事務作業を効率化する方法と手順|DX化や自社開発する必要性は?
こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
日々の業務で繰り返される事務作業。
事務作業を効率化すると、個々の仕事の生産性だけでなく、組織全体の生産性も上がります。
しかし、DX(デジタルトランスフォーメーション)化を進めたくても、どのように進めるのか悩む方も多いでしょう。
DX化の主な流れとしては、自社開発するかどうかを決めたうえで、事務作業を分析して、手順に沿って進めるのがおすすめです。
本記事では事務作業の業務効率化を進めるアイデアやツール、自社開発をする必要性について解説します。
自社で事務作業のDX化を進めていきたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
事務作業の業務効率化はなぜ必要か
業務効率化は、コストの削減や生産性の向上に欠かせない取り組みです。
日々行う事務作業で実施できれば、業務効率化の効果やメリットを感じられます。
ここでは、事務作業の業務効率化を進める目的について解説します。
事務作業の業務効率化を進める目的
事務作業の業務効率化を進める目的は、仕事の生産性を向上させることと働きやすい環境の整備があげられます。
日々の会社の業務には、繰り返し行う作業が多く含まれています。
例えば、データ入力や報告書作成などの業務などが代表的な事務作業です。
それらの業務を自動化すれば、同じ作業量を短い労働時間で処理できます。
データ処理などの作業に使っていた時間を、クリエイティブな業務に充てることもできるでしょう。
また、リモートワークが可能になるなど、働きやすい環境を整備することも目的の1つです。
デジタルツールを活用すれば、場所が離れていても会議やコミュニケーションができます。
事務作業を効率化すると、日々の業務フローを最適化して、組織生産性の向上が期待できます。
事務作業の業務効率化を進めるアイデア4選
業務効率化を進める手段には、さまざまな方法があります。
自社に適しているアイデアを活用すると、業務負担軽減の効果を得やすくなります。
ここでは、事務作業の業務効率化を進める際のアイデアを4つ紹介します。
マニュアル化
マニュアル化とは、事務作業の業務効率化を進める基本的な手法の1つです。
業務プロセスをマニュアル化し手順を同じにすると、業務の一貫性を向上させ、細かなミスを減らせます。
マニュアル化を進めていくには、マニュアル化する作業を分析して、各ステップを明確にすることから始めます。
次に、視覚的な要素(フローチャートや図表)を活用し、誰にでもわかりやすい形で作成しましょう。
この方法を取り入れることで、細かなミスが生じやすい作業、不明瞭な部分がある事務作業に一貫性をもたせることが可能です。
全員が同じ基準で事務作業を行えるため、作業の生産性や効率性が向上します。
業務の簡素化・分担
現在の業務内の「ムリ・ムラ・ムダ」を削減したり、分担させることで効率化を図ります。
「ムリなもの」「ムラがあるもの」「ムダがあるもの」は、事務作業の負担を増やしている可能性があります。
例えば「ムリ」な納期を設定していると、従業員の労働時間が長くなり、エンゲージメントが低下してしまいます。
労働時間や生産率、離職率などを見直し、「ムリ」な労働環境になっていないか見直しましょう。
また、どこかに業務が集中した「ムラ」がある状況なら、業務の振り分けや増員をして分担することも効率化につながります。
定期的に行う業務がある場合、頻度を減らして問題ないのであれば頻度を減らす(=ムダをなくす)ことも効率化の1つです。
市販ツールの活用
市販ツールの活用は、業務効率化を進めていく上で手軽に導入できる手法の1つです。
目的や削減したい事務作業が明確な場合は、市販ツールを導入すれば、業務負担の軽減を進められます。
事務作業を効率良くするための市販ツールには、多くの機能があります。
代表的なものとしては、後述するタスク管理ツール、勤怠管理システム、Web会議システム、RPAなどがあります。
例えば、タスク管理ツールを導入すると、個人やチームのタスクを一元的に管理して、漏れや期限遅れを防止できます。
目的に応じたツールを活用して、業務負担を軽減しましょう。
自社開発ツールの活用
ニッチなニーズがある場合は、自社開発ツールの活用も検討しましょう。
特定の目的がある場合は、自社開発ツールを活用すると、市販ツールでは解決できない事務作業を効率良くできます。
自社開発するメリットとしては、自社の課題に合わせたシステムを構築できる点です。
市販のツールでは対応しきれない課題に関しても、自動化、システム化を進められます。
導入する際には、現場の声を聴きつつ、エンジニアと連携して進めて行く必要があります。
しかし、カスタマイズしやすい分、開発とメンテナンスには多くの労力を割かなければいけません。
課題点を克服できれば、自社のDX化を進める大きな一歩となります。
明日からできる|事務作業を効率化できるおすすめツール7選
早急に事務作業の負担を軽減したい場合には、市販ツールの活用がおすすめです。
目的や課題が明確になっていれば、明日からでもすぐに実践できます。
ここでは、業務効率化したい事務作業に対応できる市販ツール7選を紹介します。
タスク管理ツール
タスク管理ツールは、事務作業の効率化に欠かせないツールの1つです。
タスク管理ツールを用いることで、個人やチームのタスクを一元で管理して、進捗状況をリアルタイムで把握できます。
タスク管理ツールの主な機能として、タスクの割り当て、進捗管理、コメント機能、期限設定があります。
チームでプロジェクトを進めている場合は、遅延しそうな部分や仕事について、すぐにサポートも可能です。
その他にもツール上で会話をする機能があるため、社内のコミュニケーションの機会も増やせます。
情報共有が楽になるため、連絡ミスや伝達ミスも減らせるのもメリットです。
勤怠管理システム
勤怠管理システムとは、従業員の勤務時間・退勤時間を正確に把握し、残業や休暇管理を自動化できるツールです。
手動だと手間がかかる人事や給与関係の事務作業を減らし、負担を軽減できます。
勤怠管理システムの主な機能として、勤務時間・退勤時間把握、残業・休暇の自動計算・給与計算があります。
手作業で勤怠管理すると、計算ミスや急な変更に対応するのが難しいです。
勤怠管理システムを活用すれば、急な変更にも対応でき、計算ミスも減らせます。
勤務時間を視覚化でき、全体的な労働管理もできるため、効率の良い人員配置や組織運営にも役立ちます。
Web会議システム
Web会議システムとは、Webを通じて遠隔地にいる相手とリアルタイムにコミュニケーションができるシステムです。
このシステムを活用すると、特にリモートワークが必要なプロジェクトの事務作業の手間を減らせます。
Web会議システムの主な機能には、ビデオ通話、音声通話、画面共有、ドキュメント共有があります。
これらの機能を活用すると、離れている相手と行う情報共有の手間を削減可能です。
また社内だけでなく、社外とのコミュニケーションの手間も減らせます。
例えば営業部門では、遠くの顧客とのコミュニケーションが可能です。
移動にかかるコストと時間を削減でき、相手とのコミュニケーションの機会も増やせます。
日々行う事務作業を減らせるため、より重要な仕事にリソースを割けます。
RPA
RPA(別名:ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、繰り返す事務作業を自動化するツールです。
ソフトウェアロボットを活用するため、時間と人のコストを削減できます。
RPAは開発やプログラミングスキルがなくても、導入しやすいのがメリットです。
技術開発が少ない部署でも、導入や操作がしやすいため簡単に導入できます。
RPAはデータ入力、フォームの処理、リポート作成やデータチェックなどさまざまな業務に対応できます。
対応できる業務は多いため、現場の課題に応じてシステムも導入しやすいです。
小さい事務作業のタスクから削減できるため、まずは実際に導入して実践してみると良いでしょう。
チャットツール
チャットツールとは、招待された人とリアルタイムのコミュニケーションができるツールです。
メールに比べると直感的に操作しやすい画面のため、迅速な対応ができレスポンスも早くできるのが特徴です。
チャットツールの主な機能としては、ファイル共有、ビデオ通話、タスク管理機能などがあります。
他の機能も併用しているツールを選ぶことで、異なるアプリを切り替える手間も減らせます。
多機能チャットツールを用いることで、細かな事務作業の手間を減らして、作業の効率を高められます。
オンラインストレージ
オンラインストレージとは、インターネット上でデータ管理ができるシステムです。
オンラインストレージを活用すると、データ共有やアクセス管理が簡単になり、リモートワークをする上で役立ちます。
リモートワークを進めたい場合、社員で共有できるサーバーをつくる必要があります。
社内サーバーだと、社内にいる人間でなければアクセスできません。
オンラインストレージであれば、インターネット環境があればどこでも、ファイルの共有やアップロード、編集が可能です。
必要な情報に簡単にアクセスできるため、業務効率が良くなります。
以前はオンラインでの管理にはセキュリティ対策の希薄さが懸念事項でした。
最近では、二段階認証や暗号化などセキュリティ対策も進めているツールが多くあります。
電子承認ツール
電子承認ツールとは、文書や契約のプロセスをデジタル化できるツールです。
紙ベースでの契約や署名が多い部署であれば、日々の業務を改善して、作業効率が良くなります。
電子承認ツールは、複数の承認が必要な場合に役立ちます。
例えば、経費精算やプロジェクト承認の場合には、多くの署名が必要です。
電子承認ツールの導入により、特定の人が会社にいない場合でも、Web上で署名がもらえます。
署名を待つ時間を減らせるため、よりスピーディーに業務を進めていけます。
事務作業の効率化のために自社開発する必要性はある?
事務作業を効率化するシステムを自社開発しようと考えている企業もあるでしょう。
自社のシステムに独自性があり市販のシステムを使えない場合は、自社開発は有効な方法です。
ただし、自社開発にはメリットだけでなくデメリットも存在するので、適した事例で実践する必要があります。
ここでは、自社開発のメリット・デメリットや事例について解説します。
自社開発のメリット
事務作業システムを自社開発する大きなメリットは、コスト削減とカスタマイズ性です。
効率良くしたい事務作業の種類は、会社によって異なります。
自社開発すると、既存の市販製品では対応できないより細かなプロセスに対応でき、機能を最適化できます。
自社開発のソリューションは、変更や変化に対応しやすい特徴があります。
新しくシステムを変更しなければいけないときでも、自社開発であれば柔軟に対応できます。
また、外注に比べると変更・更新時のコストを安く抑えやすいのもメリットの1つです。
外注する場合は、仕様の変更やシステムの更新に別途料金がかかってしまうことがあります。
自社開発では社内のリソースで対応するため、変更時などにかかるコストがありません。
自社開発のデメリット
自社開発のメリットがある一方で、デメリットについても把握しなければいけません。
事務作業の業務効率化を進めるうえで、自社開発するデメリットは保守・維持の困難と手間がかかる点です。
自社開発を進めていくと、システムの保守・維持も自分たちで行う必要があります。
市販のソフトであれば、アップデートも含めて外注できますが、自社開発の場合は外注できません。
自分たちで対応するため、作業に多くの労力と時間が割かれる可能性があります。
また、手間がかかるため、エンジニアなど慣れている人がいないと難しい点もデメリットの1つです。
業務を自動化するためには、プログラミングなどの知識が必要です。
事務作業が簡単な場合でも、自動化して効率良くする場合には複雑なプログラムを組む可能性があります。
自社にシステム開発に慣れている人がいないと、作業は困難を極めます。
自社開発を導入できるケース及び事例
自社開発を導入するには、どのようなケースで導入できるか事例を知る必要があります。
ここでは、自社開発で事務作業を効率化したケースを紹介します。
三井住友海上火災保険株式会社では、業務の効率化のためにRPAとExcelVBAを活用しました。
この方法の活用により、1200時間/月(14.4万時間/年)の労働時間削減を実現したそうです。
出典:働きやすく生産性の高い企業・職場表彰 事例集|厚生労働省
こちらは代表的な事例ですが、自社開発ができる可能性がある業務の特徴を並べました。
特徴に当てはまる場合は、自社開発も検討しましょう。
- 業務プロセスが特徴的
- 市販のツールでは対応できない機能が必要
- 定期的にカスタマイズしたい
- 長期的に使うため、ランニングコストを削減したい
事務作業をDX化する際の手順と注意点
会社の課題解決のために、DX化を進めていきたい会社も多くあります。
DX化を進めていくには、基本的な手順と注意点を把握すると見通しが立てやすいです。
事務作業をDX化する際の手順と注意点について解説します。
業務の洗い出し
事務作業をDXするときに行う最初のステップは、業務の洗い出しです。
このプロセスでは業務を詳細に分析して、どの作業がどのように行われているか、誰が行っているかを明確にします。
このプロセスを行うことで、非効率な部分や課題点を可視化できます。
実施する際には、客観的な情報だけでなく、直接業務にかかわっている人からの情報も大切です。
客観的に見ている情報と直接行っている人の情報にはズレが生じる場合があります。
そのズレが、課題改善の一歩につながる場合もあります。
すべての業務を洗い出すには手間がかかりますが、システムの導入には欠かせません。
丁寧に業務を洗い出すことで、DX化の効果を高められます。
改善点を共有、目標を定める
業務の洗い出し後に必要なステップは、改善点を共有し、目標を定めることです。
改善点を共有すると、社員の意識を変えて、DX化の具体的な道筋を示せます。
具体的な道筋を示せることで、改革を導入できる土台が整います。
改善の土台が整えられれば、スムーズに新しいシステムを導入できます。
社員の声に耳を傾けながら、改革の土台を固めていくようにしましょう。
具体的な方法を決める
目標を設定した後は、具体的な改善方法を決めます。
改善方法については前述したとおり、下記のような方法があります。
- マニュアル化
- 業務の簡素化・分担
- 市販ツールの活用
- 自社開発ツールの活用
方法を出し合ったら、改善点に合致している方法を決めましょう。
改善策を決める際には、方法を維持していく視点も必要です。
効果を測定する
DX化を進めていくには、導入した改善策が効果を出しているか測定するステップが必要です。
効果を測定すると、さらなる改善策が必要かを判断でき、より効果的な方法を模索できます。
効果は下記の2通りに分けて測定しましょう。
効果の種類 | 指標となる基準 |
定量的効果 | 作業時間(従業員の労働時間)生産量、エラー発生率納期遅延数、出荷日の遵守率 など |
定性的効果 | 従業員の満足度、従業員からのフィードバック従業員の参加度、貢献度への評価 など |
定量的効果は指標でみるのに対し、定性的効果は社内アンケートの実施などにより評価をみるものです。
定性的効果は社員それぞれの感じ方によるものが大きいため、即座に目に見えるものではありません。
しかし、長期的に効率的な業務を行うためには定性的効果を考慮することも必須です。
取り組むときの注意点
事務作業を業務効率化するためには、関係者の理解が欠かせません。
事務作業をなぜ業務効率化する必要があるのか、目的とプロセスを共有するようにしましょう。
慣習となっている作業を変えることは、関係者(従業員)にとってストレスがかかります。
そのため、ストレスを踏まえた上で、変更するメリットを理解してもらう必要があります。
業務効率化を進めていくには、関係者や従業員への説明を怠らないようにしましょう。
また、説明をしていく上で、従業員側から意見が出る場合があります。
従業員側の意見を取り入れることは、新しいシステム導入の抵抗感を減らすことにもつながります。
業務フローを改善する際には、従業員の声にも耳を傾け、意見を取り入れていきましょう。
自社に適した業務効率化手法を選択しよう
事務作業を業務効率化する方法について解説してきました。
自社に適した方法を選択すると、事務作業の負担を軽減できます。
必要に応じて、自社開発することも選択肢の1つです。
実施する場合には、正確な手順を踏まえて、土台を整えてから導入していくようにしましょう。
DX化を進めていく上で、事務作業は改善しやすい業務フローの1つです。
適切な手法を用いて、会社のDX化を推進していきましょう。