大規模ECサイトを構築する方法は?外注先企業の選び方も解説

2023.05.01
EC開発
安藤 大海
大規模ECサイト 構築 外注
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こんにちは。Wakka Inc.のテクニカルディレクターの安藤です。

ECサイトを構築する方法は複数あります。ひとことにECサイトと言っても規模は様々で、規模によって最適な構築方法も変わってきます。今回は、大規模ECサイトに最適な構築方法や、外注先企業の選び方を解説します。

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目次

大規模ECサイトに求められる条件

同じECサイトであっても、規模によって求められる条件が変わってきます。小規模でも大規模でも当然共通する部分は多いですが、大規模ECサイトには以下のような条件が求められます。

  • 高いカスタマイズ性
  • 安定的なインフラが必須
  • セキュリティをより重視する必要がある

以上のような条件が求められます。まずカスタマイズ性については、大規模サイトはユーザー数が多いのでカスタマイズによる影響もそれだけ大きくなります。そのため、カスタマイズしやすいような設計でECサイトを構築することが重要です。

次に大規模ECサイトは規模が大きくアクセス数も多いため、安定的なインフラが必要です。安定稼働していることはもちろん、アクセス数が多くてもサーバーがダウンしないことも重要になります。

セキュリティ面も当然重要です。小規模なサイトでもセキュリティは重要ですが、大規模サイトはセキュリティ事故の影響がより大きくなり、またサイトが目立つ分セキュリティ攻撃のリスクも大きくなります。

攻撃されるリスクが高くまた事故が起きた際の影響も大きくなるので、よりセキュリティ面に力を入れる必要があるということです。

大規模ECサイトの構築方法

ECサイトの構築方法には、以下のようなものがあります。

  • パッケージ
  • フルスクラッチ
  • オープンソース
  • ASP
  • クラウド
  • SNS

以上のような方法がありますが、大規模ECサイトの構築に向いているのは以下です。

  • パッケージ
  • フルスクラッチ

逆に言えば、オープンソース、ASP、クラウド、SNSなどは大規模ECサイトにはあまり適さないということです。小規模なECサイトであればこれらの構築方法でも良いのですが、特にカスタマイズという観点で大規模サイトに必要な条件を満たしていません。

オープンソースはセキュリティ面に不安があり、SNSはインフラの安定性という点で不安があります。パッケージやフルスクラッチは拡張性が高く、セキュリティ強化しやすい、インフラが安定しやすいといったメリットがあります。

パッケージとフルスクラッチの比較

大規模ECサイトはパッケージかフルスクラッチで開発するのが良いということでした。ではどちらを選ぶかですが、それぞれにメリット、デメリットがあるので比較検討する必要があります。そこで、パッケージとフルスクラッチのメリット、デメリットをご紹介します。

パッケージのメリットとデメリット

パッケージのメリットとして以下が挙げられます。

  • セキュリティ対策が強固
  • ベンダーのサポートを得られる
  • ASPやオープンソースよりも拡張性が高い(フルスクラッチには劣る)

パッケージはECサイト構築に必要な機能があらかじめ用意されていて、ゼロからプログラミングしなくてもECサイトを構築できるものです。この点ではASPやオープンソースも類似していますが、パッケージの方が大規模システム向けに機能が用意されています。

あらかじめ大規模システム向けに用意されているものなので、セキュリティ面に力を入れています。パッケージはASPやオープンソースに比べて費用がかかりますが、この費用には利便性の高い機能だけでなく、セキュリティなど保守面での機能も含まれます。

ベンダーのサポートという点でもパッケージは優れています。フルスクラッチの場合、外注した場合は外注先の企業によって対応が異なり、自社開発した場合は当然自社で対処することになります。

ASPやオープンソースと比較すると、パッケージの方が費用がかかっている分サポートという点でも充実しています。

拡張性についても、パッケージはASPやオープンソースより高いです。費用がかかっている分、カスタマイズしやすいように設計されているということです。ただしゼロから開発するフルスクラッチと比較するとパッケージの拡張性は劣ります。

次にパッケージのデメリットとして以下が挙げられます。

  • 定期的にアップデートする必要がある
  • フルスクラッチと比較すると拡張性に劣る

パッケージは提供している企業が定期的にアップデートを行っています。一部自動で自社ECサイトにも反映されますが、すべて反映されるわけではありません。特にカスタマイズしている場合は自動でアップデートが反映されると不具合の原因になるので、アップデートされた内容を自社ECサイトに合わせて反映させていく必要があります。

具体的には、ソースコードをそのまま持ってきて利用してみて不具合がなければそれでOK、不具合が生じた場合は一部のソースコードを書き替えながら利用してみる、といった方法を取ります。

アップデートの内容と自社ECサイトの相性が悪く、反映させない方が良いこともあります。このようにアップデートに合わせて作業する手間が発生します。アップデートを反映させずにいると、ECサイトが古い印象になるだけでなく、セキュリティ上のリスクが生じます。

次にパッケージはフルスクラッチと比較すると拡張性に劣ります。フルスクラッチはゼロからシステムを作りますが、パッケージは土台となるシステムが存在するからです。フルスクラッチの拡張性は無限と言っても過言ではないので、比較的拡張性の高いパッケージであってもフルスクラッチと比較すると拡張性は低いということになってしまいます。

フルスクラッチのメリットとデメリット

ECサイトをフルスクラッチで開発するメリットは以下です。

  • 拡張性が高い
  • 改善しやすい

フルスクラッチはすべて自由に開発しているので、カスタマイズも自由です。システム構築の段階で自由に作れるだけでなく、ソースコードを把握していればカスタマイズも自由自在です。

また何か問題が発生した際の改善も早いです。フルスクラッチであればサイトの分析まですべて自由に設計できるので、自社でPDCAサイクルを回しやすいように計画できます。パッケージのように急なアップデートが発生するようなこともなく、すべて自社のタイミングで実施できます。

次にECサイトをフルスクラッチで開発するデメリットは以下です。

  • 費用がかかる
  • 技術が必要
  • システムがブラックボックス化する

フルスクラッチはゼロからシステムを構築するので、費用がかかります。外注する場合は外注費用がかかり、自社開発する場合は自社エンジニアの労力が必要です。パッケージやその他の方法の場合は既存のツールを利用して構築する分労力、費用が少なく済みます。

次にフルスクラッチ開発はゼロからシステムを構築するので技術が必要です。外注する場合は自社での技術は不要ですが、システムがブラックボックス化します。つまり外注先の企業がどのようなプログラムを書いたのかすべて確認するのが難しいということです。

外部からはソースコードを見られない仕様になっているはずなので、外注先にソースコードや設計書をすべて開示してもらうようにすると、ある程度ブラックボックス化を防げます。

とはいえ、外注先も開発期間が短いことからドキュメント等の整備が不十分になり、資料を提出してもらっても情報が不十分になるケースは多いです。結果的にシステム開発を行った担当者しか把握しておらず、別の人が改修することが難しくなります。

自社で開発した場合も同じことが起こり、自社の別の担当者の引継ぎが難しくなるケースは多いです。

大規模ECサイト構築の外注先企業の選び方

パッケージで構築する場合もフルスクラッチで開発する場合も、外注先企業を選ぶことになります。フルスクラッチ開発を自社で行う場合は例外ですが、多くの企業にとって自社のみでフルスクラッチ開発を行うのは難しいでしょう。

では、大規模ECサイト構築の外注先はどのように選べば良いのでしょうか。選定基準として以下が挙げられます。

  • 自社に必要な機能がそろっているか
  • 自社のイメージに近い実例はあるか
  • アフターサービスがどこまであるか
  • どのくらいの費用がかかるか
  • 運用開始までの期間はどのくらいかかるか

それぞれ解説していきます。

自社に必要な機能がそろっているか

自社に必要な機能が用意されているか、もしくは開発可能か事前に確認する必要があります。同じECサイト構築を専門にしている企業であっても、技術的に可能なことや技術力は異なります。

具体的な機能としては、フロント機能とバックオフィス機能に分けられます。それぞれ以下のようになっています。

【フロント機能】

  • 商品検索機能
  • 販促機能
  • 会員機能
  • ショッピングカード機能

【バックオフィス機能】

  • 商品在庫管理機能
  • 受注管理機能
  • 顧客管理機能

上記は基本的な機能なので、どの外注企業でも実装自体は可能でしょう。ただしそれぞれの機能の細部は企業によって変わってきます。特にバックオフィス機能は自動化が進んでいるので、どこまで自動化できるかによって日常業務の利便性が大きく変わります。

自社のイメージに近い実例はあるか

外注先の企業が過去に制作したECサイトの実例は把握しておいた方が良いです。多くの企業は開発実績を公開しているため、確認すべきでしょう。特に自社で求めているECサイトのイメージを伝えた後は、類似する実績を開示してもらった方が良いです。

アフターサービスがどこまであるか

ECサイトを構築したら、当然その後運用していくことになります。運用の過程でトラブルが生じることもあれば、トラブルはなくても改善したいポイントが出てくることがあります。

こういった場合に、どこまで対応してくれるかは事前に確認しておくべきでしょう。サポート対応してくれる期間、費用、サポートのスピードなどが重要です。

どのくらいの費用がかかるか

ECサイト構築に必要な費用は、外注する企業によって異なります。相場を把握したうえで費用を判断したいので、複数の企業に見積もりを出すのがおすすめです。同じクオリティ、サポート内容なら費用は安い方が良いですが、費用のみで比較するのは避けた方が無難です。

費用が安ければ安い方が良いというわけではなく、クオリティやサポート内容も含め、総合的に判断すると良いです。

運用開始までの期間はどのくらいかかるか

ECサイトの構築を依頼して、実際に運用開始できるまでには期間がかかります。そして、どのくらいの期間で運用開始する必要があるかは企業によって異なるでしょう。また外注先の企業によって、構築依頼から運用開始できるまでの期間が異なります。早く運用開始する必要がある場合は特に、タイムスケジュールを確認しておくべきです。

まとめ

大規模ECサイトを構築する方法としては、パッケージかフルスクラッチが合っています。他の構築方法が不可というわけではありませんが、セキュリティ面、拡張性、ベンダーサポートといった点からデメリットが大きいです。

ECサイトの構築は外注するか自社で開発することになります。多くの企業は自社での開発は難しいので、外注するのが一般的でしょう。外注する場合、外注先企業を比較検討する必要があります。

比較基準としては、費用、サポート期間、開発期間、実績などが重要です。相場をつかむためにも、複数企業に見積もりを依頼してみるのがおすすめです。

弊社ではシステムの構築から運用保守まで幅広く対応が可能です。大規模ECサイトの開発にも対応しています。また、『ラボ型開発サービス』を組み合わせてお客様のシステムの成功に伴走するプランもご用意しています。

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この記事を書いた人
安藤 大海

学生時代にWebサイトを自作したことがきっかけでWebの世界に。制作会社でデザイン、WordPressテーマ開発の実務を経て、テクニカル・ディレクターとして大規模サイト構築のディレクションを経験。2021年からWakka Inc.の日本拠点でWebディレクターとして参画。最近はブロックエディタになったWordPressをもう一度、勉強しています。

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