PaaSとは?SaaS・IaaSとの違いと開発メリットを解説


こんにちは。Wakka Inc.のメディア編集部です。
クラウドサービスには、IaaS・PaaS・SaaSの3種類があり、それぞれ提供するサービス内容が異なります。
PaaSは、IaaSとSaaSの中間に位置しており、アプリケーション開発に必要なOSやミドルウェアをサービスとして提供している点が特徴です。
すでに開発環境が整っているため、開発初心者も開発経験者も効率的なシステム開発が実現できます。
一方、PaaSを運用する際は、さまざまな注意点があるので、導入する際は事前に理解しておくことが重要です。
これらを踏まえつつ、本記事ではPaaSの特徴や種類・開発メリットや注意点・代表的な主要サービスを解説します。
※記事内で紹介しているツールの情報は、2025年10月時点での内容です。利用料やプランなどは変更となる可能性もあるため、最新情報は公式ページでご確認ください。
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PaaSとは?その他クラウドサービスとの違い

クラウドサービスには、IaaS・PaaS・SaaSの3種類があり、PaaSはサービスとして開発環境や実行に必要なプラットフォーム(基盤)を提供しています。
すでに開発環境が整っていて環境構築が不要のため、開発初心者も利用しやすく、効率的なアプリケーション開発が実現可能です。
本章ではPaaSの特徴や種類・開発時のメリットや注意点・代表的な主要サービスを解説します。
PaaSとは?
PaaS(パース)とは「Platform as a Service」の略で、開発者がアプリケーション開発やデプロイを簡単かつスムーズに実行できるプラットフォームをサービスとして提供しています。
通常の開発環境は、以下のような作業が発生するものです。
- ハードウェアの購入やWindowsやLinuxなどのOSのインストール
- OracleやMySQLなどのデータベースのセットアップ
- PHP・Ruby・Javaなどアプリケーションの実行環境をセットアップ
上記の工程をすべて完了させるだけでも、一定以上の時間と作業工数がかかります。
一方で、PaaSを導入すると、システム開発や運用時に必要なハードウェア及びソフトウェアの環境構築ができているため、自分で行う必要がありません。
手間のかかる作業が不要で、導入後すぐにアプリケーション開発に着手できるため、開発経験者はもちろん、まだ経験が浅い開発初心者にもおすすめです。
PaaSはソフトウェアのカスタマイズはもちろん、独自にアプリケーションを自社開発でき、スムーズさと自由度の高さが特徴です。
PaaSの市場規模
PaaSはIT業界からの高い需要により、近年は市場規模を拡大しています。
矢野経済研究所の調査によると、PaaSやIaaSといったクラウド基盤サービスの事業者売上高は2024年に前年比118%の2兆2800億円以上に達しました。
この要因のひとつは、大企業が積極的にクラウド基盤サービスの導入を進めていることです。
昨今は基幹系システムをクラウドに移行する企業が増えており、ニーズに比例してクラウド基盤サービスの事業者売上高が増加しています。
加えて、DXの推進もクラウド基盤サービスの市場規模の拡大に関係しています。
近年はDX化に伴い、社内のシステムを一新するだけでなく、データドリブン経営を実現するためにクラウド基盤サービスを利用する企業が増加しました。
今後も市場規模の拡大は続くと見られており、2028年には4兆4900億円以上に達すると予測されています。
参照:クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場に関する調査を実施(2025年)|株式会社矢野経済研究所
PaaSとIaaSの違い
IaaS(アイアス)とは「Infrastructure as a service」の略で、土台部分のサーバー(CPUとメモリを含む)・ストレージ・ネットワークなどのコンピュータティングリソースをサービスとして提供しています。
PaaSと似ていますが、提供・運用の範囲が異なります。
PaaS・IaaS・SaaSの運用範囲は以下の通りです。
| SaaS | PaaS | IaaS | |
| アプリケーション | 〇 | × | × |
| ミドルウェア | 〇 | 〇 | × |
| OS | 〇 | 〇 | × |
| ハードウェア | 〇 | 〇 | 〇 |
IaaSはシステム稼働に必要なVM(仮想マシン)やサーバーなど基本的なITインフラのみを提供し、PaaSはIaaSにミドルウェアや開発ツール、データベースなどの開発環境や稼働環境を追加した形で提供しています。
PaaSとは異なり、ハードウェア・OS・データベースやソフトウェアを自由にカスタマイズできるため、開発の幅が広げられるのが魅力です。
その反面、リソースの管理や高度な開発スキル、専門知識が求められ、開発初心者にとっては難易度が高い傾向があります。
また、プラットフォーム構築後には運用及びOSやミドルウェアのバージョン管理も自力で行わなければなりません。
対応可能者が限られると人員も減るため、経験豊富な開発経験者にとっても作業が増えて負担がかかります。
開発の自由度はもちろん、開発担当者の人数やレベルに合わせて、PaaSとIaaSのどちらを採用するか決めておきましょう。
IaaSの主要サービスには、次のようなサービスがあります。
- Azure Virtual Machines(日本マイクロソフト株式会社)
- Google Compute Engine(グーグル合同会社)
- ニフクラ(富士通クラウドテクノロジーズ株式会社)
- Oracle Cloud Infrastructure Compute(日本オラクル株式会社)
- CloudSigma(株式会社アイ・ピー・エス)
PaaSとSaaSの違い
SaaS(サース)とは「Software as a service」の略で、ユーザーがクラウド上のソフトウェアをインターネット経由で利用できるサービスを指します。
運用範囲は以下の通りです。
| SaaS | PaaS | IaaS | |
| アプリケーション | 〇 | × | × |
| ミドルウェア | 〇 | 〇 | × |
| OS | 〇 | 〇 | × |
| ハードウェア | 〇 | 〇 | 〇 |
SaaSは、PaaSやIaaSのように自分でサーバーの用意やデータベースのセットアップ、システムの運用などの負担がありません。
特定デバイスへのライセンス付与が不要で、整ったインターネット環境さえあればどこからでもアクセスできるため、リモートワークなど働き方にも変革を起こしました。
身近なものとしては、GoogleのGoogle DriveやGmail、Microsoft 365やZoomなどがあり、日常的に利用しているものばかりです。
複数のユーザーやチームでBoxのBox NoteやBox Driveのドキュメント編集機能やストレージ機能を利用して、同時にデータの編集や管理を行っている企業もあります。
ただし、SaaSはソフトウェアの制約で機能が限定されるため、PaaSより自由度が低く、カスタマイズしにくい点がデメリットです。
また、システム障害や通信障害、メンテナンスの影響を受けて使用不可の期間も出てくるため、スケジュール管理や対策も必要です。
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Proprietary PaaSとOpen PaaS代表的な2つの形態

IaaSに開発環境を加えたPaaSには、大きく分類してOpen PaaSとProprietary PaaSの2種類があります。
Open PaaSはオープンソースで、Proprietary PaaSは開発ベンダーによって提供されています。
どちらが合っているか判断するために、2種類の特徴を見ていきましょう。
Proprietary PaaS:サービスの完成度が高くサポートも充実
Proprietary PaaSは、サーバーやネットワークなどのITインフラからOSやミドルウェアまで含めて一社のベンダーによって設計・提供され、別名「垂直統合型PaaS」とも呼ばれています。
仕様や構造などはベンダーのみが仕組みを把握しており、ユーザーには非公開となっているのが一般的です。
クラウド市場へ早く参入したベンダーが提供しているため、サービスやサポートも充実しており完成度も高い傾向にあります。
対応開発言語が限定されているため、大きくスケールさせる予定がある場合や安定したサービスの開発をする場合は相性が良いのでおすすめです。
ベンダーによってセキュリティ管理対象は異なり、OSのデプロイまではベンダー側、その後のパッチ適用などはユーザー側といったように、セキュリティ管理の責任を切り分けているケースが多く見られます。
しかし、オプションとしてプラットフォーム上の動作のすべてのセキュリティ管理を請け負うPaaSも登場しています。
セキュリティ管理へ人員を割けない場合、セキュリティ管理の大部分を請け負うPaaSの選択を推奨しますが、ベンダーの担当範囲と自社責任の範囲を明確にしましょう。
料金は従量課金制のところが多いですが、使用リソース単位で課金されるものやプラットフォームの接続時間で課金されるものもあります。
事前に最適な価格体系を検討すると、コストを抑えて快適に開発に取り組めます。
Open PaaS:より自由度の高い開発を実現
Open PaaSは特定のIaaSに依存せず、複数のプログラミング言語やフレームワークに対応しているため、さらに自由度の高い開発の実現が可能です。
また、無料で利用できるものもあるため、Proprietary PaaSよりコストを抑えられる点も魅力です。
スマートフォン向けアプリケーションやソーシャルメディア用のアプリケーションの開発では、各プラットフォームから独自のSDK(開発キット)が無料で提供されることが多く、開発を効率化できます。
Open PaaSの利用すると、一括でアプリケーション開発が可能になり、それぞれのプラットフォームに対応した開発環境を構築できるため、Open PaaSを採用しているベンダーも近年増えてきました。
先進的な印象が強いOpen PaaSですが、Proprietary PaaSと比較すると完成度が劣ったり、サポート体制が不十分だったりと、デメリットもあります。
Proprietary PaaSとOpen PaaSのメリットとデメリットを見極め、マッチしたものを導入しましょう。
PaaSを利用した開発のメリット

アプリケーション開発でPaaSを導入すると、多くのメリットがありますが、代表的な以下のメリットを紹介します。
- 初期費用と開発コストを抑えられる
- 開発時間を短縮できる
- 環境の複製と配布を効率良くできる
- 機能を柔軟に拡張できる
あらかじめメリットを把握し、PaaSを導入した効果をイメージできるようにしておきましょう。
初期費用と開発コストを抑えられる
オンプレミスと比較すると、PaaSはクラウド上でサーバー・OS・アプリケーションを動作させるミドルウェアなどがまるごと一式揃った開発環境を利用できるため、初期費用を抑えられます。
従量課金制のPaaSを導入すると、必要な機能のみを選択でき、実際のユーザー利用分のみの費用しか発生しないため運用のコストダウンが可能です。
また、ハードウェアやOSなどを購入せずに済むため、初期投資も抑えられます。
開発に必要な機器を安全な設置場所に保管するためのコストも発生しないため、費用対効果を重視している場合、PaaSの導入は非常に有効です。
開発時間を短縮できる
PaaSは、アプリケーション開発に必要な環境構築に要する時間や労力が不要となるため、導入直後に開発に取り掛かれます。
また、構築後の環境についても保守管理もいらないため、開発だけに専念できます。
一例として、クラウド不使用時に必要なサーバーやCPUを購入し、設置・回線の接続を行い、OSなどをインストールして設定するといった一連の過程を省略可能です。
余計な時間や労力をかけずに開発だけに専念できるため、ソフトウェアをリリースする時期を早めることも実現できます。
環境の複製と配布を効率良くできる
PaaSで提供されるプラットフォームを活用すれば、同環境のコンピュータを簡単に複製・配布できるため、必要時に必要な分だけ開発環境を準備できます。
あらかじめ必要な環境だけを揃えるだけで開発を進められるので、無駄なコストが発生しない点がメリットです。
また、コンピュータをテスト前の状態に戻すことも簡単に行えるため、システム開発における検証・テストを行う際、大量のコンピュータを用いて作業を効率的に進められます。
検証・テストは重要なプロセスですが、過剰に時間をかけると無駄なコストが発生するだけでなく、スケジュールの遅延を招く恐れがあります。
PaaSならスピーディーかつ効率的に進められるので、より迅速なリリースが可能です。
機能を柔軟に拡張できる
機能を柔軟に拡張できるのも、PaaSのメリットです。
企業によっては、ITリソースを自社もしくはデータセンター内に設置し、ユーザー自身で管理及び運用を行うオンプレミスの方式を採用している場合があります。
しかし、オンプレミスは開発や保守管理に費用がかかるため、コストが高騰しやすい点がデメリットです。
拡張性こそ高いですが、開発機能が不足しているときも追加が必要な事態が発生しても、コストを考えると簡単かつ柔軟にスペックの拡張・縮小できません。
しかしPaaSでは、必要なスペックの増減に応じて利用内容を柔軟に変更及び追加が可能であるため、効率良く開発を進められ、無駄なコストも発生しません。
主要PaaSサービス5選を比較

ほかのクラウドサービスと比較して、PaaSのメリットは分かりましたが、アプリケーション開発に合ったPaaSを選ぶ必要があります。
数多くのPaaSのなかから、おすすめの5選をピックアップしました。
| サービス名 | 特徴 | 適した用途 |
| Amazon Web Services (AWS) | ・AmazonのPaaSで信頼性が高い ・日本人スタッフによるサポートを受けられる ・モニタリングやストレージなどさまざまな種類のサービスがある | ・Webサイトやアプリケーションのホスティング ・AIのディープラーニング ・ストレージやバックアップの作成 ・データベースの管理 など |
| Microsoft Azure | ・Microsoft社製だから同社製の製品と相性が良い ・広範囲のネットワークを活用できる ・従量課金制で初期費用が不要 | ・アプリケーションの開発 ・ファイルサーバーや仮想化基盤のクラウド化 ・セキュリティの強化 ・データ分析 など |
| Google Cloud Platform | ・Googleが提供している既存のインフラと容易に連携できる ・セキュリティが強固だからITインフラに使いやすい ・多彩なツールを利用可能 | ・Webサイトやアプリケーションのホスティング ・データ分析 ・アプリケーションのバックエンド など |
| SAP Cloud Platform | ・クラウドネイティブと相性が良い開発者向けツール ・基幹システムやほかのアプリケーションとの連携が容易 ・機能の拡張が柔軟にできる | ・既存のシステムの拡張 ・データ分析 ・AIを活用した業務の自動化 など |
| Oracle Cloud | ・データベースのシェアがトップクラス ・クラウド上で高度な機能を利用できる ・無料使用枠が2種類あるのでリーズナブルな運用が可能 | ・既存システムのクラウド移行 ・システムやアプリケーションの開発 ・効率的なテストや検証 など |
それぞれのサービスの詳細について、順番に解説します。
Amazon Web Services (AWS)
世界最大級の通販サイトを運営するAmazon社が提供しているPaaSで、ブランド力と信頼性を武器に、ユーザーを増やしてきました。
Amazon Web Servicesには各種機能やさまざまな役割のサービスが用意されています。
24時間365日、日本人スタッフによる日本語でのサポートを受けられる点が強みです。
リソース及びサーバーの管理、モニタリングを提供する「Amazon CloudWatch」と「Amazon EC2」、ストレージサービスの「Amazon S3」、検索サービスの「Amazon CloudSearch」などが含まれています。
Microsoft Azure
Microsoft Azureは、Microsoft社が提供しているクラウドサービスで、PaaSも提供されています。
Webコンテンツのホスティングができる「Azure App Service」、仮想マシンを利用できる「Virtual Machines」、データベースとなる「SQL Database」を中心としたプラットフォームが存在します。
世界中にAzureの60以上のデータセンターがあり、140か国で利用できるネットワークの強大さが魅力です。
開発用言語は.NETやJava、PHPなどが利用可能で、仮想マシンにWindowsサーバーを選べるため、Microsoftの強みを活かしたサービスで快適に開発を進められます。
Google Cloud Platform
Google Cloud Platformは、大手検索エンジン・Google社から提供されているクラウドサービスです。
PaaSに該当する「Google App Engine」では、Webアプリケーションやモバイルバックエンドの開発のためのプラットフォームが用意されています。
Googleからあらかじめ提供されている既存インフラや、日常的に使用頻度の高いGmailやGoogle検索エンジンなどの既存サービスを活用できるため初期費用を抑えられるのがメリットです。
開発したアプリケーションを「コンテナ」としてパッケージ化する「Google Kubernetes Engine(旧:Google Container Engine)」、データの保存や管理ができる「Google Cloud SQL」などのサービスがさらに効率的な開発環境を支えます。
SAP Cloud Platform
SAP Cloud Platformは、SAP社が提供しているPaaSです。
基幹システムと連携してクラウド上にデータを反映し、拡張アプリケーションを作成し、データをクラウドベースで活用可能にすることで基幹システムの複雑化を防止できます。
クラウド利用で常に最新のデータの活用ができ、ほかのアプリケーションとのデータ統合や管理、分析が可能です。
SAP製品を使用している場合、その製品の拡張や機能追加もでき、業務の幅を広げられます。
Oracle Cloud
Oracle Cloudは、Oracle社が提供しているクラウドサービスで、PaaSも提供されています。
Amazon Web Services (AWS)やMicrosoft Azureと比較すると後発のサービスで国内シェアも大きくはありませんが、トップクラスのシェアを誇るデータベースを活用して柔軟かつ幅広く使える仕組みが強みです。
無料使用枠が2タイプあり、満足するまで使用感を試せます。
「Always Freeクラウドサービス」では、無料かつ期間制限なしに、サーバー(仮想マシン)・ストレージ・データベース・ネットワークなど基本的なインフラサービスの一部が利用できます。
「30日間無料トライアル」では、利用開始時に300米ドル分のクレジットが付与され、クレジットを使い切るか、30日経過するまで、Always Freeクラウドサービスよりも幅広いサービスを無料で使用可能です。
【無料で使える】PaaS プラットフォームまとめ3選

本章では、無料で使える以下のPaaSプラットフォームについて解説します。
| サービス名 | 特徴 | 適した用途 |
| Google App Engine | ・Google製の無料サーバーレスサービス ・Googleの既存のサービスと連携可能 ・インフラストラクチャ構成やデプロイが不要 | ・ITインフラの自動管理 ・自動スケーリング など |
| Zoho Creator | ・操作性が高いUIが魅力 ・ローコードだから高度なコーディングスキルが不要 ・コーディングの経験が少ない企業でも利用しやすい | ・アプリケーションの開発 ・データ管理などの業務の自動化 など |
| Dokku | ・誰でも使えるオープンソースのPaaSプラットフォーム ・インストールするだけで利用可能 ・小規模なアプリケーション開発などに最適 | ・小規模なシステムやアプリケーションの開発 ・ステージング環境の構築 など |
それぞれのサービスの詳細を、順番に説明します。

システム開発や運用のためのハードウェア及びソフトウェアの環境構築が不要で、アプリケーション開発やソフトウェアのカスタマイズでフレキシブルなPaaSですが、すべてのPaaSが効果を発揮するとは限りません。
マッチしたPaaSを選定して導入する際に、注意すべき以下のポイントを取り上げます。
- 希望する利用方法と料金体系が一致しているか
- ベンダーロックインに陥らないか
- サポート体制が充実しているか
より良いサービスを選ぶうえでも、それぞれのポイントを理解しておきましょう。
希望する利用方法と料金体系が一致しているか
PaaSの主な料金体系は定額制と従量課金制の2種類です。
サーバー数・インスタンス数・データベース利用領域やプラットフォーム接続時間など、具体的な指標を基準に課金される仕組みです。
近年、ベンダーによって「クラウド化でコスト削減できる」といったイメージが強調されていますが、初期費用やランニングコストを見誤ると想定以上の費用が発生するリスクが高まります。
目的やニーズにマッチしたサービスでも、料金体系が合わないと導入後に齟齬が生じかねません。
導入前に、初期費用や課金システム・最低契約期間や利用開始までの期間・契約形態や契約解除の手続き・支払通貨などを綿密に確認し、想定外の事態を避けましょう。
ベンダーロックインに陥らないか
ベンダーロックインとは、特定ベンダーの独自技術に依存してしまう状態を指します。
特定のベンダーで一度システムを導入すると、互換性のない技術に縛られてしまい、他ベンダーの製品やサービスの利用が困難な状況になることがあります。
ベンダーロックインに陥ると、経営環境や事業の変化に対応しにくくなるため、PaaSのような新しいサービスを導入する際は注意が必要です。
対策として、Open PaaSを取り入れたPaaSを導入する方法が挙げられます。
特定の言語やフレームワーク、サービスなどに制限されず、自由かつ独立したサービスを確立も実現可能です。
ただし、Open PaaSを用いたPaaSは発展途上で、従来のPaaSと比べてプラットフォームの質やサポートの面で劣ることもあるため、求めるものを導入前に明確にして適したPaaSを選定しましょう。
サポート体制が充実しているか
保守サポートの受付や運用に関する資料提供及びセミナー実施頻度なども、サービスを選ぶうえで大切なポイントです。
特に、外資系のサービスだと日本語非対応のケースや日本国内でのサポートが手薄であるケースもあります。
PaaSはオンプレミスと異なり、社内でインフラやシステムの保有が不要な分、ベンダーのサポート体制の手厚さは忘れずに確認したいポイントです。
万が一のシステム障害発生時に慌てないように、導入前に各ベンダーのサポート体制をしっかりと確認・比較しましょう。
PaaSに関するQ&A
本章ではPaaSを利用するうえで、よくある質問について解説します。
疑問を解消する際の参考にしてください。
Q.PaaSの代表例は?
PaaSの代表的なサービスは以下の通りです。
・Amazon Web Services (AWS)
・Microsoft Azure
・Google Cloud Platform
・SAP Cloud Platform
・Google App Engine
・Zoho Creator
・Dokku
PaaSはProprietary PaaSとOpen PaaSに大別されます。
それぞれサポートの充実度や、開発の自由度が異なるので、プロジェクトに合ったものを選びましょう。
なお、サービスによっては無料プランで利用できるものや、オープンソースで手軽に導入できるものがあります。
サービスが自社に合致しているか調べたり、PaaSの使用感を調べたりしたいときにおすすめです。
Q.PaaSとはどういう意味ですか?
PaaSは「Platform as a Service」の略称であり、開発やデプロイをスムーズに実行できるプラットフォームをクラウドで提供するサービスを意味します。
すでに環境構築が完了した状態で利用できるので、新たにハードウェアやソフトウェアを導入する手間がかかりません。
なお、似たサービスにIaaSやSaaSがありますが、それぞれサービス内容や運用範囲が異なります。
Q.PaaSのメリット・デメリットは?
PaaSのメリット・デメリットは以下の通りです。
【メリット】
・初期費用と開発コストを抑えられる
・開発時間を短縮できる
・環境の複製と配布を効率良くできる
・機能を柔軟に拡張できる
【デメリット】
・サービスによっては自由度が低い
・ベンダーによってセキュリティのレベルが違う
・ほかの開発環境への移行が難しい
PaaSを導入する際は、メリット・デメリットを理解し、自社に適切なサービスを選びましょう。
Q.SaaSの欠点は何ですか?
SaaSには以下のような欠点があります。
・カスタマイズの自由度が低い
・ほかのサービスへの移行が難しい
・インターネットのアクセス制限をしていると利用できない場合がある
なお、PaaSとSaaSはいずれもクラウドサービスであるため、インターネットに接続できない状況になると使用できません。
そのため、ネットワーク障害が発生すると開発が中断される恐れがあります。
また、サービスが終了すると開発を続けられなくなります。
近年はPaaSもSaaSも多様化しており、競合が激化してきました。
ベンダーの経営不振でサービスが終了するリスクもあるため、導入する際は実績を考慮して選定する必要があります。
まとめ:PaaSで効率的かつ柔軟な開発を!

本記事では、クラウドサービスの内のPaaSについて、特徴や種類、開発時のメリットや注意点、代表的な主要サービスを解説しました。
IaaSのような環境構築は不要で、SaaSのよりも自由度が高いため、コストも時間も節約してフレキシブルに開発を進められます。
一方でベンダーロックインに陥りやすかったり、誤ったPaaS選定で予算オーバーしたり、予想していたサポートを受けられない注意点も潜んでいます。
自社の求めているものを明確にして、適したPaaSを選定しましょう。
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