ヘッドレスCMSとは?従来CMSとの違いや導入のメリット・デメリットを分かりやすく解説


こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
次世代型のCMSとも呼ばれているヘッドレスCMSが、徐々に市場に浸透してきました。
「ヘッドレスCMSについて興味がある」「Webサイトの立ち上げでヘッドレスCMSを利用したい」と考えている企業の担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、ヘッドレスCMSに関する以下の内容を解説します。
- ヘッドレスCMSの概要
- ヘッドレスCMSの種類
- ヘッドレスCMSのメリット・デメリット
- ヘッドレスCMSがおすすめの人・企業
- おすすめのヘッドレスCMSと比較ポイント
ヘッドレスCMSの特徴を確認して利用を検討している方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
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ヘッドレスCMSとは

ヘッドレスCMSとはバックエンドとフロントエンドが完全に切り離されているCMSを指します。
そもそもCMSは、WebサイトのコンテンツをHTMLやCSSを使わずに編集・変更ができるシステムです。
有名なものには、WordPressやWixなどがあります。
CMSにはコンテンツを入稿・管理するバックエンドと、コンテンツを映し出すフロントエンドがあります。
フロントエンドがなく、バックエンドのみになっているのがヘッドレスCMSです。
ヘッドレスCMSではフロントエンドを省くことで、レスポンスの円滑化やサイバー攻撃リスクの回避などのメリットが期待できます。
ヘッドレスCMSは2018年ごろから注目され始め、2020年のコロナ禍を境に多くの会社で使用されるようになりました。
メタバースに応用できることもあり、今後ますます利用者が増加する見込みです。
WordPressとヘッドレスCMSの違い
WordPressは世界でもっとも普及しているCMSで、管理画面(バックエンド)と表示部分(フロントエンド)が一体化している”通常型CMS”の代表格です。
記事や画像を投稿すると、そのままテーマやテンプレートを通してWebページとして表示されます。
一方、ヘッドレスCMSはバックエンドとフロントエンドが完全に分離しており、データ管理の機能のみを備えています。
コンテンツはREST APIやGraphQLなどのAPIを介して配信され、フロントエンドはReactやNext.jsなど任意の技術で自由に構築できる仕組みです。
ヘッドレスCMSはフロントエンドを持たず、コンテンツのデータ管理に特化したバックエンド機能しか持たない点が、WordPressとの大きな違いです。
ヘッドレスCMSが必要とされている理由
ヘッドレスCMSが登場した背景には、コンテンツ消費の多様化があります。
従来はPC向けWebサイトが中心でしたが、現在はスマートフォン・タブレット・スマートウォッチ・IoT機器、さらにはメタバースなど、多様な配信先が急速に拡大しました。
従来型CMSでは、このようなマルチチャネルへの対応が難しく、開発や更新の負担が増大してしまう点が課題です。
対してヘッドレスCMSは、コンテンツを一元管理しつつAPIで異なるチャネルへ配信できるため、開発効率や運用効率を大幅に向上できます。
また、フロントエンドを自由に選べるため、最新技術や高速表示の仕組みを柔軟に取り入れられることも大きな理由です。
ユーザーは表示速度の速さやWebページの操作性を重視するようになり、SEO・マーケティングの観点でも質の高いUIやUX(ユーザー体験)が求められる時代へと変化しました。
豊富な機能性と膨大なデータ処理機能を備えたヘッドレスCMSであれば、ユーザー満足度の高いWebサイトを構築できるため、注目されているのです。
そこで、豊富な機能性と膨大なデータ処理能力を備えたヘッドレスCMSが、従来のCMSに代わるものとして注目を集めています。
ヘッドレスCMSがおすすめなケース
以下のようなケースでは、ヘッドレスCMSの導入を検討しましょう。
複数のWebサイトで共通のコンテンツを管理したい
1つのCMSで管理した記事や画像を、複数のWebサイトやサービスに同時配信でき、更新作業の重複を防げます。
スマートフォンアプリやIoT機器など、Webサイト以外でもCMSを利用したい
API経由でコンテンツを配信できるため、アプリ・デジタルサイネージ・音声アシスタントなど多様なデバイスに対応できます。
独自開発の比率が高い
フロントエンドを自由に設計できるため、自社の要件やブランディングに合わせた独自仕様のUI/UXを構築できます。
ヘッドレスCMSの強みは、バックエンドをAPI連携によって異なるチャネルへ配信・活用できるできる点です。
複数のWebサイトを運営する企業は、ヘッドレスCMSを導入しましょう。
ヘッドレスCMSの種類

ヘッドレスCMSは、以下の2種類に分けられます。
- Self-Hosted(セルフ・ホステッド)型
- CaaS(カース)型
Self-Hosted型は、自社でサーバーを用意する必要がありますが、自由度が高くコストを抑えられます。
対して、CaaS型はCMSの運用会社がサーバーやデータベースを用意するため、手軽に利用できる点がメリットです。
しかし、運用会社にサービス利用料を支払う必要があり、コストが高くつくデメリットもあります。
それぞれの特徴を理解し、ヘッドレスCMSを利用する際の参考にしてください。
Self-Hosted(セルフ・ホステッド)型
Self-Hosted型は、自社でサーバーを用意してヘッドレスCMSを設置するタイプです。
自由に構築でき、CaaS型と比べてコストを抑えられるメリットがあります。
一方で、システムの整備やセキュリティ対策は自身で行う必要があるため、専門的な知識を持つ人材のリソース確保が必須です。
サーバーやデータベースの利用料金は発生しますが、無料で利用できるオープンソース型のCMSを採用すればコストを削減できます。
ただし、Self-Hosted型は自社でサーバーやデータベースを用意する必要があるため、システム構築にはエンジニアの確保が不可欠です。
CaaS(カース)型
CaaS型は、CMSの運用会社が提供するサーバーやデータベースを利用するタイプです。
サービスとしてヘッドレスCMSが提供されているため、アクセスするだけで利用できます。
システムの構築やセキュリティ対策を任せることができ、トラブルが発生した際はサポートも受けられます。
一方、サービスの利用料がかかるため、Self-Hosted型と比べるとコストが高くつく点がデメリットです。
また、CMSの運用会社がサービスを終了するリスクも存在します。
ヘッドレスCMSのメリット6つ

ヘッドレスCMSは、従来のCMSでは得られないメリットがあります。
解説するメリットは以下の6つです。
- UI/UX変更やシステム機能変更が柔軟にできる
- 複数のデバイスやチャネルに配信しやすくなる
- チームでの並行作業がしやすくなり、開発のスピードが上がる
- セキュリティ対策が必要な範囲を絞れる
- 画面の表示速度が向上する
- サーバーのコストを抑えられる
ヘッドレスCMSのメリットを知っておけば、導入した際にどのような影響があるか具体的にイメージできます。
【メリット1】UI/UX変更やシステム機能変更が柔軟にできる
ヘッドレスCMSの最大のメリットは、カスタマイズのしやすさです。
従来のCMSは、フロントエンドとバックエンドが連携しているため、フレームワークの変更では双方を同時に編集する必要がありました。
その点、ヘッドレスCMSはフロントエンドとバックエンドがそれぞれ独立しており、編集内容が他方に作用する恐れがありません。
なお、フロントエンドとバックエンドが切り離されたことで、フォーマットに縛られずにコンテンツモデルを自由にカスタマイズできたり、任意の開発言語を使用できたりと、自由度の高い編集が可能です。
こうした編集のしやすさや自由度の高さから、WebサイトのみならずECサイトなどにも利用されています。
【メリット2】複数のデバイスやチャネルに配信しやすくなる
ヘッドレスCMSはフロントエンドが独立しているため、各デバイスに最適化したUIを構築できます。
従来のCMSもPC・モバイルに最適化するレスポンシブ対応が可能ですが、画面サイズに合わせる程度なので機能に限界があります。
その点ヘッドレスCMSは、フロントエンドがAPIを利用してデータをやり取りするため、Webサイト・アプリケーション・メタバースなど、ユーザーの環境に応じて最適なサービスを実現できるのです。
【メリット3】チームでの並行作業がしやすくなり、開発のスピードが上がる
ヘッドレスCMSは、フロントエンドとバックエンドが独立しているため、開発チームとコンテンツ編集チームが同時進行で作業できるメリットがあります。
従来型CMSでは、テンプレートや構造の変更がコンテンツ部分に影響を与える可能性があり、作業手順の標準化や調整が必要でした。
その結果、開発と編集のどちらかが待機する時間が発生し、全体の開発スピードが低下してしまいます。
ヘッドレスCMSであれば、バックエンドではコンテンツの入力・管理、フロントエンドではデザインや機能開発をそれぞれ独立して進行可能です。
フロントエンドとバックエンドをそれぞれ並行作業すれば、工数の削減や納期の短縮につながり、アジャイル開発や短期間でのリリースにも柔軟に対応できます。
【メリット4】セキュリティ対策が必要な範囲を絞れる
ヘッドレスCMSは、バックエンドとフロントエンドが分離している構造上、攻撃対象となる範囲を限定できるのもメリットです。
WordPressなどの従来型CMSでは、管理画面と公開サイトが同じサーバー上に存在するため、脆弱性が見つかると不正アクセスや改ざんのリスクが高まります。
一方、ヘッドレスCMSでは管理画面を非公開環境に置き、フロントエンドを静的ファイル配信サーバーやCDNに分離できます。
そのため、攻撃者が直接CMS本体にアクセスする機会を減らせます。
さらに、公開APIの認証やアクセス制限を適切に設定すれば、高いセキュリティレベルを保ちながら運用できる点もメリットです。
【メリット5】画面の表示速度が向上する
ヘッドレスCMSは、画面の表示速度が速い点もメリットです。
ヘッドレスCMSは動的ファイルを使わずに静的ファイルでコンテンツを表示するので、データ処理の負担が少なく、その分表示速度が速められます。
そのためコンテンツのユーザビリティが向上しやすく、Googleやbingなどの検索エンジンから評価されやすくなるのです。
【メリット6】サーバーのコストを抑えられる
通常のCMSと比較すると、ヘッドレスCMSは処理が少ない分、サーバーのコストを抑えられます。
一般的なCMSは閲覧用のファイルを形成するため、サーバーに負荷がかかります。
ストレスなく作業にするには、性能の良いサーバーが必要になるケースも多いです。
ヘッドレスCMSなら、処理するデータ容量を抑えられるため、より費用を抑えてサーバーを管理できます。
なお、システム構築や改修も比較的手軽に行えるため、業務にかかる人材コストも抑えられる点もメリットです。
ヘッドレスCMSのデメリット3つ

ヘッドレスCMSはメリットが多い反面、無視できないデメリットも存在します。
本記事で解説するデメリットは以下の3つです。
- エンジニアがいなければ導入・運用が難しい
- プレビュー機能を別途用意する必要がある
- 場合によっては外部ツールが必要になる
デメリットを知っておけば、ヘッドレスCMSを使用する際のミスやトラブルを回避できます。
また、自社の環境にヘッドレスCMSが本当にマッチしているかも確かめられます。
【デメリット1】エンジニアがいなければ導入・運用が難しい導入のハードルが高い
ヘッドレスCMSはサーバーやデータベースを自社で設置し、専門的な知識を持ったエンジニアが設計・構築することで初めて運用できます。
また、フロントエンドがないため、自前で作成しなければなりません。そのため、ノウハウやスキルがないと導入のハードルが高まります。
ただし、ヘッドレスCMSにはCaaS型のように導入しやすい形態もあるため、自社にあった製品を選びましょう。
【デメリット2】プレビュー機能を別途用意する必要がある
プレビューの表示に手間がかかる点も、ヘッドレスCMSのデメリットです。
ヘッドレスCMSは構造上フロントエンドがないため、作成したコンテンツのプレビューの表示ができません。
そのためプレビュー表示も自分達で追加しなければならないうえに、構成が複雑化するリスクがあります。
ただし、製品によってはあらかじめプレビュー表示機能が付加されているものもあるため、搭載機能を確認しておきましょう。
【デメリット3】場合によっては外部ツールが必要になる
ヘッドレスCMSは動的ファイルを使用しないため、動的コンテンツの作成やフロントエンド内のコンテンツ反映などをする際には外部ツールが必要です。
とりわけSelf-Hosted型のように大規模なカスタマイズができない形態は要注意です。
あらかじめ追加したいコンテンツと必要な外部ツールを把握しておかないと、想定よりコストや手間が発生するので気をつけましょう。
ヘッドレスCMSの導入事例

本章ではヘッドレスCMSの導入事例を紹介します。
本記事で紹介するのは、microCMSを導入したfreee株式会社の事例です。
SaaSサービスを提供するfreeeは、以前よりWebサイトの柔軟な運営とセキュリティ対策を課題としていました。
元々freeeはMovableTypeベースで制作していましたが、課題解決のためにmicroCMSを導入しています。
microCMSを導入した結果、シンプルで使いやすいUIによって、freeeは柔軟なサイト運営やコンテンツ管理を実現しました。
さらに利用技術が統一されたことにより、コストの削減にも成功しています。
freeeは現存している古いサイトにもmicroCMSを導入し、サイトの運営体制を積極的に改善しています。
参照:microCMS
ヘッドレスCMS導入後のWeb制作の進め方

下記のお役立ち資料では、ヘッドレスCMS導入後のWeb制作の進め方を確認できます。
ヘッドレスCMSと従来CMSの違いや、開発するための基本フローなどを記載しており、Web制作の提案準備や事前準備に利用できます。
次の特徴に当てはまる方は、特におすすめです。
- 従来のCMSからヘッドレスCMSの移行を計画しているの方
- クライアントにヘッドレスCMSを提案する制作会社の方
- ヘッドレスCMS開発における基本のフローを知りたい方
ヘッドレスCMSの導入を検討している方は、ぜひチェックしておきましょう。
【無料DL】制作会社向け|ヘッドレスCMSWeb制作進め方ガイド
ヘッドレスCMS12個を比較!【無料・有料】
では、具体的にどのへっどレスCMSを選べばよいのでしょうか。
以下の記事で、主要なヘッドレスCMSを12個ピックアップし、さまざまな指標で比較しています。
貴社にぴったりのヘッドレスCMSを判断するために、ぜひチェックしてみてください。
ヘッドレスCMSに関するよくある質問

ヘッドレスCMSを導入する前に、下記のよくある質問に対する回答を確認しておきましょう。
- Q1. ヘッドレスCMSとは何ですか?従来型CMSとの違いは?
- Q2. ヘッドレスCMSを使うメリット・デメリットは?
- Q3. 無料で試せるヘッドレスCMSはありますか?
- Q4. WordPressをヘッドレス化する方法は?プラグインで簡単にできますか?
- Q5. ノーコードやローコード開発でもヘッドレスCMSは使えますか?
- Q6. ヘッドレスCMSはSEOに不利ですか?
Q1. ヘッドレスCMSとは何ですか?従来型CMSとの違いは?
ヘッドレスCMSは、コンテンツの管理(バックエンド)と表示(フロントエンド)を切り離し、API経由で配信する仕組みです。
WordPressなどの従来型CMSは両者が一体化しており、ヘッドレスCMSとはコンテンツを管理・配信する構造が違います。
Q2. ヘッドレスCMSを使うメリット・デメリットは?
メリットは、UI/UXの柔軟な変更、複数チャネルへの配信、高速な表示などが挙げられます。
対して、エンジニアへの依存度が高くなることや、プレビュー環境の準備が必要になることがデメリットです。
Q3. 無料で試せるヘッドレスCMSはありますか?
microCMS、Newt、Contentfulなどは無料プランを提供しています。ただし、料金上限や機能制限があるため、事前に比較検討しましょう。
Q4. WordPressをヘッドレス化する方法は?プラグインで簡単にできますか?
WP REST APIと静的サイトジェネレーターを組み合わせる方法や、Shifter Headlessなどのサービスを利用する方法があります。導入のしやすさは手法やツールによって異なります。
Q5. ノーコードやローコード開発でもヘッドレスCMSは使えますか?
可能です。
microCMSのカスタムフィールド機能や、NewtのビジュアルUIなど、非エンジニアでも扱いやすい機能を備えたサービスがあります。
Q6. ヘッドレスCMSはSEOに不利ですか?
静的サイト生成(SSG)やサーバーサイドレンダリング(SSR)を採用すれば問題ありません。
むしろCore Web Vitalsの改善に役立つケースもあります。
ヘッドレスCMSについての理解を深めてうまく活用しよう

ヘッドレスCMSはフロントエンドとバックエンドを分離することにより、カスタマイズ性や表示速度が向上したCMSです。
セキュリティ性が高いうえに、マルチデバイスに対応しているため、従来のCMSよりコンテンツの配信や管理をスムーズに実践できます。
ただし、ヘッドレスCMSの利用には専門的な知識とスキルが必要です。
そのため、技術的な経験が少ない場合は導入が難しい場合があります。
もし自社でヘッドレスCMSを本格的に導入したいなら、Wakka Inc.のサービスをご検討ください。
Wakka Inc.はヘッドレスCMSを利用したWebサイトの製作をフルサポートしています。
インフラチームと開発チームが一丸となり、綿密なプランを作成したうえで取り組むため、導入実績がない企業でも安心して利用できます。
また、Wakka Inc.は国産のヘッドレスCMSであるmicro CMSのパートナー企業です。
micro CMSの機能にWakka Inc.の知識やスキルを組み合わせることにより、ニーズに合わせた最適な導入支援を実現します。
WaGAZINE読者さま限定!
あなたにピッタリのヘッドレスCMS選定ガイド
ヘッドレスCMSの移行を計画している方や、














