システム開発は外注にすべき?費用相場・失敗事例・失敗しない選び方


こんにちは。Wakka Inc.のベトナムラボマネージャーの中垣です。
突然ですが、システム開発は外注と内製のどちらが良いと思いますか?
この記事は
「システム開発の内製と外注の違いが分からない」
「システム開発を外注するメリットやデメリットを知りたい」
と思っている方に向けた内容です。
システム開発の外注と内製のメリット・デメリットや外注で失敗しないコツを知って、自社に最適な方法を判断できるようにしていきましょう。
Wakka Inc.のラボ型開発では最適なプロジェクト体制で優秀な人材を低コストで確保するラボ型開発サービスを提供しています。
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エンジニアや開発リソースを確保したい方、
システム開発を外注するメリット

近年、システム開発会社や開発を簡略化できるツールが多く生み出され、システム開発を外注する企業も増えてきました。
外注する企業が増えていることは、逆に言えば開発を外注するメリットを実感している企業も多いことを示しています。
システム開発を外注するメリットは以下の2点です。
- 社内にエンジニアがいなくても開発できる
- 時間的リソースに余裕が生まれる
それぞれ個別に紹介します。
社内にエンジニアがいなくても開発できる
システム開発を外注するメリットの1つ目は、社内にエンジニアがいなくても開発できることです。
専門的なスキルや知識を持ったエンジニアがいなくても、システム開発会社に依頼すれば開発ができます。
開発するシステムのレベルが高度なものほど必要な技術も高くなり、人的なリソースも必要です。
高度な開発技術や経験のあるエンジニアを確保しようとすると、人件費や開発環境を整えるための設備費など、多くのコストが必要です。
社内にエンジニアがまったくいない企業や、「エンジニアはいるがシステム開発のリソースが足りない」という場合は、開発の外注を検討すると良いでしょう。
時間的リソースに余裕が生まれる
システム開発を外注するメリットの2つ目は、時間的リソースに余裕が生まれることです。
システム開発を外注すると、本来必要だったシステム開発に要する時間と、エンジニア採用に関する時間を削減できます。
エンジニアを採用し定着してもらうまでには、採用戦略や面接、採用後のフォロー、育成などが必要です。多くのエンジニアを確保するとなると、それぞれの工程に必要な時間も増えます。
システム開発を外注することで本来必要だった時間を別の業務に集中でき、自社エンジニアに別の開発を任せられます。
結果的に時間的なリソースに余裕ができ、その時間を別の業務に回せることが、システム開発を外注する大きなメリットです。
システム開発を外注するデメリット

システム開発を外注すると人的・時間的なリソースを確保できるのがメリットであるのに対し、デメリットにはどのようなことが考えられるでしょうか?
次は開発を外注するデメリットを紹介します。
システム開発を外注するデメリットは以下の2つです。
- 理想通りのものが100%できるとは限らない
- 開発の途中経過を細かく把握できない可能性がある
個別に紹介します。
理想通りのものが100%納品されるとは限らない
システム開発を外注した場合、想定している通りにシステムが納品されるとは限りません。
システム開発会社によって技術に差があったり、得意としている分野も違うためです。
さらにプログラミングは完全無欠の万能なものではないので、想定したコストに対して高い期待値を持ちすぎると、納品されたときにギャップが生じます。
社内に開発ソースがない企業はプログラミングなどの知識がないため、システム開発を発注する前に「プログラミングで何ができて、何ができないのか?」を少しでも把握しておくことをオススメします。
また、システム開発の種類によって自由度に制限があり、思い通りの結果とならないケースも散見されます。
システム開発会社に外注する際は、何が可能で何が不可能なのかを十分にすり合わせ、自社にとってコストをかける価値があるのかを十分に検討しましょう。
開発の途中経過が細かく把握できない可能性がある
外注するデメリットの2つ目は、開発の途中経過が細かく把握できない可能性があることです。
外注先と自社の業務の進め方やコミュニケーションの仕方が違うため、開発の進捗を細かく共有されない可能性もあります。
システム開発の進捗や仕様について把握できないと、
- 納期の直前になって間に合わないことが発覚する
- 仕様が思っていたものと違い修正が必要になる
などのトラブルが起こる可能性が高まります。
外注先が法人、フリーランスといった形態を問わず、契約を締結する前にシステムの仕様やコミュニケーションのとり方などを細かく決めておきましょう。
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エンジニアや開発リソースを確保したい方、
システム開発を内製化するメリット

システム開発を内製するために必要なリソースや費用を準備するのはたいへんなことですが、内製化ならではのメリットもあります。
システム開発を内製するメリットは下記の2つです。
- 仕様を柔軟に変更できる
- シームレスなコミュニケーションが可能
外注のメリット・デメリットを比較しながらお読みください。
メリット①仕様を柔軟に変更できる
システム開発を内製するメリットの1つ目は、仕様を柔軟に変えられることです。
システム開発を進めていく中で、機能の追加・変更・削除が必要になることがあります。
外注の場合、システムの大きな変更があったときに追加で請求が発生したり、変更が反映されるまでに時間がかかるかもしれません。
一方で、内製の場合はシステムの仕様を変更しても追加で費用が発生することもなく、社内でミーティングをすれば機能を変更できます。
また、システムを柔軟に変更できるからこそ、社会のニーズや変化に対応でき、時流に合わせたビジネスを展開できるのです。
メリット②シームレスなコミュニケーションが可能
内製のメリットの2つ目は、シームレス(≒スムーズ)なコミュニケーションが可能なことです。
外注の場合は、発注やシステムの変更を依頼するときに、内製するときよりもコミュニケーションコストが多く発生します。
内製はひとつひとつの連絡のやりとりがスムーズで、社内の調整も容易です。
社内のメンバーであれば自社の理念やビジネスの狙いが共有されており、共通言語でやりとりできるため、シームレスなコミュニケーションが可能です。
システムを内製化するデメリット
システム開発の内製のメリットは、コミュニケーションがスムーズでスピード感を持って柔軟に開発できることでした。
システム開発を内製化するデメリットは以下の2つです。
- 最適な人材を確保する難易度が高い
- エンジニアが定着しないリスクがある
デメリット①最適な人材を確保する難易度が高い
適切なエンジニア採用や確保の難易度が高く、人材を揃えづらいのが内製のデメリットの1つです。
人材を確保するのが難しいのは、働き方や価値観の多様化が進み、エンジニアの流動性が高まっているためです。
また、質の高いエンジニアほど報酬が高額で、採用コストがかかることも人材確保を難しくしています。
システム開発を内製化するには、開発するシステムのレベルに応じた技術を備えた人材を確保しなければなりません。
デメリット②エンジニアが定着しないリスクがある
システム開発を内製化するデメリットの2つ目は、エンジニアが定着しないリスクがあることです。
必要な人材を確保できたとしても、その人材が長く会社にいるとは限りません。
質の高いエンジニアには好条件を提示する企業が増えてきているため、エンジニアは転職しやすくなっています。
そのため、企業にとってエンジニアは流動性が高く、退職のタイミングが読みにくい場合もあります。
エンジニアが辞めてしまうと、再度最適な人材を探さなければなりません。
人材が長く定着する環境づくりと、エンジニアをいつでも探せる準備をして対策しておきましょう。
システム開発を外注する利点を最大限活かすには?

開発を外注する利点は、
「社内にエンジニアがいなくても開発できる」
「時間的なリソースに余裕が生まれる」
ことであるとお話ししました。
システム開発を外注するなら上記の利点を最大限に活かしたいところです。
システム開発の外注のメリットを余すことなく活用する方法は次の2つです。
- 外注先と密にコミュニケーションをとる
- 空いたリソースの使い方を考える
外注先と密にコミュニケーションをとる
自社で内製するときと外注するときとでは、コミュニケーションの勝手が違います。
コミュニケーションのやり方が違うからこそ、しっかり連携をとることが重要です。
外注先の担当者並びにエンジニアは、当然ですが社外の人間です。
自社のビジネスやシステムの仕様を理解してもらうには、コミュニケーションを重ねるしかありません。
先方と何度もやりとりをするため、労力はかかりますが、労力をかけてでもコミュニケーションをとるべきです。
綿密なコミュニケーションをすることで、システム開発外注のデメリットをカバーすることにつながるため、外注をすると決めたら密にやりとりをしましょう。
空いたリソースの使い方を考える
開発を外注すると、本来であれば開発するのに忙殺されていたはずの時間や、採用に関する時間が削減できます。
外注によって空いたリソースをどのように使うかは重要なため、あらかじめ時間の使い方を考えておきましょう。
例えば、外注によって空いたリソースを、システムリリース後のビジネス戦略やその他のビジネスについて考える時間に置き換えてみるなどです。
システム開発の外注で失敗する3大理由

システム開発を外注して、失敗したり損をしたりするのを回避するには、開発を外注して失敗につながる理由を把握することが大切です。
そこで開発を外注するときに失敗する3つの理由をご紹介します。
- 目的が定まっていない
- 外注先に丸投げをしてしまう
- 予算とスケジュールに無理がある
目的が定まっていない
目的がきちんと定まっていないと、外注が失敗してしまうかもしれません。
本章で言う目的とは、おもに開発する目的と外注する目的です。
「そもそも何のために開発するのか?」が決まっていなければ、システムの仕様や用途などが外注先に正しく伝わりません。
また外注の目的が定まっていないと、外注のメリットを活かせないでしょう。
開発と外注の両方の目的を決めておかないと、適切な外注先も選べないため、システム開発を外注したとしても失敗してしまいます。
目的が定まっていない際の対策は、おもに下記の2つです。
※表は横にスクロールできます
| 対策 | 詳細 |
|---|---|
| RFP(Request for Proposal:提案依頼書)の作成 | システム開発の背景・機能要件・予算・納期などを記載するRFPを作成することで目的を明確化できる。 |
| 要求の優先度付け | 自社にとって不可欠な機能、又はそうでない機能、といったように優先度を決めることで目的の明確化につながる。 |
外注後に丸投げしてしまう
「外注した後はすべて先方に任せておけば大丈夫」という考えには注意が必要です。
「スケジュール通りに開発が進められているか?」
「システムの仕様に問題はないか?」
などこまめに確認しないと、納期遅れや想定と違うシステムが納品される恐れがあります。
仮に満足のいかない仕上がりだったとしても、丸投げをしているのなら外注先を責めることはできません。
たとえ開発の外注がはじめてで専門的なことが分からなくても、外注先とは綿密にコミュニケーションをしましょう。
外注後の丸投げ防止策は、おもに下記の4つです。
※表は横にスクロールできます
| 対策 | 詳細 |
|---|---|
| 定例ミーティング | 定期的なミーティングを開催することでコミュニケーションの質と量が適正化され、相互の認識のズレ防止につながります。 |
| 議事録 | ミーティングの際に議事録を作成することで「言った・言わない」といった水掛け論を防止でき、現状の確認に効果的です。 |
| 課題管理 | システム開発の進行の妨げになる問題を課題として特定し、解決に必要な具体的タスクを明確化して管理することでプロジェクトの円滑な遂行に効果を発揮します。Jira・Backlogなどのプロジェクト管理ツールを活用することで課題管理の効率化も可能です。 |
| 変更管理プロセス合意 | システム開発に際して有益な変更を加える場合に、手順を体系化して合意しておくことで、変更によるリスク軽減や品質と効率の維持を可能にします。 |
予算とスケジュールに無理がある
どのようなシステムを開発するかが明確でないときに外注をすると、システムの要件を定義した後に、費用が予算以上に膨らむことがあります。
また、外注経験が少なく作業の工数を推測できないために、無理なスケジュールを要求してしまう場合もあります。
外注先もスケジュールの見積もりを誤る場合があり、現実的ではない納期で契約に至るケースも少なくありません。
対策はシステムの内容を明確にすることと、相見積もりをしてスケジュールと予算に無理がないかを確認することです。
対策の具体的な内容は以下の通りです。
※表は横にスクロールできます
| 対策 | 詳細 |
|---|---|
| MVP段階化 | MVP(実用最低限の機能を持つ製品)を市場に投入し、ユーザーのフィードバックを基に段階的に機能を追加・改善する開発手法です。MVP段階化により、失敗のリスクを軽減できるほか、効率的なリソース活用が可能となるため予算・スケジュールなどが限られた中での開発に効果的です。 |
| 相見積もり | 複数のシステム開発会社から見積もりを取得する方法です。相見積もりによって、システム開発にかかる工数・コストなどを比較でき、現状に適した依頼先の絞り込みに役立ちます。 |
| 工数の根拠確認 | システム開発にかかる工数が適切か、また見積もった工数が適切であるかどうかを確認します。工数の根拠を確認することで、予算やスケジュールに適しているかを判断できます。 |
システム開発の外注を失敗しないための重要ポイント4選

外注で失敗する理由を説明したところで、失敗しないためのポイントを紹介します。
ポイントは以下の4つです。
- 目的とシステム内容を明確にする
- 外注先と一緒に作り上げる意識を持つ
- 優先順位を決める
- 相見積もりをとる
目的とシステム内容を明確にする
繰り返しになりますが、開発の目的とシステムの内容を明確にすることはたいへん重要です。
上記が明確でないと、自社も外注先もシステムについて曖昧な認識になり、満足のいくシステムが開発できません。
システム外注を失敗しないために、開発の目的とシステムの内容はぜひとも明確にしましょう。
外注先と一緒に作り上げる意識を持つ
外注先と一緒に作り上げる意識がないと、コミュニケーションが疎かになり、丸投げに近い状態になります。
コミュニケーション不足が、システム開発の失敗や先方とのトラブルになるリスクをあげてしまいます。
自社と外注先の接点は、発注者と先方の担当者のみです。
つまり発注者の意識やスタンスが、システム開発の成功を左右すると言っても過言ではありません。
システム開発チームの一員である意識を持って臨みましょう。
優先順位を決める
開発の目的に沿って優先順位を決めないと、システムに余計な機能を追加してしまい、費用やスケジュールを圧迫する原因になります。
要望を出す前に一度、
「目的を達成するために本当に必要な機能か?」
「その機能がないと本当に困るのか?」
などを考えると優先順位を整理できます。
優先順位を決めて、開発の目的やシステムの内容がブレないようにしましょう。
複数の会社の相見積もりをする
開発の外注がはじめての企業は、相見積もりを取ったほうが良いでしょう。
相見積もりをする目的は
「見積もり価格が妥当であるか?」
「自社の想定している費用や計画に相場との乖離がないか?」
を確認するためです。
また「見積もりの段階から内訳を詳細に出してくれるかどうか?」も、仕事が丁寧な外注先を見つけるためにチェックしたいポイントです。
見積もりの内容が「〇〇一式」といったように記載されている場合は、必ず先方に確認しましょう。
本来必要な工程が省かれていたり、無駄な工程が含まれていたりする事態を防ぐためです。
外注先を選ぶときのチェックポイント

外注先を選ぶときに注意する点を知っておくと、「適切な外注先はどこか?」を判断する際に役立ちます。
外注先を選ぶときに注意すべきことは次の5つです。
- 実績・得意領域・再現性
- 体制と品質保証
- 見積もりの透明性
- コミュニケーション適性
- マッチングポータルの活用
実績・得意領域・再現性
システム開発を外注する際は、実績がひとつの判断材料となります。
なぜなら、外注先のベンダーが得意とする分野を把握できるからです。
自社が求めているシステム開発に適しているかを確認するために、実績を確認するのは大切です。
また、外注先ベンダーの開発における再現性を確認することも重要です。
再現性とは、同じ条件・入力・設定で操作した際に常に同じ結果が得られる性質を指し、システムの検証において欠かせない要素です。
体制と品質保証
体制と品質の観点では、PM(プロジェクトマネージャー)の配置や、レビュー・テストプロセスについて確認することが重要です。
レビュー・テストプロセスは、システム開発の各工程で作成される成果物を検証・評価することで、欠陥や不備の早期発見・修正を目的としています。
PMやレビュー・テストプロセスは成果物の品質の管理に深く関わるため、どのような体制で開発が進むのかを確認することが大切です。
また、ISMS認証(ISO/IEC 27001)・JISEC(ITセキュリティ評価及び認証制度)などの基準を満たしているかも同時にチェックしましょう。
これらの基準を満たしていることで、情報セキュリティに関する国際的又は国内的な水準をクリアしていると判断でき、安心してシステム開発を外注できます。
見積もりの透明性
見積もりを確認する際は、金額が適正かどうかだけでなく、内訳の前提条件や、変更が生じた場合の費用についても確認することが大切です。
前提がどうなっているかが不明なままでは変更要求すべきかどうかが分かりませんし、変更した際の費用が不明なままではトータルコストの補正が困難です。
見積もりを提示してもらった際に、どのような条件が前提となっているか、変更にかかる費用はいくらなのかを忘れずに確認しましょう。
コミュニケーション適性
コミュニケーションの適性として確認すべき主なポイントは、以下の3つです。
※表は横にスクロールできます
| チェックポイント | 詳細 |
|---|---|
| レス速度 | 問い合わせに対する反応速度を確認します。変更に関する内容のみでなく、些細と思えるような疑問に対してもスピーディに反応し返答してもらえることで、安心感や信頼関係の構築につながります。 |
| 言語化力 | システム開発における言語化力とは、システムやコードなどに関する思考を、専門知識のない人に伝わるように言葉や文章で説明する能力です。言語化力を備えた外注先を探すことで、互いの考えのすり合わせが実現でき、より適したシステム開発につながります。 |
| 課題提案力 | システム開発で解決すべき本質的な課題を特定し、実現可能な解決策を提案する力です。 |
上記のチェックポイントからも分かるように、コミュニケーション力は技術力と同等と言えるほどに大切です。
開発するシステムが社内で受け入れられ、十全に活用されるためにも、コミュニケーション適性があるかどうかを確認しましょう。
マッチングポータルの活用
システム開発の外注先選びに困った際は、マッチングポータルの活用を検討するのもひとつの手段です。
ただし、下記のようにマッチングポータルにはメリットとデメリットがあるため、活用する際はその点も踏まえて検討してください。
※表は横にスクロールできます
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 特定の業種に特化している外注先を発見できる可能性がある | マッチング成立や成果が出るまで時間がかかる場合がある |
| 無料で利用できるケースが多い | 外注先の情報が不明瞭な場合がある |
システム開発を外注する際の費用

システム開発の外注費用がいくらかかるかは、予算を組むのに欠かせない要素でしょう。ここからは、外注の費用がどのくらいかかるかを解説します。
開発を外注するときに請求される費用の内訳は、人件費(6~8割)と設備費など(2~4割)が一般的です。人件費は参画するエンジニアのレベルによって異なり、単価は月単位で計算されます。
ケースバイケースですが、システムの設計やマネジメントができる上級エンジニアは100万円前後、プログラミングのみを行うエンジニアは60万円前後が相場です。
また外注費用には、設備費は開発に必要なサーバー代やライセンス代、オフィスの賃料や電気代などが含まれます。
小規模なシステムで上級エンジニアが1人参画する場合、エンジニアの単価が100万円とすると設備費が25万円ほどかかります。つまり外注費用の合計は125万円程度になるでしょう。
【補足】システム開発の種類について

最後に、システム開発の種類について補足します。外注する前にシステム開発の種類について理解しておくことで、「自社のシステムにはどのような開発が適しているか?」を判断しやすくなります。
また、開発の種類が絞られれば対応できる外注先も絞られるため、選びやすくなるでしょう。次の3種類のシステム開発について特徴などを説明します。
- 完全オーダーメイドで開発
- パッケージソフトを導入して開発
- ASPの導入
完全オーダーメイドで開発(フルスクラッチ)
完全にゼロから作るものをフルスクラッチ開発と呼びます。
テンプレートや既存のパッケージなどを一切使用せずに開発する手法です。「どのようなシステムを開発したいか?」を考えてから作るため、発注する企業独自のシステムを構築できます。
開発後も柔軟にシステムの仕様を変更でき、ユーザーのニーズに合わせて施策を打ったり、社内の声を吸い上げてスタッフが使いやすいように機能を追加できます。
ただしゼロからシステムを作り上げるため、規模や機能によっては高額な開発費用がかかることも覚えておきましょう。
パッケージ導入
パッケージソフトは多数のユーザーに向けて開発された既製品のソフトウェアです。多くのユーザーが使いやすいように作られているため汎用性があります。
また、フルスクラッチ開発と比べてコストを抑えて導入できる点がメリットです。デメリットは、自社にしかない業務フローやサービスがある場合は、既存のパッケージソフトのみでは対応できないことです。
独自の業務やユーザーのニーズに融通を効かせるには、パッケージに機能を追加してカスタマイズする必要があります。
ASPの導入
ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)とは、インターネットを経由して、システムやアプリケーションを事業者に提供しているサービスのことです。
ブラウザからインターネットを介してサーバーにアクセスし、アプリケーション機能を利用します。初期費用が低く導入しやすい点と、システムのメンテナンスが不要であることがメリットです。
しかし、多くのASPではカスタマイズができないため、企業独自のサービスに昇華させられないところがデメリットです。
よくある質問(FAQ)

本章では、システム開発を外注する際の、よくある質問にお答えします。
システム開発を外注する際の参考になさってください。
Q1.どの段階から相談すべき?
システム開発の外注先には、企画・構想段階が明確になった段階で相談しましょう。
要件定義の前段階から相談することで、専門的な知識を踏まえた意見を聞けます。
また、早期からの相談によって、準備不足によるリスクの軽減や納品後のミスマッチ防止などにも効果的です。
Q2.相見積もりは何社が適切?
一般的に、相見積もりは3~4社程度が適切です。
なぜなら、2社では比較が不十分になる可能性があり、5社以上になると比較にかかる時間と労力が増大して非効率化する可能性があるためです。
Q3.見積もりが高い・安いときの見極め方は?
見積もりが高いのか安いのかは、相見積もりによる比較で判断するのが基本です。
しかし、価格のみにフォーカスしないように注意してください。
サービスの内容が充実しているかや外注先の信頼性なども含め、総合的に判断することが大切です。
Q4.ラボ型開発と受託型開発は何が違う?
ラボ型開発と受託型開発は、契約形態と開発プロセスが異なります。
ラボ型開発は期間契約で、専属チームが契約した期間内に開発を進めます。
仕様変更にも対応しやすく、仕様が未定なプロジェクトに適しているのが特徴です。
受託型開発は成果物契約で、仕様と納期内で成果物を完成させるのが目的です。
契約後の仕様変更は基本的に受け付けないため、仕様と納期が明確なプロジェクトに適しています。
Q5.海外(オフショア)開発の不安をどう潰す?
システム開発を海外に外注する際は、コミュニケーション・品質・文化の違いに起因したリスクがほとんどです。
それぞれの課題を解決するために、以下のような対策を検討しましょう。
【課題】コミュニケーション
開発の初期段階で要件を詳細かつ具体的に文書化して認識の齟齬を防止します。また、チーム全員が同時にオンラインで作業できるコアタイムを設定し、リアルタイムでの質疑応答やミーティングの時間を確保するのも大切です。
【課題】品質
開発に関する基準を統一して文書化して品質低下を防ぎます。小規模な案件から開始し、信頼関係や品質レベルを確保しながら規模を拡大するのもひとつの方法です。
【課題】文化の違い
定期的な交流イベントや現地訪問の機会を設け、現地の文化や商習慣を理解することが大切です。曖昧な表現では伝わらない場合があるため、具体的な指示と明確な期限を設定するのも効果的です。
Q6.保守・運用費はどれくらい見る?
保守・運用費は、システム開発費用の5~15%程度が目安です。
保守・運用費の内訳は以下の通りです。
【ハードウェア保守運用費】
サーバーの故障対応・メンテナンスやネットワーク監視、データのバックアップなどです。
【ソフトウェア保守運用費】
OS・ミドルウェアのアップデート対応や不具合発生時の調査・改修などです。
【サービス委託費】
サイト運営・ヘルプデスク業務などです。
保守・運用費は、システムの規模・複雑さのほか、提供されるサービスの内容・対応範囲・費用体系などによって変動します。
そのため、契約内容を事前に確認することも大切です。
Q7.生成AI/LLM活用プロジェクトの注意点は?
生成AIやLLMを活用したプロジェクトにおける注意点と対策は下記の通りです。
【セキュリティリスク】
外部のLLMサービスやクラウド型の生成AIを利用した際に、データが意図せずに第三者に公開される可能性があります。
(対策)生成AIやLLMに関する明確なガイドラインを策定したり、アクセス管理・権限設定を徹底したりするのが有効です。
【法的・倫理的リスク】
生成AIやLLMの出力結果が、既存のコンテンツと類似しており、著作権侵害となる可能性があります。
(対策)出力結果の権利関係を確認する体制構築が有効です。LLMサービスの場合は、利用規約や使用許諾条件を確認し、制約の内容を確認すると良いでしょう。
【出力結果の信頼性】
生成AIやLLMは、誤情報や事実に基づかない情報を、あたかも事実かのように生成する場合(ハルシネーション)があります。
(対策)出力結果のファクトチェック(事実確認)を実施するプロセスを組み込むのが有効です。
上記のリスクに備えるには、適切な人材育成が欠かせない要素です。
使用者のリテラシー不足を補うために、どのような育成方法が適切なのかを検討してプロセスに組み込みましょう。
目的を明確にしてシステム開発の外注を成功させよう

システム開発の外注を成功させるためには、システム開発の目的とどのようなものを作るかを明確にすることがとても重要です。
開発の目的とシステムの内容を決めることは、システム開発の内製をするときにも大切なことです。外注候補の会社の実績確認や複数の企業の相見積もりにより、「価格やスケジュールが妥当かどうか?」を検討します。
外注する内容を決めたら丸投げすることなく、自分も開発の一員である意識を持ち、担当者と綿密なコミュニケーションをとっていきましょう。
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WaGAZINE読者さま限定!
ラボ型開発サービス導入事例集
エンジニアや開発リソースを確保したい方、

WebメディアでPGから管理職まで幅広く経験し、Wakka Inc.に参画。Wakka Inc.のオフショア開発拠点でラボマネジャーを担当し、2013年よりベトナムホーチミンシティに駐在中。最近では自粛生活のなかでベトナム語の勉強にハマっています。










