PMFが事業開発に必要な理由とは?支援団体や達成のプロセスも解説

2024.07.01
ラボ型・オフショア開発
Wakka Inc. メディア編集部
PMFが事業開発に必要な理由とは?支援団体や達成のプロセスも解説
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こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。

新規事業開発には、どの程度市場に受け入れられたかを表す数値のPMFの達成が欠かせません。
特にスタートアップ企業はPMF達成が今後の事業拡大につながる大きなポイントと言われるほどです。

しかし、PMFの基礎知識や達成までのプロセスが分からず、悩む人もいるのではないでしょうか?
本記事では、PMFの基礎知識や達成までのプロセスを解説します。

PMFを達成するためのポイントや達成支援団体も、あわせてご覧ください。

目次

PMF=製品・サービスが市場に受け入れられている状態

PMF(プロダクトマーケットフィット)とは、製品・サービスと市場(ニーズ)が合致して受け入れられている状態を指す言葉です。
近年では様々なところで多様化が進み、ニーズに対応した製品やサービスが増加しています。

しかし、ニーズと合致しない製品・サービスでは、事業の成功は困難です。
そのためPMFは、ベンチャー企業や新規事業を始める際に活用されています。

PMFに到達できているか、適切な検証を行えば製品・サービスの改善点を把握でき、ひいては事業の成功につながるという流れです。

PMF達成前に達成すべき4ステップ

PMFの達成には、以下2つの要素の達成が必要です。

  • CPF(カスタマープロブレムフィット)
  • PSF(プロブレムソリューションフィット)

CPFは顧客の課題を検証するプロセスを確立して検証を済ませた状態であり、PSF顧客の問題・課題を解決できる製品を提供している状態を指します。

PMFの達成にはCPF、PSFの順に達成するのが必要条件となります。
本章では、PMFの前段階であるCPF・PSFを目指す4つのステップを解説します。

ステップ1.解決すべき問題・課題の特定

ステップ1は、市場のリアルな考えや意見をリサーチし、問題・課題を特定してCPFを目指します。
アンケートをはじめとした手法を活用し、情報を収集・分析しましょう。

自社が感じている課題ではなく、アンケートなどを通して得られる消費者側、顧客側からの意見が重要です。
市場のリアルな考えや意見を中心に考えることで、ニーズの大きさの把握も可能です。

ステップ2.解決策の検討

解決策を検討するときは、以下3つのポイントを大切にしましょう。

  • 特定した問題・課題を解決できるか
  • 「必ず欲しい」と思えるレベルの解決策か
  • 提示する解決策は市場の理解を得られるか

提示する解決策が適切かどうかは、アンケートやヒアリングの結果をもとに判断できます。
「必ず欲しい」と思えるほどでなく「あったら嬉しい」程度の機能まで解決策に提示してしまうと、顧客の課題を解決できる手段が見えにくくなってしまいます。

解決策は多く提示すればいいのではなく、課題解決に必要な手段を厳選しましょう。

同時に、自身や企業がどの程度のスキルや経験があるのかを確認します。
自身や企業が有するスキル・経験を把握できれば、提案できる解決策の絞り込みに活用可能です。

ステップ3.賛同者・協力者を集める

課題や解決策を明確に決めたら製品化に向けて協力してもらえる賛同者・協力者を確保しましょう。
製品化に向けた協力者は、プロトタイプ(試作)のプロダクトインタビューを実施するときの重要な要素となります。

賛同者を獲得するには、丁寧で粘り強く説明する姿勢が大切。
可能な限り専門用語の使用を控えて、分かりやすく、熱意を持って説明してください。

ステップ4.製品・サービスの価格をリサーチ

製品・サービスの適切な価格は、市場のリサーチで把握できます。
市場価格は消費者・顧客が「どれだけ欲しいと感じているか」という購買意欲の表れです。

さらに、新たに販売する予定の製品・サービスの内容を踏まえて、適正と思える仮の価格をはじき出しましょう。

価格が妥当と感じるかどうかは、数人へのヒアリングといった定性調査だけでなく、多数の意見がとれるアンケートなどの定量調査も活用します。
協力者への定性調査だけでは同じサービスや製品に興味を持つ、つまり、同じ考え・価値観を持っている人ばかりの意見が集約されてしまう可能性があるためです。

新しい製品、サービスを適正価格と捉えるかどうかは、協力者でない消費者の意見も拾い上げることが必要です。

PMF達成までの4つのプロセス

PMFはプロダクトの完成度を高めることで達成できます。
そして、プロダクトの完成度を高めるには、検証と分析を繰り返してニーズへの対応力を高める必要があります。

本章では、PMF達成までのプロセスを解説します。

プロセス1.MVPの機能を特定

MVP(最小実行可能製品)とは、市場のユーザーに価値を提供するために、必要最低限の解決策を持った製品・サービスです。
消しゴムにたとえると「文字を消す」という機能がMVPに該当します。

MVPの機能を特定するときは、いかにして細かくスピーディなPDCAを回すのかがポイントです。
ユーザーからのフィードバックを参考にして、仮説立てと検証を繰り返します。

プロセス2.プロトタイプを開発

特定したMVPの機能を実装した製品・サービスのプロトタイプを開発します。
理由としては、製品化に向けたMVPの検証を、よりスムーズに進めるためです。

MVPをもとにしたプロトタイプ(試作)の開発には、製品の具体的なコンセプト資料やモックアップが必要です。
プロトタイプの設計図となる存在があることで、検証を繰り返しながら開発できます。

近年ではノーコード開発技術もあるため、必要に応じて活用しましょう。

プロセス3.MVPのPMFを検証

完成したMVPプロトタイプが、市場にどの程度受け入れられているかを検証します。
検証する手法は、市場にリリースする方法と、見込み顧客でテストする方法の2つです。

どちらの手法が合っているかは製品・サービスによって異なりますが、いずれの場合もフィードバックをもとに検証を進めます。

リリースしたMVPプロトタイプは、Product/Market Fit Survey・NPS・エンゲージメントデータなどをもとに検証するのが一般的です。
複数の観点から検証を進めることで、より詳細なMVPの状態を把握できます。

プロセス4.プロダクトの完成度を向上

長く利用される製品・サービスを提供するには、PMFを高める取り組みが大切です。

そして、PMFを高めるにはプロダクトの完成度を向上させなければなりません。
なぜなら、ニーズは流動的に変化し続けるため、製品・サービスもそれに合わせた変化が必要です。

プロダクトの完成度を高めるために、製品・サービスの検証を定期的に繰り返し、さらなる高みを目指しましょう。

PMFを達成するための2つのポイント

PMFの達成には下記2点のポイントに注意しましょう。

  • ペルソナを具体的に設定
  • PMFは多角的な視点で分析

新規開発にかけられる時間が限られている場合にも、上記2点に留意すれば、PMF達成の近道となります。
PMF達成に向けた取り組みを、よりスムーズに実施するために活用してください。

ポイント1.ペルソナを具体的に設定

ペルソナを具体化することで、MVPの特定や市場のリサーチが容易です。

ペルソナとは製品利用者の典型的なユーザー像を指します。
年齢・性別・職業・役職などをもとに、ユーザー像を具体化できます。

ペルソナを設定するタイミングは、活用するシーンを想定する初期段階が適切です。
初期段階でペルソナを設定することで、開発を進める中での軌道修正も効率化できます。

ポイント2.PMFは多角的な視点で分析

PMFの検証方法は複数ありますが、中には数値が低い状態でも問題ない場合があります。

一例としては、顧客ロイヤリティを測定する指標であるNPSです。
NPSはPMFの検証に有効な方法として知られる一方で、数値が低くてもPMFを達成している製品もあります。

そのため、PMFは多角的な視点で分析・比較すると良いでしょう。

【スタートアップ企業向け】PMFを支援する3つの企業・団体

スタートアップ企業にとって、PMFの達成は大きな目標です。
その一方で、自社の力だけでは結果を出せなかった場合に対する不安を抱えるケースもあるでしょう。

本章では、PMF達成を支援する4つの企業・団体を解説します。

北九州市が運営|「スタートアップSDGsイノベーショントライアル」

スタートアップSDGsイノベーショントライアルは、期間内に公募し、プレゼン審査や採択通知を経て実施されるプログラムです。
プログラムは「プロダクトの社会実装」と「PMFの達成」の2種類があり、目的に応じて選択します。

スタートアップSDGsイノベーショントライアルでは、資金面のサポートも実施。
PMF達成に対する不安のほか、資金繰りに悩みを抱えている企業にとって心強い存在です。

多様なサービスで中小企業を支援|「大阪産業産創館」

大阪産業産創館は、公益財団法人大阪産業局が運営しており、経営相談・セミナーや展示会の開催・商談会などのサービスを提供しています。

大阪産業産創館は、多くの支援機関と連携し、経営課題を解決できるサービスをワンストップで利用できるのがメリットです。
大阪産業産創館には、セミナー・研修などに活用できる貸出施設も充実しているため、PMF達成以外の目的でも活用できるサービスです。

グローバルスケールを培う|「JETRO(J-StarX)」

JETRO(日本貿易振興機構)のJ-StarXは、アメリカを中心とした実地研修プログラムを実施しています。
実地研修プログラムでは、PMF達成の足がかりとなるような体験や学習が可能です。

過去に開催した「海外パートナー探索プログラム」は、PMF支援が目的でした。
起業後にグローバル展開を検討している企業は、チェックしてみると良いでしょう。

事業開発成功・PMF達成に向けて

本記事では、PMFの基礎や達成するまでのプロセスを解説しました。
PMF達成は、事業成功における重要な要素のひとつです。

他方で、事業開発にはPMF達成・新規システム開発など、複数業務の同時進行を要する場面もあります。
そのため、開発に携わる社員の業務負荷増大を招きかねません。

近年では、製品開発をスムーズに進めるための手法として、専属開発チームを社外に持つラボ型開発を検討する企業が増えています。

ラボ型開発には、高い柔軟性や社員の業務負荷軽減などのメリットがあり、よりスムーズな顧客に刺さるサービス開発につながるためです。
PMFの達成や事業開発を成功に導くために、必要に応じてラボ型開発を検討してみましょう。

この記事を書いた人
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