの教訓をシステム上に蓄積することで、個人知識が組織全体の共有資産に変わります。
結果として、組織は経験に基づいた意思決定を行い、リスクを軽減し成功事例が再現できるようになるのです。
新しく参加したメンバーも、過去のドキュメントを参照することで迅速に業務を理解でき、教育コスト削減や早期の戦力化に貢献します。
さらにドキュメント管理システムは、情報検索やバージョン管理・アクセス権限制御など幅広い機能を提供し、組織全体の生産性向上を促進します。
コンプライアンスの遵守やリスク管理ができる
コンプライアンス強化には、ドキュメントライフサイクル管理と監査証跡記録が不可欠です。
ISO認証取得や業界規制対応時、迅速な証跡提出で監査工数を削減し信頼性を高めます。
変更履歴管理や厳格なアクセス権限設定、バージョン管理機能は情報漏えいリスクを低減し、セキュリティレベルを向上させます。
加えて、文書の分類体系を構築し検索性を高めることで、必要な情報へ迅速にアクセスできることもメリットです。
また、従業員への継続的な教育を実施し、情報セキュリティ意識の向上を図ることも重要です。
ドキュメント管理システムを活用するデメリット

ドキュメント管理システムの導入は多くのメリットをもたらしますが、一方で考慮すべきデメリットや課題も存在します。
導入を無事達成させるには、こういった点を事前に理解し、対策を講じることが重要です。
以下では、主なデメリットを3つ紹介します。
導入・運用コストがかかる
高機能なドキュメント管理システムを導入する際には、初期費用や月額のライセンス費用が発生することを念頭に置く必要があります。
特に、自社サーバーにシステムを構築するオンプレミス型を選択した場合は、サーバー自体の購入費用や維持費用も必要となるため、初期コストは大きくなる傾向があります。
そのため、導入前に費用対効果を慎重に見極め、自社のプロジェクトの規模や予算に最適なツールを選定することが非常に重要です。
導入後の運用コストも考慮し、長期的な視点で比較検討を行いましょう。
また、クラウド型のシステムも選択肢に入れることで、初期費用を抑えつつ最新の機能を利用できる可能性があります。
各ベンダーの提供する無料トライアルなどを活用し、実際に操作感を確かめることも有効です。
更新が滞るリスクがある
ツールを導入しても、活用する文化が根付かなければ、ドキュメントの更新は滞ってしまいます。
開発作業が優先されドキュメントのメンテナンスが後回しにされると、情報はあっという間に古くなり、誰も使わないシステムになってしまう危険性があります。
ドキュメントを更新するルールをチームで定め、継続的に実践することが不可欠です。
また、更新ルールだけでなく、ドキュメントの重要性をチーム全体で理解し共有しましょう。
さらに、ドキュメント更新を評価する仕組みを導入し、貢献者を評価することも有効です。
そうすることで、ドキュメント更新に対するモチベーションを維持し、システムを常に最新の状態に保てます。
習慣化が難しい
新しいツールやプロセスを導入する際には、変化に対する抵抗が生まれることも想定しておきましょう。
なぜなら、メンバーが新しいツールの操作方法を覚える必要があったり、今までのやり方を変えることに戸惑ったりするケースもあるからです。
導入の目的とメリットをチーム全体で共有し、ツール使用の習慣化をしっかりとサポートしましょう。
また、トレーニングやサポート体制を充実させ、スムーズな移行を支援することが重要です。
成功事例を紹介したり、疑問や懸念に丁寧に対応することで、チーム全体の理解と協力を得ることが大切です。
変化に対する抵抗を最小限に抑え、新しいツールやプロセスを効果的に活用するためには、以上の取り組みを必ず行いましょう。
ドキュメント管理システムを選ぶ際のポイント

自社のプロジェクトに最適なドキュメント管理システムを選ぶためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
単に機能が多いだけではなく、自社の目的やチームの状況に合っているかを見極めることが重要です。
以下の項目では、選定時に確認すべき5つのポイントを解説します。
※表は、横にスクロールできます
選定ポイント | 確認事項 |
---|---|
目的と必要な機能 | ・なぜシステムを導入するのか。 ・課題解決に必要な機能(検索、バージョン管理、権限設定など)は何か。 |
使いやすさとサポート体制 | ・ITに不慣れなメンバーでも直感的に使えるか。 ・導入時や運用中のサポートは充実しているか。 |
導入形態とコスト | ・クラウド型かオンプレミス型か。 ・初期費用と月額料金は予算内に収まるか。 |
セキュリティ対策 | アクセス制限・暗号化・IPアドレス制限など、自社のセキュリティポリシーを満たしているか。 |
他システムとの連携 | チャットツール(Slackなど)やプロジェクト管理ツール(Jiraなど)と連携できるか。 |
目的と必要な機能を明確にする
ドキュメント管理システムを選ぶ際は、目的を明確にすることが重要です。
まずは、「なぜドキュメント管理システムを導入するのか」といった目的を明確にしましょう。
「属人化を防ぎたい」「保管場所を集約したい」「セキュリティを強化したい」「コストを削減したい」「業務効率を改善したい」など、解決したい課題によって必要な機能は異なります。
目的を明確にすることで、多機能なツールに惑わされることなく、自社にとって本当に必要な機能を備えたシステムを選べるようになります。
使いやすさとサポート体制を確認する
どのように高機能なシステムでも、実際に使うメンバーが使いこなせなければ意味がありません。
特にITツールに不慣れなメンバーがいる場合は、直感的なインターフェースでマニュアルがなくても操作できるようなツールが望ましいです。
無料トライアル期間などを活用して、実際に複数人で操作感を試してみることをおすすめします。
また、導入後のサポート体制が充実しているかも重要なポイントです。
導入後における研修制度やヘルプデスクの対応時間、FAQの充実度などもしっかりチェックしておきましょう。
導入形態(クラウド型orオンプレミス型)とコストを比較する
ドキュメント管理システムには、主にクラウド型(SaaS)とオンプレミス型があります。
クラウド型は初期費用を抑えられ、すぐに利用開始できる手軽さが魅力です。
導入も容易で、場所を選ばずにアクセスできるため、リモートワークにも最適です。
一方、オンプレミス型は自社サーバーで運用するため、セキュリティポリシーに合わせた柔軟なカスタマイズが可能ですが導入・運用コストが高くなる傾向があります。
また、初期投資に加え、運用保守の人員も必要です。
ドキュメント管理システムを導入する際は、自社の予算やセキュリティ要件に合わせて最適な形態を選びましょう。
十分なセキュリティ対策が備わっているか確認する
システム開発のドキュメントには、企業の機密情報や顧客に関する個人情報が含まれることも少なくありません。
そのため、堅牢なセキュリティ対策は必須の要件です。
万が一情報が漏えいした場合、企業の信用失墜や法的責任につながるリスクも考慮しなければなりません。
アクセスログの管理・IPアドレスによる接続制限・二要素認証・データの暗号化など、自社が求めるセキュリティレベルを満たしているか、事前に確認しましょう。
セキュリティ対策は、企業と顧客の信頼を守るための重要な投資です。
情報漏えいを防ぎ、事業継続性を確保するためにも、セキュリティ対策は必ずしておきましょう。
他システムとの連携機能が充実しているか確認する
ドキュメント管理システムを単体で使うのではなく、すでに利用している他のツールと連携させることで、業務効率は飛躍的に向上し、競争力も高まります。
例えば、SlackやMicrosoft Teamsなどのチャットツールと連携すれば、ドキュメントの更新通知をリアルタイムで受け取ることができ、迅速な対応が可能です。
また、JiraやBacklogといったプロジェクト管理ツールとの連携ができれば、タスクと関連ドキュメントを紐づけて管理できるようになり情報の一元化と共有が促進されます。
以上の取り組みによって、業務効率が飛躍的に向上するでしょう。
活きたドキュメントを作成・維持する3つの原則

ツールを導入するだけでは、ドキュメント管理の問題は解決しません。
本章では、「活きたドキュメント」を作成・維持するための3つの原則をご紹介します。
標準テンプレートで品質と一貫性を担保する
ドキュメントの品質を保ち、誰が読んでも理解しやすいものにするためには、テンプレートの活用が非常に有効です。
議事録・設計書・報告書など、ドキュメントの種類ごとに標準的なテンプレートを用意しましょう。
そうすることで、記述すべき項目が明確になり作成者による品質のバラつきが防げるため、一貫性のあるドキュメントを効率的に作成できます。
テンプレートを組織全体で共有し、定期的に見直すことで、さらなる品質向上が図れます。
また、トレーニングを実施して、テンプレートの利用方法を周知徹底しておきましょう。
変更履歴を追えるようにする
システム開発において、仕様の変更はつきものです。
ドキュメントが「いつ」「誰によって」「どのように」変更されたのかを追跡できる仕組みは不可欠です。
変更履歴を詳細に記録し、変更理由や影響範囲を明示することで、手戻りを減らし開発効率を向上させられます。
Gitのようなバージョン管理システムを利用したり、ドキュメント管理ツールのバージョン管理機能を活用したりしましょう。
そうすることで、常に最新版を明確にでき、必要に応じて過去の版との差分を確認できます。
レビュー体制を整えて誰でも対応できるようにする
ドキュメントの属人化を防ぎ、品質を高めるためには、作成者以外のメンバーによるレビュープロセスを確立することが重要です。
書かれた内容に誤りや曖昧な点がないか、第三者の視点でチェックすることで、ドキュメントの客観性と正確性が向上します。
レビューを文化として定着させることによって、チーム全体の知識レベルが平準化され、担当者が不在でも他のメンバーが対応できる体制が構築されます。
また、継続的な改善を促せば、より洗練されたドキュメント作成も可能です。
まとめ:最適なドキュメント管理でプロジェクトの成功確率を高めよう

本記事では、システム開発におけるドキュメント管理の重要性から具体的な手法、そして「活きたドキュメント」を維持するための原則までを解説しました。
適切なドキュメント管理は、単なる事務作業ではなくプロジェクトの品質やコスト、納期を左右する重要なマネジメント活動です。
情報が整理され、チーム全員がいつでも必要な情報にアクセスできる環境は、コミュニケーションコストの削減と生産性の飛躍的な向上をもたらします。
まずは、自社のプロジェクトが抱える課題を洗い出し、できるところから改善を始めてみましょう。
最適なドキュメント管理体制の構築が、プロジェクト達成への一歩となります。
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