ブリッジSEで変わるオフショアの開発効率!その役割とアサイン時の注意点とは?

2022.03.30
ラボ型・オフショア開発
中垣圭嗣
bridge SE
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海外にオフショア開発を委託する場合、多くの企業がその課題として「コミュニケーションの問題」や「ビジネス文化の違い」を挙げるのではないでしょうか。

言語の違いや時差が生むコミュニケーションの問題は、仕様の食い違いや開発スケジュールの遅れに影響します。また、ビジネス文化の違いは、品質やセキュリティ、納期意識に深く関わってきます。

このような問題を解決するのが、ブリッジSEだと言われています。

ブリッジSEはその名のとおり海外の開発現場と日本の橋渡し(ブリッジ)となる人材ですが、オフショア開発の効率にどのような影響を持つのでしょうか。今回はブリッジSEの役割と必要性、アサイン時の注意点などについて解説していきます。

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目次

ブリッジSEの役割とは?

SE(システムエンジニア)とは、システム開発において要求分析や概要設計、プロジェクト管理などを担う開発者です。

ブリッジSEは、以下のシステム開発に関わるすべての工程に通常のSEと同様に関わることに加えて、日本の開発チームと海外の開発チームの橋渡し役(つなぎ役)という役割も追加されます。

プロジェクト管理

オフショア開発では、ビジネス文化の違いなどから日本人とはスケジュール遵守への意識が違っている場合があります。ブリッジSEは、このような現地開発者との意識の違いを調整しながらプロジェクト全体を管理していきます。

要件分析・定義

クライアントとの打ち合わせは、基本的に日本側が行います。ブリッジSEは日本側の開発チームと綿密に打ち合わせを行い、現地チームに伝える内容に齟齬がないかを確認するのが主な役割になります。細かい内容を伝える場合には、英語だけでなく現地語に資料を訳すこともあります。

概要・詳細(外部・内部)設計

上記で決めたシステム要件に従って、概要設計や詳細設計が進んでいるかを確認するのがブリッジSEの役割です。この確認が不十分だと修正などによる手戻りが発生し、スケジュールに大きな影響を与えてしまうので、とても大切な工程です。

プログラミング

実際のプログラミングはPG(プログラマー)が行うため、ブリッジSEはプログラミングの内容が概要設計や詳細設計とずれていないかを確認するのが主な役割となります。また、PGの能力を見極め、場合によってはメンバーを交代させるのもブリッジSEの役割です。

テスト(単体・結合・システム・運用)

テスト要件に従って、システムが間違いなく動いているかを確認する工程です。基本的に単体テストはPGが行いますが、ブリッジSEは結合テスト以降、日本側から示されたテスト要件と結果がずれていないかを第三者的な目で確認します。

システム移行・運用・保守

完成したシステムを本番環境に移行し、運用を開始します。システム運用開始後の保守については日本側で行うことも多いので、各種資料に不足がないか、記載漏れがないかなどをチェックします。

品質管理

スケジュール管理と同様に、品質管理への考え方にもビジネス文化の違いが現れます。ブリッジSEは現地開発チームのビジネス文化の違いや特性を考慮し、品質管理に関わる決め事やセキュリティなどについて全体を管理していく必要があります。

なぜオフショア開発にはブリッジSEが必要なのか

一般的にオフショア開発では、ブリッジSEを使ったほうが開発はスムーズにいくと言われています。なぜブリッジSEは、必要だと言われるのでしょうか。

まずは、オフショア開発におけるブリッジSEのパターンについて確認しておきましょう。

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オフショア開発企業の人材が【現地】でブリッジSEを務めるパターン

日本からの発注を受けた委託先の【現地】の人材が、ブリッジSEを務めるパターンです。オフショア開発においては一番多いパターンと言えます。現地で日本人がブリッジSEになることもありますが、現地人がブリッジSEを務めるほうが、コストパフォーマンスは高い傾向にあります。

オフショア開発企業の人材が【日本】でブリッジSEを務めるパターン

日本からの発注を受け、開発作業は海外(現地)で行いますが、現地人(もしくは日本人)が【日本国内】でブリッジSEを務めるパターンです。レスポンスとパフォーマンスは良いものの、日本国内での稼働が発生するためコストは高くなります。

発注企業の人材が【日本】でブリッジSEを務めるパターン

発注する側の人間が、【日本国内】で現地との橋渡しを行います。発注側の人的リソースのためコスト(全体の開発費用)は抑えられものの、現地人エンジニアのマネジメントやコミュニケーション、進捗管理に関する負荷が高く難しい方法と言えます。

ブリッジSEをシステム開発に適用するパターンは上記のようにいくつかありますが、一番多いパターンは「オフショア開発企業の【現地人材】が【現地】でブリッジSEを務めるパターン」です。

このパターンのメリットは、ブリッジSEが現地の事情やビジネス文化に通じており、スケジュールやプロジェクト管理、リソース管理などを任せやすいことです。

オフショア開発においては、現地で開発作業をする現地人などのビジネス文化や特性を理解し、開発作業における意識のずれを調整する役割がとても重要になります。

ブリッジSEアサイン時の注意点

ではオフショア開発において重要な役割を持つブリッジSEは、どのような点に注意してアサインすればよいのでしょうか。そのポイントを見ておきましょう。

コミュニケーション能力

ブリッジSEの一番の役割は、日本側開発チームと現地側開発チームの意識の違いや理解のずれを調整して開発をスムーズに進めることです。仕様やクライアントからの要望を間違いなく現地のエンジニアに伝え、必要に応じて現地のビジネス慣習や事情も日本側に伝えるなど、双方向の調整を行うコミュニケーション能力が求められます。オフショア開発では共通言語として英語を使う場合も多いのですが、現地語と日本語に堪能なブリッジSEであると、よりパフォーマンスは上がります。

プロジェクト管理能力

通常のSEとしてプロジェクト全体を管理(スケジュール管理や納期管理)する能力に加え、現地開発人員の能力を把握し、必要ならメンバーの交代なども調整できるリーダーシップが求められます。特に、国によってはリーダーからの指示しか受け付けないビジネス文化などがあり、チームを統率する能力がそのまま開発の進捗に影響する可能性もあります。

開発技術力

仕様や要件定義書を理解し現地エンジニアに指示する能力はもちろん、開発を牽引できる高い技術力や知識も必要です。一番求められている能力は「現地との橋渡し」であるとは言え、開発人員の1人であることに変わりはないからです。またハードルの高い作業になりますが、現地語のドキュメントを日本語に訳して記述する技術的な語学力が求められることもあります。

ブリッジSEの傾向

最後に、ベトナムオフショア開発のブリッジSEのトレンドについてお話しします。少しずつではありますが、世界的にエンジニアの人件費が上がり始めているため、現地のBA(ビジネスアナリスト)がブリッジSEの仕事の一部をサポートすることでコスト削減をはかる動きが出始めています。

BAの役割は、クライアントがシステムとして実現したいビジネス的な事柄を聞き出し、具体化して要件を定義することです。つまりBAの業務範囲を広げることでブリッジSEの負担が減り、トータルコストの削減につながるという流れです。

これは、ブリッジSEに代わる職種として「ブリッジSEの業務も含むBA」という職種が現れたとも言えます。それだけBAの存在が重要であるとも言えるので、オフショア開発企業を選定する際には、優秀なBAが在籍しているかどうかも確認する必要があるでしょう。

まとめ:オフショア開発成功のカギはブリッジSEの存在

オフショア開発を効率的に、そして品質やコストの課題もクリアして完遂させるためには、優秀なブリッジSEの存在がカギになります。

ただし優秀なブリッジSEの確保は、人材豊富なベトナムにおいても年々難しくなっています。オフショア開発を成功に導くには、多くの開発実績と経験、人材確保に長けた専門企業との連携がもうひとつのカギだと言えます。

オフショア開発について少しでも気になることがあれば、以下リンクからお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人
中垣圭嗣

WebメディアでPGから管理職まで幅広く経験し、Wakka Inc.に参画。Wakka Inc.のオフショア開発拠点でラボマネジャーを担当し、2013年よりベトナムホーチミンシティに駐在中。最近では自粛生活のなかでベトナム語の勉強にハマっています。

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