【コスト削減】Glacierの特徴とAmazon S3からの移行方法を解説

2023.04.25
DX・システム開発
金昌洙
【コスト削減】Glacierの特徴とAmazon S3からの移行方法を解説
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Webアプリケーションを運用していると、利用者の増加やコンテンツ量の増加によりデータ量が意外と増えてきます。AWSにおいてデータを格納する場所はS3などがありますが、S3はデータ容量に応じて料金がかかることもあり、運用コストが増大することがあります。

管理者の中には、AWSの請求金額が増えてきたと感じている方もいるのではないでしょうか。
AWSの節約方法は複数ありますが、その中のひとつとして、Glacierに移行する方法をご紹介します。
次にAmazon S3とGlacierの概要や違い、料金比較、移行手順について丁寧に説明していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

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目次

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【基礎知識】Amazon S3とは?

Amazon S3はデータを保存することができるオブジェクトストレージサービスです。パソコンに言い換えれば、HDDやSSDに分類されます。
テキストデータや動画コンテンツ、音声ファイルなどさまざまなデータ形式を保存することができます。
容量は、無制限となっており、どのようなWebアプリケーションのデータ量にも対応することができるでしょう。
また、AWSのバックアップ機能として知られるスナップショットに関してもS3に保存されます。

ちなみに、S3ではデータが保存される場所のことをバケットと呼びます。
また、格納場所はバケットとオブジェクト、キーを組み合わせたURLで表現され、操作をする際はGETやPUTなどの使用が可能です。

Amazon S3 Glacierの概要とメリット

まず、そもそものAmazon S3 Glacierの概要とメリットについて解説します。
Glacierの正式名称は、Amazon S3 Glacierです。

低コストで長期間の運用を実現可能にしたS3のクラウドストレージクラスであるため、「氷河」を意味した「Glacier(グレイシア)」という名前がついています。
S3とGlacierは、データを保存するという同じ目的で使用されることが多いです。

しかし機能性に違いがあり、データを保存する場所として各個人の好みで選択することが多いでしょう。
Glacierの具体的なメリットは次のとおりです。

  • 低コストで利用できる
  • 99.999999999%の高い耐久性
  • アーカイブ基盤を容易に構築可能
  • 多くのパートナーサービスに対応

改めてどのようなサービスなのか見直したい方、はじめてGlacierという言葉を聞いた方はここからチェックしてください。

低コストで利用できる

Amazon S3と比較してAmazon Glacierでは低コストで利用できます。
Amazon GlacierはAmazon S3と比べてデータを取り出す際に時間を要したり、操作にAPIツールが必要だったりします。

具体的な利用コストは、Amazon S3が1GBあたり約0.025USD/GBなのに対し、Amazon Glacierでは1GBあたり約0.005USD/GBです。
大容量のデータを長期間低コストで保存したい場合には、Amazon Glacierを選択しましょう。

99.999999999%の高い耐久性

Amazon Glacierはデータの年間平均耐久性が99.999999999%です。
AWSのサービスでは、データをアップロードすると世界の24ヶ所に存在する複数のデータセンターに自動保存されます。

さらにデータセンターでは複数のデバイスに保存され、データ整合性チェックも定期的に行われます。
保存されたデータの自己修復を自動的に行う設計もされているなど、複数の要素が組み合わさって高い耐久性を実現させています。

アーカイブ基盤を容易に構築可能

Amazon Glacierはデータ群をまとめたアーカイブ基盤の構築が簡単です。
Amazon Glacierはアーカイブを目的としたサービスであるため、従来の手法と比べて時間とコストの削減が可能です。
アーカイブの特徴は、データの編集や上書きができなかったり、アップロードできる最大サイズが4GBまでだったりします。長期保存が目的であるため、アーカイブIDという番号によって管理されている点も特徴のひとつです。

多くのパートナーサービスに対応

AWSのAmazon Glacierには多数のパートナーサービスに対応しており、多くの企業が参加しています。
パートナーのサービスと連動できるAWS統合ソリューションがあるため、企業がAmazon Glacierに登録するハードルは低いでしょう。

パートナーのサービスと連携して、パックアップから復旧、災害対策にアーカイブ作成まで力を入れています。
AWSほど多くのパートナーサービスに対応しているケースも珍しいでしょう。

Amazon S3とGlacierの3つの違いについて

両者の具体的な違いは下記の通りです。

  • データの取得速度
  • 操作性
  • 構成要素

順番に違いを解説します。

違い①データの取得速度

1つ目の違いはデータの取得速度です。S3はデータを瞬時に取り出すことができます。
一方、Glacierは4〜5時間程度の時間が必要です。

そのため、すぐにデータの取り出しが必要なファイルは、S3に保存するといいでしょう。一方、バックアップファイルなど、時間がかかっても問題ないものはGlacierがおすすめです。

違い②操作方法

2つ目の違いは、操作方法です。
S3を操作するときは、AWSコンソールで行うことができます。一方、GlacierはAPIツールなどが必要になるため、別途準備しなければなりません。

違い③構成要素

3つ目は、構成要素の違いです。
S3はバケットを作成しその配下にデータが格納されます。
また、データはオブジェクトとして扱われ、一つ一つのオブジェクトを識別するためにキーが付与されているのです。一方、GlacierはVaultとArchiveによって構成されています。

Vaultの中にArchiveがいくつも入っているイメージです。
また、Archiveは複数のデータのまとまりでtar形式でダウンロードすることもできます。

Amazon S3とGlacierの料金を比較

AWSのストレージサービスは、容量に応じて費用が必要です。
Amazon S3は1GBあたり約0.025USDかかります。

一方、Glacierは1GBあたり約0.005USDです。
つまり、5分の1の値段でストレージを確保することができます。

種類ストレージの特徴費用
Amazon S3
(最初の50TB)
頻繁にデータにアクセスして、一般的に使用される。0.025USD/GB
Amazon S3
(次の450TB)
頻繁にデータにアクセスして、一般的に使用される。0.024USD/GB
Amazon Glacier四半期に1回アクセスするような長期保存のアーカイブデータ。0.005USD/GB

このように、とても費用が抑えられるため、Glacierにデータを移行させる人が多いです。
しかし、安い代わりにすぐに取り出しが必要なデータの保管には向きません。そのため、バックアップデータをGlacierに移管するなど、保存するデータにについて慎重に検討する必要があるでしょう。

Amazon S3とGlacierを構成する2つの主力要素

Amazon S3とGlacierを構成する主な要素は、ボールトとアーカイブの2つです。
前述のとおりアーカイブはデータ群をまとめたものを指し、ボールトはアーカイブをまとめてグループ化する役割があります。下記にてボールトとアーカイブの特徴や役割を解説します。

ボールト

ボールトは、アーカイブを格納できるコンテナの役割を担っています。

ボールトに格納できるアーカイブの数に制限はなく、まとめてグループ化できるのが特徴です。
その他ボールトの特徴には、保管するデータをユーザーごとに権限を設定できたり、タグを付ければリソースとコストを効果的に管理できたりします。
アーカイブが1つでも保管された状態であれば、ボールトを削除できないため注意が必要です。

アーカイブ

アーカイブとは文章や写真、ビデオなど様々なデータがまとめて保存されており、Glacierにおけるストレージの基本単位です。
アーカイブ内のデータはアーカイブIDによって管理され、データを編集したり上書き保存したりできない特徴があるため注意が必要です。

1つのアーカイブに保管できるデータサイズは1バイト以上40TB以下で、アップロードできるサイズも4GBまでに制限されています。アーカイブを削除する際には、Amazon S3 Glacier REST APIを使用してアーカイブIDを指定しなければいけません。

Amazon S3からGlacierへデータを移行する方法

次に、Amazon S3からGlacierへデータを移行する方法を解説します。チュートリアル用のAWSのため、バケットが何もない状態です。そのため、バケットをあらたに作成し、そこにファイルをアップロードし、そしてバケットの設定からGlacierへ移行するという流れで解説します。
すでにデータがある人はバケットの設定からチェックしてください。

1.AWSコンソールからS3の画面に遷移してサイドメニューからバケットをクリックします。

2.次に、右側にあるオレンジ色の「バケットを作成」をクリックしてください。

3.バケット名を作成してリージョンを選択します。
その後、画面下部の「バケットを作成」ボタンをクリックしてください。今回のチュートリアルではバケット名をtutorialglacier、リージョンはアジアパシフィック(東京)を選択しました。

4.次に、作成したバケット名をクリックしてください。

5.右側にある「アップロード」をクリックします。

6.画面の中にアップロードしたいファイルをドラッグアンドドロップしてください。
今回のチュートリアルではtutorialという画像ファイルをアップロードしました。下部にスクロールして「アップロード」ボタンをクリックします。

7.次に、アップロードしたファイルをGlacierに移行しましょう。
データを移行したいバケットを選択して上部メニューの中にある「管理」をクリックします。

8.ライフサイクルルールから「ライフサイクルルールを作成する」を選択してください。

9.ライフサイクルルール名とプレフィックスを入力します。

10.次に、ライフサイクルルールのアクションからGlacierへデータ移行することを指示します。

11.現行バージョンをストレージクラス間で移行するのチェックボックスにチェックを入れます。

12.オブジェクトの現行バージョンをストレージクラス間で移行するという項目の「ストレージクラスへの移行」でGlacierを選択してください。
そしてオブジェクト作成後の日数を入力します。1日後に移行したい場合「1」を入力します。

13. S3からGlacierに移行する手順は以上です。

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サービスの運用を開始し、ある程度年月が経過するとデータが蓄積します。特にサービスの成長が著しい場合、データの蓄積スピードも速くなるでしょう。ストレージを節約するためにGlacierへの移行を挙げましたが、運用コストの節約には限界があります。

これからWebアプリケーションを構築してサービスの開始を検討しているなら開発コストを抑えてみてはいかがでしょうか。開発コストを抑えることで運用も含めたトータルコストを削減することができます。

開発費用を抑えるなら、株式会社WakkaInc.が提供するオフショア開発サービスがおすすめです。
ベトナムなど海外に開発を委託することで、大幅にコストダウンを見込むことができます。興味のある方は、オフショア開発サービスの詳細を下記のURLからぜひご確認ください。

Amazon S3からGlacierへデータを移行し運用コストを削減しよう!

今回は、Amazon S3とGlacierの概要と違い、移行する流れについて解説しましたGlacierは、バックアップファイルなどの保存に向いているストレージです。
データの取得に速度を求めないようなファイルを移行させて、Amazon S3のコスト削減を図りたい方はぜひ試してみてください。

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この記事を書いた人
金昌洙

前世は社内ネットワーク部門でインフラ担当していました。当時4Uサーバーの重さに限界を感じ、クラウド推進派に。Wakka Inc.の日本拠点にインフラエンジニアとして参画し、サーバー・ネットワーク全般を担当。最近はDocker・CI/CDなどに取り組んでいます。

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