物流の2024年問題とは?物流DXの3つの手順と課題を解説!

2024.03.04
DX・システム開発
Wakka Inc. メディア編集部
物流の2024年問題とは?物流DXの3つの手順と課題を解説!
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こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。

2024年問題は物流業界だけに留まらず、消費者にも広く影響を及ぼす可能性が高いと懸念されており、DXによる対策が求められています。
「DX推進で得られる効果や、取り組む手順を知りたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、DXによって得られる具体的な効果から取り組む手順、解決すべき課題まで解説します。
DX推進で生産性の向上や業務効率化だけでなく、ビジネスモデルを変革させて競合との優位性を図りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

2024年問題への対応においてDXが有効な理由

2024年問題は、働き方改革の規定によってトラックドライバーの労働時間に制限がかかり、売上の減少や人材不足など多くの影響が及ぶ問題です。
物流業界ではあまりDXが浸透していないため、ITツールやデジタル技術によって業務効率化や労働力不足を解消でき、2024年問題の影響を抑えられる可能性を秘めています。

DXで既存業務の改善だけでなく、データ連携で生産性の向上や物流システムの規格化が実現するなど、多くの効果をもたらします。
DXでビジネスモデルの変革が実現すると、物流業界の優位性向上や、国際競争力の強化も期待できるため、重要性の高い取り組みです。

参考:「物流の2024年問題について」国土交通省

物流分野における2024年問題が引き起こす影響

物流分野における2024年問題が引き起こす影響を、以下の3つの立場で解説します。

  • トラック事業者への影響
  • 荷主への影響
  • 消費者への影響

それぞれの立場でどのような影響があるのか、丁寧に解説します。

トラック事業者への影響

2024年問題によって、トラック事業者はさまざまな影響を受けます。
労働時間が制限された結果、長距離走行が減り収入に影響したり、給与減によって離職者が増加したりします。

トラックドライバーの中には時間外労働の残業代に頼っている方も多く、給与減によって他の企業へ転職する可能性は高いでしょう。
国土交通省の調査によると、2022年時点でトラックドライバーが不足していると感じている企業は多く、2024年問題によってさらに深刻化する恐れがあります。

運送業 人手不足

トラック事業者にとって、2024年問題は収入の減少や人材不足など、深刻な影響を及ぼす可能性があります。

引用:「トラック運送業の現状等について」国土交通省

荷主への影響

2024年問題による労働時間の制限や人材不足によって、トラック事業者の輸送能力が低下して荷主へも大きな影響を及ぼします。
輸送能力が低下すると、配送コストが高くなり荷主の利益率が圧迫される恐れもあります。

また、輸送能力の低下によって配送遅延が生じれば、顧客満足度の低下やビジネスチャンスの損失をもたらす可能性も高いです。
2024年問題に備えるためには、輸送リソースの増加や効率化、パートナーの選定などが必要です。

消費者への影響

トラック事業者や荷主だけでなく、2024年問題は消費者の生活にも影響します。
なぜなら、2024年問題による物流コストの上昇は、最終的に商品価格へ転嫁される可能性があるからです。

商品価格が上がるだけでなく、配送時間の遅延や新鮮な商品の入手が困難になるなど、消費者にとって多くのネガティブな影響を及ぼします。

一部地域への配送制限や配達日数の減少など、利便性の悪化も避けられません。
2024年問題は消費者にとっても大きな影響を及ぼし、避けては通れない課題の一つです。

2024年問題におけるDX推進で得られる効果

DX推進が2024年問題に与える効果は以下のとおりです。

  • 業務効率化やコスト削減
  • サービスの質向上

各項目について詳しく解説します。

業務効率化やコスト削減

DX推進によって、業務効率化やコスト削減が期待できます。
DXによるITツールやデジタル技術の導入によって、物流プロセスの自動化や効率化を実現でき、時間や資源の無駄を減らせます。

データを活用した配送ルート検索では輸送時間を大幅に削減でき、事務処理の電子化では作業効率の向上や紙のコスト削減が可能です。
管理者視点では、リアルタイムに車両の位置や状態も確認でき、適した指示を出せるメリットも存在します。

サービスの質向上

サービスの質向上も、DX推進で得られる効果の一つです。
ITツールやデジタル技術の活用によって顧客の要求に柔軟な対応ができ、利便性の向上に大きく貢献できます。
AIで交通量を考慮したルートを見極めて遅延を回避できるだけでなく、正確な配送時間を通知できます。

滞りなく配送業務を行え長時間労働が改善されると、従業員のストレスも緩和され丁寧な接客につながるのもメリットです。
サービスの質や顧客満足度を向上させるためには、DX推進は欠かせない要素です。

2024年問題でDXを推進する3つの手順

2024年問題に備えてDXを検討する企業も増えていますが、推進する手順がわからないケースも多いでしょう。
DXを推進する際は、以下の手順で取り組むのがおすすめです。

  • 1.業務に関連するデータ収集と分析
  • 2.課題の優先順位を設定
  • 3.適したデジタルツールを選定・導入

順番に解説します。

1.業務に関連するデータ収集と分析

2024年問題に対してDXを推進する場合、まずはデータ収集と分析が重要です。
データ収集と分析によってDXの必要性を再認識できたり、改善すべき課題が明確になったりします。

各部署の現状分析や担当者へのヒアリングを行い、無駄な業務や重複している作業、ミスが起きやすい箇所を特定します。
改善すべき課題の明確化は、DX推進ではじめに行う大切な工程です。

2.課題の優先順位を設定

業務に関連するデータ収集と分析を行った後は、解決する課題の優先順位を設定します。
解決する課題の優先順位を設定しておくと、効率的なDX推進が実現して時間や労力も無駄になりません。

優先順位を設定する際には、課題解決の難易度や業務の影響度、必要人員やコストなども考慮する必要があります。
具体的な施策を数多く実行するためには、全体を整理して優先順位の明確化が欠かせません。

3.適したデジタルツールを選定・導入

課題の優先順位を設定した後は、適したデジタルツールの選定や導入を行います。
適したデジタルツールの導入によって、業務課題の解決や従業員の負担軽減に直結します。

ツールを導入する際には、なるべく現場に近い業務から取り組むと効果を実感しやすくおすすめです。
DX推進の進め方や注意点をより詳しく知りたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

2024年問題におけるDX推進で解決すべき課題

2024年問題において、特に解決すべき課題は次のとおりです。

  • 配車・配送計画の効率化
  • バックオフィス部門の効率化
  • トラック待機時間の削減
  • ドライバーの業務効率化

各項目について、詳しく解説します。

配車・配送計画の効率化

配車・配送計画は改善できる余地が大きく、DX推進で解決すべき課題の一つです。
これまでの、人力による配車・配送計画は属人化しやすいだけでなく、精度にも限界があります。

システムを活用すると、車両の位置や運行状況を考慮した正確な配送ルートや時間を指示できます。
また、荷主の要望も反映した配送計画を立てやすいのが利点です。
2024年問題における時間外労働の制限に備えて、配車・配送計画の効率化は重要です。

バックオフィス部門の効率化

2024年問題に備えて、バックオフィス部門の効率化も欠かせません。
バックオフィス部門の効率化は、単に時間外労働を削減できるだけでなく、問題行動の予防や職場環境の改善に役立つ可能性が高いです。

勤怠管理システムではドライバーの時間外労働を把握して、法令で定められた上限を超えないよう調整ができます。
車両運行管理システムなら、運賃の計算に請求書の処理など、多くの事務処理を効率化できます。
物流業界におけるDXを成功させるためには、バックオフィス部門も含めた包括的な取り組みが欠かせません。

トラック待機時間の削減

2024年問題において、トラックの待機時間も解決が求められています。
トラックの待機問題は時間外労働に直結しており、2024年問題に備えて解決すべき重要な課題です。

トラック予約受付システムを導入すれば、荷主と運送会社が条件を確認して成約でき、実車率や車両積載率の改善が期待できます。
また、ドライバーは現地到着前に状況を確認して荷揚げ時間の調整もでき、全体のスケジュール管理が容易になるメリットも存在します。

ドライバーの業務効率化 

ドライバーの業務効率化は、2024年問題への対応や法令遵守の観点においても重要な取り組みです。
業務効率化によってドライバーの時間外労働を削減でき、2024年問題における多くの課題解決につながるでしょう。

具体的には、デジタルタコグラフによる運行データのリアルタイム取得や、乗務記録の効率化が挙げられます。
蓄積された運行データを分析すれば、危険なルートを割り出せて安全性の向上に役立ちます。

2024年問題に対応する物流DXの導入事例

2024年問題に対応すべく多くの企業でDXが推進されており、今回は次の4事例を紹介します。

  • 福岡運送
  • 長野県伊那市/KDDI
  • 日本通運
  • 菱木運送

自社でDXに取り組む際の参考にしてください。

福岡運送

福岡運送では、物流が集中した際に生じる乗務員の待機時間や、バース・倉庫内貨物の効率的な回転を課題に感じていました。
課題を解決するため、バース予約・受付システムを自社開発して2019年1月に導入しています。

スマートフォンでバースの予約受付や、倉庫周辺の作業進捗をリアルタイムで確認できるようになりました。
システム導入によって、周辺の待機トラックや倉庫内貨物を可視化できるようになり、バースの効率的な運用が実現しています。
車両の待機時間が削減でき、渋滞緩和と環境保全にも役立っています。

参考:「物流・配送会社のための 物流DX導入事例集」|国土交通省

長野県伊那市/KDDI

長野県伊那市の中山間地や周辺地域では、高齢者を中心に買い物困難者が増加していることが課題になっていました。
そこでKDDIと協同して、買い物困窮者を支援するため、ケーブルテレビで手軽に注文を行い、ドローンによる迅速な商品配送が行える買い物サービスを2020年に本格運用しました。

自立飛行で遠隔制御ができるスマートドローンを活用して、食料品や日用品など5kgまで積載可能なだけでなく、約10km離れた地点までの配送が可能です。
当初は有償サービスのため利用されるかどうか懸念があったものの、買い物困難者に喜んでもらえるサービスになっています。

参考:「物流・配送会社のための 物流DX導入事例集」|国土交通省

日本通運

日本通運では、人材不足や働き方改革に伴い、自動化技術を活用した効率化が重要な課題でした。
自動フォークリフトの「Rinova AGF」を導入して垂直搬送機と連携を行った結果、夜間・早朝に有人フォークリフトで行っていた出荷の準備作業を完全自動化できました。

深夜時間帯で約270パレットの自動搬送を実現でき、1日の残業を一人あたり平均で約1〜2時間削減できています。
日中も垂直搬送機に到着した荷物を「Rinova AGF」が自動的に引き抜き作業を行い、縦持ち作業に要する時間を短縮できました。
入出庫作業において、人と機械の役割を分離して安全な作業を実現できています。

参考:「物流・配送会社のための 物流DX導入事例集」|国土交通省

菱木運送

菱木運送では、人手不足によってドライバーの勤務状況や社員個々の業務負荷を把握できておらず、働き方改革と安全対策の強化が求められていました。

運行管理者の点呼業務を自動化できるロボット「Tenko de unibo」を導入して、効率化を図っています。
以下の点呼業務をロボットが実施して、終了後にキーボックスが解放され車両キーを取り出せる仕組みです。

  • 本人確認
  • アルコールチェック
  • 免許証チェック
  • 体調管理
  • 指示伝達

 正確に点呼を行い記録も残せるため、ドライバーや運行管理者の時間管理に対する負担を軽減できました。

参考:「物流・配送会社のための 物流DX導入事例集」|国土交通省

2024年問題に備えてDXに取り組み競合と差別化を図ろう!

今回は2024年問題においてDXが有効な理由や得られる効果、推進する手順を解説しました。
働き方改革の規定による時間外労働の制限は、多方面でネガティブな影響を及ぼします。

DX推進を行うと、生産性の向上や業務効率化が期待でき、2024年問題の影響を抑えられる可能性が高いです。
DXの最終目的であるビジネスモデルの変革を成し遂げるため、段階的に取り組みましょう。

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