MVP開発とプロトタイプ開発の違いとは?目的・検証内容・使い分けを解説


こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
プロダクトの開発手法にはさまざまな種類があり、開発したいプロダクトの内容や納期・予算などを考慮して選ばなければなりません。
もし市場や顧客のニーズを検証しつつ開発を進めるなら、MVP開発が最適です。
一方で、MVP開発はプロトタイプ開発のような開発手法と混同しやすく、「それぞれの違いがよく分からない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事ではMVP開発とプロトタイプ開発の違いについて、以下のポイントを解説します。
- MVP開発とプロトタイプ開発の特徴と違い
- MVP開発のメリットや実施する際のポイント
- MVP開発に適したプロジェクト
MVP開発とプロトタイプ開発のように、混同しやすい手法の違いを明確にすれば、より開発したいプロダクトに合った手法を選びやすくなります。
ぜひ、プロダクトに合った開発手法を検討する際の参考にしてください。
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MVP開発とは

まずはMVP開発について、その特徴とやり方について解説します。
MVP開発はGoogleやSONYのような世界的に有名な企業でも使用されている開発手法です。
どのような開発手法なのか、以下で詳しく解説します。

MVP開発の定義
MVP開発とは、必要最小限の機能のみを備えたプロダクトを開発し、市場へリリースしてユーザーのフィードバックを集めて改善を繰り返す開発手法です。
そもそもMVPとは「Minimum Viable Product」の略称であり、「実用最小限の製品」を意味します。
一般的な開発手法が完成されたプロダクトのリリースを目指すのに対し、MVP開発はあえて必要最小限の状態でリリースする点が特徴です。
MVP開発の目的
MVP開発はユーザーからのフィードバックを重視しており、市場の動向に合わせながら製品を調整・改善して完成させるのが目的です。
つまり、最初から完成を目指さず、フィードバックに応じて機能の追加やブラッシュアップを繰り返すことで、ニーズに合ったプロダクトを開発していきます。
もともとMVP開発はリーンスタートアップで用いられている手法であり、FacebookやInstagramのようなSNSの開発において実際に使用されました。
日本ではSONYやニジボックスなどの企業がMVP開発を実践しており、ユーザーのニーズに寄り添ったプロダクトの開発に成功しています。
MVP開発の代表的な進め方
MVP開発は以下のような手順で進行します。
- 1.仮説の設定:プロダクトの開発に伴う課題・ゴールを明確にする
- 2.機能の検討:プロダクトに搭載する必要最小限の機能を決定する
- 3.開発:実際にプロダクトを開発する
- 4.検証の実施:プロダクトをリリースしてユーザーのフィードバックを得る
- 5.評価と改善:得たフィードバックを踏まえて評価と改善を行う
MVP開発は、ユーザーから得られるフィードバックを取り入れてからの改善を重視する開発手法です。
そのため、プロダクトの検証や改善は一度では終わりません。
MVP開発では、4~5のプロセスを何度も繰り返し、PDCAサイクルを回しながら、ユーザーのニーズを網羅した製品のアップデートを進めます。
一方で、MVP開発はフィードバックを得ながら進めるため、エンジニア同士だけでなく、ユーザーとのコミュニケーション機会が多い傾向があります。
その分コミュニケーションコストがかかりやすくなるため、円滑に開発プロセスを進めるなら、スムーズに意思疎通ができるような体制を整備しなければなりません。
プロトタイプ開発とは

プロトタイプ開発はMVP開発と混同されやすい開発手法の一種ですが、実際はさまざまな面で異なります。
混同を避けるうえでも、プロトタイプ開発の特徴とやり方をおさらいしましょう。
プロトタイプ開発の定義
プロトタイプ開発は本格的な開発の前に試作品をいくつか開発し、クライアントのフィードバックを受けながら作り込んでいく開発手法です。
プロトタイプ開発における「プロトタイプ」とは「試作品」を意味します。
プロトタイプ開発はあらかじめ試作品を開発するため、プロダクトのイメージが曖昧な場合によく用いられています。
エンジニアとクライアントが試作品を互いにチェックしながら要件を固められるため、プロダクトのイメージを共有しやすい点が大きなメリットです。
プロトタイプ開発の目的
プロトタイプ開発の最大の目的は、プロトタイプを作成することで開発イメージを具体化し、エンジニアとクライアントの認識のズレを修正することです。
プロトタイプがあれば完成品のイメージが明確になるので、開発の手戻りや軌道修正が発生するリスクを削減できます。
そのため、プロダクトの品質向上や開発コストの削減も可能です。
しかし、プロトタイプ開発はあらかじめ試作品を製造するうえに、プロトタイプはそのまま破棄されるケースが多いため、コストが膨らみやすい傾向があります。
近年ではプロトタイプを継続的に改良して製品化につなげる「進化的プロトタイピング」が登場しました。
進化的プロトタイピングはプロトタイプを修正して活用するため、プロトタイプ開発の課題だったコストの高騰を抑えられます。
プロトタイプ開発の代表的な進め方
プロトタイプ開発の主な手順は、以下の通りです。
- 1.要件定義:製造するプロダクトの要件を決定する
- 2.プロトタイプの設計と製造:プロトタイプを作成する
- 3.評価と修正:プロトタイプを検証しフィードバックを基に修正する
- 4.本開発:課題がなくなった時点でプロダクトの開発を実施する
- 5.リリース:完成したプロダクトをリリースする
プロトタイプ自体も、クライアントの要望に沿いながらフィードバックを得たい機能のみを搭載した状態で開発されます。
そもそもプロトタイプ開発における要件は、プロダクトの評価と修正に入った段階で具体的に決定されます。
そのため、プロダクトへのイメージや仕様が曖昧な状態でも実行できる点がメリットです。
また、プロトタイプ開発の最大の特徴は、本開発がプロトタイプへの評価と修正が完了した段階で実行される点です。
いきなり本開発に移らず、プロトタイプの評価と修正を行うため、早い段階でエラーや不具合のリスクを発見できます。
その結果、リスクを最大限抑えた状態でプロダクトのリリースを実現できます。
MVP開発とプロトタイプ開発の違い

あらためて、MVP開発とプロトタイプ開発の違いをまとめましょう。
MVP開発とプロトタイプ開発の類似点は、以下の2点に集約されます。
- あらかじめ開発予定のプロダクトを何らかの形で製造する
- ユーザーのフィードバックを得ながら完成を目指す
これだけの共通点がある要因には、開発手法の分野における両者の位置付けが関係しています。
そもそもプロトタイプはMVPの一種であり、同時にプロトタイプ開発はMVP開発と同系統の手法として扱われているものです。
一方で、MVP開発とプロトタイプ開発は以下の4点で違いがあります。
- 検証する対象
- アウトプット
- ユーザーとの関わり方
- 失敗したときのリスク
それぞれの4点で比較してみましょう。
比較①:検証する対象の違い
MVP開発とプロトタイプ開発の検証対象はそれぞれ以下の通りです。
| 開発手法 | 検証する対象 |
| MVP開発 | 市場・ユーザーの行動 |
| プロトタイプ開発 | UI・体験・理解度 |
MVP開発は市場へのリリースを前提としているため、実際にプロダクトを手に取ったユーザーの行動や反応を検証対象とします。
フィードバックを得たうえで、追加すべき機能やブラッシュアップするポイントを見つけ出し、プロダクトのさらなる改善を進めることがMVP開発の目的であるからです。
一方のプロトタイプ開発は試作品の作成を通じ、UI・体験・理解度などを検証します。
MVP開発と違い、市場へのリリースが前提ではないプロトタイプ開発では、プロダクトの実現可能性を探る段階から進められるケースも珍しくありません。
そのため、アイデアが実際に形となった際の使用感などを確かめる目的で実施されることがあります。
比較②:アウトプットの違い
MVP開発とプロトタイプ開発の最大の違いは、アウトプットの方法です。
MVP開発はMVPの作成を通じてアウトプットを実施します。
MVPは機能こそ必要最小限ですが、実際にユーザーに提供することを念頭に置いてリリースされます。
対して、プロトタイプ開発で製造する試作品はあくまで試作品であり、社内やクライアントとの検証でのみ用いられるものです。
そもそもプロトタイプの製造目的は、実現可能性とデザイン・機能の確認やユーザーエクスペリエンスの評価です。
そのため、試作品を作成した段階では市場へのリリースを前提にしていません。
もし試作品を検証して「実現可能性が低い」「開発・リリースをするメリットがない」と判断された際は、プロジェクト自体が中止になることもあるでしょう。
また、MVP開発と違い、プロトタイプ開発は試作品に搭載する機能を必要最小限に留める必要がありません。
クライアントの要望によっては完成品に近い状態でプロトタイプを作成するケースもあります。
比較③:ユーザーとの関わり方の違い
ユーザーとの関わり方にも大きな違いがあります。
MVP開発はMVPをリリースし、実際にユーザーにプロダクトを利用してもらう開発手法です。
そのため、不特定多数のエンドユーザーが実際にプロダクトに触れるケースも珍しくありません。
企業によってはMVP開発の一環としてベータテストを実施し、テストユーザーに限定してフィードバックを得るケースもあります。
しかし、基本的にMVP開発では実際のユーザーを対象とします。
一方のプロトタイプ開発は、限定的に選出したユーザーに絞って試作品のテストを行う点が特徴です。
プロジェクトによっては社内メンバーやクライアントだけで試作品を検証する場合があります。
比較④:失敗したときのリスクの違い
MVP開発とプロトタイプ開発は、それぞれ失敗した際のリスクも異なります。
MVP開発は性質上、短期的な開発に主眼を置いている手法です。
そのため、開発が必要以上に長期化すると、コストが高騰し、リソースを上回りやすくなります。
また、ユーザーからのフィードバックに適切に対応できなかった場合、企業やプロダクトへの信頼が大幅に低下する恐れがあります。
対して、プロトタイプ開発は試作品を作成する段階で過剰にコストをかけると、もしアイデアの実現可能性が低かった場合、作成に投資しただけの損失を受ける点に注意が必要です。
また、プロトタイプに不備があることに気づかず、本開発・リリースに至った場合、ユーザーからの信頼を損なうリスクがあります。
MVP開発のメリット

MVP開発は近年注目されている開発手法だけあって、多くのメリットが期待できます。
代表的なメリットは以下の通りです。
- スピーディーな市場参入を実現できる
- ユーザーのニーズを取り入れた検証が可能
- 無駄な開発投資を抑えられる
MVP開発のメリットを知れば、多くの企業で利用されている理由が分かります。
また、プロダクトの開発に与える影響も理解しやすくなります。
スピーディーな市場参入を実現できる
MVP開発は最初に必要最小限の機能のみを搭載したプロダクトを市場にリリースすることを目指すため、スピーディーな市場参入が可能です。
そもそもプロダクト製造において、市場に参入する速度は重要です。
早い段階で市場に参入すればユーザーの囲い込みができるなど、先行者利益を獲得できます。
一方で、近年は市場の動向が目まぐるしく変化しており、画期的なアイデアを持っていても、ユーザーのニーズがすでに変わっていたり、同業他社に先を越されたりする可能性があります。
そのような状況において、開発工程を削減し、リリースをスピーディーに実現するMVP開発は有効な開発手法です。
さらにリリースしてからもユーザーから得たフィードバックを収集しつつ、不具合があれば早急に改善できる点もMVP開発の特徴です。
この特性により、MVP開発はプロダクトの機能不全リスクを早期に発見し、損害が深刻化する前に迅速に対処できます。
ユーザーのニーズを取り入れた検証が可能
MVP開発は、ユーザーからのフィードバックの反映を前提としています。
そのため、ユーザーのニーズを柔軟に取り入れた検証の実践が可能です。
MVP開発なら、完成するまでにユーザーのフィードバックを得るので、プロダクトの価値や搭載する機能を早い段階で評価できます。
そのため、ユーザー目線で開発しやすくなり、よりニーズに寄り添ったプロダクトを実現しやすくなります。
また、一般的な開発手法と違い、MVP開発は市場ニーズとのズレを最小限に抑えられる点もメリットです。
無駄な開発投資を抑えられる
MVP開発なら開発費用のムダを削減できます。
一般的な開発では、プロダクトが完成してからリリースします。
万が一、ユーザーからの評価が悪く失敗に終われば、それまでに費やしたコストがすべてムダになります。
その点、MVP開発は、最小限の機能でリリースするため、プロジェクトが失敗しても、開発費用のムダを最小限に抑えることが可能です。
また、ユーザーの意見を受けてプロダクトを改善したり、軌道修正が必要になった場合でも、MVP開発であれば最小限の修正で対応できます。
このように、開発コストの無駄が少ない点は、MVP開発ならではのメリットです。
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MVP開発を実施する際の注意点

MVP開発はさまざまな恩恵がある開発手法です。
一方で、MVP開発を成功させるなら、以下のような注意点を意識する必要があります。
- ユーザーとの関係性に注意する
- フィードバックを適切に受け付けて製品に反映する
- 完璧にこだわらず、スモールスタートを意識する
MVP開発は優れた開発手法ですが、完璧ではありません。
失敗するリスクを避けるうえでも、それぞれの注意点を必ずチェックしましょう。
ユーザーとの関係性に注意する
MVP開発において、ユーザーはプロダクトを完成させるうえで欠かせない存在です。
しかしユーザーとの関係性がかえって開発工程に影響を与える点には注意しましょう。
ユーザーからのフィードバックはプロダクトの評価に大きく影響しますが、だからこそ本質に触れるものでなければなりません。
もしフィードバックが表面的なものだと、適切な改善が実現できなくなります。
聞こえの良いレビューより、プロダクトの欠点を踏まえたフィードバックの方がより効果的な改善を実現できます。
そのため、より良いフィードバックを得るうえでも、率直な意見を提供してくれるユーザーとは良好な関係を築きましょう。
互いの信頼関係がなければ、ユーザーも本音を伝えてくれません。
また、信頼できるユーザーとエンジニアをつなぐチャネルも不可欠です。
SNSやメールフォームなど、ユーザーが気軽にコミュニケーションできるチャネルがあれば、長期的な関係を築きやすくなります。
フィードバックを適切に受け付けて製品に反映する
MVP開発でフィードバックを受け付け、製品に反映させる際は、適切な意見に絞り込むことが重要です。
MVP開発においてフィードバックの獲得は不可欠ですが、不適切なフィードバックはかえってプロダクトの品質を落としかねません。
MVP開発はその性質上、さまざまなフィードバックを得ますが、あまりに意見を取り入れすぎると開発当初のコンセプトとズレる恐れがあります。
コンセプトとの乖離が生じると不要な機能を追加してしまったり、逆に本来の機能を損なってしまったりします。
そのため、MVP開発を実施する際は、本当に必要な意見だけを選別し、取り入れることが重要です。
それだけでなく、フィードバックを得る際はユーザーに具体的な質問をすることも心がけましょう。
抽象的な質問だとユーザーからの回答も曖昧なものになり、有意義なフィードバックを得られません。
完璧にこだわらず、スモールスタートを意識する
MVP開発を実施するなら、完璧にこだわらず、スモールスタートを心がけましょう。
そもそもMVP開発は必要最小限の状態でのプロダクトのリリースが前提の開発手法です。
だからこそスピーディーな開発と改善を実現できます。
この性質から、MVP開発は「完璧なプロダクト」の開発を前提とするプロジェクトとは相性が良くありません。
完璧なプロダクトを目指してスケジュールを組むと、MVP開発本来のメリットであるスピード感を損ないます。
もちろん、スピーディーに開発を進めるためにも、MVP開発ではスモールスタートが重要です。
プロダクト開発において、開発する機能が多いとスケジュールが長くなり、時間もコストもかかります。
しかし時間やコストがかかる開発になると、MVP開発の本来のメリットを得られません。
そのため、MVP開発を実施するなら必要最小限の機能の開発に加え、可能な限りコストをカットできるようにプロジェクトを組む必要があります。
MVP開発に適したプロジェクト

MVP開発に適したプロジェクトは以下の通りです。
- 小規模なWebサービスやアプリケーションの開発プロジェクト
- 新規プロジェクト
MVP開発はリーンスタートアップを前提とした、Webサービスやアプリケーションを開発する小規模なプロジェクトや新規プロジェクトに適しています。
加えて、MVP開発は新規プロジェクトにも最適な手法です。
新規プロジェクトはユーザーのニーズが不確定であるため、いきなり完成品をリリースすると失敗するリスクが高い傾向があります。
しかし、MVP開発ならフィードバックを通じて不確定なニーズを具体化しながら開発できるため、未知の市場でも成功する可能性が高まります。
MVP開発に適さないプロジェクト
MVP開発と相性が悪いプロジェクトは以下の通りです。
- 多数の機能を搭載した複雑な製品などボリュームが大きい開発プロジェクト
- 2カ月以上の開発期間を必要とする開発プロジェクト
まず、多数の機能の搭載を前提にした複雑なプロダクトはMVP開発に向いていません。
また、一般的にMVP開発は2カ月以上の開発期間を必要とするプロダクトには適さないとされています。
開発手法を選ぶ際は、あらかじめプロダクトの開発に要する期間を算定しましょう。
もし2カ月以上の期間を要するものであれば、MVP開発以外の開発手法が適切です。
自社のプロダクトに合わせた開発手法を選ぼう

MVP開発とプロトタイプ開発は酷似しており、実際同じカテゴリーに位置する開発手法です。
ただし、プロトタイプ開発と違い、MVP開発はリリースを前提にして必要最小限の機能を備えたプロダクトを開発します。
さらに、リリース後に得られるユーザーのフィードバックを集めながらプロダクトの改善を目指す点も特徴です。
MVP開発はスピーディーに開発する分、先行者利益を得やすいうえに、開発に要するコストを抑えられる手法です。
そのため、多くのスタートアップ企業で実践されてきました。
しかし、MVP開発はユーザーとの関係性やフィードバックの取捨選択など、注意すべきポイントが多くあります。
また、2カ月以上の開発期間を要するようなプロジェクトはMVP開発には不向きです。
もし相性が悪いプロジェクトである場合は、MVP開発以外の適切な開発手法を選びましょう。
なお、Wakka.Inc.では、MVP開発やプロトタイプ開発を実践するうえで役立つホワイトペーパーを無料配布しています。
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