サブスクリプションビジネスの開発手法とは?強みや成功のコツを解説
こんにちは。Wakka Inc.のベトナムラボマネージャーの中垣です。
近年、音楽や動画などのデジタルコンテンツを中心に、サブスクリプションビジネスが増加しています。しかし、いざ自社で導入しようにも、開発手法や取り組み方に不安をお持ちの方も多いでしょう。
「自社に合った開発手法とは?」
「軌道に乗せるための取り組みを知りたい」
そこで本記事では、サブスクリプションビジネスの開発手法と成功のコツを解説します。サブスクリプションビジネスを導入して、成長する市場で売上を伸ばしたい方はぜひ参考にしてください。
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サブスクリプションとは?
サブスクリプション(subscription)とは直訳で定期購読を意味し、サービスを定額料金で決められた期間利用できるビジネスモデルです。
ここ数年で広く認知されましたが、実は以前から新聞の定期購読や携帯電話の契約などに用いられていました。近年のサブスクリプションは動画・音楽のみならず、自動車やファッション、教育分野などでも展開されています。消費者の所有から利用へライフスタイルが変化した影響で、サブスクリプションビジネスが注目されています。
サブスクリプションの市場規模
2021年度のサブスクリプションサービス国内市場規模は、支払額ベースで前年比約10%増の9615億円でした。
出典:矢野経済研究所『サブスクリプションサービス市場に関する調査を実施(2022)』
前年度と比較して売上が増加した市場は、次のとおりです。
- 衣料品・ファッションレンタル
- 外食サービス
- 生活関連サービス
- 多拠点居住サービス
- デジタルコンテンツ
- 定期宅配サービス(食品・化粧品類)
感染症の影響で巣ごもり需要が増加したり、利便性が認知されたりしてサブスクリプションの利用が増えています。矢野経済研究所の将来展望では、前年比で売上が増加した6市場すべてが今後も成長すると予測しています。サブスクリプションビジネスは成長軌道にあるため、今後も参入する企業が増えるでしょう。
サブスクリプションモデルの成功事例
国内外サブスクリプションの成功事例を紹介します。紹介するサブスクリプションは、次のとおりです。
- Amazon プライム
- Apple Music
- スタディサプリ
有名なサービスばかりですが、詳しいサービス内容を知らない方も多いでしょう。サブスクリプションビジネスを始める際の参考にしてください。
Amazon プライム
Amazonプライムは、世界で2億人以上の方に利用されている会員制プログラムです。会員制プログラムのデジタル特典は次のとおりです。
- Prime Video(動画配信サービス)
- Prime Music(音楽配信サービス)
- Amazon Photos(写真の共有や整理、バックアップサービス)
- Prime Reading(電子書籍読み放題サービス)
さらにAmazonで購入した荷物のお急ぎ便や、日時指定などの有料オプションも追加料金なしで活用できます。月額500円の低価格で多くのサービスを受けられるのが、Amazonプライムの持つ強みです。
出典:Amazonプライム
Apple Music
Apple Musicは世界中に多くのユーザを持ち、サブスクリプションビジネスの成功事例でしょう。
Apple Musicは月額1080円で約1億曲を再生、ダウンロードできる音楽配信サービスです。異なる端末でも音楽を楽しめたり、曲の歌詞が表示されたりするサービスが人気を博しています。無料期間が長いメリットもあるため、お試しでサービスを開始するユーザーが大半です。無料期間でユーザーの生活に溶け込み、継続利用につながるケースが多く有効な戦略でしょう。
出典:Apple Music
スタディサプリ
スタディサプリは新しい学習の形として広く認知され、全国の高校でもカリキュラムの一環で活用されています。
スタディサプリは、授業動画見放題のオンライン学習サービスです。授業動画は最短1分で学べ、小学生向けから社会人向けまでの幅広いラインナップが揃っています。「教育格差をなくしたい」といった強い問題意識から当サービスが生まれ、現在多くの有料会員を誇ります。
出典:スタディサプリ
サブスクリプションビジネスの強みとは
サブスクリプションビジネスは、提供する企業も多くのメリットを享受できます。具体的なメリットは次のとおりです。
- サービス開始までにかかるコストが少ない
- 売上を試算できる
- 顧客データを分析できる
- 顧客獲得のハードルが下がる
- 売上が安定する
サブスクリプションビジネスを検討する際の参考にしてください。
サービス開始までにかかるコスト・時間が少ない
サービス開始までにかかるコスト・時間が少ない点は、サブスクリプションビジネスの強みです。サブスクリプションビジネスの場合、たとえサービスの完成度が100%でなくとも提供自体は開始できます。実際、サービス提供後に仕様を変更したり、新たな機能を追加したりするケースも多く見受けられます。
買い切り型の事業に比べ、短期間でスケールできるのはサブスクリプションならではの魅力です。サブスクリプションビジネスではユーザーの意見をコンテンツに反映させて、サービス完成度を高めていく作業の繰り返しです。低コストでサービス開始できるサブスクリプションビジネスの特徴を理解して、導入を検討しましょう。
売上を試算できる
サブスクリプションビジネスの強みに、売上を試算できる点が挙げられます。
買い切り商品と異なり、サービス契約中は継続して料金が支払われるため、売上の計算が簡単です。売上を毎回計算したり、過去の実績から予測したりする手間が省けて効率的です。コンテンツの質によっては契約を解除されるリスクもあるため、常にサービス改善に努めましょう。
顧客データを分析できる
サブスクリプションは顧客データを分析できる点が大きな強みです。サービス申込時に登録したユーザー情報や利用履歴は、サービス改善や追加コンテンツのアイデアに活用できます。例えば男女の割合や年齢層から好みのコンテンツを予測したり、利用時間からライフスタイルの傾向を予測したりできます。
顧客データを分析して好まれるコンテンツが提供できれば、顧客満足度が向上して継続した利用につながるでしょう。情報を集めてサービス改善に活かしながら、ユーザーの声を反映させる工夫も怠らないようにしましょう。
顧客獲得のハードルが下がる
顧客獲得のハードルが下がる点も、サブスクリプションビジネスを導入する大きな理由です。
少額でサービスを試せるため、お試しで契約するユーザーも多い傾向があります。無料期間が設けられているケースも多く、気軽に試しやすい点もサービスの登録を後押ししています。独自のキャンペーンでサービスを魅力的に見せる手法も新規顧客には有効です。
売上が安定する
サブスクリプションは、売上が安定するビジネスモデルです。
買い切り商品は様々な要素で売上が変動する一方で、サブスクリプションは継続課金制であるため売上の予測が立って安定した収入につながります。登録ユーザー数が明確であれば、計算式から売上を試算できるため経営状態も健全を保てます。売上が安定すれば、事業拡大に取り組める余裕も生まれるでしょう。
サブスクリプション管理システムとは
サブスクリプション管理システムとは、サブスクリプションビジネスの導入で発生する業務を効率化できる管理ツールです。人為的なミスを防げたり、煩雑な作業を自動化できたりするため、導入を検討する企業が増えています。
具体的に、サブスクリプションビジネスで発生する業務を一部紹介します。
- 顧客情報の管理
- 請求書作成
- 料金プラン設定
- 決済処理
- コンテンツ管理
- 業務パフォーマンスの監視
上記以外の業務もあるため、いかに効率化できるかがサブスクリプションビジネス成功の鍵です。
サブスクリプション管理システム導入のメリット
サブスクリプションビジネスには、多くの管理業務がつきものです。管理業務が忙しく、メインのコンテンツに注力できなければ本末転倒です。
サブスクリプション管理システムを導入すれば、複雑な管理業務を効率化でき、メイン業務に集中できます。サブスクリプション管理システム導入の代表的なメリットは次の4つです。
- 販売管理の効率化
- 顧客情報管理の効率化
- 料金計算の効率化
- セキュリティの強化
サブスクリプション管理システムを導入する際の参考になさってください。
販売管理の効率化
販売管理の効率化には、サブスクリプション管理システムの導入がマストです。
サブスクリプションビジネスの販売管理は多岐に渡り、手作業ではミスにつながったり、時間を要したりして非効率です。管理システムを活用すれば、販売データを従業員間で効率的に共有できたり、見積書や請求書をデジタル化して決まったタイミングに自動処理できたりします。管理システムを導入して、業務効率化を実現しましょう。
顧客情報管理の効率化
サブスクリプション管理システムを導入すれば、顧客情報を管理する手間を省けます。顧客によって異なる情報も、管理ツールなら一元管理が可能です。
登録情報だけに留まらず、顧客によって契約プランが異なったり購入履歴があったりするため、すべてが個別管理では確認作業に膨大な時間を要します。管理システムを活用すれば顧客の利用状況も一目で把握でき、可視化された情報はプロモーション活動に有効活用できます。
料金計算の効率化
複雑な料金計算にサブスクリプション管理システムは欠かせません。ユーザーの契約状況によって異なる利用料金も、管理システムなら自動で計算できます。
キャンペーン価格や年間契約の料金、利用開始したタイミングによっては日割計算で利用料金を求めるケースがあります。複雑な料金計算が手作業では、非効率でミスにつながる可能性も高いです。ユーザーに適切な料金を請求するために管理システムは重要です。
セキュリティの強化
サブスクリプション管理システムの導入メリットに、セキュリティが強化されることも忘れてはいけません。
サブスクリプションでも不正ログインやなりすまし被害が増えており、セキュリティ対策がユーザーに求められています。管理システムを導入すれば、ユーザーごとにアクセス権限を設定できたり、ログイン時は2段階認証でなりすましを防げたりします。
さらにユーザーをIPアドレスで管理できるため、不正ログインの心配もありません。万が一情報漏洩が起きた際には企業の信頼を失う可能性があるため、管理システムでセキュリティ強化を行いましょう。
サブスクリプション開発手法
サブスクリプションの開発手法は次の3種類です。
- 自社開発
- プラットフォーム
- SaaS
開発手法によってコストや構築時間、システムの自由度が異なります。費用感や導入時期、備えたい機能などを総合的に考えて自社に合った開発手法を選びましょう。
自社開発
サブスクリプションに必要な機能・仕様を自社で考え、システム設計する手法を自社開発と呼びます。設計や構築を外部委託する場合でも、自社開発に含まれます。
自社開発はゼロからサブスクリプションを開発する手法であるため、必要な機能を備えて独自性が出せたり、開発ノウハウが蓄積されたりする点が大きなメリットです。
ただし、設計から構築まで一貫して自社で行う手法なため、人手や時間がかかり費用も増える傾向があります。自社開発なら、ラボ型オフショア開発がおすすめです。専門性の高いチームが必要なリソースを確保して、コストパフォーマンスの高い開発を行います。
プラットフォーム
プラットフォームとは、サブスクリプションビジネスに必要な機能をまとめて提供されるサービスです。ユーザーに提供するコンテンツさえそろえれば、すぐにサービスを開始できるスピード感も魅力の一つです。
その他メリットには、集客機能を備えているプラットフォームがある点や、自社開発やSaaSと比較して安い費用感で導入できる点が挙げられます。プラットフォームの仕様や備わっている機能は決まっているため、独自性を出しにくいデメリットがあります。自社が提供する商材やブランドイメージに合わせて、適した開発手法を選びましょう。
SaaS
SaaSとは、あらかじめクラウドに用意されたソフトウェアを選び、組み合わせて独自のサブスクリプションを作れるサービスです。あらかじめ用意されたソフトウェアを使用するため、費用を抑えられ、導入後すぐにサービスを開始できるメリットがあります。
ただし、求める機能がなく一部は自社開発が必要な場合もあります。SaaS自体がサブスクリプション形式なので、継続して費用が発生する点には注意しましょう。
SaaSの開発をするならラボ型開発で行おう!
SaaSサービスの開発をしている企業の経営者・プロジェクトマネージャーの方に向けて、ラボ型開発を通じてサトータルコストを下げ、柔軟な開発体制を構築するノウハウを紹介しています。
サブスクリプションビジネスを成功させるには
近年サブスクリプションビジネスに参入する企業が増え、様々な商材でサービスを打ち出しています。サブスクリプションビジネスの成功には魅力的なサービスの提供が欠かせませんが、それ以外の要素も登録ユーザーを増やす上では大切です。登録ユーザーを増やす大切な要素は次のとおりです。
- お試し期間を設ける
- 複数の価格プランを設ける
- ターゲットを決める
- サポート体制を充実させる
- 管理システムを導入する
順番に解説します。
お試し期間を設ける
サブスクリプションビジネスを成功させるには、お試し期間を設けましょう。お試し期間を設ければサービスを利用するハードルが下がり、結果的に新規ユーザーの獲得につながります。
お試し期間にサービスの魅力を感じてもらったり、生活の一部に溶け込めたりすれば、その後も継続した利用につながる可能性が高いです。お試し期間を設けて、実際に自社サービスを使って価値を知ってもらいましょう。
複数の価格プランを設ける
サブスクリプションビジネスを始める際に、複数の価格プランを設定することは大切です。
ユーザーによってサービスに求める機能・価格が異なるため、複数の選択肢を用意することで、幅広い属性のユーザーを獲得できるでしょう。例えば、サブスクリプションの動画配信サービスでは、低画質で低価格、高画質で高価格などの複数プランが用意されユーザーに好評です。新規ユーザーの獲得には複数の価格プランを用意して、一人ひとりに合った選択肢を準備する必要があります。
ターゲットを決める
サブスクリプションビジネスを始める際には、あらかじめターゲットを決めましょう。ターゲットが定まっていない状態でサービスを開始した場合、誰にも刺さらずあまり利用されない可能性があります。
ターゲットが明確であれば、サービス開始時に効率的に訴求できたり、ユーザーに寄り添ったコンテンツ作成ができたりします。ターゲットを明確にして、ユーザーに刺さるコンテンツを作りましょう。
サポート体制を充実させる
サポート体制の充実も、サブスクリプションビジネスを成功させる重要な要素です。
サブスクリプションビジネスの成功には、サービスの継続的な利用が前提であるため、能動的にユーザーを支援するカスタマーサクセスが求められます。動画配信サービスの例では、ユーザーの視聴履歴を分析し、おすすめの番組を提案する手法が当てはまります。カスタマーサービスより一歩踏み込んだカスタマーサクセスを実施し、ユーザーと良好な関係性を築きましょう。
管理システムを導入する
管理システムの導入は、サブスクリプションビジネス成功への近道です。
管理システムを導入すれば、煩雑な販売管理や事務手続きを自動化・効率化できたり、利用状況を分析して販売戦略を練ったりできます。代表的な機能は異なる契約情報の一元管理や、請求書作成、ログイン管理などセキュリティ面でのサポートもあります。管理システムを導入して作業を効率化させ、売上アップを狙いましょう。
自社に最適な開発手法でサブスクリプションビジネスを成功させよう
今回はサブスクリプションビジネスの強みや、成功のコツを解説してきました。現在では様々な商品を扱うサブスクリプションサービスが登場し、私たちの生活に浸透してきました。
今後も需要の伸びから、参入する企業が増加して市場の拡大が予測されます。自社が扱う商材にマッチした開発手法でサブスクリプションを構築し、成長市場で売上を伸ばしましょう。
WebメディアでPGから管理職まで幅広く経験し、Wakka Inc.に参画。Wakka Inc.のオフショア開発拠点でラボマネジャーを担当し、2013年よりベトナムホーチミンシティに駐在中。最近では自粛生活のなかでベトナム語の勉強にハマっています。