越境ECの化粧品事業で売上を拡大!市場分析と成功事例を解説
こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
化粧品の越境EC市場は、拡大を続けています。
日本からも多くの企業が、越境ECに参入しています。
「化粧品の越境EC市場はどの程度なのか?」
「越境ECに参入する国はどこがいいのか知りたい」とお考えの方もいるのではないでしょうか。
世界の越境ECの市場や、成功する上で知っておくべき注意点を解説しています。
化粧品で越境ECに参入する際の参考になれば幸いです。
越境ECの市場規模
インターネットの技術が発展し、自国の商品だけでなく、世界中のあらゆる商品を気軽に買えるようになりました。
より良い商品を求めて、外国からECで商品を購入する需要は伸びており、越境EC事業に取り組んでいる企業は増えています。
越境ECはアメリカと中国で盛んに行われています。
経済産業省の調査によると、2020年は中国の購入が1兆9,499億円、アメリカの購入が9,727億円です。
2021年は中国消費者の購入額が2兆1,382億円、アメリカ消費者の購入額は、1兆2,224億円と越境ECの市場規模(全商品ジャンル)が拡大しているのがわかります。
参考:経済産業省『令和3年度電子商取引に関する市場調査』『令和2年度電子商取引に関する市場調査』
化粧品販売が越境ECに向いている理由
実は化粧品の販売は越境ECに向いているのです。
そのため、今から新規参入してもチャンスがあるでしょう。
化粧品販売が越境ECに適している理由は以下の2つです。
- 日本の化粧品はアジアの人にも人気
- 海外はECでの購入頻度・金額が高い
順番に詳しく解説します。
日本の化粧品はアジアの人にも人気
日本の化粧品はアジアの人に人気があります。
品質が高く評価され信頼を獲得しているからです。
数年前に中国の観光客が、ドラッグストアで商品を大量に購入しているのを見た方もいるのではないでしょうか。
以前から日本の化粧品は需要があったのです。
そのような商品が、気軽にECで購入できるようになれば、購入が増えるのも自然でしょう。
アジアの一部の国では偽物や粗悪品が出回っており、自国の商品の満足度や信頼が低いため、「良質な商品を購入したい」というニーズが高まっているようです。
海外はECでの購入頻度・金額が高い
海外は日本のEC市場と比較して、購入頻度・金額が高い傾向にあります。
なかでも、デジタル化が進んでいる中国やアメリカは、商品をECで購入する機会が多いようです。
また、越境ECに限れば、旅行先で購入した商品を気に入り帰国後にECでリピート購入するケースがあるようです。
日本の製品は海外に比べて品質が高かったり、利便性が高かったりと海外から人気があります。
なお、多くの外国人観光客が訪れるため、こうしたインバウンド需要は越境ECに良い影響を及ぼすと考えられます。
越境ECで化粧品を販売するメリット
越境EC事業を展開すれば、世界の消費者に向けてビジネスができるため、売上増加につながることが大きなメリットです。
売上拡大の他にもさまざまなメリットがあるため、解説します。
売上拡大が見込める
1つ目のメリットは売上拡大が見込めることです。
越境ECをする上で、売上拡大ははずせないメリットでしょう。
近年はさまざまな情報にアクセスでき、海外の商品情報も集められます。
海外の消費者の行動に適したマーケティングができれば、外国の新規顧客を獲得できます。
特に人口やEC利用が多い国をターゲットにすると、開拓できる市場も大きいです。
また1つの国だけでなく、同じ地域の違う国にも出店し、顧客を獲得できればより売上が増加するでしょう。
越境ECは日本のみでビジネスをするよりも多くの売上獲得が見込めます。
現地で販売するよりも低リスク・低コスト
2つ目は低リスク・低コストで販売できることです。
海外に店舗を展開する際は、現地で法人設立の手続きやテナント契約、人材の確保とトレーニングなど事業を開始するまでに時間とコストがかかります。
また事業を継続している間は、テナント代や人件費などの固定費に加え、広告費なども発生し続けます。
日本よりも物価が安い国ならば、影響も小さいですが、物価が高い国なら莫大なコストがかかるでしょう。
しかし越境ECなら固定費を削減できます。
もしも思うような成果が出せず撤退するとしても、店舗運営よりも損失を抑えられるのです。
販売ノウハウを国内にも活かせる
3つ目は販売ノウハウを国内にも活かせることです。
海外のITビジネスをはじめ越境ECでは常にマーケティングのノウハウがアップデートされ、新しい方法が出るサイクルも短いです。
そのような新たな考え方が日本に定着するのは、海外市場で当たり前の手法となってから数年〜10年後になるケースも少なくありません。
海外の消費者を相手にするため、市場の変化に対応し、新しいノウハウに常にアンテナを張る必要があります。
越境ECでは上記のような対応をしているうちに、戦略がブラッシュアップされるためノウハウが自社に帰属しやすいです。
自社の運営にはなかったノウハウを国内事業にも活用すれば、競合との差別化ができ、国内事業の売上拡大も期待できます。
ただし、ノウハウを会社に定着させるには時間がかかるものです。
既存の人材のみでは、市場の変化スピードに対応しきれないと判断したら、越境ECに強い人材を確保しましょう。
各国の越境EC市場を分析
越境ECをする際の国選びがその後のビジネスに影響するといっても過言ではありません。
越境EC事業をどの国で行うか判断するには、国ごとの市場分析が欠かせません。
この章では日本政策金融公庫が発表しているデータを参考にして、次の5か国の越境EC市場を解説します。
- 日本
- アメリカ
- 中国
- シンガポール
- ベトナム
国選びの参考になれば幸いです。
日本国内の市場
各国と比較するために日本の市場を紹介します。
日本の物販系分野におけるBtoCのEC市場は、2021年時点で13兆円2,2865億円です。
2020年よりも8.78%成長しています。
また日本の越境EC市場は20兆4,029億円(2021年時点)です。
調査データ内では4位の位置付けになっています。
「化粧品販売が越境ECに向いている理由」で述べたように、日本の商品の品質は海外ユーザーから高く評価されています。
さらに2023年6月現在は円安のため、気軽に良質な商品が買えることも消費者の購入を促進している要因でしょう。
参考:経済産業省『令和3年度電子商取引に関する市場調査』
参考:日本政策金融公庫『各国における越境ECの状況』
アメリカの市場
アメリカの越境EC市場は、1兆2,224億円で中国の次に大きいです。
アメリカ越境EC市場ではソーシャルコマースとクリック&コレクトがスタンダードになっています。
ソーシャルコマースとはソーシャルメディアを活用した販売促進方法です。
SNS内で商品を発見し、SNSアプリ上で直接商品を購入できる仕組みです。
クリック&コレクトはECサイトで商品を購入したあと、自宅への配送ではなく、店舗やドライブスルーなどの場所で商品を受け取る仕組みで、大手企業を中心に導入されています。
アメリカでは消費者の利便性が重視され、マーケティングの導線も左記を意識した設計になっています。
中国の市場
中国は2兆1,382億円と各国の越境EC市場の中でも頭1つ抜けています。
中国市場では人気インフルエンサーを活用し、ECとライブ配信を組み合わせたライブコマースが好調です。
さらに新型感染症の影響でリアル店舗での販売が難しくなったことをきっかけとし、一気に浸透し、EC市場の成長を加速させました。
ライブコマース以外にもEC市場の成長に影響を与えたものがあります。
それはSuper AppsというSNS・ショッピング・金融・支払いなど複数の機能を1つのシステムで完結できるアプリです。
Super Appsの普及により、ECの利便性が格段に向上し、ECを利用する消費者を増加できたのです。
シンガポールの市場
2021年のシンガポールの越境EC市場は約2,120億円です。
市場規模のみをみると、中国・アメリカには劣りますが、近年ECの市場規模が著しく成長しています。
シンガポールの越境ECと国内ECを合わせたEC市場取引総額は、2016年から2021年にかけて平均26.6%ずつ増加。
予測では、2021年から2026年間で年平均11.6%ずつ成長する見立てです。
また、現地のECプラットフォームでは、日本語サポートや物流の整備が積極的に進んでいるため、日本のEC事業者が進出しやすい環境が整いつつあります。
ベトナムの市場
2021年のベトナムのEC市場(国内・越境含む)は約8,000億円です。
越境ECのみの市場規模のデータはありませんでしたが、EC市場全体を見るとシンガポールを超えています。
ベトナムは、近年の所得水準の向上に伴い消費動向が拡大し、インターネットとスマートフォンの普及率も高く、都市部の若年層を中心にEC利用が急速拡大したことが主な要因のようです。
この勢いから、ベトナム政府は中期的数値目標として、2020年5月、ECの促進を目的に2021年~2025年の国家マスタープランを承認し、EC市場の拡大に努めています。
その成果があり、予測では、2022年から2026年間で年平均20.0%ずつ成長する見立てです。ベトナムのEC市場は、今後更に拡大されるでしょう。
化粧品の越境ECはベトナムがおすすめ
世界の越境EC市場について解説しましたが、今後の成長を見込んで「ベトナム越境ECには大きなチャンスがありそう」と思われた方もいるのではないでしょうか。
今後の市場成長率、人口が多く市場規模が大きいこと、日本の商品が人気なことが理由として挙げられます。
またベトナムはECが発展してきており、競合の少なさと市場成長率からチャンスがある国といえます。
今後も成長を続けるベトナムの化粧品EC市場
化粧品の越境ECはベトナムがおすすめと説明しました。
今注目されているベトナムの化粧品市場について詳しく説明をします。
ベトナム女性の化粧品利用頻度の増加
ベトナムの市場調査サービスQ&MEのデータによると、2019年の日常的に化粧をする人の割合は30%に上り、化粧をしない層は2016年の24%から14%に減少していることから、ベトナム女性の化粧品の利用頻度は増加傾向にあることがわかります。
また、その中でも口紅やファンデーション、チークなどの利用が高いようです。
その他、スキンケアについては73%が日常的に行なっており、商品としてはクレンザー、サンスクリーン、フェイシャルマスクの利用が高いようです。
経済発展による世帯収入の増加から、化粧品のニーズは今後も高くなることが予想できるでしょう。
EC化粧品市場の高まり
また、化粧品を購入するときのEC利用も増加傾向にあります。
同じくベトナムの市場調査サービスQ&MEのデータによると、2019年の57%の化粧品ユーザはオンラインで化粧品を購入し、そのうち72%はソーシャルを利用した購入を行なっており、人気のSNSプラットフォームはFacebookのようです。
また、オンラインではShoppeeの利用が高いことがわかっています。
EC市場が伸びていく中で、ECと相性の良い化粧品は今後もどんどん伸びていくことが期待できます。
●料金目安もわかるECサイト構築ガイド
>新規事業などでECサイトを構築する場合のガイドを作成しました。目的や売上規模に応じたEC種別選定や最適な構築手法についての診断を受けることができます。
越境ECで化粧品を販売している企業の成功事例
グローバルに事業を展開できれば、売上が最大化できるとして越境ECは注目されています。
市場のニーズに合わせてマーケティングをし、成果を出している企業も少なくありません。
越境ECで化粧品を販売している企業の事例を見ると、戦略をイメージしやすくなります。
株式会社プルソワン
株式会社プルソワンは、オリジナル化粧品の販売とOEM製造を100個単位から請け負っている会社です。
日本以外にもベトナムや台湾・オーストラリアなどに自社サロンやオフラインショップを展開しています。
現地のオフライン拠点で海外の消費者のニーズや課題を分析し、ビジネスを行うことで、ノウハウを蓄積しているのです。
参考:株式会社プルソワン
株式会社オーエス
株式会社オーエスは中国で越境EC事業を行っている会社です。
中国のデジタルマーケティングに精通しており、日本企業および全国の自治体のインバウンド事業における中国プロモーションを支援しています。
さらに日本の美容商材の越境ECサービスも独自に展開しています。
事業を始めた当初、日本のビジネスと同様にSNSや検索エンジンを用いて販促を行いましたが、期待する成果は得られませんでした。
そこから中国の売り方や商品の流れを理解して、消費者や環境に合わせたマーケティング方法に変えたのです。
また、アプリの中にアプリを作成するミニプログラムを活用し、プラットフォームで購買が完結できるようにし、消費者の獲得に成功しています。
参考:株式会社オーエス
株式会社サンライズジャパン
株式会社サンライズジャパンは、高機能スキンケアシリーズの「ホメオバウ」を販売している企業です。
中国や香港に展開しており、新事業としてシンガポールに進出することを2022年に発表しています。
中国では人気を獲得していましたが、シンガポールでは知名度がそこまで高くありませんでした。
そこで、シンガポールや東南アジアの国で人気のShoppeというプラットフォームを利用し課題を解決したのです。
現地の消費者に人気なプラットフォームを利用して、認知を拡大し、新規顧客を獲得できた事例です。
株式会社アクシージア AXXZIA INC.
株式会社アクシージアは、日本製のスキンケア商品と美容サプリメントを中国で販売する企業です。
中国で成功し、東証マザーズに上場を果たしています。
同社はECでは有名プラットフォームとそうでないプラットフォームの両方に出店し、マルチチャネルを構築しています。
またECのみならず、リアル店舗も出店しオフラインの顧客を獲得しているのです。
オフラインで消費者と関係を構築し、固定客を作りECにシフトさせる流れを形成しています。
またライブコマースにも投資をしており、認知や新規顧客を日々増やしているのです。
ユーピーディー・ジャパン株式会社
ユーピーディー・ジャパン株式会社はTatchaというスキンケアブランドを販売している企業です。
Tatchaはアメリカ発、日本の自然素材を使ったスキンケア商品です。
アメリカで創業し、多くの有名人や美意識の高い消費者が使うなど人気があり、さまざまな人から支持されています。
アメリカで成功したのち、里帰りと表現して日本向けに越境ECを開始しました。
越境ECを成功させるため、現地に馴染むようローカリゼーションを徹底して行ったのです。
SNSやメディアでは日本人の消費者に好まれるように工夫しつつも、ブランドの魅力が伝わるように、ストーリーを発信して、日本の顧客を獲得しています。
参考:ユーピーディー・ジャパン株式会社「Tatcha」
化粧品分野の越境EC参入する方法2つを解説
化粧品分野の越境ECにおいて参入する方法は次の2つがあります。
- 自社サイトを構築する
- モール型ECに出店する
自社サイトを構築する
自社サイトを構築する方法は、カスタマイズが自由にでき、販促やマーケティングをプラットフォームなどに左右されずにコントロールできます。
現地の文化や価値観に合わせたサイト作りができ、消費者のニーズに合わせながら商品のブランディングが可能です。
しかし、サイト構築費用と集客するための広告宣伝費などが発生し、初期費用が高くなるデメリットがあります。
さらに多言語化や海外発送手続き、決済、カスタマーサポートなども自社で対応する必要があるため、人材確保のコストも考慮する必要があります。
モール型ECに出店する
モール型ECでは、サイトの構築費用が抑えられ、越境ECを行うハードルが低いです。
また運営代行サービスを利用すれば、発送や顧客対応を任せられるため、マーケティングや経営に集中できるでしょう。
また、複数のモールに出店すればチャネルが増え、現地顧客との接点が拡大し、ビジネスが加速します。
一方でモール出店料や販売手数料、代行業者に支払う費用が発生することがデメリットです。
また運営代行を利用した際に、自社に越境ECのノウハウが蓄積しないといったリスクも考えられます。
「化粧品」越境ECに参入する際の注意点
越境ECに参入する際の注意点を解説します。
文化やビジネスの仕方などに配慮する必要があります。
決済方法を現地に合わせる
国によって決済方法が異なります。
決済方法が現地のニーズに合っていないと、カートに入れたのに決済を諦め、EC自体を離脱する恐れがあります。
決済手段ひとつで最終的なコンバージョンに影響するため、徹底してリサーチしたいものです。
現地独自の決済方法に対応するのに時間がかかる場合は、各種クレジットカードと多様な決済に対応できるサービスを導入して、随時整える方法も有効です。
国・地域によって対応が異なる
国や地域によって文化や商売の方法が違うため、個々に適した対応が求められます。
特にカスタマーサービスは、会社や商品の満足度に影響します。
カスタマーサービスは現地の人材をアドバイザーとして雇用するか、専門の人材を確保するなどした方が、いいでしょう。
輸送コスト管理に注意する
越境ECでは海外に商品を送るため、輸送コストの管理が重要です。
国によってルールや規制が違うため、関税もどの程度かかるのかが変わります。
輸送コストを適切に把握していないと、想定以上のコストが発生し、利益が少なくなるケースも珍しくありません。
輸送コスト管理で思わぬ損を避けるため、参入先の国の情報やルールは常に確認しましょう。
化粧品の越境ECは新規参入でもチャンスあり!
越境ECは世界的にも市場が拡大しており、参入して新規顧客を獲得できれば売上拡大が見込めます。
一方で国ごとのルール、規制を理解しておかないと、気づかぬうちに法に抵触したり、コストが増えたりなどのリスクがあります。
日本の化粧品は海外でも人気ですが、メイドインジャパンだからといって売れる訳ではないです。
自社の商品が認知され信頼を得るには、文化や商品の流れを理解し、適切にマーケティングをする必要があります。
一定の顧客を獲得するまでは、現地のマーケティングに詳しい人材を雇用して、ノウハウを自社に蓄積するのも有効です。
越境ECは手続きや集客で難しい部分もありますが、開拓する市場が大きいため売上を増大できる可能性があります。
ECのニーズは今後もあるため、今からの参入もチャンスがあるといえます。
参入する際は戦略を徹底的に考え、越境ECに臨みましょう。
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