DXの進め方とは?必要な要素や手順を解説!推進事例3選もご紹介
こんにちは。Wakka Inc.のWebディレクターの安藤です。
DXを進めれば、多くの企業で課題を発見でき、長期的な成長にもつながります。しかし実際には、
「そもそもDXとは何なのか、よくわからない」
「DXが必要なのはわかるが、どのように進めれば良いかが見えてこない」
こういった悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
DXの必要性や正しい手順を理解して導入すれば、自社の生産性や競争力もアップします。
そこで本記事では、DXの定義や必要な要素、正しい手順をくわしく解説します。DXを導入して、長期的な企業の成長を目指したい方はぜひご参考になさってください。
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DXの定義
DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略語であり、ITを駆使して普段の生活やビジネスをより便利に変革するという意味合いがあります。
2004年にスウェーデンのウメオ大学教授、エリック・ストルターマンが提唱したとされており、現在では多くの企業がDX導入を進め、ビジネス用語としても定着してきました。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
出典:経済産業省 DX ガイドライン(PDF)
経済産業省も専用のガイドラインを策定し、DXを上記のように定義しています。
DX化が必要な理由
現在多くの企業でDX化が求められていますが、DXはなぜ必要なのでしょうか?具体的な理由としては、次の3点が挙げられます。
- 2025年の崖
- 消費者ニーズの変化
- 労働力人口の減少
ひとつずつくわしく見ていきましょう。
2025年の崖
2025年の崖は、DX化が必要な大きな理由のひとつです。日本の多くの企業でDX化が進まず、古いシステムを使い続ければ、2025年以降大きな経済損失が生まれると政府が予測しています。
古いシステムを使い続けると維持コストが負担になり、セキュリティ面のリスクも高まるのが主な原因です。
具体的な損失金額としては、1年間で最大12兆円ともいわれています。
しかし反対に、多くの企業でDX化が順調に進んだ場合、2030年以降の実質GDPは、130兆円まで押し上げが期待できるとの見方もあるのです。企業のDX化による経済効果は大きく、日本経済の成長のためにも、各社が優先して取り組むべき重要課題といえます。
(参考:経済産業省『D X レポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』)
消費者ニーズの変化
DX化が必要な理由として、消費者ニーズの変化も挙げられます。近年はインターネットの普及により消費者ニーズの変化が早く、その予測も大変難しくなってきています。
DX化が進めば、ビッグデータの活用でトレンドの傾向をつかめ、ニーズに合わせた提案ができます。
仮にDX化が進まなければ、消費者ニーズの把握はますます難しくなり、売上への影響も避けられないでしょう。消費者ニーズを把握する手段として、デジタル技術の活用は必須といえます。
労働力人口の減少
労働力人口の減少も、DX化が必要な理由のひとつでしょう。
日本の人口は2050年には1億人を切ると予測されており、企業でも労働力人口が減少し、生産性は低下すると考えられます。デジタル技術を活用すれば、多くの業務で効率化や自動化が進み、必要人員を減らせます。
労働力人口の減少に対応するため、企業のDX化で業務の生産性を向上させることが急務なのです。
DX推進で得られるメリット
ここからは、DX推進で得られるメリットを見ていきましょう。具体的には、次のとおりです。
- 顧客体験が向上する
- 生産性の向上が見込める
- 経費削減や業務効率がアップする
順番に解説します。
顧客体験(CX)が向上する
顧客体験(CX)が向上しやすいのも、DX推進の大きなメリットでしょう。顧客体験とは、商品の購入前から購入後に至るすべての行動を指す、マーケティングや経営戦略のコンセプトです。
CX(カスタマーエクスペリエンス)とも呼ばれ、2000年ごろから注目されはじめました。DX化が進めば顧客と商品の接点が増え、満足度の向上が期待できます。たとえば、
- ECサイトを活用してユーザーに最適な商品を紹介する
- ユーザーの好みで服のコーディネートを提案する
- 購入後は自社ホームページでアフターサポートにつなげる
なども可能です。実店舗では顧客体験に限界がありますが、DX導入でECサイトを活用すれば、購入後のサポートまで顧客と接点を持てます。
結果的に、顧客の満足度が上がり、企業にとっても大きなプラスとなるでしょう。
生産性の向上が見込める
DX化が進めば、生産性の向上も見込めるでしょう。DXの導入により、多くの業務で効率化や自動化ができるからです。たとえば、
- 業務の一部をロボットで自動化する
- AIを活用して顧客に最適な回答を提案する
などにより、人的コストの削減が可能です。
さらにオンライン会議やクラウドシステムの導入でテレワークを推進すれば、従業員の多様な働き方も実現できます。
AIで自社の業務をデータ分析すれば、課題を発見して改善策を打ち出すこともできるでしょう。DXにより、多くの場面で労力の無駄を省けるのです。
経費削減や業務効率がアップする
DXを推進すれば、経費削減や業務の効率化にもつながります。DX導入の過程で、業務の無駄な部分を抽出できるからです。また、
- ペーパーレス化で用紙代を削減する
- 定型業務や事務作業を自動化して人件費を削減する
といったコスト削減も可能です。DXを進める過程で業務内容を見直し、無駄な部分は積極的に省いて効率化しましょう。
DXを実現するデジタル技術
DXの実現には、多くのデジタル技術を採り入れる必要があります。
今回は3つの技術をご紹介します。具体的には次のとおりです。
- クラウド
- 5G
- IoT
順番に解説します。
クラウド
クラウドは、DXには欠かせない技術です。たとえばクラウド化ですべての紙がデータに置き換われば、膨大なデータを保存して、いつでも取り出せます。クラウドを活用すれば、効率的なデータ管理が可能となるのです。
業務のデータをクラウド上に保存しておけば、家にいても必要なデータをすぐに取り出せるので、特にテレワークでは大変役に立つでしょう。
仮にスマートフォンやPCが故障したり紛失したりした場合でも、ほかの端末からデータにアクセスできます。時間と場所に縛られず、インターネットにつながる環境さえあればリアルタイムで情報を共有できるのも、クラウド化によるDXの大きなメリットです。
5G
5GもDXに欠かせません。なぜなら5Gは、デジタル技術の
- 高速化
- 低遅延
- 多端末の同時接続
を可能にし、前述したクラウドでも役立つ通信技術だからです。
たとえば、クラウドに保存したデータをリアルタイムで共有したい場合、5Gの通信速度でアップロードすればすぐに見られます。
5Gの高速通信を活かせば、通信の遅延によりオンライン会議中に画面がフリーズしたり、音声が聞き取れなかったりする心配もありません。5G技術は、医療やスポーツ分野でも活躍する可能性を秘めており、DX化において非常に重要といえます。
IoT
IoTも、DX化を支える重要な技術のひとつです。
IoTは、物とインターネットを接続する技術で、従来インターネットとは無縁だった多くの業務を自動化できます。たとえば、
- テレビや冷蔵庫などをスマートフォンから操作する(スマート家電)
- スマートメーターで電気やガスのデータを自動化する
- ロボットや機械の操作を遠隔でおこなう
などはすべてIoTの技術により実現しており、IoTにより企業の業務を効率化する事例も増えてきています。DX化においてIoT技術は必須であり、業務効率化やコスト削減のカギを握っているといっても過言ではありません。
DX推進に必要な要素
ここからは、DX推進を効率的に進めるために必要な要素をご紹介します。具体的には次のとおりです。
- 業務のデジタル化
- 組織内での連携
- 業務プロセスの改善
- DXの中核を担う人材
- 効果測定
- 現場に合ったツール
順番に見ていきましょう。
業務のデジタル化
DX推進において、業務のデジタル化は必須です。前述したとおり、DXはデジタルトランスフォーメーションの略語で、アナログな要素をデジタル化する意味が込められています。
企業のDX化は、アナログな業務をデジタル化して効率化を図ることがスタートです。具体的には、
- ペーパーレス化
- チャットツールの活用
- 電話のAI自動応答サービス
- AIによる自動配車
など、業種や業界を問わず、ありとあらゆる分野でデジタル技術が活用されています。DX推進において、業務のデジタル化は欠かせません。
組織内での連携
組織内での連携も、DX化に欠かせない要素です。DXを推進すると、業務フローや運用体制の変更など、企業内で大きな変化を伴うため、抵抗のある方も少なくないでしょう。
しかしDX推進では、組織のトップをはじめ、組織全体での連携が重要になります。
たとえば、各部署の課題を明確にし、共通のシステムを使う必要もあるでしょう。部署によって使用するシステムが違ったり、同じシステムでも運用方法に差があったりすれば、DX化において大きな障害になります。
DXをスムーズに推進するには、組織全体の足並みをそろえることを大切になさってください。
業務プロセスの改善
業務プロセスの改善も、DX推進に必要な要素です。ペーパーレスなどのデジタル化に取り組む中で、既存の業務プロセスでは支障が出る可能性があるからです。
デジタル化に不必要な業務プロセスがあれば、かえって非効率になってしまったり、新しいツールやシステムをうまく活用できなかったりする恐れもあります。
従来の業務プロセスに合うシステムやツールを選ぶのも大切ですが、新しいシステムやツールに合わせて業務プロセスを再構築することで、大きな効果を得られる場合もあるのです。不必要な業務プロセスは随時削りながら、効率的にDXを進めましょう。
DXの中核を担う人材
DX推進において、中核を担う人材は重要でしょう。DX推進では、ITに関する知識やスキルが必須であり、個々人ではなくチームで取り組む必要があります。具体的には、
- 情報システム担当者
- 社内SE(システムエンジニア)
- PM(プロジェクトマネージャー)
- データサイエンティスト
このようなメンバーを揃えると良いでしょう。
効果測定
DXは導入して終わりではありません。導入後の業務効率や現場の声など、その効果を測定して改善していくことにより、より大きな成果が期待できます。
具体的な方法として、政府機関や各事業者などが公表しているデータや資料を参考にするのもひとつでしょう。
たとえば経済産業省が発表している『デジタル経営改革のための評価指標』は、各企業が簡易な自己診断をおこなうことを目的にまとめられています。効率的にDX化を進めるためには、自社の現状を正確に分析し、改善に努めることが大切です。
現場に合ったツール
現場に合ったツールやシステムを選ぶことも、DX推進において重要なポイントです。企業によってはIT人材に恵まれないケースもあり、ITの知識がない従業員でも利用できるツールやシステムが必要な場合もあります。
特にIT人材が不足している昨今は、ノーコード開発ツールを活用する企業も増えています。
規模の大きいシステムやアプリは専門の部署で開発して、小さいものは、ノーコードツールで現場が自ら開発するような体制の構築を進める企業の事例も。
直感的に使えるツールや、簡単な設定で自動化できるツールがあれば、ITの深い知識がなくても問題になりません。自社のIT人材の数やリソースに合わせて、最適なツールを選択しましょう。
DX人材に必要な資質
DX推進において、IT人材に必要な資質は多岐にわたります。具体的にIT人材に必要な資質は次のとおりです。
- システム開発に関する知識
- 企画力
- 課題発見、改善スキル
- マネジメント能力
順番に見ていきましょう。
システム開発に関する知識
DX人材に必要な資質として、システム開発に関する知識は必須といえます。なぜなら、DX推進ではシステム開発によって既存業務の効率化を図るからです。
またAIやIoTに関する深い知識も、DX化の推進には欠かせません。デジタル技術に関する豊富な知識や技術を持つ人材がいれば、DXを進める過程でのトラブルにも柔軟に対応できるでしょう。
企画力
DXに必要な資質として、企画力も挙げられます。DX化に向けて改善する業務を決めたり、IT人材の配置を考えたりと、DXの推進には多くの計画の立案や修正、議論が求められます。企画力がなければ、DXをスムーズに進めることは難しいでしょう。
はじめに企画を立て、計画的に進めることで目標達成に近づきます。
課題発見・改善スキル
DXにかかわる人材は、課題を発見し、改善するスキルも備えていなければなりません。DXを進める過程ではトラブルが発生する可能性が多く、早期の発見と改善が求められます。
課題を改善する際にデジタル技術を活用する場面もあり、DXの知識や技術は、改善スキルとしても活かせるでしょう。
マネジメント能力
マネジメント能力も、DX人材に求められる資質のひとつです。DX推進では、ITに強い人材だけでなく、チーム全体をまとめる能力や管理する能力を持った人材も重要です。
計画を進める中で意見が分かれ、チーム内のまとまりが出ない可能性もあるでしょう。その都度話し合いの場を設け、解決に導く必要があります。
さらに予算や経過状況の把握も大切です。
しかしDXに関する豊富や知識やスキルを持ち、かつ高いマネジメント能力も高い人材となると、なかなか確保するのが難しいかもしれません。
場合によっては外部のベンダーに依頼するなど、プロジェクトごと優秀なチームに委託するような選択肢も用意しておくべきでしょう。
DXのはじめ方と手順
DX化を進める上で「実際に何から手をつけたら良いのか手順がわからない」という方も多いかもしれません。
具体的なプロセスが不明瞭であれば、従業員の協力も得られにくくなります。
そこでここからは、DXを効率よく進めるための一般的なはじめ方と手順をお伝えします。具体的には次のとおりです。
- DX推進の目的を明確にする
- DX推進への体制を整える
- 経営層の理解を得る
- 自社の現状や改善点を明確にする
- 戦略を立てる
- 取り組む優先順位を決める
- 現場に近い業務のデジタル化を進める
- 組織全体のワークフローのデジタル化を進める
- ビジネスモデルや事業のデジタル化を進める
- PDCAサイクルにてDXを進める
順番に見ていきましょう。
DX推進の目的を明確にする
はじめに、DX推進の目的を明確にする必要があります。
目的を明確にしなければ、途中で従業員のモチベーション低下につながったり、導入する意義が薄れたりするからです。いつのまにか、DXの導入自体が目的になってしまう危険性もあります。
多くの企業にとって、DXはビジネスモデルの変革により、競合優位性を高めることが最終目的です。目的を明確にし、DX化により目指すべき姿をしっかりとイメージして取り組むことが大切でしょう。
DX推進への体制を整える
つぎに、DX推進への体制を整える必要があります。DXを成功に導くには、チーム体制を整え、PDCAサイクルを回して、タスクを滞りなく進める環境づくりが重要です。
プロジェクトの中心となりDX推進をおこなうエンジニアやIT担当者だけでなく、IT人材の育成を進め、全体をマネジメントする人材の育成や確保も欠かせません。
もちろん従業員の協力も不可欠であり、「全員が同じ方向を目指している」という社内全体の意識づくりが求められます。
経営層の理解を得る
DX化には、経営層の理解を得ることも大切です。経営層の理解を得られれば、システムのスムーズな導入が可能となります。
たとえば、DX導入にはまとまった資金が必要ですが、経営層の理解があれば決裁も通りやすくなるでしょう。
トップの理解が得られなかったり、意見が曖昧だったりすれば、DXの導入が遅れて思うような効果が得られない恐れがあります。組織トップの理解を得て、DX推進に向けた環境づくりに取り組みましょう。
自社の現状や改善点を明確にする
続いて、自社の現状や改善点を明確にしましょう。
DX化を進める上で、システムの入れ替えや、導入するデジタル技術を見極めるためにも、自社の現状や改善点の把握が必要です。自社の現状の調査によって、たとえば、
- 部署間で連携できないシステムがある
- 維持費が高いシステムを使っていた
などが発見されるケースもあるでしょう。
課題を見つけないことには、改善にも至りません。自社の改善点を的確に把握することで、DX導入がスムーズに進むでしょう。
戦略を立てる
改善点が把握できたら、戦略を立てましょう。戦略がなければ、DX導入自体が目的になる可能性があるからです。
具体的には、「DX導入でどのようにサービスやビジネスモデル、企業体制を変革するのか?」のように、具体的な方向性を定める必要があります。
質の高い戦略を立てるために、社員同士が臆せず意見を出し合うことも重要でしょう。経営層や担当者だけでなく、全従業員が戦略を共有できれば、より協力を得やすくなります。
取り組む優先順位を決める
戦略を立てた後は、取り組む優先順位を決めましょう。DX推進には多くのリソースが必要であり、取り組む内容によって難易度も異なります。
たとえば、現場に近い細かな業務のデジタル化は比較的スムーズに導入できるため、優先順位は高いといえます。
一方でビジネスモデルのデジタル化などは、すぐに結果が出るものではないため、長期的な視点で実現していかなければなりません。
取り組む内容によって必要な人員やノウハウも異なるため、あらかじめプライオリティを明確にして、計画的に進めるのが肝心です。
現場に近い業務のデジタル化を進める
前述のとおり、まずは現場に近い業務のデジタル化を進めるのが良いでしょう。理由としては、現場に近い細かな業務は比較的簡単に導入でき、反対意見も出にくく、はじめに取り組みやすいからです。
具体的には資料のペーパーレス化やクラウド化などが該当します。
クラウドの導入は、現場で働く従業員にとっては変化が大きく、戸惑うこともあるかもしれません。しかし長期的に見れば、業務効率化やコスト削減に大変役立つ施策です。
現場に近い業務のデジタル化は、できる限り最優先で取り組むことをオススメします。
組織全体のワークフローのデジタル化を進める
個別具体的な業務のDX化に成功したら、組織全体のワークフローのデジタル化にも取り組んでいきましょう。
組織全体のワークフローのデジタル化が進めば、生産性の大幅な向上も見込めます。たとえば、
- 決裁の承認
- 経理処理のデジタル化
- 勤怠管理の自動化
などは、従業員の働きやすさにも直結するでしょう。ワークフローのデジタル化が進めば、企業全体のDX化も大きく前進します。
ビジネスモデルや事業のデジタル化を進める
ワークフローの次に取り組むべきは、ビジネスモデルや事業のデジタル化です。DXの最終目的はビジネスモデルを変革し、競争上の優位性を確立することです。
具体的には、ECサイトの構築による販路の拡大などが該当します。ほかにも、
- オンラインで内見ができる不動産事業
- AI配車を活用したタクシーや宅配事業
- リモートの映像授業システムを使った教育事業
など、デジタル技術の活用により、さまざまなビジネスモデルが考えられるでしょう。ビジネスモデルのデジタル化は、売上を伸ばすだけでなく、企業価値を大きく高める可能性を秘めています。
PDCAサイクルにてDXを進める
ビジネスモデルのデジタル化まで達成したら、PDCAサイクルを回して業務をさらに改善していきましょう。DXは一度達成したら終わりではなく、常に変化するニーズや社会情勢に合わせた改善によって磨かれていきます。
長期的な成長のために、変化に強い企業づくりは重要です。定期的に目的の達成度を確認しながら、PDCAサイクルを回して体制を強化していきましょう。
DX進め方ガイドブック
>DXプロジェクトを検討している担当者の方に向けて、失敗しない社内体制の構築から開発リソース確保までを網羅して解説しています。
DX化への注意点と進め方のコツ
DX化は、その過程において、さまざまな課題に直面します。技術的な問題だけでなく、DX化に取り組むチームメンバー間でのトラブルもあるかもしれません。
そこでここからは、DX推進において注意すべき点や進め方のコツをまとめます。具体的には次のとおりです。
- DX推進の担当者を明確にする
- DX自体が目的にならないようにする
- 組織内の情報共有や連携を怠らない
- 方針転換できる状態で進める
順番に見ていきましょう。
DX推進の担当者を明確にする
まずはDX推進の担当者を明確にしましょう。DX推進を効率的に進めるためには、定期的に課題を把握して、柔軟に対応しなければなりません。
担当者が曖昧であれば、それだけDX推進が失敗するリスクも高まります。
DX自体が目的にならないようにする
DXの導入自体が目的にならないように注意しましょう。DXの重要な目的は、デジタル技術の導入ではなく、ビジネスモデルの変革です。
DX導入後には身の回りの業務が効率化されるため、一時的には満足するかもしれません。
しかし、その先のビジネスモデルの変革がなければ、「業界における企業の優位性を確立する」といった大きな目的を達成することはできないのです。
さらにデジタル技術を導入しても、うまく使いこなせない場合や、自社に合わないケースもあるでしょう。DXは導入して終わりではなく、その後の検証や改善、ビジネスモデルの変革に至るまでの過程が重要です。
組織内の情報共有や連携を怠らない
DX化への注意点として、組織内の情報共有や連携を怠らないことも大切です。DX推進は組織全体で取り組む必要があり、効率的に進めるためには、徹底した情報共有や連携が求められるからです。
部署間の取り組みが異なれば、全体の課題や改善案が不透明になり、DXをスムーズに進めることができません。従業員のモチベーションアップにもつながるため、全体の情報共有や連携は積極的におこなうべきでしょう。
方針転換できる状態で進める
DX化は、常に方針転換ができる状態で進めましょう。社会情勢は常に変化しており、消費者のニーズやトレンドに合わせて、企業も柔軟に変化していかなければなりません。
ビジネスシーンにおいては、ピボット(事業転換)によって成功した企業の事例が多数ありますが、DXでも同じです。
新しいシステムの導入で思うような効果が得られないと判断したら、システムを変更したり、思い切って導入をやめたりする勇気も大切なのです。
DX推進に成功した3つの事例
ここからは、実際にDX化を実現した企業事例を見ていきましょう。今回ご紹介する成功事例は次の3社です。
- 大塚製薬とNEC
- ローソン
- トライグループ
大塚製薬・NEC
大塚製薬とNECは、薬の飲み忘れを防止する服薬支援システム(プレタールアシストシステム)を共同で開発しました。
飲み忘れや自己判断により、半年で5割まで服薬率が低下するという報告があり、「薬の飲み忘れをいかに防ぐか?」は医療業界の大きな課題でした。
そこで、患者さんの毎日の服薬継続をアシストするために、薬箱のDX化を実現したのです。このシステム(薬箱)には、
- 服薬時間になるとLEDが点滅し、そのタイミングで家族にも通知が届く。
- 薬箱から薬を取り出すと、医療関係者や家族に通知が届く。
- スマートフォンで服薬履歴が管理でき、受診の際に先生に確認してもらえる。
といった機能が搭載されています。薬の飲み忘れの防止により医療患者の健康が増進すれば、ひいては社会保障費の削減にもつながる、大変に社会的意義の高いプロジェクトといえるでしょう。
※プレタールアシストシステムの対象となるのは、副作用や事故に注意が必要で、専門家による管理が必要なハイリスク薬に限られます。
(参考:大塚製薬とNEC 脳梗塞再発抑制薬の毎日の服薬をアシストする服薬支援容器の共同開発に合意)
ローソン
ローソンは、2020年9月に、ロボットが品出しをする店舗をオープンしました。ロボットの導入により、店舗業務の効率化や、人件費の削減を目指しています。
さらにロボットの動きをデータ化し、将来的には自動化する研究も進行中です。
ロボットの導入により業務を効率化すれば、多くの時間が生み出され、人にしかできない手厚いおもてなしのサービスを増やすことも可能でしょう。
(参考:ローソン公式 ロボットが商品を陳列する店舗がオープン)
トライグループ
家庭教師のトライグループは、中学生と高校生向けのハイクオリティな映像学習サービスを提供しています。
「生徒の学習効率を最大限に高め、習熟や演習段階における生徒のケアに集中したい」という思いから実現しました。
スマートフォンやタブレットで受けたい授業を選択し、時間や場所に関係なく自由に視聴できるのが大きな特徴です。
またスマートフォンをシェイクすると、その場で教師に質問ができるなどの独自機能も搭載されています。提供サービスのDX化により、顧客(生徒)の利便性や満足度がアップすれば、売り上げの上昇や企業イメージの向上が期待できます。
(参考:トライ公式)
DX化で業務の効率化やコスト削減を実現しよう
今回は企業のDX推進が必要な理由や、導入の手順を解説してきました。
多くの日本企業においてシステムの老朽化が進んでおり、競合優位性を保つためにも、ますますDX推進の必要性が高まっています。
DX化を成功に導くために、専門チームを組む重要度は高く、専門家への依頼も選択肢のひとつです。今後起こりうる多くの課題に対処するためにも、計画的にDX化を進めましょう。
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●DX進め方ガイドブック
>DXプロジェクトを検討している担当者の方に向けて、失敗しない社内体制の構築から開発リソース確保までを網羅して解説しています。
学生時代にWebサイトを自作したことがきっかけでWebの世界に。制作会社でデザイン、WordPressテーマ開発の実務を経て、テクニカル・ディレクターとして大規模サイト構築のディレクションを経験。2021年からWakka Inc.の日本拠点でWebディレクターとして参画。最近はブロックエディタになったWordPressをもう一度、勉強しています。