入出庫管理システムとは?導入するメリットや効率化のポイントを解説

2024.08.10
DX・システム開発
Wakka Inc. メディア編集部
入出庫管理システムとは?導入するメリットや効率化のポイントを解説
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こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。

入出庫管理は、在庫管理において重要な業務であり、受注・仕入・納品などさまざまなプロセスに影響を及ぼします。
また、余剰在庫や欠品を防ぐうえでも、入出庫管理は適正に実施されなければなりません。

しかし、在庫数が多いと入出庫管理は煩雑になりやすく、ミスを起こしやすいプロセスでもあります。
そのため、多くの企業では入出庫管理システムを導入し、より効率的な管理を実践するようになりました。

本記事では、入出庫管理システムについて解説します。
導入するメリットや、システムを利用して業務を効率化するポイントについて解説するので、ぜひ参考にしてください。

目次

入出庫管理システムとは?

入出庫管理システムとは、入出庫や在庫の変動などを記録し、管理するシステムです。

入出庫管理システムは、在庫の変動をリアルタイムで把握し、在庫レベルを最適化するために使用されます。
企業によって様々な形態があり、パッケージ化された高度なソフトを導入する企業もあれば、Excelで簡素に管理している企業もあります。

システムの導入を検討する前に、自社が抱える課題は必ずチェックしましょう。

入出庫管理システムの特徴

入出庫管理システムは、前述した通り、Excelでの簡易的なものも指しますが、バーコードやQRコード、RFID(タグ)と連動したシステムを導入しているケースもあります。
製品にバーコード・QRコードを貼付してハンディターミナルでスキャンしたり、取りつけたRFIDを機械で読み取ったりすれば、検品作業の効率化が可能です。

入出庫管理における課題

従来では、入出庫管理において以下のような課題の解決が重視されていました。

  • 人員不足による業務の遅滞
  • 入力時のタイムラグの発生
  • ヒューマンエラーの多発
  • 業務の属人化

特に、入力時のタイムラグやヒューマンエラーは業務の精度に関わる課題ですが、アナログな入出庫管理だと完全な防止は困難です。

また、少子化の影響で労働人口が減少している昨今、人手不足に陥る企業も少なくありません。
そのため、入出庫管理システムのように業務の効率化することによって工数を減らし、必要な人員やヒューマンエラーを削減することは有効な取り組みです。

入出庫管理で記録すべき項目

入出庫管理を行う際は、以下のような項目を記録しましょう。

  • 製品名
  • 入出庫の日付
  • 品番
  • 数量
  • 入庫数
  • 出庫数
  • 入庫する理由
  • 担当者
  • 保管場所

製品の数量や保管場所は入出庫を繰り返すたびに変動するものです。
そのため、正確に管理しなければなりません。

しかし、繁忙期で入出庫の頻度が増加すると、記録ミスが起こりやすくなり、正確な在庫数を把握できなくなります。
その結果、欠品による機会損失や余剰在庫など、収益に悪影響を及ぼすトラブルが発生するリスクが高まります

各項目の記録は、在庫数が多いほど煩雑化するものです。
入出庫管理を適正化するためにも、各項目をシステムで記録し、少ない工数で管理できる入出庫管理システムは欠かせません。

入出庫管理システムの4つの種類

入出庫管理システムの種類は、大きく分けて以下の4つです。

  • クラウド型
  • パッケージ型
  • オンプレミス型
  • フルスクラッチ型

それぞれの違いは以下の通りです。

種類クラウド型オンプレミス型パッケージ型フルスクラッチ型
特徴低コストで導入が容易カスタマイズ性が高いシンプルで使いやすい自社の業務に合わせて構築可能

料金の傾向や設備に必要な作業が変わるため、種類の違いは正確に把握しましょう。

クラウド型

現在の入出庫管理システムで、もっともメジャーな種類がクラウド型です。

クラウド型はベンダーが所有するインターネット上のサーバーにアクセスしてシステムを利用するタイプです。
インターネットに接続していれば容易にアクセスできるため、導入に手間がかかりません。

パソコンだけでなく、タブレットやスマートフォンでアクセスできる製品も多く、リモートワークや複数拠点での運用も可能です。

また、クラウド型は月々の利用料金や保守管理費用が安いため、低コストで利用できます。

パッケージ型

パッケージ型は旧来の入出庫管理システムで多く見られる種類です。
購入したソフトウェアをパソコンにインストールして使用します。

クラウド型と同様に導入に手間はかかりませんが、パッケージ型はインストールしたパソコンでしか使用できないため、多人数での運用には不向きです。

しかし、シンプルで使いやすいものが多いため、個人事業主や小規模事業者で利用されています。

オンプレミス型

オンプレミス型は、自社でサーバーやネットワーク機器を用意したうえで導入するタイプです。

必要な設備の準備に加え、保守管理やアップデートも自社で行わなければならないため、オンプレミス型はシステム運用のノウハウがなければ運用が難しい傾向があります。
加えて、設備や運用にかかるコストが高くなりやすい点には注意しなければなりません。

ただし、オンプレミス型は拡張性が高く、任意のインターフェースや機能を追加できるため、独自性が高いシステムを構築できます。

フルスクラッチ型

フルスクラッチ型はゼロベースからシステムを構築して運用するタイプです。
オンプレミス型と同様にカスタマイズ性が高い一方で、すべての機能をゼロから構築するため、手間とコストがかかります。

システムのアップデートも適宜行う必要があり、ITのノウハウを持つ従業員がいなければ運用は難しいでしょう。

しかし、フルスクラッチ型なら自社の業務フローに合わせて構築できるため、必要な機能だけを持ったシステムを実現できます。
特殊なプロセスで入出庫を行うような企業であれば、フルスクラッチ型も有用です。

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入出庫管理システムの9つの機能

入出庫管理システムには、在庫管理に役立つさまざまな機能が搭載されています。
あらかじめ機能を知れば、導入した際の運用方法を想定しやすくなります。

一般的に搭載されている機能は以下の9機能です。

  • 在庫一覧機能
  • 検品機能
  • 入出庫管理機能
  • 返品管理機能
  • 棚卸機能
  • 在庫分析機能
  • セット品管理機能
  • データ抽出機能
  • マスター管理機能

それぞれの機能を理解しておくことで、システムを最大限に活用できます。
各機能について紹介します。

在庫一覧機能

在庫一覧機能は製品の在庫数を管理する機能です。
製品ごと、あるいは保管場所ごとに在庫数を把握できます。

在庫数を把握するだけでなく、品名やジャンルで特定の製品を検索できる点も、在庫一覧機能の特徴です。

検品機能

検品機能は入出庫時の検品を効率化する機能です。
伝票上の品目・品数と、システム上で記録されている品目・品数が合致しているかを確認できます。

製品に貼付されたバーコードとハンディターミナルが検品機能と連動しているタイプなら、単純作業で検品が完了します。
検品作業に伴う作業時間・人件費の削減が可能です。

また、問題があった際にはアラートが発生するため、ミスを防止できます。

入出庫管理機能

入出庫管理機能は、在庫管理や検品などの機能と連動し、各作業をサポートします。

入出庫管理機能は、製品を入庫する際に自動でバーコードを発行したり、検品の結果を在庫数に反映させたりするなど、入出庫管理の効率化が可能です。
また、出庫する際にピッキングリストを作成したり、入出庫伝票を作成したりするなど、さまざまな作業を実践できます。

返品管理機能

返品管理機能は、返品が発生した際に在庫数の調整や履歴の修正などを行う機能です。
イレギュラーな事態に対しても、効率的に修正作業ができるため、在庫数のズレを防げます。

返品管理は手作業だとヒューマンミスが発生するリスクを高めますが、この機能を活用すれば在庫数を適正に保てます。

棚卸機能

棚卸機能は、在庫の棚卸作業をサポートするための機能です。

システム上の品数と実際の品数が合致しているかを確認するうえで役立ちます。
多数の在庫を抱えている企業ほど、棚卸に要する作業時間は増えますが、棚卸機能を活用すれば効率的に実践できます。

また、循環棚卸や、一部の在庫のみの棚卸など、特殊な作業にも対応可能です。

在庫分析機能

在庫分析機能は、過去の入出庫管理データを分析することにより、販売や仕入れを予測する機能です。
過去のデータと現在の状況を比較することにより、売れ筋・死に筋の製品を見極めたり、必要な仕入れ数を判断したりできます。

入出庫管理システムには、在庫回転期間・在庫回転数のような指標も利用できるうえに、データをグラフ化できる製品も珍しくありません。
適切に活用すれば、運営状況の改善に役立ちます。

セット品管理機能

セット品管理機能は、製品同士、あるいは製品と部品の構成をセット単位で管理できる機能です。

あらかじめセット単位を設定しておけば、製造できる製品や、必要な部品の数を把握できます。
もちろん、セット品管理機能はセット販売する製品にも応用が可能です。

セット販売する製品の残数を把握できるだけでなく、欠品を防げます。

データ抽出機能

データ抽出機能はシステム上にあるデータをExcelやCSVにして抽出できる機能です。
任意のデータを抽出できるため、会議での資料を作成したいときに役立ちます。

過去のデータが蓄積されているほど、精細な分析や予測が可能になるため、事業計画を策定したいときにも便利です。

マスター管理機能

マスター管理機能は、製品・人員・顧客など様々なマスターデータを管理する機能です。

重要な情報を高いセキュリティで守られたシステムに格納できるため、Excelなどを利用した管理よりも安全に情報を運用できます。

入出庫管理システムを導入する4つのメリット

入出庫管理システムを導入すれば、以下のようなメリットを得られます。

  • 入出庫管理の効率化によるコスト削減
  • 在庫状況をリアルタイムでチェック
  • 欠品を防止して機会損失を抑制 
  • 電子化によるヒューマンエラーの予防

あらかじめメリットを把握しておけば、入出庫管理システムを導入した際の費用対効果の分析が可能です。

それぞれ、順番に説明します。

入出庫管理の効率化によるコスト削減

入出庫管理システムの最大のメリットは、効率化によるコスト削減です。

従来のアナログな手法は棚卸や検品などを手作業で行わなければならないため、プロセスが煩雑になるほど従業員の負担が増加するうえに、時間がかかります。
当然、作業時間が延びれば人件費がかさみ、コストの増加を招きかねません。

入出庫管理システムによって入出庫管理を効率化すれば、バーコードやRFIDの読み取りで検品が完了し、データの反映も自動化できます。
その結果、作業に要する時間が減るため、人件費などのコストを削減できます。

在庫状況をリアルタイムでチェック

在庫状況をリアルタイムでチェックできる点も、入出庫管理システムのメリットです。
入出庫管理システムなら在庫数をリアルタイムで正確に把握できるため、必要な発注数や、製品を補完するスペースの確保をしやすくなります。

また、余剰在庫・過剰在庫の予防にも有効です。
余剰在庫や過剰在庫がある状態だと、スペースの不足で製品の仕入れができなくなったり、在庫を整理する無駄な手間が発生したりします。

入出庫管理システムで在庫状況を把握し、常に適正化していれば、無駄な在庫を抱え込むリスクを回避できます。
複数の拠点をもつ企業でも、入出庫管理システムがあれば在庫状況の同時チェックも可能です。

欠品を防止して機会損失を抑制

入出庫管理システムを活用すれば、欠品の防止による機会損失を抑制できます。
入出庫管理がずさんな状態だと、需要が急に高まると製品の在庫が欠品してしまい、売上を伸ばす機会を失うリスクが高まります。

イレギュラーな発注に対応するうえでも、在庫数を常に把握できる体制は不可欠です。

入出庫管理システムは在庫数が減少するとアラートが発生するタイプもあるため、欠品を防止が容易です。
さらに蓄積されたデータを分析して販売状況の変動を予測すれば、仕入れのタイミングを把握しやすくなります。

電子化によるヒューマンエラーの予防

入出庫管理システムで作業を電子化すれば、手作業によるヒューマンエラーの予防が可能です。

書類への手書き・Excelへの手打ち入力のような作業は、ヒューマンエラーの防止が難しく、繁忙期になるとミスが続出する恐れがあります。
また、目視による在庫数のチェックも、数え間違いの原因になりかねません。

対して、入出庫管理システムなら、検品と同時に記録が完了するため、手書きや手打ち入力によるヒューマンエラーの削減が可能です。
ヒューマンエラーを削減できれば、在庫数や入出庫に関わるデータが正確になり、より精度の高い分析が実現します。

入出庫管理システムを導入する際のポイント

入出庫管理システムを導入し、より効果的に運用するなら、以下のポイントを意識しましょう。

  • 業務に適合した機能があるか
  • カスタマイズの範囲は広いか
  • 既存のシステムと連携できるか
  • 高度なセキュリティシステムがあるか
  • 費用対効果はあるか

それぞれのポイントを理解すれば、入出庫管理システムの効果を最大化できます。

業務に適合した機能があるか

業務に適合した機能の有無は、入出庫管理システムを導入するうえで、最初にチェックしなければなりません。
入出庫管理は取り扱う製品の種類や、業界の商慣習によって、業務フローが違うことがあります。

もし、自社の業務に適した機能が搭載されていない入出庫管理システムだと、導入しても効果は期待できません。

昨今は、特定の業界に特化した入出庫管理システムも販売されています。
特殊な製品を扱っている場合は、このタイプのシステムをチェックしましょう。

カスタマイズの範囲は広いか

カスタマイズの範囲が広い入出庫管理システムであれば、事業の拡大や倉庫数の変更に合わせて機能を追加できます。
入出庫管理システムがカスタマイズできる範囲は、システムの種類やオプションの有無によって変わります。

なお、ベンダーによってはカスタマイズで追加料金が発生する場合も少なくありません
将来的にカスタマイズを検討するなら、あらかじめベンダーに確認しましょう。

既存のシステムと連携できるか

既存のシステムと連携できる入出庫管理システムであれば、作業が二重化したり、データの引き継ぎができなくなったりするリスクを回避できます。

特に、システムを切り替える際は、蓄積したデータを運用するためにも、連携の可否は必ずチェックしなければなりません。

高度なセキュリティシステムはあるか

入出庫管理システムは在庫内の製品だけでなく、顧客や従業員など、重要度が高い機密情報も登録されています。
情報漏洩によるトラブルを防ぐためにも、入出庫管理システムのセキュリティは高度なものでなければなりません。

情報が漏洩すると、対応のために業務が滞るうえに、企業への信頼も大きく損なわれます。
信頼できるセキュリティを備えたシステムを導入しましょう。

費用対効果はあるか

導入した入出庫管理システムに、想定した費用対効果があるかは、入念に確認しましょう。

費用対効果が低いシステムだと、導入しても想定した効果が発揮されないうえに、かえってコストの増加を招く恐れがあります。
費用対効果を最大化するには、導入後も運用体制を逐一見直すなど、PCDAサイクルを回す必要があります。

入出庫管理システムを活用して業務効率化を実現しよう

入出庫管理システムは、煩雑になりがちな入出庫管理業務を効率化できるシステムです。
適切に運用すれば、入出庫や在庫の管理に伴うコストを削減するだけでなく、欠品やヒューマンエラーの防止にも貢献します。

しかし、導入する際はカスタマイズの範囲や費用対効果など、いくつかのポイントを押さえなければなりません。
有効に運用するためにも、導入する入出庫管理システムの詳細は入念にチェックしましょう。

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