【マーケティング入門 第1回】Web担当者必見!ビジネスロードマップからKPIを設計しよう

2022.09.13
開発ナレッジ
安藤 大海
ビジネスロードマップからKPIを設計しよう
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目次

はじめに

こんにちは。Webディレクターの安藤です。

僕は普段、Webサイト制作のプロジェクト管理・進行をメインの業務としています。

その際に、今のサイトのビジネスモデルや課題感をヒアリングさせていただくのですが、Web担当者になったけれども、データ分析の方法、目標設定のしかたがわからない、といった相談もよくあります。

そこで今回からシリーズで、マーケティング入門のナレッジを初心者にもわかりやすく解説していこうと思います。

第一弾の今回は、「目標設定の立て方」を解説していきます。

KPI・KGIとは

「KPI」と「KGI」はビジネスのゴールを達成するための指標としてよく耳にする単語です。

経営、マーケティングに携わる方は当たり前の知識ですが、それぞれどんな意味かをおさらいしましょう。

「KPI」はKey Performance Indicatorsの略で、日本語でいうと「重要業績評価指標」となります。

わかりやすくいうと、目標達成のための中間目標です。

「KPI」が中間指標であるのに対して、「KGI」は最終指標を指します。

「KGI」はKey Goal Indicatorの略で、日本語でいうと「重要目標達成指標」となります。

KPIは目標を達成するための「過程」、KGIは「ゴール」と覚えれば間違いないでしょう。

KPIを設計するには

ビジネスやサイトの目標を達成するためには、正しくKPI・KGIを設定することが重要です。KGIを達成するために、どの部分をどのように改善して目標達成を行うのかを決めるのが「KPI設計」です。

KPI・KGIを正しく設定して、はじめてそれを達成するためのツールとして、データは活用できるものになります。

ではKPI設計はどのように行えばいいのでしょうか。

まずは、KPIの候補となるものを洗い出す必要があります。そこで活用できるのが「ビジネスロードマップ」という図表です。

ビジネスロードマップの活用

「ビジネスロードマップ」とは、「売上が発生するまでのプロセスを可視化したもの」です。

事業計画などで実際に作成している方も多いと思いますが、このビジネスロードマップをWebサイトに置き換えて考えてみます。

Webサイトの場合は、ユーザーとの最初の接点から、最後の売上に至るまでの経緯を左から右に沿って、書いていきます。

これは、コーポレートサイトにおけるビジネスロードマップの一例です。

ビジネスロードマップマップのメリット

ビジネスロードマップを作成することには3つのメリットがあります。

ビジネスの現状が可視化される

1枚の図にまとめることで、サイトの全体像、ビジネスの現状を把握しやすくなります。

ビジネスの課題発見と目標達成までが可視化される

全体像を把握できると、設定した目的を達成するために課題となること、改善ポイントが浮かび上がり、目標達成までが鮮明になります。

効率的に改善ができる

課題、改善ポイントには優先順位があります。限られた時間と予算、人的リソースをすべての課題に対し当てることはできません。

ビジネスロードマップを作ることで、課題、改善ポイントの優先順位を検討することができ、効率的に改善ができます。

ビジネスロードマップの作成方法

ビジネスロードマップの書き方は、ビジネスモデルやWebサイトの目的によって様々です。目的にあったビジネスロードマップを作成しましょう。

ここでは、BtoBサイトを例にビジネスロードマップの作成方法をご紹介します。

ステップを書き出す

ユーザーとの最初の接点から、最後の売上に至るまでのステップを箇条書きで書き出しましょう。

BtoBサイトなら、

  • サイト訪問(内訳として、自然検索、SNS、参照サイト、直リンク)
  • お問い合わせ or 資料ダウンロード
  • 商談
  • 見積
  • 受注

というのが一つのオーソドックスなステップかと思います。

ステップを書き出したら、それぞれのステップをつなぐ矢印をいれます。

後々、この矢印をもとに「KPI」を設計することになります。

各ステップの数値を入れる

各ステップにユーザー数もしくはセッション数を入れていきます。BtoBサイトなら、月ごとの数値がよいでしょう。

各ステップ間の割合を出す

ステップの間をつなぐ矢印に、どのぐらいの割合で遷移しているかの数値をいれていきます。

課題となる指標を見つける

記入した数値を俯瞰し、サイトの課題となっている箇所を見つけます。

この場合だと、特にサイト訪問から問い合わせや資料ダウンロードに至るまでの件数が少ないこと、資料ダウンロードから商談までに至るのが4%という事実がありますね。

ここは特に課題となる指標といえそうです。

優先順位をつけて選定

理想はすべてのステップ、矢印の数値を増やすことですが、リソースには限りがあります。ですので、課題となる指標の中から優先順位をつけ、優先度の高いもの=KPIとして選定します。

選定の判断基準には「SMART」という手法がおすすめです。

選定基準の「SMART」

  • Specific…具体的であること。対象となる指標が、誰にでもわかりやすく、理解できる内容である。
  • Measurable…計測可能であること。対象となる指標に数値が設定できること。また、「何もしていない状態」で数値がブレることがない。つまり、制御可能な数値であること。
  • Actionable…施策が実現可能であること。施策が実行できなければ数値は改善できません。
  • Realistc…数値目標を当てはめたときに、それが現実的な数値であること。
  • Time-bound…対象となる指標に期限が設定可能か。KPIを決めてから実行までに時間がかかってしまうもの。最初は、ある程度のスケジューリングをしましょう。

特にActionable(実現可能)は重要です。その判断には、「出てくる施策のアイデアの数」と「実現難易度」から考えるとよいでしょう。

3個しかアイデアが思い浮かばない箇所よりも、10個思いつく箇所のほうが実現性は高くなります。

「実現難易度」は、思いついたアイデアが本当に実現できるか?という事です。時間をかけて難易度の高い1つの施策に取り組むよりも、実行に移しやすい施策をいくつか試したほうが改善の可能性は高くなります。

よって、「アイデアをたくさん思いつき、かつ、施策として実現できそう」なものを優先度高にします。

課題となる指標と5つの選定基準を表で一覧化して、選定するのもよいでしょう。

選定する数は最低2〜最大4個くらいに絞り込むのがおすすめです。

目標値の設定

選んだ指標に対して、最後に目標値を設定します。

「選んだ指標数「n」に対して、「n-1」の指標を「1/n-1」%改善した場合に、最終目標(KGI)が達成できる値にする」あるいは「選んだ指標数「n」で、「最終目標(KGI)と現在の差分」×「n/n-1」が達成できる値にする」としましょう。

指標が3つなら、「2つの指標を50%改善すると達成する数値にする」あるいは「最終目標と現在の差分1.5倍の値が達成できる」ということです。

例えば、先程のビジネスロードマップで「月間受注を10件から20件に増やす」を最終目標とします。差額は10件です。そして、赤い矢印3つをKPIとするとしましょう。

10件×3/2=15件、月間受注25件を仮数値として、達成できる値を設定します。

そのKPI設計に大事な3つの要素

KPI・KGI設計に必須な3つの要素、それは「指標」と「値」と「期間」です。

指標は、「物事を判断したりするための目印」です。ビジネスなら「売上」が指標になります。オウンドメディアなら「訪問者数」、コーポレートサイトなら「お問い合わせ数」などが該当するでしょう。

値は、「指標に対してどれくらい獲得したいのか」というものです。

売上目標が100億円で、うちWebサイトからの売上後見目標が20%なら、100億円の20%なので、20億円が値となります。

期間は、設定した目標をいつまでに達成するのか、ということです。通常ビジネスのゴールは年・四半期・月で設定されていることが多いです。

しかし、Webサイトの場合、期間の設定はサイトの更新や改善施策の実施頻度に依存します。

ちょっとした改修・変更が売上に直結するようなコミュニティサイトやECサイトであれば、「日」がおすすめです。

コーポレートサイトやオウンドメディアのような、そこまで頻繁に商材が大きく変わることはないサイトであれば、「月」がおすすめです。

「いつまでに(期間)、何を(指標)、どれくらい(値)、どうする」というフォーマットに当てはめると、KPI・KGIが設定しやすくなると思います。

さらに、商材が季節によって変動する場合は、季節変動も加味するとより精度が高くなります。季節変動がなくても、集客施策の実施などがあるなら、それも考慮しておくことをおすすめします。

方針をまとめる

ロードマップが完成したら、最後に方針をまとめます。

次のような内容を、目標達成に関わる人と議論して決定していきましょう。

状態目標を設定する

現状と目標を設定した月で、サイトやビジネスがどのような状態に変わっているかを擦り合わせておきます。

コンテンツに変更がある、機能に変更がある、社内での業務フローがどのように変わるか、などです。

課題の洗い出し

目標達成に向けて現段階でわかっている課題を書き出します。サイトそのものだけではなく、業務や社内における課題なども含みます。

成立条件を定義する

目標達成をするためには、どのような状態を実現している必要があるかを書き出します。実行項目やタスクと言い換えてもいいかもしれません。

例えば先程のビジネスロードマップの場合だと、お問い合わせや資料請求までのコンバージョン増加には、メニューの改修があるかもしれません。資料請求から商談までのコンバージョン増加には、より商談につながりやすい資料コンテンツを増やす、とかかもしれません。

課題に対する基本的な解決策も書いておきましょう。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

今回は、ビジネスロードマップ作成を通してKPI設計を解説していきました。

ビジネスロードマップを作成することでボトルネックが特定でき、効率的に目標達成への道筋を作ることができるということをご理解いただけたと思います。

とはいっても、会社やサイトの性質によってもビジネスロードマップの形や課題はさまざまです。

Wakkaでは、個々の企業様のサイト状況、リソース状況、予算状況に合わせて、課題の精査、リニューアルのご提案をいたします。

ぜひお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人
安藤 大海

学生時代にWebサイトを自作したことがきっかけでWebの世界に。制作会社でデザイン、WordPressテーマ開発の実務を経て、テクニカル・ディレクターとして大規模サイト構築のディレクションを経験。2021年からWakka Inc.の日本拠点でWebディレクターとして参画。最近はブロックエディタになったWordPressをもう一度、勉強しています。

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