日本企業の海外進出成功事例10選!中小企業の成功要因を徹底解説


こんにちは。Wakka Inc.のメディア編集部です。
労働力不足や需要の低下などによる内需縮小により、近年では世界で活躍する中小企業も増えています。
本記事では、日本から海外に進出した企業10社の事例を一覧でご紹介しながら、中小企業が海外進出する際の課題も解説するため、ぜひ、貴社の事業の成長にお役立ていただければ幸いです。
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日本から海外に進出した企業の事例10選

本章では、海外進出に成功した日本の中小企業の中から、世界で活躍する中小企業10社の事例を一覧でご紹介します。
- アンデス電気株式会社
- 株式会社ベアレン醸造所
- エーエスジェイ株式会社
- 株式会社花善
- 株式会社ソトー
- 有限会社瑞穂
- 中央葡萄酒株式会社
- 株式会社丸越
- 重光産業株式会社
- 株式会社落合酒造場
多角的に捉えるため、食品業から製造業までさまざまな分野で活躍する中小企業を取り上げて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
「どのようなきっかけで海外進出したのか」
「成功要因は何だったのか」
以下では、日本から海外に進出した企業の成功要因を、専門家による分析も交えてご紹介します。
アンデス電気株式会社|モノづくりから販売にシフトして成功

画像引用:アンデス電気株式会社
付加価値のついた空気清浄機で急成長したのが、アンデス電気株式会社です。
アンデス社は、空気清浄機の販売を主流に事業を展開しています。
光触媒フィルターの独自技術である「ひかりクリスタ」により、悪臭の除去や細菌、ウイルスの不活化に成功しました。
高い技術と品質を活かして、新幹線関連事業にも参入しています。
海外進出に成功した流れ
現在ではアンデス社の主要事業となっている海外部門ですが、当時は紆余曲折がありました。
実は、2010年ごろにフィリピン、中国での現地生産を終了し、モノづくりから撤退した経緯があります。
撤退の理由は、人件費の高騰などによって価格競争に負けたためでした。
そこで日本貿易振興機構(JETRO)の専門家に相談し、中国独自の政策や参入の複雑さを分析してもらい、再度挑戦しました。
モノづくりではなく販売にシフトした結果、アンデス社は成功したのです。
「市場にとって、自社が何を求められているか」を的確に分析したことが、業績拡大のきっかけとなりました。
成功要因
アンデス社は中国で空気清浄機の販売に成功しました。成功の要因は、同社経営陣による「海外進出は不可欠である」という強い意思決定です。
また、自社の強みである光触媒の技術を前面に出した結果の成功ともいえます。専門家と自社の海外進出部門とで定期的に面談を行い、信頼関係を築いていきました。
パートナーの開拓や展示会への出展、商談などを通して、さらなる業績拡大を目指しています。
参考:アンデス電気株式会社:これからの時代を勝ち抜くために、独自技術を訴求した自社製品の輸出で勝負する | ジェトロ活用事例 – ジェトロ
株式会社ベアレン醸造所|専門家によるきめ細やかな情報で販路拡大

画像引用:株式会社ベアレン醸造所
株式会社ベアレン醸造所は地元岩手に根ざし、ヨーロッパの伝統的なビール文化を尊重して、手造りの本格ビールを製造しているビールメーカーです。
ベアレン社は、日本貿易振興機構(JETRO)の支援を活用し、販路拡大を実現しました。
ベアレン社のクラフトビールは、日本外国特派員協会主催の第1回「世界に伝えたい日本のクラフトビール」(2015年)でグランプリを受賞しています。
受賞する前までは地元密着で企業活動をしてきましたが、グランプリを契機に「海外でも展開しよう」といった声が高まり、海外へ進出を決定しました。
海外進出に成功した流れ
2018年までは海外進出の部門はありませんでしたが、品質や味はもちろん、100年前の仕込釜で醸造したクラシックビールのニーズは、徐々に高まっていました。
そこでJETROの新輸出大国コンソーシアムの専門家の支援を受け、各種情報提供を受けながら、販路の拡大に成功しました。
例えば、輸出入関連企業のリストを活用して、オーストラリアからの受注獲得につなげています。
また、専門家から提供された進出先の酒販店情報や市場調査なども役立ちました。
「いつかべアレンのビールがドイツでも飲まれるように」の目標に向かって、さらなる販路拡大を目指しています。
成功要因
べアレン社の成功要因は、自ら道を切り開こうとする強い意志です。
本気度は、プロジェクトのために海外進出担当者を新たに配置したことからも伺えます。
また、専門家との信頼関係を築けたのも大きな要因です。「専売にするのではなく、将来的に非日系企業の参入も視野にいれて、併売でいこう」といったアドバイスも役立ちました。
参考:株式会社ベアレン醸造所:できたてのベアレンを飲みに、世界各地から岩手に人が押し寄せるようになれば | ジェトロ活用事例 – ジェトロ
エーエスジェイ株式会社|CSRから融資を得られて成功

浄水器のシェア拡大のために、海外進出をして成功したのがエーエスジェイ株式会社です。
エーエスジェイ社は、主に水処理機器の販売やメンテナンスを行っている企業です。
国内の事業を行いながら、エーエスジェイ社は海外における水の普及率に注目します。
海外では安全な水へのアクセスが課題となっている地域が多く、なかでもインドネシアではその普及率が低いとされています。
2013年にインドネシアの視察に行き、2015年に寄宿学校ヌルルイマンに水処理機器を設置しました。
水処理機器の設置は、クラウドファンディングも使うエーエスジェイ社にとってCSR(企業の社会的責任)活動の意味合いが強いものでした。
しかし、以降もずっと続けられるように、現地では在校生や卒業生がフィルター原料となるヤシ殻を炭化する作業を行っています。
水処理機器の設置活動によって水処理が進み、学校の収益化にもつながりました。
海外進出に成功した流れ
ヌルルイマンでの事業の成功を受けて、エーエスジェイ社はより事業を拡大しようと考えました。しかし、海外事業の融資はなかなか受けられません。
そんなときに、新輸出大国コンソーシアムのハンズオン支援に採択され、日本貿易振興機構(JETRO)の専門家から支援を受けることになりました。
専門家の支援により、現地の金融機関や日本政策金融公庫からの融資を得ることに成功します。
そして、2018年12月にバンテン州の学校に水処理機器を納品しました。
今後は、中小企業の機動力を活かし、中規模市場への販路拡大に取り組む計画です。
成功要因
エーエスジェイ社の成功の要因は、専門家の協力を仰ぎながら、現地との信頼関係を慎重に作っていったことにあります。
また、数多くの専門家や支援機関の中から、適切な専門家と出会えたことも大きな要因です。
水処理事業の社会的な有益性を信じて、専門家と伴走体制を構築できたことも、成功の一因といえます。
参考:エーエスジェイ株式会社:私たちが現地と関わることで、一人でも多くの子どもたちの命を救えれば、海外事業は成功だと思います | ジェトロ活用事例 – ジェトロ
株式会社花善|現地調達、地産地消から活路を見出す

株式会社花善は、現地調達による地産地消で成功しました。100年以上の歴史を持つ花善社の目玉商品が、鶏めし弁当です。
しょうゆで甘辛く炊いたごはんに鶏肉をのせた弁当は、国内外から高い評価を得ています。
また、実演販売にも積極的です。直近では、2025年1月4日から1月15日まで、京王百貨店新宿店で第60回『元祖有名駅弁と全国うまいもの大会』に参加しました。
さらに、大館市で行われているふるさとキャリア教育にも毎年参加しています。ふるさとキャリア教育に参加した子どもたちのある意見が、花善社を奮い立たせました。
その意見とは、「大館ではできない」「東京や仙台に出ないと成功しない」といったものです。
「大館のわが社が海外進出すれば、子どもたちも世界に目を向けるのではないか」と奮い立ち、花善社は海外進出を決めました。
海外進出に成功した流れ
花善社は弁当屋であるからこそ、鉄道網がしっかりとした地域を探しました。その結果、進出先として選定したのがフランスの首都パリでした。
現地の弁当屋にヒアリングをしたり、環境や風土を手探りで学んだりした結果たどり着いたのが、地産地消という戦略です。
日本から輸入するのではなく、フランスの現地で生産されたものを活用する地産地消の方針を採用しました。
現地調達のため、特に錦糸たまごの生産や、現地の食材を日本の味付けに近づけるのに苦戦を強いられました。
2018年11月に、パリ・リヨン駅で鶏めし弁当販売を開始します。
さらに2019年1月に参加したLe goût du Japon(日本の味)秋田県フェアにも出展し、現地の顧客から大絶賛を受けて成功しました。
また、日本貿易振興機構(JETRO)の専門家から現地ネットワークの紹介を受けたり、規制や労務など現地で気をつけるべきノウハウを学んだりして、事業に活かしています。
花善社の八木橋秀一社長は次のように訴えかけます。
「海外に出ることは難しいことではなく、勇気とちょっとしたお金でできます。弊社の場合、資本金は1万ユーロでした。私個人と会社で捻出。1ユーロ130円換算で65万円ずつ出せば法人ができますよ。」
駅弁=EKIBENの言葉が世界中に広まることを目指し、花善社はさらなる販路拡大に励んでいます。
成功要因
「大館の子どもや若者に、地方の小さな企業でも海外で活躍できることを示したい」といった社長の強い意志が、花善社の海外進出を成功させた大きな要因です。
ただ、社内には海外赴任できる人材がおらず、海外展開のノウハウは1から築いていきました。専門家の支援を受けて、
- フランスの規制や労務の理解
- 現地駐在員の精神的なサポート
に注力したことも、事業の成功に結びつきました。
参考:株式会社花善:「駅弁」の海外進出を通して、子どもや若者に夢と成長を与えたいです | ジェトロ活用事例 – ジェトロ
株式会社ソトー|グローバル供給網における成長戦略

繊維製品の染色加工業で業界をリードしているのが株式会社ソトーです。自社の加工技術を最大限に活かすため、生地製造から製品企画まで一手に手掛けています。
その結果、自社を中心としたサプライチェーンの構築に成功しました。
国内で展開する付加価値の高い製品の製造だけに留まらず、世界市場に大きな可能性を感じて海外進出をしました。
海外進出に成功した流れ
ソトー社の海外進出のきっかけは、海外展開を通じて、中国へ移転した生産機能の一部を取り戻すことが目的でした。
そこで、繊維製品製造が増加傾向にあったベトナムに進出先を絞りました。
まずベトナムの国営企業と業務提携し、スーツ向けウール生地の生産拠点を作ることに成功します。
さらに、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)を見据えて、ベトナムからアメリカへの輸出も視野に入れ、進出初年度の2015年には、テキスタイルの生産で売上高1億円規模を達成しました。
今後は年間10億円の売上を視野に、グローバル供給網の実現を目指しています。
成功要因
ソトー社は、成長戦略の一環としてグローバル展開を掲げています。
チャイナプラスワンの業界動向も注視しつつ、TPPを活用しようと考えていました。
こうした背景から、将来性の高いベトナムへの進出を決定しています。
進出にあたっては、日本貿易振興機構 の相談窓口を活用し、ベトナムの国営企業との業務提携を実現しました。
さらに、TPPを見据えたグローバル生産体制の構築にもつなげています。
今後は長年培った技術を活用して、官民一体の連携・サポート体制のもとで、さらなる成長を目指しています。
参考:製造業をめぐる現状と課題への対応│経済産業省製造産業局
有限会社瑞穂|成果0から知名度・実績をあげた中小企業

伝統ある熊野筆の技法で作られた化粧筆を製造・販売しているのが、有限会社瑞穂です。
その高い品質から、欧米のメイクアップアーティストなどにも愛用されており、国内外から高い注目を集めています。
海外進出に成功した流れ
瑞穂社が海外進出を決断した理由は、自社ブランドの確立と販売強化のためでした。
さらに国内市場が縮小傾向にあったことも追い風になりました。
2008年4月に自社ブランドMizuho Brushを設立し、11月に香港美容展示会に出展するも成果は0(ゼロ)となってしまい、事業の見直しを迫られます。
この結果を受けて、専門家のアドバイスをもとに展示会出展の対応と輸出体制を整備したところ、翌年の2009年11月、香港美容展示会に再び出展し、OEMの初受注に成功しました。
以降2015年まで連続出展し、バイヤーからの知名度や受注実績が向上しています。
2015年には新ブランドSHAQUDAを設立したり、英語版のWebサイトとSNSを開設したりといった事業拡大により、バイヤーからの問い合わせも増え、海外向けオンライン直販も開始しました。
2016年にはイタリアの美容展示会に出品するなど、さらなる事業拡大に取り組んでいます。
成功要因
瑞穂社の成功要因は、専門家と綿密に相談をしたことが大きいといえます。
最初の出展の失敗を受けてすぐに専門家に相談し、契約実務から見直しました。
さらに、日本貿易振興機構の輸出有望案件事業や、中小企業基盤整備機構 のF/S支援事業などの支援制度を活用し、展示会のハンズオン支援を活用したことが、事業の成功につながりました。
またオンライン講座などで輸出ノウハウを学んだり、当局との情報交換を活発に行ったりしたことも、大きな成功要因といえます。
参考:経済産業省 「 ミラサポ総研 vol.39 我に続け、海外展開!」 に当社が事例紹介されました。 | お知らせ | 有限会社 瑞穂
中央葡萄酒株式会社|国産ワインの積極的な海外進出

日本のワイン産業の中心地の一つである甲州市で創業したのが中央葡萄酒株式会社です。
ワインの製造・販売を手掛けており、特に甲州ワインの海外展開にも力を入れています。
海外市場の拡大に向けた取り組みにも積極的な企業です。
海外進出に成功した流れ
海外進出を決断した理由は、輸入ワインに押されて、日本製ワインの先行きに不安を持ったことでした。
まず専門家に相談して、2009年7月に甲州ワイン輸出プロジェクト(KOJ)を発足しました。
世界のワインに関する情報の70%が発信されるイギリスのロンドンにターゲットを絞り、プロモーションを展開していきます。
官民一体のプロモーション効果もあり、翌年2010年6月には、国際ブドウ・ワイン機構(OIV)による甲州種の登録に成功します。
甲州種の認証登録より、EUのワイン規制上の課題も解消され、甲州(KOSHU)などの品質表示をした上での輸出も可能となりました。
2014年6月には、キュヴェ三澤 明野甲州2013がロンドンワインコンテストの金賞を獲得しました。
さらに2014年度は、約2万本の甲州ワインの輸出に成功しています。
近年では、EUのほか、アジア圏へも輸出も拡大しました。
国内市場の不安から海外に目を向け、専門家ときちんと相談しながら成功した良い事例といえます。
成功要因
中央葡萄酒社が成功した理由は、
- 海外公的機関の大使館
- 日本貿易振興機構(JETRO)
- 日本商工会議所
との綿密な連携があげられます。専門家としっかり相談をして、現地の状況に精通した信頼できる現地コンサルタント兼プロデューサーを起用しました。
また、パンフレットやプロモーションビデオなどの販促ツールも積極的に活用しました。
海外展開においては、展示会や商談会への出展を粘り強く繰り返すことが重要です。展示会・商談会への出展は、海外マーケットとの取引の足掛かりとなるからです。
見本市としてはもちろんですが、業界がまとまって、ひとつの顔として独自の出展会を繰り返すことに意義があります。
また、英語版のWebサイトやパンフレットも、自社の魅力を伝えるのに役立っています。
参考:
英国の権威あるワイン専門誌『Decanter(デキャンタ)』が山梨県内のワイナリーを取材 | 山梨県のプレスリリース
甲州ワインEU輸出プロジェクト | 甲州市商工会
株式会社丸越|外国語のWebサイト制作により海外販路拡大

株式会社丸越は、工場で使用される機械・器具の卸売企業です。同社の海外進出は早く、1970年代からシンガポールに海外進出しています。
海外進出に成功した流れ
丸越社が輸出を開始した時期は早かったのですが、販路を拡大したのは2007年以降です。きっかけは、英語、イタリア語、スペイン語に対応したWebサイトを構築したことでした。
当時は日本語のWebサイトも整備されていませんでしたが、外国語のWebサイトを開設し、従来受注のなかった国・地域のバイヤーからも問い合わせが寄せられるようになりました。
海外の取引先の数は、開設前の10倍にもなり、丸越社はさらに、海外の提携先との協力により海外進出を推進します。
一方で、失敗も経験しており、シンガポールでは販売拠点を構えて自社で営業を行いましたが、人材や販路の確保に難航して撤退した過去もありました。
しかし失敗の教訓を活かし、現在は信頼できる海外現地のバイヤーとの提携に成功して、販路を実現しています。
成功要因
丸越社の例は、「Webサイトやインターネットの活用がいかに重要か」を示す成功事例といえます。
いくら技術力が高くても、適切な情報発信を行わなければ、製品の価値は市場に伝わりません。
日本語のWebサイトも持たなかった同社が、外国語のWebサイトを制作して販路拡大したのは、同社の魅力が世間に認知されていなかった証拠でもあります。
また、シンガポールへの海外進出が早かった利点を活かして、販売先の開拓にも挑戦しました。
一度は失敗するも、信頼できるパートナーと協力していくことが最善の道であると気づき、バイヤーと地道に信頼関係を築けたことも、成功要因の一つといえます。
参考:中小企業白書(2014年版)第3部 中小企業・小規模事業者が担う我が国の未来 第4章 海外展開-成功と失敗の要因を探る│中小企業庁
重光産業株式会社|フランチャイズ形式による海外進出

味千ラーメンのブランドで海外進出に成功したのが、重光産業株式会社です。
その成長は顕著で、2026年4月現在で国内に約70店舗を構えるのに対し、世界では約800店舗を出店しました。
中国をはじめ、シンガポール、タイ、インドネシア、アメリカほか12の国・地域に進出しています。
海外進出に成功した流れ
同社の海外進出は、1994年に台湾に出店したことが始まりでした。
大きな転機は2007年、香港証券取引所で、同社が出資した中国味千を上場させたことでした。
上場をきっかけに、店舗の拡大を世界的に加速させます。
現場のモチベーションを高めるため、海外店舗の経営にはフランチャイズ形式を採用しています。
具体的にはフランチャイズのロイヤリティーは固定額とし、本社に一定額を納めると、残りは現地のオーナーの収入になる仕組みです。
「苦労しているのは店舗の現場である以上、売れたら実入りが店に残るようにしなければならない」といった先代社長の考え方が引き継がれています。
また、海外展開が進んだ理由として大きいのが、現地の優れたパートナーの存在です。
現在でも、現地の嗜好や土地などを熟知したパートナーを主体に事業を進め、本社は主にサポートをする形を採っています。
現地を知る信頼できるパートナーと提携していき、オーナーや従業員のモチベーションを高めることが、同社の成功につながっています。
成功要因
味千ラーメンの例は、先代社長の意向である現場主義により、フランチャイズ形式で販路拡大に成功した好例です。
高いロイヤリティーを求めず、適正な価格であるからこそ、現地のパートナーも納得してモチベーションも上がります。
現地のパートナーを重要視しており、土地の嗜好や文化を意識した経営手法により成功につながりました。
「味千ラーメン、熊本ラーメンを世界中に伝えたい」といった思いと同時に、進出先の食文化や地元の人々に受け入れられる味を大切にして、同社はさらなる販路拡大を目指しています。
参考:
味千の取り組み | 九州熊本豚骨 味千ラーメン
重光産業株式会社「「味千の味」を世界中に広げる」(挑戦!国際ビジネス)(日本) | 出版物 – ジェトロ
重光産業株式会社 代表取締役 重光 克昭 – 経営者通信Online
株式会社落合酒造場|日本の焼酎を海外へ

宮崎県宮崎市に拠点を構え、焼酎の製造・販売を生業としているのが、株式会社落合酒造場です。
酒類の中でも海外で馴染みのない焼酎を広めようと、海外進出を決めました。
海外進出に成功した流れ
同社は2016年に宮崎県の補助金制度を活用して、県内にある7つの酒蔵の関係者を集めてニューヨークで試飲会を開催しています。
翌年、海外進出をテーマにしたセミナーに参加したことで、酒類の中でも海外に進出していない焼酎の輸出ビジネスを決めました。
アルコールメーカーに30年以上勤務し、海外での駐在実績のある専門家のサポートを得て、コンセプトづくりや試飲会手配などを実施しました。
販路開拓や輸入会社との契約、ラベル表示交渉など、海外進出に必要なノウハウの支援を受け、2018年には輸出企業と契約を締結しています。
同年9月には300本の初回注文を受け、半年間で1,000本以上の焼酎を輸出しました。
当初のターゲットはカリフォルニア州のみでしたが、ハワイ州、イリノイ州、マサチューセッツ州にも販路が広がっています。
成功要因
落合酒造場が海外進出を成功させた要因は、自社と市場を徹底的に見つめ直すマーケティング戦略にあります。
SWOT分析を活用し、創業以来培ってきた伝統と短期間で20銘柄以上を開発できる技術力、新しいジャンルに挑戦する開拓力の3点を自社の強みだと把握しました。
自社の強みと市場ニーズを可視化したことで、商品コンセプトやボトルデザインの方向性が定まりました。
ハイクラスのバーをターゲットにし、営業活動を続けることで、海外での取引へとつなげています。
SWOT分析により、自社の強みと市場のニーズ、ターゲット層の明確化を実現したことで、海外進出への事業戦略を定めました。
また、専門家のサポートを受けて、通訳の手配や同行支援、現地での情報収集を徹底できたことも、海外進出を成功へと導いた要因の1つです。
参考:
株式会社 落合酒造場│ジェトロ(日本貿易振興機構)
生姜焼酎は「マーケットイン」で海を渡る/落合酒造場(宮崎県) | 中小企業の海外ビジネス、成功の秘訣 – 特集 – 地域・分析レポート – 海外ビジネス情報 – ジェトロ
中小企業が海外進出すべき6つの理由

前の章では日本から海外に進出した企業事例をご紹介しました。
本章では、企業が海外進出するメリットを6つご紹介します。
「市場が飽和状態で上がり目がない」
「新たな顧客層を獲得したい」
と考える経営者も多数います。現状を打破する選択肢のひとつが、海外進出です。
日本の現状から海外に目を移し、希望を見出す経営者も少なくありません。詳しく見ていきましょう。
内需縮小による売上、利益の減少
少子高齢化と人口減少の進行により、日本の内需は長期的に伸びにくい構造にあります。
実質GDPは大きな成長局面に入っているとは言い難く、企業にとって国内市場だけでの持続的な拡大は難易度が高まっています。
さらに、物価上昇が続く一方で実質賃金の伸びは限定的であり、消費の力強さには欠ける状況です。
こうした経済環境を背景に、日本市場に依存せず、海外市場に成長機会を求める企業が増えています。
外資系企業の日本進出による価格競争
最近は、アメリカや中国などの企業のロゴを目にする機会が増えてきました。
近年では、規制緩和やグローバル化に伴い、外資系企業の日本進出が進んでいます。
加工食品を代表例に、多くの外資系企業が、海外生産と輸入によるコスト削減に成功し、低単価で製品を販売しています。
その結果、価格競争では、日本企業はどうしても分が悪く、厳しい競争環境に直面しています。
日本国内での価格競争を逆手に取り、海外で販売しようとする発想が海外進出です。
従来は、日本企業にとって海外は、低コストで生産できる場所として注目されてきました。
しかし今は低コスト生産のためだけではなく、現地の需要拡大を見込んで海外進出をする企業が増えています。
日本の高い技術力を存分に活かせる場所が、海外には依然として存在しています。
拡大するアジア市場
アジア市場の拡大も、海外進出の見逃せないメリットです。
中国、インド、東南アジアを中心に、2030年には全世界の成長のおよそ60%をアジア市場が占めると予想されています。
また、世界の中間層の多くがアジア地域に集中し、世界経済を牽引する存在になると見られており、アジア圏への進出が注目されています。
タイやベトナムといった新興国とのサプライチェーンの構築は順調に進んでおり、体制は強化されました。
また、感染症の流行によって一時的に落ち込んだ世界経済はすでに回復局面にあり、現在はコロナ禍以前の水準を上回る形で推移しています。
国際通貨基金の最新見通しでは、アジア太平洋地域は依然として高い成長を維持しており、2025年は約4.5%、2026年も4%前後の成長が見込まれています。
特にインドは6%台の高成長を維持しており、東南アジアも4%台の成長が続く見通しです。
一方、日本の成長率は同期間で0.5〜1%前後にとどまるとされており、アジア新興国との成長格差は依然として大きい状況です。
日本とアジアでは経済成長のスピードに大きな差があり、アジア圏が引き続き世界経済の成長を牽引する存在であることが示されています。
今後も人口増加が見込まれ、技術革新や教育の発展で、需要はますます高まっていくことが予測されています。
IT化による技術やインフラの向上
昨今の目覚ましい技術革新により、世の中は便利な時代になりました。
技術革新を象徴するIT化の進展により、従来の業務の効率化や時間短縮、ペーパーレス化の進展などにより、利便性が向上しています。キャッシュレス決済もIT化の好事例です。
また、インフラの発達により、国内外のサプライチェーンを安定的に構築・維持できるようになりました。
こうした環境が整った現在、海外進出の選択肢は、ビジネスにおいて不可欠な選択肢の一つとなっています。
日常にITが溶け込み、人々はほしい情報を場所や時間を問わず取得できるようになりました。
企業もまた、世界の情報を容易に調査・分析し、経営に活用できるようになっています。
節税効果
海外においても当然ながら税負担は発生します。
しかし、中国や東南アジアは、経済特区の制度を設けて、税制上の優遇措置を講じています。
各国で制度は異なりますが、新興国では企業誘致に積極的な国も多く、一定の条件を満たすことで税制面の優遇措置などを受けられる場合があります。
ただし近年は国際的な課税ルールの整備も進んでおり、優遇内容や節税効果は国や制度によって大きく異なるため、個別の確認が重要です。
原料費用の低コスト化
日本では、まだまだ人件費や原料コストが高いのが現状で、注目されているのが、フィリピンやベトナムといった東南アジアの新興国です。
下記は、2023年度のアジア諸国の日系製造業における月給賃金の差です。
※表は、横にスクロールできます
| 国名 | 製造業・作業員の基本月給の平均値 |
|---|---|
| スリランカ | 104ドル |
| バングラデシュ | 114ドル |
| ミャンマー | 112ドル |
| ラオス | 129ドル |
| パキスタン | 144ドル |
| カンボジア | 257ドル |
| ベトナム | 273ドル |
| フィリピン | 271ドル |
| インド | 337ドル |
| タイ | 410ドル |
| インドネシア | 377ドル |
| マレーシア | 451ドル |
| 中国 | 576ドル |
参考:アジアの製造業の給与水準、10年で大幅上昇も都市間の差は拡大 | 地域・分析レポート – 海外ビジネス情報 – ジェトロ
新興国は総じて人件費が低い傾向にありますが、ベトナムは比較的低水準に位置しています。
今後の発展によって東南アジアの平均賃金が上がる可能性はありますが、国内と比較して人件費が低い水準にあります。
ベトナムほどの低コストは、日本や欧米では実現が難しい現状です。
コスト削減を実現したい経営者にとっては魅力的であり、ベトナムは進出先として高い関心を集めています。
Wakka Inc.のラボ型開発の拠点も、ベトナムにあります。
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エンジニアや開発リソースを確保したい方、
中小企業の海外進出における課題と成功ポイント
中小企業が海外進出する際には、さまざまな課題が生じます。
独立行政法人 中小企業基盤整備機構が実施した中小企業の海外展開に関する調査(2024年)によると、中小企業の海外進出における課題として、次の点が多くあげられています。
※表は、横にスクロールできます
| 海外進出における課題 | 回答割合 |
|---|---|
| 海外進出に対応できる人材がいない | 32.9% |
| 為替変動リスクがある | 32.9% |
| 信頼できる現地パートナーの開拓ができない | 31.9% |
| 現地とのコミュニケーションに不安がある | 27.4% |
| 販路の開拓ができない | 26.8% |
| 資金が不足している | 24.5% |
| 紛争や政情不安など地政学上のリスクがある | 22.6% |
| 海外の商習慣や法規制がわからない | 20% |
| どのような需要があるかわからない | 15.8% |
| 海外のインフラ整備に不安がある | 15.5% |
| 現地ニーズに対応した製品等の開発ができない | 13.2% |
| 知的財産や技術・ノウハウが流出する不安がある | 12.9% |
| 海外向けにどのようなPRしていいかわからない | 11.3% |
| どの国・地域に展開すればよいかわからない | 10.6% |
| 自然災害のリスクがある | 8.4% |
| その他 | 0.6% |
こうした課題により、海外進出が難航している企業があり、各課題への対策が必要です。
以下では、これらの課題について、どのように備えるべきか対処法を解説します。
- 海外事業に対応できる人材の確保
- 為替変動のリスク
- 信頼できる現地パートナーや流通経路の確保
- 進出先の市場動向
- 地政学的リスク
海外事業に対応できる人材の確保
海外事業に対応できる人材が不足している場合、現地での市場調査やパートナー企業との交渉・戦略共有が難航します。
海外進出には、現地の言語スキルや専門知識、参入カテゴリーの動向を把握している人材の確保が必要です。
現地でスタッフを育成するケースもあるため、円滑にコミュニケーションを取れる言語能力と適応力が求められます。
海外事業に対応できる人材が不足している場合、現地で優秀な人材を確保する方法も検討する必要があります。
また、外部の企業から言語能力が高い人材を派遣してもらったり、通訳を雇ったりするなど、海外事業に対応できる人材の確保が求められます。
為替変動のリスク
海外進出のリスクの一つに為替変動があります。
特に輸出入取引事業を行っていると、為替変動のリスクが高く、想定していた利益を得られない可能性があります。
為替レートの変動によって損失が生じないよう、ヘッジ取引を活用した契約の締結を検討しましょう。
ヘッジ取引とは、現物の価格変動リスクを先物取引で回避(ヘッジ)する取引です。
契約締結時にヘッジ取引を条件に組み込めば、為替変動のリスク低減が可能となります。
信頼できる現地パートナーや流通経路の確保
日本から海外に進出した企業の例でもご紹介した通り、海外進出する際は、信頼できる現地パートナーや流通経路の確保が不可欠です。
しかし、信頼できる現地パートナーや流通経路の確保は簡単ではありません。
課題の解決策としては、自社の従業員が長期間にわたって現地に滞在し、現地パートナーや流通経路などネットワークを構築する方法が考えられます。
また、自社の現地法人を設立し、現地で人材を採用するとともに、流通経路を確保するのも一つの方法です。
現地の言語に対応した海外向けのWebサイトを制作・運営すれば、企業の認知度が高まり、現地パートナーや流通経路を確保しやすくなります。
進出先の市場動向
進出先の市場動向を把握しておかなければ、海外進出を円滑に進められません。
現在はインターネットを通じて海外の情報を仕入れられますが、詳しい市場動向は現地に赴かなければ把握しにくい側面もあります。
現地の正確な情報を把握するには、自社の従業員を長期間滞在させるか、現地に詳しいパートナーの確保が必要です。
信頼できるパートナーを確保できない場合は、現地の情報に精通した日系コンサルティングサービスを利用しましょう。
地政学的リスク
海外進出の際は、地政学的リスクを把握してからビジネス展開を検討する必要があります。
地震・台風・ハリケーン・津波・洪水・噴火など、どのような災害リスクがあるか確認しておかなければ、万が一の災害時に対応できません。
日本では十分な耐震性や耐久性を確保していても、海外では災害リスクに対して十分な備えができていない可能性があります。
また、海外進出では政治・宗教的なしがらみによるトラブルへの対策も必要です。
国際情勢によっては、諸外国と紛争が起きるリスクもあるため、海外進出前に想定できるリスクは可能な限り確認しておきましょう。
現地の情報に精通した人材やパートナー企業と連携できれば、現地で想定されるリスクを把握することが可能となります。
専門家に相談して、海外進出を成功させよう

日本から海外に進出した企業の10選でも一覧でご紹介した通り、日本の高い技術を使い、海外市場で競争力を発揮する企業は増加しています。
世界市場、特にアジア市場は、大きな成長可能性を有しています。
一方で、海外進出は意思決定から実行までに多くのハードルが存在します。
だからこそ、実際にどのような形で進出し、どのように課題を乗り越えているのか、具体的な事例を把握することが重要です。
ラボ型開発の手法も含め、各社の取り組みや成功パターンを整理した事例集を参考にすれば、自社に適した進出戦略の解像度は大きく高まります。
以下のホワイトペーパーでは、具体的な事例とともに実践的なポイントを紹介しています。
自社に活かせるヒントの整理に役立ててください。
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