BtoB越境ECの構築手法4選!導入するメリットと成功のポイントを解説

最終更新日:2025.09.26
EC開発
Wakka Inc. メディア編集部
BtoB越境ECの構築手法4選!導入するメリットと成功のポイントを解説
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こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。

国内の企業のみならず、海外の企業と取引をしたいとお考えの方も多いはず。
そこで注目されているのが、BtoB越境ECです。

BtoB越境ECを構築することで、販路拡大や業務負担の軽減など多くのメリットがあります。
一方で、どのような手法で構築すれば良いのかお悩みの方も多いのではないでしょうか

本記事では、BtoB越境ECの概要を踏まえつつ、4つの構築方法を紹介します。
後半では、出店時のポイントや注意点も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

BtoB越境ECとは

越境ECとは、インターネットを通じて行う国際的な電子商取引のことです。

▼越境ECの事業モデル

近年、世界中で注目を集めているビジネス形態で、BtoCの越境ECでは下記のようなサービスが代表的です。

  • Amazon
  • eBay
  • SHEIN

越境ECの市場規模は2024年度で1.01兆USドルと推計され、2030年度には約10倍の6.72兆USドルまで拡大する予測です。

▼世界の越境ECの市場規模予測

▼世界のBtoC-ECの市場規模予測(単位:兆USドル)

国内のBtoB EC市場規模は右肩上がりに伸びており、2024年度には514兆4,069億円まで拡大しました。

BtoB EC市場が拡大している現代において、越境ECが注目を集めている理由は、海外に法人を設立せずに海外企業と円滑に取引できるからです。

さらに、中国や東南アジア諸国のような、急速に経済が成長している国へ商圏を広げられる点も魅力です。

BtoB越境ECが注目されている理由

BtoB越境ECが注目されている理由を整理すると、下記のような要因が関係しています。

  • BtoB越境ECの出店ハードルが下がった
  • 円安の影響から海外進出需要が増えた
  • 煩雑な商品売買の業務を効率化できる
  • 越境ECの市場の成長が著しい
  • コストを抑えて販路を拡大できる

特に大きな要因は、BtoB越境ECを始める際の出店ハードルが下がったことです。
かつては、自社でECサイトやインフラを開発し、運用する必要がありました。

しかし近年は、越境ECを展開するためのプラットフォームやサービスが数多く提供されています。
企業はこれらのサービスでBtoB越境ECを始められるため、以前に比べ出店のハードルが下がりました。

また、円安の影響により国内市場だけでなく海外進出を検討する企業が増えたことも、越境ECが注目されている要因の一つです。

越境EC市場規模は日本よりも米国や中国ですでに発展しており、このことから日本企業にとっても海外市場を狙うBtoB取引が注目されています。

さらに成長が著しい越境EC市場に、新たに参入する企業も増えました。

日本貿易振興機構(ジェトロ)が2025年に発表した調査結果によると、ECを利用している企業のうち、約43%が越境ECを利用しており、特に中小企業の利用率が高い傾向にあることがわかります。

参考:日本貿易振興機構(ジェトロ)|日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査

大企業は越境ECだけでなく、海外拠点を設けてビジネス展開する傾向にあります。

越境ECにおけるBtoBとBtoCとの違い

越境ECにおけるBtoBとBtoCの違いは、ターゲットとなる顧客と出店の目的です。
BtoCは企業から消費者へ商品を届けますが、BtoBでは、企業から顧客の企業へ商品を届けます。

また、BtoCでは、消費者が店舗の近くに住んでいない場合でも商品を購入できるようにECサイトが構築されます。
一方で、BtoBでは既存のビジネスをECに置き換え、業務の効率化を図る側面もあります。

「顧客開拓を行う」という面では同じですが、ターゲットや出店目的が異なります。

BtoB越境ECへ取り組む理由

ここでは、2022年に日本政策金融公庫が発表した越境ECに関するアンケート調査結果をもとに、各企業がBtoB越境ECへ取り組んでいる理由を整理しました。

  • 国内市場から海外市場への進出
  • 拡大する越境EC市場への参入
  • 国内EC経験を活かした事業拡大
  • 競合優位性の獲得
  • 収益機会・顧客獲得機会の向上

それぞれの理由を確認して、BtoB越境ECの開始を検討しましょう。

国内市場から海外市場への進出

越境EC市場が拡大を続ける現在、国内市場だけに依存していては、事業の成長に限界があります。
円安の影響により国内の購買力が低下していますが、海外からの日本製品需要が依然として増加しています。
オンラインで海外向けのBtoB販路を確保することで、売上の地理的分散と事業ポートフォリオの強化が図れるでしょう。

BtoB越境ECを始めれば、展示会や代理店のネットワークに依存せず、見込客の自己調査・自己発注の行動に合わせたリーチが可能です。
海外進出を検討している企業にとって、越境ECは手軽に国外へ販売ネットワークを築ける有効手段です。

拡大する越境EC市場への参入

海外バイヤーの購買はデジタル移行が進み、RFQや繰り返し発注がオンラインを前提としたプロセスに移行しつつあります。
BtoB越境ECに参入することで、検索・業界ポータル・比較サイトなどさまざまなチャネルからの流入が見込めます。

前述した通り、越境EC市場は拡大しており、今後の需要が増えていく見込みです。
国内のEC以上に留まらず、海外進出を視野に越境EC市場へ参入することで、新たな市場価値の創出や収益源の確保が期待できます。
BtoBビジネスでは、新規顧客の獲得は中長期的な収益化につながるため、越境EC市場への参入が効果的な手段といえます。

国内EC経験を活かした事業拡大

EC経験のある企業が、事業規模を拡大する目的で越境ECを利用するケースも増えています。

参考:日本貿易振興機構(ジェトロ)|日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査

国内EC経験を活かして事業拡大する場合、越境EC市場への参入は効果的です。
国内ECで培った商品登録・在庫運用・出荷・請求のノウハウは、越境ECにおいても応用できます。

国内で培ったノウハウを活用することで、初期投資を抑えつつ短期間で成果につなげることが可能です。
海外BtoBへの横展開を成功させるために、国内ECのノウハウをもとに越境EC向けへブラッシュアップしましょう。

競合優位性の獲得

直販の海外BtoBチャネルを早期に確立することで、競合他社に先駆けて「用途」や「課題」に関するキーワードで発見される情報資産を蓄積できます。
さらに、直販で得られる利用データ(地域・業種・用途)は製品改善や新製品企画に活用できるため、競合優位性の獲得につながります。

短納期サンプル・小ロット試作・在庫可視化などオンライン限定の提供価値を確立して、競合との差別化も図りましょう。

収益機会・顧客獲得機会の向上

BtoB越境ECは単発的な輸出取引にとどまらず、継続的な受注を設計できるプラットフォームです。

定期補充品・消耗材の自動発注やボリュームディスカウントでLTV(顧客生涯価値)を最大化し、見積の即時化によりAOV(平均受注額)を引き上げることが可能です。
国内に留まらず海外へマーケットを拡げることで、収益機会・顧客獲得機会を向上させられます。
具体的には、サブスクリプション、定期補充、再発注リマインド、見積有効期限の自動通知などを活用することで、中長期的な取引につながる新規顧客の獲得や既存顧客の育成が可能です。

また、クロスセル/アップセルを促進し、売上増加につなげられるため収益性の向上が期待できます。

BtoB越境ECの種類

BtoB越境ECの種類は2つに分かれます。
目的によって変わり、得意先の顧客のみが使えるのが「クローズドBtoB型」であり、世界中が顧客になるのが「スモール型BtoB」です。

それぞれについて解説していきます。

クローズドBtoB型

クローズドBtoB型の越境ECサイトは、主に既存の顧客と取引を行うために利用されます。非公開のECサイトを構築し、顧客だけがECサイトにアクセスできるようにする必要があります。

また、クローズド型のECサイトは顧客に合わせて商品の価格を変えられることが特徴です。
得意先の顧客は商品を割引して価格を設定する一方で、取引するのが初めての顧客には価格を高くすることも可能です。

自社の経営方針や顧客の要望に合わせてECサイトを作り変えて業務効率化を図りましょう。

スモールBtoB型

スモールBtoB型のECサイトは、インターネット上で全世界に向けて公開するため、営業活動によって獲得できた顧客以外の見込み顧客に対しても取引の機会を設けることが可能です。

クローズドBtoB型のECサイトよりも容易に構築が行える点も特徴です。

すぐに開始できるBtoB越境ECのプラットフォーム

BtoB越境ECを開始できるプラットフォームは多岐にわたります。すぐに開始できるおすすめのBtoB越境ECプラットフォームは、下記の通りです。

(表は、横にスクロールできます)

プラットフォーム特徴公式サイト
BカートBtoB受発注をスピーディに立ち上げられるhttps://bcart.jp/
Shopify Plus世界最大級のECプラットフォームのBtoBバージョンhttps://www.shopify.com/jp/plus
楽楽B2B20万社が利用するBtoB ECカートhttps://raku2bb.com/
COREC業界屈指の低価格でBtoB越境ECを実現https://corec.jp/
CO-NECT利用継続率99%の簡単操作https://biz.conct.jp/
サブスクストアB2B自動見積書発行・多様な決済でBtoB ECを効率化https://subscription-store.com/subsc-store-b2b
ecbeingBtoB国内シェアNo.1の豊富なノウハウと成功事例https://www.ecbeing.net/b2b/
AladdinEC基幹システムのノウハウを活かしBtoB専門に特化開発https://aladdin-ec.jp/
EBISUMARTEC立ち上げ後も手厚い支援https://ebisumart.com/
EC-CUBE高品質なデザインテンプレートでハイクオリティなECサイトを実現https://www.ec-cube.net/
MagentoAdobeが開発・提供する多言語・多通貨対応プラットフォームhttps://business.adobe.com/jp/products/commerce/magento.html
SHOPLINEアジア特化型越境ECプラットフォームhttps://jp.shopline.com/

BtoB越境ECを始める際は、各サービスを比較して自社に合うものを選びましょう。

BtoB越境ECの構築手法4選

BtoB越境ECを始める際は、実際にECサイトを構築して運営する必要があります。

BtoB越境ECの構築方法は以下の4つです。

・ASPを利用する
・パッケージECをカスタマイズする
・クラウドECをカスタマイズする
・フルスクラッチでオリジナルのECサイトを構築する

それぞれについて解説していきます。

料金を考えながら検討したい方は、こちらも参考にしてください。

●料金目安もわかるECサイト構築ガイド
>新規事業などでECサイトを構築する場合のガイドを作成しました。目的や売上規模に応じたEC種別選定や最適な構築手法についての診断を受けることができます。

ASPを利用する

ASPとは「Application Service Provider(アプリケーション サービス プロバイダー)」の略称で、「ASPサービス」や「SaaS」と呼ばれるソフトウェアを提供するサービス業者のことです。

インターネットなどのネットワークに接続されているサーバーコンピューターに購入したソフトウェアが展開され、Webブラウザや専門のソフトからサーバーに接続して利用できます。

導入コストが低いことや導入までが速いこと、インターネットさえあれば利用でき、簡単にECプラットフォームを整えて市場に参入できます。

パッケージECをカスタマイズする

ECサイトを運用するためのプラットフォームが整っているパッケージECシステムをカスタマイズすることで、自社の業務フローに合わせてECサイトを構築できます。
数百万〜数千万円の費用がかかりますが、カスタマイズや基幹システムへの連携をスムーズに行いたい企業にはおすすめです。

パッケージECシステムの注意点は、システムの陳腐化が起こることです。

ECサイトは構築に時間を要するので、ECサイトのカスタマイズなどが完了したときには古いバージョンになってしまいます。
システムの更新にもコストがかかることを意識しておきましょう。

クラウドECをカスタマイズする

クラウドECとは、ECプラットフォームの一種であり、ASPやパッケージなどと同様にECサイトを構築できます。
「ASP」と「パッケージ」の良いとこどりといえるのが、「クラウドEC」です。

クラウドなので、システムを最新に保てることやカスタマイズがしやすいこと、情報セキュリティを保てること、必要な機材が少ないことが特徴です。

必要な初期費用はパッケージと同じくらいですが、クラウドECはシステムが常に最新の状態であり、リニューアルにかかる費用が少ないため長期的に考えてコストを抑えられます。
メリットが多いですが、クラウドECはソースコードが公開されていないため導入する際は企業の方針にそぐわないか注意しましょう。

フルスクラッチでオリジナルのECサイトを構築する

フルスクラッチとは、開発企業にゼロからECサイトを構築するよう依頼することです。
自社のために業務効率化を考えたECサイトを構築できるため、基幹システムなどの連携まで自由度高く開発を行えます。

BtoB越境ECサイトでは、個々の企業に合わせてECサイトをカスタマイズすることが重要なため、フルスクラッチと相性が良いです。

一方で、フルスクラッチは他の構築手法に比べて費用がかかる点は注意が必要です。
また、開発を委託する際に自社が実現したいECサイトを伝えるために頻繁にコミュニケーションを取りましょう。

BtoB越境ECを成功させるためのポイント

BtoB越境ECの概要と構築方法に加えて、成功させるためのポイントを知っておきましょう。
BtoB越境ECを成功させるためのポイントは以下の4つです。

・自社業務の明確化
・ECシステムと基幹システムの連携を行う
・EC市場が発展傾向にある国・地域に向けて構築する
・越境ECを展開する国に合わせて商品や広告を作りなおす

それぞれについて解説していきます。

自社業務の明確化

BtoB越境ECはさまざまな方式で商品を顧客に届けられます。
自社の業務を明確化していくことによって自社に必要なECサイトの要件を把握できるため、ECサイト経由の取引で業務の効率化が期待できます。

ECサイトを運用するときのセキュリティ対策も行う必要があるため、自社業務の明確化から始めてください。

ECシステムと基幹システムの連携を行う

基幹システムとは、企業が企業活動を行うために必要になるシステムのことです。
ECサイトにおける基幹システムは、商品を作る・仕入れるためや販売するために連携を行います。

ECシステムと基幹システムの連携を行うことで、多くの手動操作を自動化して業務効率化やヒューマンエラーの防止を実現できるのです。
また、ECサイトで得られたデータを基幹システムと連携することで、部門間の連携を強化でき、商品開発や経営判断に活かせます。

EC市場が発展傾向にある国・地域に向けて構築する

越境ECの特徴は、展開先の地域によって商品の売れ行きが大きく変わることです。
そのため、越境ECの市場規模が拡大している地域に展開していくと効果的です。

特に中国や東南アジアは現在市場規模が拡大傾向にあり、展開先としておすすめできます。
しかし、地域によって売れ行きが変わる商品がほとんどであるので、自社の商品の需要が高い地域を検討しましょう。

越境ECを展開する国に合わせて商品や広告を作りなおす

越境ECを展開する国に合わせて商品や広告を作りなおすことも重要です。
国や地域によって文化や価値観が異なるため、日本企業向けに作成した商品が同様に売れるとは限りません。

展開先の国や地域が固まってきた場合、文化や価値観を理解したうえで商品や広告を作りなおす必要があるか検討しましょう。

実際に日本の企業が自社ECの展開先国に構築したスモールBtoB型の越境ECサイトを閲覧して、自社のECサイトと異なる点を探してください。

BtoB越境ECサイトを構築する際に注意するべきこと

BtoB越境ECサイトを構築する際に注意すべきことも存在します。
注意するべきことは以下の2つです。

・越境ECサイトを展開する国の法律
・輸出・輸入に関してかかる費用

それぞれについて解説していきます。

越境ECサイトを展開する国の法律

越境ECは販売先国でビジネスを行うことになるため、その国の法律を順守することが義務です。
法律に触れることや取引のトラブルで訴訟問題に発展することは大きなリスクであるため、入念な調査とフォローを行いましょう。

輸出・輸入に関してかかる費用

越境ECを始める前に、輸送にかかる費用を把握しておきましょう。
具体的には、関税や為替の変動は価格設定と収益性に影響します。

中国などは物理的距離が近いため輸送費は比較的かからない一方で、ヨーロッパは距離が遠いため輸送費が中国などより多くかかります。

また、関税は国によって変わるため、展開先の地域の状況を入念に調べましょう。

BtoB越境ECに取り組み業務を効率化しよう

近年、低コストで越境ECのプラットフォームを構築できるようになり、越境ECの市場規模は今後も拡大する見込みです。

BtoB越境ECは日本国内で取引するよりも注意すべきことが増えますが、「基幹システムとの連携による業務負担の軽減」や「データを用いたマーケティングの最適化」、「自動化によるヒューマンエラーの防止」などメリットも多く存在します。

本記事を参考に、ECサイト構築方法の検討や気を付けるべきポイントの把握を実施したうえで、貴社の商品を求める顧客に対してBtoB越境ECを展開して、販路拡大や業務の効率化につなげてください。

また、ECサイトの構築にあたって知っておきたいことを、以下のホワイトペーパーにまとめました。無料でダウンロードできるので、サイト構築を検討されている方はぜひ確認してみてください。

●料金目安もわかるECサイト構築ガイド
>新規事業などでECサイトを構築する場合のガイドを作成しました。目的や売上規模に応じたEC種別選定や最適な構築手法についての診断を受けることができます。

この記事を書いた人
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