検討中なら知っておきたいオフショア開発の動向!人気No.1はどこの国?

2022.01.20
ラボ型・オフショア開発
中垣圭嗣
検討中なら知っておきたいオフショア開発の動向!人気No.1はどこの国?
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中国が世界の工場と呼ばれ、オフショア開発で大人気となったのは2000年代初頭。近年ではハードウェアの製造もソフトウェアの開発も、東南アジアや南アジアの企業の成長が著しく中国の優位性を脅かしています。

この地域には多くの国がありますが、オフショア開発で特に人気の国はどこなのでしょうか。また、その人気の秘密はどのような点にあるのでしょうか。

今回は、Wakka Inc.ベトナム拠点マネージャーの中垣が、オフショア開発を検討中であればぜひ知っておきたい最新動向(業種や案件の傾向)と、人気の国について紹介していきます。

オフショア開発のうち、Wakka Incではオフショアラボ型開発サービスを提供しています。
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目次

昨今のオフショア開発の動向とトレンド

一般的にオフショア開発ではソフトウェアの開発などが向いていると言われますが、その動向はどのようになっているのでしょうか。オフショア開発を委託している業種や開発案件の傾向、企業の目的を見ておきましょう。

オフショア開発を依頼する企業の業種・属性

  • ソフトウェア開発
  • Webシステム開発
  • スマホアプリ開発
  •  HP制作
  • ゲームアプリ開発
  • イラスト、アニメーション外注、キャラデザイン制作
  • データ入力

「オフショア開発白書2021年版」(オフショア開発.com)によると、オフショア開発を依頼する企業の業種は、ソフトウェア開発やデータ入力などが多くなっています。

上記のような業種は開発費に占める人件費の割合が高く、人件費は固定費のためコストダウンしづらいのが問題です。そのため、人件費の安いオフショア開発に依頼することが多くなるのです。

また、オフショア開発を請ける側にも、仕事を受託しやすい理由があります。上記で挙げた業務のほとんどは、ハードウェア生産のように土地や工場、生産設備や倉庫を必要とせず、コンピュータと開発用ソフトウェアの投資だけで仕事を始めることができます。

オフショア開発において、ソフトウェアやデータを扱う業種が多いのは、委託する側と受託する側の双方にとってメリットが合致した結果なのです。

開発案件の傾向

オフショア開発企業が受託している案件には、どのような内容のものが多いのでしょうか。「オフショア開発白書2021年版」を参考に、開発案件の傾向も確認しておきましょう。

  • スマホアプリ開発
  • 事務系Webシステム開発
  • サービス系Webシステム開発
  • 基幹系システム開発
  • HPやECサイト制作
  • AI開発

オフショア開発企業への委託案件は、委託元が仕様などを決め、ソフトウェア本体の開発部分を委託する場合がほとんどです。
逆に、オフショアへの委託案件として不向きだと言われているのが、創造性が必要で特許などを取ることを目的とする研究開発案件です。ノウハウの流出が心配な場合や、機密性の高い案件はオフショア開発を利用しない傾向にあります。

オフショア開発を検討した理由・目的

では、国内の企業は、どのような理由からオフショアへの委託開発を検討し始めたのでしょうか。「オフショア開発白書2021年版」によると、主な理由は次の5点です。

1. コスト削減

一番多い理由は、開発コストの削減です。国内の人件費は年々高騰する傾向にあり、協力会社(外注)を使ったコストの削減策にも限界があるため、人件費の安いオフショアを検討しはじめました。

2. 国内のリソース不足

日本の労働人口は年々減少傾向にあります。これは日本の人口自体が減少していること、高齢化社会が進んでいることが大きく影響しています。国内では優秀な技術者を確保することも難しくなっており、この先も改善する目処が立っていません。そこで、いわゆる人口ボーナスによって労働力が豊富となっている海外に人材を求めるようになってきています。

3. 海外に拠点があるため

自社が海外拠点を持っており、その国の事情をよくわかっている場合にはオフショアを利用しやすい環境が整っていると言えるでしょう。日本との橋渡しをするブリッジエンジニアや管理者も置きやすいので、すぐにオフショア開発を始めることができます。

4. グローバル戦略

国内での開発コスト高騰や人材不足を見越して、会社としてグローバル戦略を展開している場合です。オフショア開発を計画しているだけでなく、将来的にはその国を自社のマーケットとして見ている場合もあります。

5. クライアントの要望

主要な取引先やクライアントから、コストダウンのために協力して欲しいと要望される場合です。クライアントも協力会社選定の際は、このような要望に柔軟な対応をしてくれる企業と取引することを望むでしょう。オフショアを有効活用することで、コスト削減を達成するとともにクライアントの要望を叶えることができるため、自社にとってのメリットは非常に大きいものとなります。

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なぜ国内ではなくオフショアが選ばれるのか?

上記のような国内企業の目的や期待に応えているのがオフショア開発です。ここではオフショアが選ばれる理由について解説していきます。

オフショアが選ばれる理由1:コストを削減できる

オフショア開発を行う一番の理由は、開発コスト、それも人件費の安さです。例えばベトナム統計総局のデータによると、2019年の国内の平均年収は41万円、比較的賃金の高い情報通信業界でも約50万円となっています。

先述のようにソフトウェア開発は、開発費の大半を人件費が占めており、日本や欧米のように人件費の高い国では、ソフトウェア開発を国内で行って利益を確保するのが年々厳しくなっています。

オフショア開発により品質の高いシステムを低コストで開発することができれば、企業として高い競争力を発揮できることになります。

オフショアが選ばれる理由2:優秀な人材を確保できる

次に人材不足の問題です。国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」によると、2020年の15歳〜64歳の人口は7405万人です。これが2030年には6875万人になると推計されています。

パーソル総合研究所「労働市場の未来推計2030」を参考に、産業別の労働力を見ると、一番人材不足が深刻なのが「サービス業」、続いて「医療・福祉」、「卸売り・小売り」、「製造業」、「通信・情報サービス」となっています。ソフトウェア開発のような情報サービスも、やはり人材不足が深刻な業種なのです。

また経済産業省も2018年に発表した「DXレポート」の中で、2025年にはIT人材が約43万人不足するとしており、労働人口の減少と共にIT人材の不足も深刻度を増すと懸念されています。

こうした日本国内の状況があるなか、東南アジアや南アジアといった海外では労働人口が年々増加しています。そうした労働力を活用して国内の人材不足を解決できるのがオフショア開発であり、コストを抑えながら優秀な人材を確保できることがそのメリットとなっています。

ベトナムなどオフショア開発の拠点として人気の国は、政府が情報技術教育を積極的に促進していたり、他の職種よりIT技術者の報酬が高いことも多く、高学歴人材が集まりやすいため優秀な人材を確保しやすくなっています。

オフショアが選ばれる理由3:さまざまな条件の開発案件にも対応できる

短納期の案件や高度なシステム開発を行うためには、一般的にはプロジェクトチームを組みリソースを集中させなければなりません。

人件費の高い国内でこのような案件を開発しようとすると、開発費が予算に見合わなくなる可能性が高くなってしまいます。前述のとおり優秀な人材を比較的低コストで確保することができるオフショア開発であれば、短納期や大規模なシステム開発や複雑なプログラムにも柔軟に対応できるだけのリソースを確保できます。

オフショア開発の人気No.1はベトナム

東南アジアや南アジア諸国のなかでも、オフショア開発において特に高い人気を誇るのがベトナムです。「オフショア開発白書2021年版」の調査による、オフショア開発の検討先の国別割合が下のグラフです。

offshore_pie_chart

かつては開発委託先のトップは中国でしたが、近年では東南アジアや南アジアの諸国、なかでもベトナムの人気が突出しています。オフショア開発を計画している企業の半数以上がベトナムでの開発を検討しています。

ベトナムの魅力には、「IT人材が豊富」「人件費と開発力のバランスがとれている」「オフショア開発の歴史が長い」「親日国で安全性が高い」の4点があります。それぞれについて、見ていきましょう。

ベトナムが人気の理由1:IT人材が豊富

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ベトナムは上記のグラフのとおり、労働人口に占める若年層の割合が高い国と言えます(出典:VIETJO「ベトナム社会主義共和国・基本データ」[2019年時点])。

またベトナム政府はIT人材の育成に力を入れており、教育機関に対してもさまざまな支援を行っています。ITの知識を吸収しやすい若年層の労働者と、国の支援が一体となってIT人材が豊富な国となっているのです。

ベトナムが人気の理由2:人件費と開発力のバランスがとれている

2020年のベトナムのGDP成長率は約3%で、東南アジアのなかでも上位に位置しています。コロナ禍の前の2019年までは5〜7%の成長率を誇っていました。

国内の人件費を含む物価も上昇を続けており、オフショア開発を委託する場合の人件費は、ミャンマーやバングラデシュにはかないません。

ただし先述の国の政策などもあり優秀な人材が多く育っているので、開発力は安定しており、レベルの高いものとなっています。ベトナムは、人件費と開発力(技術力)のバランスがとれている国だと言えるでしょう。

ベトナムが人気の理由3:オフショア開発の歴史が長い

東南アジアのなかではオフショアの歴史が長く、オフショア開発を請け負う企業が多く育っているのもベトナムの特徴です。

いくらオフショア開発を委託したくても、経営が安定している企業でなければ安心して開発は任せられません。ベトナム国内には、中規模から大規模のシステム開発会社が多く存在しています。

ベトナムが人気の理由4:親日国で安全性が高い

ベトナムは、日本が古くからODA(政府開発援助)で支援を行ってきた国です。ベトナム国内には日本の援助で建設された橋や道路が多く存在しており、日本に良い印象を持つベトナム国民は多いと言われています。

また、ホンダやヤマハなどのバイクメーカー、ヤンマーなどの大手企業もベトナムには多く進出しており、日本人や日本の企業は好意を持って受け入れられています。

まとめ:オフショア開発成功のカギを握るのは支援企業選び

プログラムなどの開発業務においてはメリットの多いオフショア開発ですが、そのメリットを最大化するためには、入念な準備と適切な運用が重要です。

オフショア開発を短期で立ち上げ、その効果を十分発揮するためには、経験豊富なオフショア開発の支援会社と協業するのが一番の近道です。

Wakka Incでは、10年以上のオフショア開発の実績があり、日本の本社とベトナム支社が一丸となってお客様のオフショア開発や海外の開発子会社設立を支援しています。

また、各種ガイドブックや1on1セミナーなどもご用意していますので、ぜひこの機会に活用してみてください。

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この記事を書いた人
中垣圭嗣

WebメディアでPGから管理職まで幅広く経験し、Wakka Inc.に参画。Wakka Inc.のオフショア開発拠点でラボマネジャーを担当し、2013年よりベトナムホーチミンシティに駐在中。最近では自粛生活のなかでベトナム語の勉強にハマっています。

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