ECとリアル店舗の連携を成功させるポイントは?成功事例とともに解説
こんにちは。
Wakka Inc.メディア編集部です。
近年はインターネットで買い物をする人向けに、ECサイトとリアル店舗を融合させてより顧客満足度や売り上げの向上を図る企業が増えています。
そこで、当記事ではリアル店舗とECの掛け合わせで事業をより促進させるコツをご紹介します。
リアル店舗とECの良いところをそれぞれ取り入れて、事業のスケールアップにお役立てください。
リアル店舗とECサイトを融合させる取り組みとは
リアル店舗とECサイトの融合(連携)とは主に4つのことがらをさします。
- 会員情報を融合する
- 在庫管理を一元化する
- オフラインとオンラインのサービスを融合させる
- 顧客の購買データを活用する
リアル店舗とECの顧客データを融合し、取り置きや店舗受け取りなどを可能にすると顧客満足度が高くなります。
また、買いたいときにいつでも購入できるECを取り入れると、機会損失も防げます。
リアル店舗とECサイトの融合が有効とされる理由
なぜリアル店舗とECサイトの融合が有効かというと、お互いのメリットを活かすことで購買行動が効率化され、販売促進が可能になるからです。
例えば、顧客はECサイトで欲しい商品を探し、その在庫がある店舗へ行き、実物を見てすぐに購入の判断ができます。このような顧客の買い物体験は、高い満足度につながります。
また、実店舗で買い物をしていた人のEC利用率が上がると、蓄積できる顧客データの数が増えるため、より詳細な顧客データ分析が可能です。
顧客は利便性が上がり、店舗側はマーケティングや経営施策の幅が広がるため、リアル店舗とECの融合は有効といえます。
リアル店舗とECサイトを融合させることで可能なサービス
リアル店舗とECサイトを融合させると、顧客は以下のサービスを利用できます。
- 会員情報の管理
- 店舗とECのポイントの融合
- EC購入品の店舗受け取り
- ECでの店舗在庫把握
- 店舗在庫の取り置きや取り寄せ
- 店舗にない商品の購入
- ECサイト購入品の店舗返品
顧客は、自らの登録情報や保有ポイントをECサイトから簡単に確認でき、変更も容易です。加えて、欲しい商品の情報をすぐに調べられます。
また、購入や受け取り、返品などの方法を自分で選ぶ自由を得られます。
このようなサービスを展開することで、企業側はリアル店舗とECサイト間の顧客情報を統一できます。
また、シンプルに顧客との接点が増加する面でも有益です。
顧客の機会損失を防ぎ、満足度を高めるためにも、リアル店舗とECサイトを融合させる取り組みは欠かせません。
リアル店舗とECの融合を成功させるポイント9点
リアル店舗とECの融合を成功させるポイントは以下の通りです。
- 店舗とECのシナジーを重視する
- 顧客情報とポイントシステムの連携を最初に行う
- ECサイトで購入した商品を店舗で受け取れるようにする
- 店舗では取り扱わない商品をECサイトで限定販売する
- キャンペーンやクーポンを発行しリアル店舗へ誘導する
- リアル店舗のお客様をECサイトのサブスクリプションへ誘導する
- お問い合わせや返品対応をスムーズにする
- SNSアカウントを運用する
- ライブコマースを活用する
具体的なポイントを紹介しますので、ひとつひとつ取り組んでいきましょう。
店舗とECのシナジーを重視する
リアル店舗とECサイトのシナジー、すなわち相乗効果を重視する視点を持ちましょう。
ECサイトは単なる販売ツールではなく、商品及び店舗を知ってもらうきっかけでもあります。
相乗効果によって何を生み出し、どのような効果を期待するのか、両者のブランディング及び戦略に一貫性を持たせて効率よく運用しましょう。
顧客情報とポイントシステムの連携を最初に行う
リアル店舗に来る顧客がECサイトを活用しやすいように、ポイントシステムを連携させましょう。
例えば、お買い物をした記録やポイント特典があると、顧客はより満足できる買い物体験が可能になります。
ECサイトと店舗の相乗効果を狙って、よりリピートしやすい工夫をしましょう。
ECサイトで購入した商品を店舗で受け取れるようにする
顧客が自分の好きなときにECサイトで買い物をして、実店舗で受け取れるようにすると顧客満足度が高まります。
とくに、送料や配送時間を気にする顧客に対して効果的です。
店舗側のメリットは、受け取る際に店舗への来客を促し、アップセルやクロスセルによる客単価アップが可能な点です。
ECサイトからの顧客とリアル店舗でも接点を持てるように、店舗受け取りの仕組みを作りましょう。
店舗に来るメリットをかけ合わせることでECとリアル店舗の良いとこどりが可能です。
店舗では取り扱わない商品をECサイトで限定販売する
ECサイトで限定販売を行うと、店舗顧客がオンライン販売を利用するきっかけになり得ます。
店舗利用が多い顧客をECサイトに誘導するのがむずかしい、と感じるケースは少なくありません。
限定販売のような特別な企画をして、まずは関心を持ってもらうことが大切です。
ECサイトを実際に使ってもらうためには、店舗でのセールストークで誘導しましょう。
スタッフとの接点にもなり、より顧客にとって満足度の高い店へと発展します。
キャンペーンやクーポンを発行しリアル店舗へ誘導する
ECサイトで店舗向けのキャンペーンやクーポンを打ち出すと、リアル店舗へ足を運ぶきっかけを作れます。
例えば、店舗限定で開催するキャンペーンや、店頭レジで使えるクーポンなどが一例です。
お得感のある特典を使ってECサイトからリアル店舗に送客すれば、単純な来店数が増加し、アップセルが期待できます。
期間限定キャンペーンなどを定期的に行い、来店を促しましょう。
リアル店舗のお客様をECサイトのサブスクリプションへ誘導する
顧客が定期的に購入する必要がある商品を取り扱っている場合、ECにてサブスクリプション契約(サブスク)を促しましょう。
とくに、下記のように定期的に摂取や使用をする商品は、サブスクとの相性が良く効果的です。
- サプリメント
- プロテイン
- シャンプー
定期的に店舗で購入していた顧客がECでサブスク契約すると、わざわざ店に行かなくても商品が家に届くため顧客の利便性が向上します。
また、企業にとってサブスク契約数を増やすことは、ストック収益を確保する面でも有用です。
お問い合わせや返品対応をスムーズにする
ECで買った商品の返品や交換対応がどのようにできるか、顧客にとってわかりやすい情報を発信しましょう。
例えば、返品方法を記載した紙を同封するなどの工夫があります。
さらに顧客満足度を上げるためには、代わりに購入する商品を選びやすいサイズ表なども一緒に送付すると効果的です。
また、返品をリアル店舗で受けられるようにすると、送料や手間を削減できるので顧客に対して親切です。
SNSアカウントを運用する
店舗でのSNSアカウントを運用し、ECサイトがより軌道に乗るようにマーケティング施策を行いましょう。
例えば、商品の写真や使い心地などをSNSで発信すると、顧客の購買意欲を効果的に高められます。
ライブ機能を使用できるSNSであれば、生配信の形で商品紹介をするとリアリティや親しみやすさを演出できます。リアクションやコメント機能を使えば、顧客とのコミュニケーションも図ることも可能です。
ライブの詳細は“ライブコマースを活用する”の部分にて解説します。
ECサイトを使うのであれば、SNSは必須といっても過言ではありません。
ライブコマースを活用する
ライブコマースとは、ライブ配信にてユーザーの購買を促す新しいオンラインショッピングの形です。
スタッフがライブ配信をすると、リスナーは実際に店舗でスタッフの説明を聞いているような気持ちになり、購買意欲が上がります。
また、自宅にいながら、来店しているようなイメージで配信を見られます。
商品に対する不明点はコメントで解消できるため、ECサイトで買うのを躊躇っていた商品も納得した後に購入が可能です。
ECサイトと並行してライブコマースを活用し、スタッフの技術向上と顧客体験の満足度向上を目指しましょう。
●料金目安もわかるECサイト構築ガイド
>新規事業などでECサイトを構築する場合のガイドを作成しました。目的や売上規模に応じたEC種別選定や最適な構築手法についての診断を受けることができます。
リアル店舗とECサイトそれぞれのメリット
リアル店舗とECサイトのそれぞれのメリットを解説します。
これらのメリットはリアル店舗とECサイトの融合により、良い効果を増幅させます。
リアル店舗のメリット
リアル店舗の顧客メリットは以下の2点です。
- 欲しい商品をその場で購入できる
- 商品を実際に見たり触ったりできる
その場で実物を見て、すぐに持ち帰れるのが大きなメリットです。
このとき、店舗側のメリットは以下の通りです。
- 顧客と直接コミュニケーションが取れる
- 顧客体験を通じてブランドイメージを作りやすい
リアルなコミュニケーションによる販売や、ブランドイメージの構築ができる点が店舗にとっては重要です。
ECのメリット
顧客からみたECのメリットは以下の3点です。
- いつでもどこでも購入可能
- 店舗に在庫がなくても購入や取り寄せがすぐにでき
とくに、店舗に行きたいけれど忙しくていけない顧客や、店舗へのアクセスが悪い顧客は便利だと感じます。
企業側のメリットは下記の通りです。
- 解析ツールなどWebならではの機能が使える
- 少ない初期投資で始められる
顧客のプロフィール入力や購入履歴により、企業はマーケティングデータの収集が可能です。
また、販路拡大のために店舗やスタッフを増やすと多額の費用が必要になるのに対し、ECサイトであれば初期費用を抑えられます。
リアル店舗とECサイトの融合における注意点
リアル店舗とECサイトの融合を行う際に、気をつけなければならないポイントを解説します。
- スモールスタートで慎重に進める
- リアル店舗スタッフのモチベーション低下に気をつける
- ECサイトの普及に尽力する
以下で詳しく解説していきます。
スモールスタートで慎重に始める
リアル店舗とECサイトの融合を始める際は、スモールスタートを心がけましょう。
融合に伴うシステム開発は、仕組みが増えるにつれて費用が大きく膨らみます。
まずはスモールスタートで様子を見てから、その後の投資を検討していく方法がおすすめです。
リアル店舗スタッフのモチベーション低下に気をつける
ECサイトとの融合がうまくいくと、顧客がリアル店舗からECに流れたと感じてモチベーションの下がるスタッフが現れる可能性があります。
また、店舗で顧客に商品説明をしても、その後ECで購入した場合、自分の功績なのかがわかりません。
個人の売上や評価が不明瞭だと、モチベーションが下がる原因になりかねません。
店舗スタッフのやりがいや意欲を維持できるような、現場の施策や評価制度を整える必要があります。
ECサイトの普及に尽力する
ECサイトとリアル店舗を融合させたら、その普及活動が必要です。
店舗に来る顧客にECサイトを紹介したり、口コミキャンペーンを実施したりして、まずはサイトの認知度を高めましょう。
割引クーポンやポイント付与があるなど、顧客のメリットが明確だとECサイトの利用を訴求しやすくなります。
リアル店舗とECを融合させた事例3選
以下では、リアル店舗とECサイトを融合させた以下の企業の実例を紹介します。
- ユニクロ
- 無印良品
- ビックカメラ
いずれも大手企業でありますが、仮に中小企業であっても参考にできるヒントがあるはずです。
ここでは、企業規模にかかわらず活かせるポイントを中心に解説します。
ユニクロ|ECを通じて顧客と直接つながる施策
出典:ユニクロ
アパレル企業の株式会社ユニクロは、Eコマース(ECサイト)と店舗の融合により売上を向上させました。
2023年8月の決算ではEコマースでの売上が前年比2.3%増となっており、ネットで購入し店舗で受け取れる点が好評です。
日本では15%がEコマースの売上となっており、海外では約20%にのぼる国と地域もあります。
Eコマースはライブコマース、情報発信基盤としての位置付けも強いのが特徴です。
情報発信の場としてECサイトを活用しながら、さらにはデジタルで顧客と直接つながれるという強みを存分に活かしています。
ECサイトを通じて顧客からの要望を直接聞き、商品開発へつなげていることがその一例です。
参照:株式会社ファーストリテイリング
無印良品|対立しがちなネットとリアルをうまく融合
出典:無印良品
無印良品を展開する株式会社良品計画は、以前インターネットとリアルの対立に悩まされました。
ネットで購入する顧客が増えると店舗への来店が減り、各リアル店舗の売り上げが減少すると店舗側から意見が寄せられる事例が発生。
しかし、インターネットからリアル店舗に送客することで対立を解消し、Win -Winの関係でECサイトとリアル店舗の融合を成功させています。
実際に調査したところ、無印良品のアプリ「MUJI passport」の利用者の多くがリアル店舗に足を運んでおり、インターネットは情報収集として使っていることがわかりました。
この結果から、ECサイトがリアル店舗の売上を阻害するものではないと判明したのです。
現在は、より多くのユーザーがMUJI passportを利用しやすくなるよう研究しています。
ビックカメラ|年代に合わせたECとリアルの融合
引用:ビックカメラ
品揃えにこだわったECサイト運営をしているのが、株式会社ビックカメラです。
2023年中に1万SKU(最小単位)を目指しており、今後さらに拡充していく見込みです。
たとえ1点しか在庫がない商品でも取り扱うことをモットーにし、リアル店舗ではECサイトを使い慣れていない方向けに、コンシェルジュがサポートするサービスも提供しています。
ネットに慣れている方はECサイト、ネット上でのやりとりが不安な方はリアル店舗で充実したサポートと、2軸の経営戦略を展開しています。
ECとリアル店舗の連携を成功させよう
ECサイトとリアル店舗の融合は、お互いの送客や顧客満足度の向上に効果的です。
特に若者世代は、ネットで商品を購入することに慣れています。
ECならではのいつでもどこでも購入できる点と、リアル店舗で実際の商品を手に取ってもらう特徴を掛け合わせましょう。
リアル店舗とECサイトの融合について、より詳しい情報を知りたい方はWakka Inc.へご依頼ください。