クロスプラットフォームとは?複数のOSで開発できる環境を徹底解説
こんにちは。Wakka.Incメディア編集部です。
アプリケーションの開発環境の一つに、クロスプラットフォームがあります。
複数のデバイス間で共有できるアプリケーションを開発するために、クロスプラットフォームの導入を検討している方も多いでしょう。
本記事では、クロスプラットフォームについての基本的な概要や、メリット、注意点、代表的なプラットフォームを解説します。
開発環境の拡大を目指す場合は、クロスプラットフォームの将来性まで理解することをおすすめします。ぜひ参考にしてください。
クロスプラットフォームの基礎知識
クロスプラットフォームとは、複数のOSに向けたアプリケーションを一つの環境やプログラミング言語で開発することができる開発環境やフレームワークを指します。クロスプラットフォームは、マルチプラットフォームとも呼ばれています。
iPhoneやAndroidでアプリケーションを使用する際に、Apple StoreやGoogle Playでアプリケーションをインストールする必要があります。
従来は、それぞれのストアでインストールできるアプリケーションを開発するには、OS本来のシステムで開発をする必要がありました。
しかし、近年のアプリケーションはiOSやAndroid、WindowsやMacなどデバイスやOSが異なる場合でも、同じアプリケーションを操作できます。それらを可能にさせているのがクロスプラットフォームです。
クロスプラットフォームは、一度のコーディングで複数のプラットフォームに展開できるツールです。一貫性のあるアプリケーションを作成できるため、幅広いユーザーをターゲットにアプリケーション開発ができます。
下記記事でも解説しています。
クロスプラットフォームの3つのメリット
クロスプラットフォームの代表的なメリットは以下の通りです。
- 一度の開発でOS/Andoroidと複数対応したアプリケーションの開発が可能
- 開発環境にかかる工数・費用を大幅に削減できる
- 多くのプラットフォームへの展開が可能(ユーザー層の拡大)
それぞれ解説していきます。
一度の開発でOS/Andoroidと複数対応したアプリケーションの開発が可能
クロスプラットフォームを使用することで、iOSやAndroid向けのアプリケーションの開発をすべて一度で行えます。
各々の開発環境を必要とせず、共通化できるのがクロスプラットフォームの強みです。
iOSやAndroid特有の機能を使用する場合は、個々の開発環境に依存しますが、大部分のプログラムを共通化できます。例えば、データベースのアクセスや通信処理のロジック、データのやりとりをするといった、各々のOSやデバイスに関係ない機能は共通化可能です。
また、修正や機能追加といったアップデート時の作業も一度ですべてのデバイスとOSに反映させられます。そのため作業の重複も避けられ、開発者は複数のプラットフォームに必要なスキルを減らせます。
クロスプラットフォームは、一度の開発で複数のOSやデバイスに対応したアプリケーションを時間をかけずに開発できるだけでなく、開発者にとってもメリットが大きいのは間違いありません。
開発環境にかかる工数・費用を大幅に削減できる
本来、複数のデバイスやOSに対応するアプリケーションの開発には、各々の開発環境を用意する必要があります。クロスプラットフォームを使用することで、開発環境を1つに絞ることができます。
つまり、コーディング作業が一本化されるため、データベースアクセスや通信処理といったプロセスを短くし、アプリケーションの開発の時間を大幅に短縮可能です。
開発期間が短縮されれば、開発にかかる費用や人件費も同時に削減できます。
それだけでなく、大半のプログラミングを1つの言語で書けるようになるため、プログラマーにとっても負担の少ない開発環境と言えます。
多くのプラットフォームへの展開が可能(ユーザー層の拡大)
クロスプラットフォームで開発すると、今までターゲットにできていなかった層にもアプローチが可能です。
従来は、多くのユーザーにアプリケーションを使ってもらうために、開発環境から整える必要があり、コストが大きくかかっていました。
クロスプラットフォームでは、1つのプログラミングのみで開発可能なため、よりユーザー層の拡大が簡単になりました。
クロスプラットフォームの注意点
メリットを見ると魅力的なクロスプラットフォームですが、注意すべき点もあります。
クロスプラットフォームを導入する場合、以下の注意点もおさえておきましょう。
- OSに対応できる専門家も必要
- OSごとの更新や変更に対応が必要
順に解説します。
OSに対応できる専門家も必要
クロスプラットフォームは、一つの言語で開発可能とはいえ、元の言語はOSごとに異なります。OSに関わるエラーが発生した場合、エラーがでているOS環境で対応をしなければいけません。
その際には、OSに適した言語や知識のある専門家が必要です。
しかし、OSごとの言語に精通したプログラマーが在籍していない場合、外注業者への依頼が必要です。
OSごとの更新や変更に対応が必要
iOSやAndroidなどのOSにアップデートがあると、アプリケーションも最新のOSで動作するように対応が必須です。
最新のOS対応が遅れるとその間にユーザーが離れてしまうリスクが伴います。
OSごとに独立した開発者には最新OSのベータ版が事前に公開されるため、先行して動作確認が可能です。
しかし、クロスプラットフォームの場合は、OSが最新にリリースされてからの対応になるため、どうしても最新OS上で利用できるようになるまでに時間がかかってしまいます。
一般的なアプリ開発に使用されるプラットフォームの種類
アプリケーション開発のプラットフォームの種類を紹介します。
代表的なアプリケーション開発のプラットフォームは下記の3種類があげられます。
- ネイティブ型
- ハイブリッド型
- 独自レンダラ型
それぞれ詳しく説明します。
ネイティブ型
ネイティブ型とは、ネイティブアプリと言われるApp StoreやGoogle Playからインストールして使用するアプリが作成できるプラットフォームです。
それぞれのOSに元々備わっているシステムを最大限活用できます。
そのため、高度な操作性と表現力でUIデザインの設計を可能にします。
フレームワークからOSのUIを操作するような感覚で開発ができるため、扱いやすいといえます。
その他のプラットフォームよりも処理が早いのもポイントです。
アプリケーションの中でも、オフライン環境でも操作できるゲームアプリやヘルスケアアプリなどの開発に向いています。
ハイブリッド型
ハイブリッド型とは、ネイティブ型の開発とWebアプリの開発の要素を兼ね備えたプラットフォームです。
つまり、App StoreやGoogle Playからインストールして使用するアプリをWebアプリ開発に使用するHTMLやCSS、JavaScriptといった言語を使用します。
ネイティブ型のようにiOSとAndroidで開発環境を変えることなくWeb上で開発できるのがポイントです。
それだけでなく、一般のWebアプリはブラウザ上で使用できますが、ハイブリッド型で開発したアプリはOSに搭載されているWebView上で使用できます。
WebViewとは、OS上で動作するソフトウェアで、WebページをSafariやGoogle Chromeなどのブラウザと同じように表示する機能を持っています。
独自レンダラ型
独自レンダラ型は、独自の描画エンジンを使用してアプリケーションを開発できます。描画エンジンとは、画像映像を生成するソフトウェアを指します。OSに依存することなく、独自性の高い表現ができるため、カスタマイズがしやすいのが特徴です。
クロスプラットフォームが持つ描画エンジンを利用するプラットフォームです。クロスプラットフォームを実現するプラットフォームであり、主にゲーム開発に向いています。
クロスプラットフォームの代表的なフレームワーク
クロスプラットフォームのフレームワークを紹介します。
導入を検討されている方はそれぞれの特徴をおさえておきましょう。
代表的なフレームワークは下記の4つです。
- Flutter
- React Native
- Unity
- Cordova
Flutter
引用:Flutter – Build apps for any screen
Flutterは、Googleが作成したオープンソースのフレームワークです。Flutterのプログラミング言語はGoogleが独自に開発したDartを使用します。
主にiOSやAndroid向けのモバイルアプリケーション開発に利用されます。
UIの自由度が高い点や、処理スピードが速い点がポイントです。
また、ホットリロード機能が搭載されているため、リアルタイムで変更が確認できるのも嬉しいポイントです。
React Native
引用:React Native · Learn once, write anywhere
React Nativeはメタ・プラットフォーム社が開発したモバイル向けのフレームワークです。React NativeはJavascriptを使用してネイティブアプリを開発できます。
iOSとAndroidの両方で動作するクロスプラットフォームのため、人材確保や工数削減が期待できます。
また、処理速度も速く、人気なフレームワークの一つです。
Unity
引用:Unity のリアルタイム開発プラットフォーム | 2D/3D、VR/AR エンジン
UnityはUnity Technologiesが作成する独自レンダラ型のゲーム用開発プラットフォームです。
C#を使用するため、iOSやAndroid、スマートフォンのアプリだけでなく、WindowsやMac、LinuxなどのOSでも利用ができます。
多様なゲーム機に対応させることも可能な上、開発者同士のコミュニケーション環境も充実しているなど、独自のシステムが充実しているのが特徴です。
Cordova
Cordovaは、Apacheソフトウェア財団が提供するモバイルアプリの開発環境です。
ハイブリッド型クロスプラットフォームのため、独自でプラグインできる点が特徴です。
HTML・CSS・Javascriptなどの言語を利用してネイティブアプリを開発できます。モバイルデバイスのカメラや位置情報、加速度センサーの機能にアクセスできるのもポイントです。
クロスプラットフォームの選定基準
クロスプラットフォーム導入において選定基準は重要なポイントです。
下記のような点を基準に選定しましょう。
- プロジェクトの要件や目標
- 開発チームのスキルセットへの理解
- ユーザーエクスペリエンス
選定に迷っている方はぜひ参考にしてください。
プロジェクトの要件や目標
開発内容に合わせた、最適なフレームワークの選定は必須です。
クロスプラットフォームを選択する際には、プロジェクトの要件と目標を明確にしておきましょう。
互換性や開発効率を考えて、自社に最適な開発アプローチを選択する必要があります。
開発チームのスキルセットへの理解
開発チームのスキルセットを把握し、スキルに応じたプラットフォームを選定しましょう。
どのような技術に詳しいのか、どのプログラミング言語やフレームワークを使用するのが効果的であるかを判断する必要があります。
開発担当者のスキルに合わせたツールを選ぶことがプロジェクトを円滑に進める秘訣です。
ユーザーエクスペリエンスを第一優先に
クロスプラットフォーム開発の要はユーザー体験です。
多様なデバイスやプラットフォームに対応したアプリケーションを開発できるため、各プラットフォームの特性を理解し、それに最適化されたユーザー体験を設計して提供することが重要です。
クロスプラットフォームの展望
近年クロスプラットフォームを導入している企業が増えてきています。
今後、クロスプラットフォーム技術はさらに進化し、より一層多くのデバイスやプラットフォームへの対応が求められます。
ここでは、クロスプラットフォームの将来性について紹介します。クロスプラットフォームへの導入に悩まれている方はぜひ参考にしてください。
クロスプラットフォームの技術について
テクノロジーの進化は、開発ツールやフレームワークの進化も同時に加速させます。
常に新しいフレームワークやツール、プラットフォーム固有の機能のサポートが可能になり、さらに柔軟で効率的な開発環境が整えられます。
さらなる発展が期待できるクロスプラットフォームの技術
将来的には、プラットフォーム同士の差異がなくなり、よりクロスプラットフォームの一貫性や互換性が向上すると期待されます。
プラットフォームベンダーでは、開発者に対してクロスプラットフォーム開発をサポートする取り組みも強化されています。
また、クラウドコンピューティングの進化により、リソースの効率的な利用が可能です。
クロスプラットフォーム開発の今後のトレンド
クロスプラットフォーム開発は、トレンドも常に進化しています。ウェアラブルデバイスの普及に伴い、スマートウォッチやAR/VRデバイス向けのクロスプラットフォーム開発が進むと予想されます。
家庭内で広く使用されるIoTデバイスを統合し、シームレスに操作できるアプリケーションの開発も求められます。
さらに、エンタープライズソリューション分野でも、企業はクロスプラットフォーム技術を活用して開発コストを削減しながら、一貫したユーザー体験の提供が必要です。
コスト削減から開発環境の拡大を可能にするクロスプラットフォーム
クロスプラットフォームの注意点をしっかり理解し、自社の開発者のスキルにあったプラットフォームを導入することで、クロスプラットフォームの恩恵を十分に受けられます。
コスト削減を効果的にできれば、違う面に投資をすることができたり、より多くのユーザーにアプリケーションを届けられるようにプラットフォームを広げられます。
うまくクロスプラットフォームを導入し、よりアプリケーション開発のしやすい環境を整えていきましょう。