部品管理システムとは?おすすめの製品と選定ポイントを解説
こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
近年、個別受注生産や多品種少量生産が取り入れられ、部品の管理業務が複雑化しています。従来の管理方法では限界を迎え、システム化を検討する方も多いでしょう。
ひとえに部品管理システムといってもさまざまな製品があり、「どのような機能を搭載しているのか」、「何を基準に選べば良いのか」とお悩みではないでしょうか。
本記事では、部品管理システムの概要と選定ポイント、おすすめの製品を紹介します。
「システム開発ハンドブックvol.2 在庫管理システム」では、部品管理を含む、コストと販売機会の効率化をはかるための在庫管理について、システムの選び方や導入時の注意点などを解説しています。ぜひ、あわせてご確認ください。
自社の在庫管理を最適化したい、在庫管理についてシステム化を計画している方
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コストと販売機会の効率化をはかるための在庫管理について、システムの選び方や導入時の注意点などを解説しています。
【基礎知識】部品管理システムとは?
部品管理システムとは、製品の製造に必要な部品や原材料などを、適切に管理するためのシステムです。
具体的には、部品の入出庫管理や在庫数、調達状況などを管理し、各部門への共有するものです。
部品に関する情報をリアルタイムに把握・共有することで、欠品による待ち時間や情報のタイムラグを回避し、生産効率を高められます。
また、企業経営の視点から見ると、部品の消耗状況や調達にかかるコストなども把握でき、経営戦略の策定に役立ちます。
そもそも部品表とは?
部品表は、製品の製造に必要な部品を一覧表にまとめたものです。
Bill Of Materialsの頭文字を取り、BOMとも呼ばれます。
部品表の項目は、部品の名称・品番・数量・材質・サイズ・重量・単価などが一般的で、用途に合わせて設計・生産・販売など、各部門で独自の部品表が作成されます。
例えば、データ構造で見た場合、以下の2種類に分類されます。
・サマリ型
必要な部品・材料を並列にまとめた部品表。
必要部品を一覧形式で把握できるため、資材調達部門で利用されます。
・ストラクチャ型
必要な部品・材料をツリー状にまとめた部品表。
製造手順や依存関係を把握でき、リードタイムの計算に活用されます。
上記以外にも、各部門に最適化された部品表は、以下のものが挙げられます。
- 設計部品表(E-BOM)
- 製造部品表(M-BOM)
- 販売付品表(S-BOM)
- 生産準備部品表(P-BOM)
製造業では各部門が独自の方法で部品を管理するため、全社的に見ると膨大な情報量を管理しなければならないのです。
エクセルでは難しい?部品管理の課題
部品管理をエクセルや紙で行う企業の多くは、以下の課題を抱えているケースが多く見られます。
- 部門表の入力ミスで実在庫との間にズレが生じる
- ズレを防ぐために棚卸しを頻繁に行い人員が割かれる
- 部門・拠点間でのデータ連携に時間と手間がかかる
- 部門・拠点間で管理方法が統一されておらず重複業務が発生
- データ連携に時間がかかり実測値とのタイムラグが生じる
製品に使われる部品は、品目や数量が膨大なため、エクセルや紙での管理ではデータの入力に多くの工数がかかります。
また、顧客からの仕様変更が多い個別受注生産の場合、変更内容の共有に時間がかかり、設計部門と製造・調達間でタイムラグが生じがちです。
生産業工程全体をふかんすると、多くの時間・人員ロスが発生し、生産性の低下を引き起こす要因となっています。
こうした課題を解決するために注目されているのが、部品管理システムです。
各部門の部品表を統合し、単一のデータベースに集約することで、データ連携の円滑化を実現します。
部品管理システムが搭載する4つの基本機能
部品管理システムには、具体的にどのような機能が搭載されているのでしょうか。
製品ごとに搭載機能は異なりますが、一般的には以下4つの基本機能を備えています。
- 部品管理機能
- 製品管理機能
- コスト管理機能
- 外部連携機能
本章では、上記の基本機能について、用途と合わせて解説します。
機能1.部品管理機能
部品管理システムの核となるのが、部品管理機能です。
その名のとおり、各部門で作成され部品表を一元的に管理する機能です。
もちろん、各部品表は製品や用途別に集約されるため、必要データの収集を円滑で実施できます。
各部門の担当者がデータベースへアクセスすれば、現状どこに・何の部品表があるのかを瞬時に把握できます。
これにより、入力作業の重複を防止でき、部品管理業務の効率化が可能です。
なお、一度作成した部品表は、削除しない限りデータベース上に残り続けます。
ほかの製品を設計・製造する際に、既存データを流用すれば作業工数を削減できるでしょう。
機能2.製品管理機能
製品管理機能とは、部品表や図面データを製品情報に紐づけ、体系的に管理する機能です。
エクセルや紙で管理する場合は、部品表や図面データをファイルで管理するケースが一般的です。
これまで、必要なデータを開くために、めぼしいファイルを複数個開いたという経験もあるのではないでしょうか。
一方、部品管理システムの場合は各製品に部品表が紐づいているため、任意のデータを即座に見つけられます。
なお、製品の属性・構成情報も登録できるため、組み立て手順どおりに部品表を登録すれば、製造時の手戻りを防止できるでしょう。
機能3.コスト管理
部品管理システムのコスト管理機能は、生産準備BOMをもとにコストを算出するケースが一般的です。
算出されるコストは、製品ごとにまとめられるため、何らかの問題があれば、生産管理者が迅速に把握・対応できます。
また、部品管理システムではユーザーごとにアクセス権限を設定できます。
調達価格や原価積算などは、権限を絞り混むことで機密性を保持できるでしょう。
機能4.外部連携
部品管理システムは、外部システムとの連携にも対応しています。
代表的な連携可能システムは、以下のとおりです。
- 生産管理システム
- CAD
- 購買・調達管理システム
- 原価管理システム
外部連携を活用することで、生産業務全体をシステム化でき、業務の更なる効率化が見込めます。
ただ、外部連携が可能なシステムは、導入する部品管理システムによっても異なります。
すでに関連業務へシステムを導入している場合は、部品管理システムの選定時に連携が可能かを確認しておくと良いでしょう。
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部品管理システム2つの選定ポイント
自社に適した部品管理システムを選ぶには、以下のポイントで比較するのがおすすめです。
- システムのコスト・特性
- システムの操作性・管理のしやすさ
部品管理システムは、生産業務を支える重要な存在です。
システム導入の成功率をあげるためにも、ポイントを意識して選定してみてください。
部品管理システムのコスト・特性
システムを選定するうえで特に意識するのが、コストではないでしょうか。
ただ、必要なコストは、システムの形態や搭載機能などによって大きく異なります。
例えば月額制のシステムの場合、初期費用や月々のコストは安価ですが、長期的に運用した場合、負担額が大きくなりがちです。
また、システムのカスタマイズができないため、できるだけ自社の業務プロセスに近い製品を選定し、業務を適合させる必要があります。
一方、パッケージ型(買い切り型)やフルスクラッチ開発(オーダーメイド開発)の場合、月額制に比べ初期費用が高額ですが、運用コストはそれほどかかりません。
なお、システムのカスタマイズを自由に行えるため、新たな生産形態をとる場合でも柔軟に対応できます。
このように、システムのコスト・特性の双方を見ると、どの形態にも一長一短があります。
そのため部品管理システムを選ぶ際は、どの形態のシステムが自社に適しているのかを見極めることが重要です。
システムの操作性・管理のしやすさ
部品管理システムは、利用頻度が高いため、操作性や管理のしやすさが重要になってきます。
管理画面の見やすさはもちろん、部品表のツリー表示や複数のユーザーで同時編集ができるかど、細かな点まで確認しておくと良いでしょう。
また、操作性やUIはシステムによって大きく異なるため、導入前にトライアルやデモを利用するのがおすすめです。
あらかじめ運用方法の大枠を決めておくことで、システムの操作性や管理のしやすさを適切に判断できるでしょう。
【中小企業向け】おすすめの部品管理システム3選
ここでは、中小企業向けの部品管理システムを比較します。
本章で取り上げる製品は、以下の3つです。
- 生産革新Bom-jin
- PowerBOM
- rBOM
上記製品の特徴を順に紹介します。
生産革新Bom-jin:生産形態別にシステムを提供
「生産革新Bom-jin」は、株式会社大塚商会が提供する部品管理システムです。
部品管理を根本から効率化するため、生産管理とのデータ連携が重視されています。
部品を作り出す設計部門の図面・技術情報が品目台帳で管理され、業務の標準化・流用化をサポートします。
また、設計部門が作成した部品表が製造部門へと即座に共有されるため、急な仕様変更にも柔軟に対応できるでしょう。
なお、生産革新Bom-jinは、株式会社大塚商会が提供する生産革命ファミリーの1つです。
生産革新Bom-jinのほかには、各生産形態に特化した以下の生産管理システムを提供しています。
- 生産革命 Fu-jin:繰返受注・組立生産
- 生産革命 Rai-jin:個別受注・組立生産
- 生産革命 Ryu-jin:繰返受注・加工生産
- 生産革命 Wun-jin:個別受注・加工生産
- 生産革命 Blendjin:繰返受注・プロセス生産
生産革新Bom-jin単体での導入も可能ですが、生産管理業務を効率化したい場合は、上記製品を検討すると良いでしょう。
PowerBOM:部品管理特化型のシステム
「PowerBOM」は、株式会社日立パワーソリューションズが提供する部品管理システムです。
PowerBOMの特徴は、設計部門と製造部門の部品表を一元管理する点にあります。
設計部門が入力した情報がリアルタイムで共有されるため、購買部門・生産部門とのシームレスな連携が可能です。
また、各部品管理表のデータは履歴が管理されるため、設計・購買・生産部門で同時に編集を加えられます。
PowerBOMは現場の意見を取り入れて構築された経緯もあり、使い慣れた表計算ソフトのような画面レイアウトを採用。
操作頻度の高い項目が画面上部のツールバーに集約されているため、システムを使い慣れていない方でも抵抗感をおぼえることなく利用できるのではないでしょうか。
rBOM:個別受注生産に特化したシステム
「rBOM」は、大興電子通信株式会社が開発した生産管理システムです。
個別受注生産や多品種少量生産に特化しており、受注ごとに異なる部品表を統合して管理できます。
部品管理に特化したシステムに比べて大型なこともあり、各部門のノウハウを集積するナレッジデータベースにも対応しています。
ベテラン従業員の知識・知見を一元化することで、各拠点の標準化が見込めるでしょう。
大興電子通信株式会社はrBOMの他にも、勤怠管理システムや会計管理システムなども提供しています。
同社が提供していることもあり、高度に連携し、全社最適化を支えるERPとしても活用できます。
部品管理システムの規模感には注意が必要
ここまで部品管理システムについて紹介してきましたが、導入を検討する前に注意すべきことがあります。
それは、部品管理システムが対応する業務範囲です。
一般的な部品管理システムは、部品管理以外にも多くの機能を搭載していることがほとんどです。
純粋に部品管理の効率化を目指す場合は、機能の一部を持て余す恐れがあります。
そのため、部品管理システムを検討する際は事前準備として、自社が効率化・最適化したい業務範囲を明確にし、必要機能を洗い出すことが大切です。
部品の管理業務のみをシステム化したい場合は、特化型のシステムを検討すると良いでしょう。
部品管理システムで管理業務を効率化しよう
本記事では、部品管理システムの概要と選定ポイント、おすすめの製品を紹介しました。
部品管理システムを活用することで、人的ミスや情報のタイムラグを削減できます。
また、システムによって搭載機能や対象業務が異なるため、あらかじめ自社の要件を明確にしておくことが重要です。
部品管理システムを活用し、管理業務・生産業務の効率化を図ってはいかがでしょうか。
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