デプロイとリリースの違いとは?ビルドの意味、進め方についても解説
こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
スマホやPC上で利用しているSaaSやスマホアプリなどのサービスは、機能やセキュリティ面を向上するために定期的にアップデートされています。
そのアップデートにあたって、デプロイとリリースという言葉を用いて表現する場合があります。
これらの言葉は、アプリケーションのサービスを一般公開するといった意味だと認識はしているものの、違いについては曖昧な部分があるのではないでしょうか。
本記事では、デプロイとリリースにどのような違いがあるのか、また、イメージしやすいようにそれぞれを行う方法の例について解説します。
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デプロイとは
デプロイとは、実行ファイルをシステム上に配置することです。
実行ファイルには、アプリケーションのアップデートや機能変更をするためのプログラムが含まれています。
デプロイの過程では、テスト環境への実装、テスト、本番環境へのシステム実装といった作業が行われます。
コンピューターが理解しやすい機械語ファイルに変換(コンパイル)して、1つにまとめるビルドという作業もデプロイに伴う作業の一つです。
テスト環境では、実行ファイルをシステムに配置し、プログラムを実際に動かして動作確認を行っていきます。
具体的なチェック項目は、既存システムとの互換性や不具合・エラーの有無、稼働中の環境への影響などです。
稼働中のシステムへのデプロイでは、実行ファイルの配置のみが行われます。
リリースとは
いつデプロイ・リリースを行うのか?
デプロイ・リリースにあたっては、いつ行うのか、というタイミングが重要になります。
デプロイはテスト環境で問題がないことが確認できれば、本番環境への展開に進む段階です。
その際、リリースを実施するタイミングについても決定していきます。
デプロイ・リリースを行うためには、稼働環境を止めなければならない場合があります。
ユーザーが利用中にプログラムが止まってしまうといった影響を避けるためにも、事前にシステムメンテナンスのアナウンスを行うことも欠かせません。
デプロイの方法
デプロイとリリースについて、大枠での違いは分かったのではないでしょうか。
ここからは、デプロイをどのような方法で行うのか具体的な手法を解説していきます。
デプロイの主な方法としては、以下の4つがあります。
- ブルーグリーンデプロイメント
- イミュータブルデプロイメント
- ローリングデプロイメント
- シンボリックデプロイメント
一つひとつを詳しく見ていきましょう。
ブルーグリーンデプロイメン
ブルーグリーンデプロイメントとは、現在稼働中の環境ではなく、別の環境を作り、そこで新しいプログラムをデプロイしてから稼働中の環境と切り替える方法のことです。
具体的には、稼働中の環境をブルーとし、ブルー環境を継続したまま、新しいグリーン環境でサービスやアプリケーションをデプロイします。
デプロイが完了した段階でブルーからグリーンに切り替え、新しい環境を稼働させます。
この手法の大きなメリットは、別の環境でデプロイすることで稼働中のシステムに与える影響を抑えられる点です。さらに、瞬時にシステムを切り替えられるため、サービスの停止時間が発生しません。
また、新しい環境で問題が発生した場合でもすぐにブルーに切り戻しができるので、システムの停止を防ぐことができます。
イミュータブルデプロイメント
イミュータブルデプロイメントは、ブルーグリーンデプロイメントに似た手法ですが、いくつか異なる特徴があります。
この方法では、現在の稼働環境を維持しながら、新しい環境にデプロイを行います。
ブルーグリーンデプロイメントとの決定的な違いは、新環境が正常に稼働していることが確認された時点で旧環境が廃止される点です。
デプロイされた環境やサーバーは一切変更されず、常に新しい環境が作成されます。
新旧2つの環境を平行して維持する必要がないため、維持コストを削減できる点が大きなメリットです。
ローリングデプロイメント
ローリングデプロイメントとは、アプリケーションが稼働している環境を維持したまま、サーバーグループ毎に少しずつ新しい実行ファイルを展開していく方法です。
複数のサーバーを順次更新するため、システム停止を避けながらアップデートを進められます。
この方法では高速でデプロイを実行できますが、リスクもあります。
新旧のサーバー環境が混在していることから、切り戻しが必要になった際に即時対応が難しくなるのが難点です。
シンボリックデプロイメント
シンボリックデプロイメントとは、シンボリックリンクと呼ばれるシステムを使用して、新しい実行ファイルを指すようにリンク先を変更することでデプロイを行う手法です。
プログラムの置き換えはせず、リンク先を変更するだけなので、デプロイ時の負荷が少ないのが特徴です。
コストをかけずにデプロイができる方法になりますが、設定を反映させるためにシステムの再起動が必要になる場合があります。
また、シンボリックリンクの管理が複雑になると、誤って古いバージョンにリンクを戻してしまうリスクがある点も留意が必要です。
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リリースの進め方
リリースは実際にサービスをユーザーへ展開することです。
もしもリリースに失敗してしまった場合は、システムが動作しないといった実害が出てしまう恐れがあります。
リリースの際は、スケジュールをタスクとして管理するなど、綿密な計画を立てることが大切です。
リリースにあたり、押さえておきたいポイントについては下記の通りです。
- 顧客との合意事項整理
- リリース手順書の準備
- 事前の作業シミュレーション
- リスク管理
これらは比較的大掛かりなリリースを想定した場合の作業ですが、小規模なリリースでも同様の準備をしておけばトラブル防止に役立ちます。
顧客との合意事項整理
顧客のサービスをリリースする場合は、チェックの基準やサービスの品質について事前に合意を取っておく必要があります。
リリース当日はできるだけ立ち会いを依頼しましょう。
立ち会いが困難な場合は、連絡先を明らかにしておきます。
また、切り戻しを行う場合の判断基準や、作業に見込まれる時間についても合意を取っておくことが求められます。
リリースの手順書の準備
リリースの手順書を作成しておくことは、作業手順についてチームで認識を合わせ、連携するために欠かせない下準備です。
リスクが予想される工程では、チェックポイントを設けるなどミスを防ぐための対策が望まれます。
リリースの手順は、後ほど作業を見返す際にも有用です。
事前の作業シミュレーション
リリースに向けてスムーズに作業を行えるよう、メンバーで事前に作業の予行演習を行うと作業時のミスを防げます。
プラットフォームによってリリース方法が異なる場合もあるため、実際に手を動かして作業の流れをイメージしておきましょう。
リスク管理
想定されるリスクを洗い出し、備えておくことも大切です。
作業時間や作業順序、それぞれの依存関係などを考慮し、万が一リリース後に影響が出た場合の対応方法についても明確にしておきます。
デプロイ・リリースを行うにあたり注意しておきたいこと
デプロイ・リリースにあたっていくつか注意しておきたい点があります。
コミュニケーション不足
メンバー間のコミュニケーション不足は様々な問題を引き起こします。
特に、運用チームと連携しての作業が伴う場合は、コミュニケーションが不十分だと稼働中のシステムを停止する時間の調整ミスが想定されます。
このようなミスを防ぐには、チーム間で明確な情報共有を徹底し、タスクやスケジュールの確認を行うことが大切です。
システム停止に関するアナウンスミス
事前のアナウンス忘れたり、当日のメンテナンス予定時間を正確に記載しなかったりといったアナウンスミスは、利便性や信用度に影響を与えてしまいます。
システムの停止が行われる場合は、ユーザーへのアナウンスが必要です。
小さなリリースだからという慢心
「小さなマイナーリリースだから問題は起きないだろう」といった慢心は、ミスを引き起こす大きな原因の一つです。
慣れ親しんだシステムで何度も行っている作業だったとしても、手順を守り、チェックを怠らないなどの基本を軽視しないように努めましょう。
不十分なテストでのリリース
不十分なプログラムをリリースしてしまうと、後から修正に追われ、作業の手間が増えます。
また、ユーザーへの影響を考え緊急な対応が求められます。
デプロイを行う際は、テスト項目を網羅できるように十分な日程を取るようにしましょう。
不安な点が見つかった場合はデプロイ計画の見直しを行うことが大切です。
デプロイとリリースは別の過程で実施される
デプロイとはリリースの前段階で行われる作業のことであり、それぞれ別の過程で実施されます。
アプリケーションの更新は、継続して行われる必要があるものですが、その際には常にデプロイとリリース作業が伴います。
利用者の利便性を考えると、できるだけ素早くデプロイとリリース作業を行い、稼働環境に影響を出さないことが不可欠です。
デプロイとリリースの違いを明確に押さえておけば、今後継続したデプロイ・リリースの自動化、高速なサービスの切り替えなどビジネスの場で要求される要件についての理解もスムーズにできるでしょう。
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