機械学習とCNNによる画像認証とは?画像認証の仕組みと活用事例を紹介

2024.09.03
開発ナレッジ
Wakka Inc. メディア編集部
機械学習とCNNによる画像認証とは?画像認証の仕組みと活用事例を紹介
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こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。

今回は、機械学習とCNNの画像認証との関わりについて紹介します。

AI が学習するためのしくみの一つである機械学習。
事前に設定されたルールや条件に基づき、コンピューターが学習し、判断、予測などを行うものです。

機械学習と対照的だとよく紹介される学習モデルとしては、ディープラーニングがあります。
このディープラーニングは、AIがニューラルネットワークとよばれる、人間の脳の神経伝達を模したしくみにより学習するモデルです。

CNNはディープラーニングの一種になるため、機械学習のようにデーターパターンにより最適な回答を返すのではなく、人間が視覚により画像を認識するしくみに似た働きで画像認証を行います。


CNNから得た情報を機械学習に取り入れることで、画像認証の精度を向上させるといった取り組みも行われるようになりました。

本記事では、機械学習とCNNのそれぞれの関わり、またこれらを活かした画像認証の事例について解説します。

目次

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機械学習とは

機械学習とは、コンピューターがあらかじめプログラミングされた条件に基づき学習していく仕組みのことです。

機械学習には以下の3種類の学習方法があります。

●教師あり

●教師なし

●強化学習

それぞれ違うアプローチでコンピューターが学習していきます。
具体的な方法について詳しく見ていきましょう。

教師ありモデル

教師ありモデルは、コンピューターへ入力するデータに対して、正解データを与え、2つを組み合わせることで正解はどれかを学習させていく方法を取ります。

コンピューターが規則や前提に基づき判断し、判断や予測を行えるようにする、といったことを実現するために有効です。

回答を予測することが可能なことを学習していくモデルです。

教師なしモデル

コンピューターへ入力するデータへ正解データを与えず、パターンや構造から正解を探し出すトレーニングを積みながら学習していく方法です。

予測不能なデータの学習が行えます。

教師なしでコンピュータが学習する仕組みは、クラスタリングと呼ばれる似ているデータをグループ分けする、また複雑なデータを簡潔なデータへ変換し学習しやすくする次元削減により実現されます。

これにより、似ているデータを集め、因果関係の学習を行うことも可能です。
例えば、コンビニがコーヒーの無料券を配ると他の商品の購入率も上がる、などです。

参照:【AI基礎講座】「教師あり」と「教師なし」の違いが言えますか?|日経Xトレンド

強化学習

強化学習とは、教師ありと教師なしの両方の手法を取り入れて学習する方法のことです。

正解ありのデータと、正解なしのデータを混ぜて学習するため、予測可能なデータはもとより予測不能なデータも学習できるというメリットがあります。

すべての学習データに正解を与えなくても学習できるため、教師あり学習よりはコストを削減できますが、精度は教師ありに比べてやや下がることが特徴です。

強化学習では現在の状況を判別し、その状況に合った判断や回答を行えるように学習していきます。

CNNとは

CNNとは、Convolutional Neural Network を略した言葉で、ディープラーニングのひとつです。

人間の視覚から入ってくる情報を処理するメカニズムをもとにした方法で、画像の特徴を学んでいく学習モデルです。

畳み込み層、プーリング層、全体結合層という層が重なった状態で構成され、これら各層がそれぞれの働きをすることで画像の特徴を学習する仕組みを持ちます。

それぞれの層の働きについて詳しく解説します。

畳み込み層

畳み込みとは、局所的なデータの特徴を抽出し、この特徴を際立たせるフィルターをかけて画像の特徴を認識する技術です。
フィルターを用い、小さな範囲、目、口、画像の境界といった部分的な特徴の違いを抽出し学習します。
この畳み込み層を重ねることで、全体的な高次元の画像の特徴を捉える過程を踏みます。

プーリング層

プーリング層は、畳み込み層で取得した中から不要なデータを圧縮してサイズを縮小し、コンピューターの計算コストを削減する働きをします。

この層では、まず画像を分割し、どの情報が重要かを判断する重みづけを行うことが特徴です。
その上で、画像認証に必要な特徴を認識するデータを残しつつ画像のデータを削減する、という工程を行います。

全体結合層

全体結合層とは、畳み込み層とプーリング層を経た画像処理を経たデータを集め、最終的な画像認証判断を行う層のことです。

画像の一部分の特徴から全体的な特徴を抽出し、最終判断をする層といえます。

機械学習での画像認証にCNNが必要な理由

ここからは、機械学習で画像認証を行うにあたってなぜCNNが必要なのか、技術面と相乗効果の面から理由を探っていきます。

そのひとつとしては、機械学習の学習データとしてCNNが取り入れる画像データを組み合わせると、画像認証が効率よくできる点が挙げられます。

機械学習とディープラーニングの違い

機械学習での画像認証へCNNを取り入れるに当たり、先に押さえておきたい前提知識として、機械学習とディープラーニングの違いがあります。

機械学習は、コンピューターが人間があらかじめ決めた規則、与えた知識により学習をするモデルを指します。 

対して、多くの層で構成されるCNNは、ニューラルネットワークとよばれる人間の脳神経の働きを模した学習モデル(ディープラーニング)です。
そのため、学習すべきデータを与えなくても自ら調整を含めた学習が可能、という違いがあるのです。

より高度で複雑な画像データを判別するためには、ディープラーニングが必要になってきます。

CNNはディープラーニングの一種

畳み込み層を用いてフィルタリングするCNNは、多重層で構成されるディープラーニングで学習を行っています。

CNNでは、人間の脳神経を模したニューロンネットワークで分割した画像から特徴を抽出し、特徴を組み合わせて画像を認識することを述べました。

その際に、重要性に差異を用い、必要な情報量を調整することを自ら行う過程が加わります。これにより、必要なデータのみで画像認証を行うことができるため、処理時間を削減できます。

この作業を繰り返すことで、効果的に全体的な画像の特徴をつかんでいくのが、CNNが画像認証の学習を行うメカニズムです。

機械学習用へCNNを合わせることで効率よく画像認証を行える

機械学習へCNNを合わせることで、効率よく画像認証を行えます。

その理由は、CNNの画像の一部から重要なデータに重みづけする動きを機械学習へ適用することで、データパターンを見出す仕組み、また特徴づける傾向学習を強化できるからです。

CNNにより蓄積されたデータを用いることにより、機械学習の手法のひとつである学んだデータを保持する機能を強化できるため、一から学習するより各段に効率よく学習を進められます。

CNNを用い、畳み込みフィルターをかけることで画像のパターンを最小限のデータで抽出できるため、機械学習単体だけでの学習と比べて計算コスト削減、解析の性能向上を目指せます。

これらのことから、CNNを機械学習へ合わせることのメリットがわかったのではないでしょうか。

参照:CNN(畳み込みニューラルネットワーク)とは? わかりやすく解説|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト

機械学習とCNNの関係とは?仕組みや特徴・活用例を分かりやすく解説|TRYTING

CNN画像認証技術の活用事例

以下では、CNN画像認証を活用した事例を紹介していきます。
医療、支払いシステム、自動運転といった異なる分野で、今までは不可能だった技術を可能にする画期的な活用がされています。

医療現場での診断

医療現場では、認知症の早期発見に向けた取り組みに画像認証が用いられています。

認知症患者は世界中で増加しており、総務省が発表した資料によると、2030年までに2倍、2050年までに3倍に増えるといった予測がされています。

そのような背景もあり、認知症の傾向を発見する取り組みにCNNによる画像認証が用いられ、結果を分析するようになりました。

視覚的に正常な脳の状態との違い、傾向が表示されるため、判断材料として大きく貢献しています。


画像認証により早期発見の確率が高まった場合、症状の進行を抑えるための治療を行えるという、患者にとって得難いメリットをもたらします。
また、レントゲン画像の特徴、パターン認識による疾患の発見にもCNNが用いられています。
医者が見落とすような点もくまなくチェックし、診断結果を出せる点が評価されました。

今後もますます医療分野での画像認証の活用が進むと予測され、早期発見や誤診断を失くすといったさまざまな方向での貢献が期待されています。

出典:認知症をAIで早期発見|総務省 

参照:畳み込みニューラルネットワークと認知機能テストを用いた アルツハイマー病鑑別|第24回 画像の認識・理解シンポジウム
畳み込みニューラルネットワークによる胃癌の悪性度判別|慶應義塾大学 理工学部 物理情報工学科論文

店舗での自動支払いシステム

店舗で商品をバスケットに入れると、レジでの支払いなしで店舗外へ出るだけで決済が完了し、購入した商品分が課金されているシステムをご存じでしょうか。
この決済なしのシステムは、画像認証技術により実現されたものです。

代表的なものとしては、Amazon が展開する Amazon Go ショップが挙がります。
店内で顧客が買い物かごへ商品を入れるたびに、店内にあるカメラが商品を認識し、顧客の購入商品として結びつけることが行われます。

このシステムは、決済の時間を節約できる画期的ががアピールポイントです。

参照:Amazon Go is a new kind of corner store|Amazon

自動運転など最新鋭の技術

自動運転の一部の機能として、障害物の認識に画像認証を採用する動きが出ています。

障害物を認識するセンサーと合わせて、フロント、バックなど全方位の車載カメラの映像で他の車両、走行レーン、標識などを認識する役割を担っています。

また、画像認証の機能はアクセルとブレーキの踏み間違いといった誤操作のほか、追突などの防止対策としても期待されつつあるものです。。
安全運転へ寄与するための技術としても期待されており、今後の本格的な活用に向け、画像認証の重要性はさらに増すと予測できます。

CNNによる画像認証は、顔認証といったセキュリティシステムへの応用も盛んです。
建物への入退場時の認証のほか、訪問者のデータ記録として残すことも可能なため、セキュリティ強化に向けた取り組みにおいて有用です。

参照:交差点内の走行挙動にCNNを適用した自動車運転者の特定手法に関する研究|交通工学論文集

参照:顔認証による入出管理システム|ALSOK

CNNと機械学習で行う画像認証は将来性が高い技術

CNNは、画像の一部から特徴を抽出し範囲を広げ、全体的な特徴を把握できる画像認証技術です。
ディープラーニングにより複雑なパターンを効率よく認識できるため、あらゆる分野への応用が期待されています。

また、機械学習での学習データ収集として活用し、精度を向上するための研究も盛んに行われています。
今後さらに精度が向上すれば、業務効率化だけでなく、病気の予防や予測など命に関わる分野へ社会貢献をもたらすことが期待される技術です。

これから増々活用の幅が広がりが期待される画像認証について理解を深めるためにも、機械学習とCNNの仕組みについて押さえておき、AI技術をより一層深く知るための基礎にしましょう。

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